相続税と贈与税の損得分岐点は?税率・控除の違いやどちらが得かを解説
Tweet贈与税と相続税は、大切な財産を次世代へ円滑に引き継ぐために理解しておくべき税制度です。しかし、「何から手を付けていいか分からない」「制度が複雑で理解しにくい」「どちらを選ぶべきか分からない」と感じている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、贈与税や相続税の税率と控除額、比較の仕方、贈与と相続の違い、相続税と贈与税のどちらを活用すべきかなど、あらかじめ知っておくべきポイントを分かりやすく解説します。また、贈与税・相続税でよくある質問についても紹介します。
目次
【結論】贈与する時期や人数によっては相続よりも節税が可能
贈与税と相続税は、どちらも大切な財産を受け渡す際に課される税金です。税率だけで見ると、一般に相続税の方が低く設定されており、お得に感じられます。しかし、これは財産を一度に移転する場合の比較に過ぎません。
節税の鍵は「時期」と「人数」です。贈与税の非課税枠を最大限活用し、長期間にわたって、複数の子や孫に財産を分散して移転することで、贈与税をかけずに全体の財産を減らすことができます。その結果、将来発生する相続税の課税対象額が圧縮され、トータルで見ると、計画的な贈与の方が税負担を大きく軽減できるケースが多くあります。まずは早期に始めることが、効果的な節税対策です。
なお、贈与、相続税それぞれの税率と控除は次段を参照してください。
贈与税の税率と控除額の表
贈与税の課税方式には、「暦年課税」と「相続時精算課税」の2種類があります。それぞれ税率と控除額が大きく異なります。
暦年課税は、1年間に贈与を受けた財産の合計額から基礎控除額を差し引いた残額に課税される方式です。基礎控除額は受贈者1人あたり年間110万円で、この金額以下の贈与であれば、贈与税は非課税で申告も不要です。そのため、長期的な節税対策の基本となります。
税率は、贈与者と受贈者の関係によって異なります。いずれも10%から最高55%までの累進課税です。兄弟間、夫婦間、未成年への贈与などには一般税率が、父母や祖父母などの直系尊属から18歳※以上の子や孫への贈与には特例税率が適用されます。特例税率は一般税率よりも税率区分や控除額が優遇されているのが特徴です。
※ 「18歳」とあるのは、令和4年3月31日以前の贈与については「20歳」となります。
| 贈与税 | ||||
| 基礎控除(110万円)後の課税価格 | 一般 | 18歳以上の者への直系尊属からの贈与 | ||
| 税率 | 控除額 | 税率 | 控除額 | |
| 200万円以下 | 10% | - | 10% | - |
| 300万円以下 | 15% | 10万円 | 15% | 10万円 |
| 400万円以下 | 20% | 25万円 | 15% | 10万円 |
| 600万円以下 | 30% | 65万円 | 20% | 30万円 |
| 1,000万円以下 | 40% | 125万円 | 30% | 90万円 |
| 1,500万円以下 | 45% | 175万円 | 40% | 190万円 |
| 3,000万円以下 | 50% | 250万円 | 45% | 265万円 |
| 4,500万円以下 | 55% | 400万円 | 50% | 415万円 |
| 4,500万円超 | 55% | 640万円 | ||
また、平成15年(2003年)の税制改正で創設された相続時精算課税制度が2024年1月に改正され、基礎控除が設けられました。この制度は、特定の人からの贈与を贈与時には特別控除の範囲内で非課税とし、贈与者が亡くなったときにその贈与財産を相続財産に合算して相続税を計算・精算するものです。
特別控除額は累計2,500万円、基礎控除額は年間110万円です。この枠内であれば贈与税はかかりませんが、特別控除額(基礎控除分は含めず)を超えた部分に対しては、超過額に一律20%の贈与税が課税されます。ただし、110万円以下の贈与であれば、特別控除枠の利用の有無にかかわらず、相続時に相続財産に加算されることはありません。
なお、一度この制度を選択すると、その贈与者からの贈与については暦年課税に戻れないため注意しましょう。
相続税の税率と控除額の表
相続税は、被相続人(亡くなった人)の財産が、すべての相続人共通の基礎控除額を超えた場合に課税されます。
相続税の基礎控除額は、相続税の申告・納税が必要となるかを判断する非課税枠です。計算式は、以下の通りです。
基礎控除額=3,000万円+(600万円×法定相続人の数)
遺産総額がこの金額以下の場合、相続税はかかりません。また、原則として申告も不要です。
相続税の総額は、課税遺産総額(遺産総額から基礎控除額等を差し引いた額)を法定相続分で分けたものとして計算した各人の取得金額に応じて決定されます。税率は10%から最高55%までの累進課税で、取得金額が多いほど税率が高くなるのが特徴です。
| 相続税 | ||
| 法定相続分人の取得金額 | 税率 | 控除額 |
| 1,000万円以下 | 10% | - |
| 1,000万円超 3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
| 3,000万円超 5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
| 5,000万円超 1億円以下 | 30% | 700万円 |
| 1億円超 2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
| 2億円超 3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
| 3億円超 6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
| 6億円超 | 55% | 7,200万円 |
また、相続税には計算された相続税額からさらに差し引ける控除制度があります。
- 配偶者の税額軽減:配偶者が実際に取得した財産のうち、1億6,000万円または配偶者の法定相続分相当額のいずれか多い金額までは、配偶者の相続税が非課税となる特例です。
- 小規模宅地等の特例:居住用や事業用の宅地について、一定の要件を満たす場合に、評価額を80%減額(貸付事業の場合は50%)できる特例です。
なお、これらの特例を適用して税額がゼロになったとしても、相続税の申告そのものは求められるので注意しましょう。
相続税と贈与税のどちらがお得かを比較するには?

生前贈与で節税するためには、まず自身の財産状況を把握し、相続税の試算を行うことが欠かせません。
相続税額を計算し、適用される税率(例:相続財産6億円、子2人で45%)を確認します。この相続税率より低い贈与税率(例:贈与税一般税率40%以下の部分)で贈与できれば節税になります。特に、暦年贈与の非課税枠を活用し、長期にわたって贈与を継続することが効果的です。
ただし、不動産などの贈与では登記費用や税金などのコストがかかること、また、贈与によって相続時の納税資金が不足したり、贈与財産が値下がりしたりするリスクも考慮しましょう。そのため、贈与計画が適切か、少なくとも年に一度は試算し直すのがおすすめです。
【具体例】遺産総額1億円で法定相続人が子2人の場合
ここからは、具体的な例を挙げながらどのように対策するべきか解説します。遺産になると想定される資産が総額1億円で法定相続人が成人した子2人の人が、年間500万円ずつ10年間贈与した場合と、なにもせずに亡くなり相続した場合をとりあげて、計算してみましょう。
贈与の場合
法定相続人である子2人が18歳以上で「特例贈与財産」に該当するため、特例税率を適用します。
まずは、年間贈与額500万円から基礎控除額110万円を差し引きます。
500万円−110万円=390万円(課税価格)
この課税価格をもとに贈与税額を算出します。課税価格390万円に特例税率(15%)と控除額(10万円)を適用した計算式は、以下の通りです。
(390万円×15%=58.5万円)−10万円=48.5万円(子1人あたりの年間の贈与税)
次に、10年間で支払う贈与税の総額を計算しましょう。
毎年の贈与税総額は、子2人分の年間の贈与税額を合計します。
48.5万円×2人=97万円
この毎年の税額を10年間分合計した額が、10年間の総額です。
97万円×10年=970万円
したがって、この計画で10年間にわたって贈与税を納める場合、総額は970万円となります。
この間に毎年500万円ずつ(子2人で計1,000万円)を10年間贈与すると、贈与総額は1億円となります。長期的に贈与を続けることで相続財産を減らす効果が期待できますが、持ち戻し期間(原則7年)や贈与目的によっては相続税の対象となる場合もあるため、計画時は専門家への相談が望ましいでしょう。
相続の場合
相続税でも、まずは基礎控除額を算出します。このケースでは法定相続人が子2人のため、基礎控除額は以下の通りです。
基礎控除額=3,000万円+(600万円×2人)=4,200万円
次に、遺産総額から基礎控除額を差し引いて課税遺産総額を算出します。
課税遺産総額=1億円−4,200万円=5,800万円
最後に、相続税の総額を算出しましょう。算出した課税遺産総額(5,800万円)を法定相続分(子2人なので1/2ずつ)で按分し、各法定相続人(子)の取得金額を求めます。
子1人あたりの取得金額=5,800万円×1/2=2,900万円
この2,900万円に相続税の速算表を適用します。
2,900万円 → 税率15%、控除額50万円
子1人あたりの仮の税額=(2,900万円×15%=435万円)−50万円=385万円
相続税の総額は、子2人分の算出税額を合計した金額です。
相続税の総額=385万円×2人=770万円
したがって、このケースにおける相続税の総額は770万円です。
相続税は、遺産総額や法定相続人の数によって税額が大きく変わります。節税やトラブル防止のためには、生前から財産の把握や分割方法を検討しておくことが重要です。必要に応じて、税理士などの専門家に相談しながら準備を進めると安心です。
【おさらい】贈与と相続とは?

ここからは、贈与と相続の概要について解説します。すでに理解していると思っている方も、改めて確認しておきましょう。
贈与とは
贈与とは、財産を無償で誰かに与えるという贈与者の意思表示と、それを受ける人(受贈者)の承諾によって成立する法律行為です。遺言による贈与(遺贈)とは異なり、贈与者と受贈者の双方の合意がなければなりません。
贈与税は、この贈与によって個人が財産を受け取ったときに、受け取った人(受贈者)に対して課税される税金です。これは、相続税の課税を免れるために生前に財産を移転する行為(生前贈与)を防ぎ、相続税を補完する役割を持っています。
贈与税の課税方式には2種類あります。ひとつは、年間110万円の基礎控除を受けられる「暦年課税」、もうひとつは贈与総額から2,500万円まで控除でき、さらに年間110万円の基礎控除を受けられる「相続時精算課税」です。税率は相続税より高く設定されていますが、非課税枠を計画的に利用することで節税効果が期待できます。
生前贈与については、以下の記事でも詳しく解説しています。
相続とは
相続とは、人の死亡によって、その人が持っていた財産や権利・義務を、法定相続人などの特定の人が受け継ぐことです。遺産には、現金や不動産などのプラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も含まれます。また、現物だけでなく、著作権などの金銭的価値があるものも相続の対象です。
相続税は、受け継いだ遺産総額が、法律で定められた基礎控除額を超えた場合に課税される税金です。税率は遺産の額に応じて累進課税が適用されます。
相続税の申告・納税は、被相続人(亡くなった人)の死亡を知った日(通常は死亡日)の翌日から10か月以内に行わなければなりません。また、申告をすることで、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例といった大きな節税特例を利用できます。
遺産相続については、以下の記事も参考にしてください。
贈与と相続の違い
ここからは、贈与と相続では何がどう違うのか、税制の観点から具体的に解説します。
税率
贈与と相続では、適用される税率の構造と水準に大きな違いがあります。
単純に税率だけで比較するならば、一般的に相続税のほうが有利です。相続税は、遺産総額から基礎控除額という大きな非課税枠を差し引いた後の額に課税されるからです。また、配偶者の税額軽減といった強力な特例もあります。
一方、贈与税は、基礎控除を超える部分に対して、相続税の税率と比較して同じ金額帯でも高めに設定されています。これは、相続税を逃れるための財産移転を抑制するためです。
したがって、多額の財産を一度に移転する観点から税率を単純比較すると、控除額の大きさや税率水準から相続税がお得に見えます。しかし、贈与は長期間にわたり非課税枠を繰り返し利用できるのがポイントです。そのため、贈与をいかに計画的に行うかが総税額を抑える鍵となります。
納税時期
贈与税と相続税は、納税時期が大きく異なります。
贈与税は、贈与を受けた側(受贈者)が、財産を贈与された年の翌年2月1日から3月15日までに申告し、納税します。これは、1年間の贈与をまとめて精算する「暦年課税」の仕組みによります。
一方、相続税は、相続人が、相続開始を知った日(通常は被相続人の死亡日)の翌日から10か月以内に申告し、納税を完了しなければなりません。期限が贈与税よりも長めに設定されていますが、遺産分割や財産評価に時間を要するため、それほど猶予があるわけではありません。
以下の記事も参考にしてください。
控除・特例
贈与税と相続税は、控除や特例の規模と目的に大きな違いがあります。
相続税は、遺族の生活保障や事業の継続を考慮した大規模な控除・特例が特徴です。基礎控除額が高額であることに加え、特に配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例など、節税効果が非常に高い制度が存在します。
一方、贈与税の基礎控除額は少額ですが、政策的な目的に応じた特例が設けられています。具体的には、住宅取得等資金の特例や教育資金の一括贈与の特例などがあり、特定の目的で資金を早く次世代に渡す際の非課税枠を大きく広げています。
控除や特例についてより詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
贈与税と相続税の一体化はいつから?

相続税と贈与税の「一体化」は、2025年10月の段階ではまだ実施されておらず、検討段階にある税制改正事項です。
この一体化が議論されている背景には、現行制度が「財産を受け渡す時期によって税負担が大きく変動してしまい、公平(中立的)ではない」という問題意識があります。特に、多額の財産を持つ人が生前贈与の非課税枠を長期にわたり利用することで、相続税よりも税負担を不当に低く抑えられる点を是正しよう、というのが狙いです。一方、相続税より贈与税の税率が高いので、シニア層から若年の現役世代への資産移転がなかなか進まないという課題も指摘されています。
その一歩として、令和5年(2023年)の税制改正で、贈与を相続財産に加算する期間(いわゆる「持ち戻し期間」)が従来の3年から7年以上に延長されることや、相続時精算課税制度の基礎控除の新設などが行われました。しかし、さらに一体化をすすめる時期や具体的な内容は、今後の税制調査会の議論に委ねられています。
こちらの記事でも詳しく解説しています。ぜひご覧ください。
贈与と相続のどちらを選ぶべきか、おすすめのケース
贈与と相続のどちらのほうが節税になるのかは、ケースバイケースです。ここからは、贈与と相続のどちらにするべきかをケース別に解説します。
贈与がおすすめなケース
以下のようなケースの場合、贈与がおすすめです。
財産を渡す人が若いケース
贈与税には年間110万円の基礎控除があり、財産を渡す人(贈与者)が若ければ若いほど非課税枠を長期間にわたって繰り返し活用できます。これにより、多額の財産を非課税で次世代へ移すことが可能です。
また、相続開始前7年以内の贈与は相続財産に加算(持ち戻し)されますが、若い贈与者であれば、7年以上の長期で計画的に贈与することで、贈与した財産が相続税の課税対象から完全に外れる可能性が高くなります。これは、高齢になってから贈与を始める場合に比べ、大きな節税効果につながるポイントです。
財産を受け取る人が多いケース
財産を受け取る人(受贈者)が多いケースも、贈与税の節税効果が非常に高くなります。なぜなら、贈与税の年間110万円の基礎控除は、受け取る人ごとに適用されるからです。そのため、子や孫など10人に年間110万円ずつ贈与すれば、合計で1,100万円もの財産を非課税で一度に移転できます。
一方、相続税の場合、基礎控除額は法定相続人の数に応じて決まります。贈与の相手と違い、法定相続人は養子などを除き意図的に増やせるものではなく、控除は相続時の一度だけです。
相続がおすすめのケース
以下は、相続の方がおすすめなケースです。
基礎控除や特例によって税金を抑えられるケース
遺産総額が相続税の基礎控除額より低い、またはそれをわずかに超える程度と想定されるのであれば、無理に生前贈与をする必要はありません。相続税は基礎控除の枠が非常に大きいことに加え、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を活用できます。これらの控除や特例を適用することで、結果的に相続税がゼロになる、あるいは非常に低く抑えられるケースが多いです。したがって、手間やコストをかけて贈与を繰り返すメリットは少なく、相続時に一括して財産を移転する方が合理的です。
老後の生活資金に余裕がないケース
老後の生活資金に不安がある場合、生前贈与は控えましょう。生前贈与で財産を減らしすぎると、予期せぬ医療費や介護費用などで老後資金が不足し、生活を圧迫するリスクがあるからです。また、贈与をしても、相続開始前7年以内の贈与は相続財産に加算される(持ち戻し)など、税制改正で生前贈与の節税効果は薄れる傾向にあります。
贈与を検討する際は、まずご自身の老後資金に無理がないかを確認しましょう。安心して生活できる見通しを立てたうえで、贈与を進めることが重要です。
贈与を選択する際の注意点

贈与にはメリットも多くある一方、いくつか気を付けるべきポイントもあります。贈与を選択する際には、以下の点に注意しましょう。
持ち戻し期間(7年)に注意する
相続税を不当に減らす行為を防ぐため、相続開始前7年以内に被相続人から贈与された財産は、原則として相続税の課税対象となる相続財産に加算(持ち戻し)されます(2031年までは3年から7年への移行期間として段階的に延長)。
この加算される金額は、贈与された時点の評価額です。ただし、すでにその贈与に対して贈与税を支払っている場合は、その贈与税額は算出された相続税額から差し引かれます(贈与税額控除)。
したがって、急いで贈与を行っても、7年以内に相続が発生した場合は節税効果がありません。
相続対策は長期的な視点を持って計画的に実行しましょう。
こちらの記事でも詳しく解説しています。参考にしてください。
110万円の贈与が得とは限らない
年間110万円以下の贈与は贈与税がかかりませんが、必ずしも得な節税策になるとは限りません。
例えば、贈与する人数が少ない場合、大きな効果を得るには長い年月が必要となり、効率が悪くなります。また、相続税が発生するなら、相続税率より低い贈与税率が適用される範囲で贈与を計画的に行った方が、トータルでの節税効果が大きくなる場合があります。
そのため、単に非課税枠の110万円にこだわるのではなく、ご自身の相続税率と比較し、効果を見極めた上で計画を立てましょう。
計画された連年贈与は一括贈与とみなされる場合もある
年間110万円以下の贈与を毎年行う「連年贈与」は、単に親が子名義の口座に預け入れるだけでは、計画的な「定期金の贈与」と見なされ、一括で贈与税が課税されるリスクがあります。
これを避けるには、贈与契約を毎年個別に取り交わすことが大切です。また、税務署に贈与を確実に認めてもらうためには、受贈者が贈与の事実を認識し、通帳や印鑑を本人が管理しなければなりません。さらに、贈与契約書を作成し、確定日付を取るなどの対策も講じておきましょう。
贈与税・相続税でよくある質問
最後に、贈与税や相続税に関してよく寄せられる質問を紹介します。
手渡しや現金での贈与でも、なぜ税務署にバレるのでしょうか?
手渡しや現金での贈与でも、税務署は把握できます。
税務署は、相続税や贈与税の調査などを通じて、納税義務者の過去の預金移動や収入を徹底的にチェックしています。例えば、受贈者が高額な財産を取得した際、税務署がその人の収入や過去の預金残高と照らし合わせ、不自然な資金の流入があれば贈与があったと認識します。資金の流れはすべて追跡されるため、無申告が発覚した場合は、本来の税額に加えて重いペナルティ(加算税や延滞税)が課されます。
親から1000万円もらったら贈与税はいくらですか?
1,000万円の贈与では、基礎控除110万円を引いた890万円が課税対象です。
そのため、特例贈与財産(父母・祖父母から成人の子・孫へ)の場合であれば、以下の計算により177万円が贈与税額となります。
890万円×30%−90万円=177万円
もし、子が未成年であったり、直系尊属以外(例えば伯父など)からの贈与の場合は、一般贈与財産用の税率が適用されます。つまり、以下の計算の通り231万円を納めなければなりません。
890万円×40%−125万円=231万円
このように、贈与者と受贈者の関係で税額が変わるので注意しましょう。
贈与税・相続税のお悩みは専門家までご相談ください
相続税は基礎控除額が大きく、配偶者控除など節税となる特例が強力ですが、贈与税は年間110万円の基礎控除を人数分・年数分使えるため、若い・多人数への移転に効果的です。納税時期は相続税が10か月以内、贈与税が翌年3月15日と異なります。
節税は、自身の財産総額に基づいて予測される相続税率や老後資金の余裕、特例の活用を総合的に判断し、長期的な視点で計画的に行うことが成功の鍵です。必ずしも単純な110万円以下の贈与が最善とは限りません。
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<総監修 天野 隆、天野 大輔税理士法人レガシィ 代表>
<総監修 天野 隆、天野 大輔>税理士法人レガシィ 代表
