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相続の知識

相続の手続きを時系列で紹介!「期限別のスケジュール」で分かりやすく解説

相続が発生すると、やらなければならない手続きが次々と出てきます。期限の決まっているものを中心に、特に期限のないものもどのタイミングで行うのがいいかを、早い順にご紹介します。何から手を付けたらいいかわからない人も、これで自分のやるべきことが整理でき、スムーズに進めることができるでしょう。

【期限別スケジュール】相続の手続きでやることリスト

まずは相続に伴って、相続人が行う必要のある手続きを、下の図で確認しておきましょう。早く取り掛かるものから期限ごとに確認し、自分でやるか、身内や専門家に頼むかなどを考えておきましょう。

相続に伴って必要になる主な手続きと期限

【7日以内】死亡届の提出と葬儀関連

身内のだれかが亡くなると、家族は葬儀などの手配に追われますが、その際に必要な書類もあるので、確認しておきましょう。

死亡診断書を受け取る

病院や自宅療養中に病気で亡くなると、死亡の確認をした医師から死亡診断書が発行されます(費用は約5,000円程度)。病気以外の不慮の事故などで亡くなると、警察を通しての監察医による死体検案書になります。どちらであっても、死亡を証明する書類として以後の手続きに必要なので、これを入手して、複数枚のコピーをとっておきます。

葬儀社を選んで依頼する

病院などで亡くなると、すぐに遺体の搬送をしなければなりません。いったん自宅に引き取るにしろ、葬祭場の安置所などに運ぶにしろ、葬儀社に依頼すれば、搬送車の手配もしてくれます。葬儀社が決まっていない場合は、病院でも紹介してくれますし、自分たちで探して連絡してもいいので、早めに依頼しましょう。通夜・葬儀の細かい打ち合わせは、遺体の搬送後に行うのが一般的で、家族葬などの簡易な葬儀から一般葬まで対応してもらえます。

役所に死亡届を提出し、火葬許可証を受け取る

死亡診断書や死体検案書には左半分に死亡届がついているので、親族がこれに記入して、7日以内に亡くなった人の住所地の役所、本籍地、または届出人の住所地の役所に死亡届を提出します。

死亡届を提出する際に火葬許可申請書を提出し、役所から火葬許可証を受け取ります。これがないと火葬ができないため、この手続きは葬儀の前に速やかに行うことが必要です。死亡届の提出と火葬許可証の入手は、葬儀社が代理で行ってくれることが多いので、任せたほうが安心でしょう。

葬儀や火葬が終了すると、火葬場に提出した火葬許可証に火葬の証明が記入され、これが埋葬許可証になり、通常は遺骨と一緒に喪主に戻されます。埋葬許可証は墓地や納骨堂に納骨する際に必要になります。納骨は四十九日などに合わせて行うことが多いので、それまで大切に保管しましょう。

【14日(厚生年金は10日)以内】社会保険・役所関連の届出・手続き

まずは亡くなった人が加入していた公的医療保険(健康保険)や介護保険、公的年金に関して、資格喪失や受給停止の届け出をして、役所で必要な手続きも行いましょう。

健康保険の資格喪失届を提出し、保険証を返却する

亡くなった人が国民健康保険や後期高齢者医療(75歳以上)の加入者であれば、住所地の役所の担当窓口に資格喪失届を提出し、健康保険証を返却します。手続きをする人の本人確認書類と認印、死亡届(コピー)の持参が必要です。
また勤務先の健康保険に加入していた場合は、加入先の健康保険組合または協会けんぽの支部で同様に手続きを行います。

いずれの健康保険でも、加入者が亡くなると、遺族に葬祭費(健保は埋葬料)が支給されるので、同時にその申請手続きをするといいでしょう。葬祭費の申請には、葬儀費用などの領収書が必要な場合があるため、そのコピーと、受け取る人(通常は配偶者か代表相続人)の金融機関の口座がわかるものを持参すると、一度に手続きができて便利です。

介護保険の資格喪失届を提出し、保険証を返却する

亡くなった人が65歳以上の場合は介護保険の被保険者証も自宅にあるはずなので、介護保険の資格喪失届を出して、保険証を返却します。手続き場所は住所地の役所の介護保険の窓口です。手続きする人の本人確認書類や、念のために認印を持参します。

故人が要介護認定を受けて介護・予防サービスを利用していた場合は、担当のケアマネジャーに連絡し、負担割合証も窓口に返却します。さらに、利用していたデイサービスなどの事業者にも早めに利用の停止を伝えましょう。

年金の受給停止と未払い年金の手続きを行う

亡くなった人が老齢基礎年金や老齢厚生年金を受給していたら、最寄りの年金事務所または年金相談センターで、受給停止の手続きを行います。亡くなった人の年金証書を持参し、窓口にある「受給者死亡届(報告書)」に記入しますが、年金証書が見つからない場合でも、その旨を記載すればいいので、故人の基礎年金番号がわかる郵便物(年金のお知らせ)などを持参するといいでしょう。

公的年金は2カ月に1度の支給で、亡くなった月まで受給できます。まだ受け取っていない年金や、亡くなった後に支給された年金で亡くなる月までの分は、未支給年金として生計を同じくしていた遺族が受け取れます。その手続きも同時に行いましょう。故人と請求する人の続柄がわかる書類(戸籍謄本など)と、生計を同じくしていたことがわかる書類(故人の住民票除票や請求者の世帯全員の住民票)、受け取り口座の通帳などを持参します。

当てはまる人は遺族年金の受給手続きを行う

国民年金や厚生年金に加入中、またはそれらの年金を受給中の人が亡くなったら、その人に生計を維持されていた遺族には、遺族年金が支給されます。国民年金のみの加入者は、18歳到達年度まで(障害がある場合は20歳未満)の子がいる配偶者か、該当する子が「遺族基礎年金」を受給できます。高齢の親が亡くなった場合は該当しないケースが大半ですが、条件に合えば「寡婦年金」を受け取れるので、その請求手続きを行います。

一方、高齢の親で厚生年金に加入していた人が亡くなったら、その人に生計を維持されていた配偶者は「遺族厚生年金」を受給できるケースが多いので、その手続きを行いましょう。

どちらの請求書も日本年金機構のサイトからダウンロードすることができ、添付書類を調べることもできます。年金事務所などの窓口にもそれぞれの請求書が用意されているので、年金の受給停止の手続きに行った際に入手し、後日、あらためて手続きしてもかまいません。
ただ、亡くなった人に生計を維持されていた配偶者にとって、遺族年金は生活を支えるための重要な収入になるため、できるだけ早く手続きをするといいでしょう。

世帯主の変更届を提出する

亡くなった人が世帯主で、同居の家族がいる場合、世帯主変更届が必要なことがあります。夫婦二人暮らしや、配偶者と15歳未満の子が遺された場合は、配偶者が新しい世帯主になるのは明らかなので、変更届は必要ありません。それ以外で当てはまるときは、この手続きを14日以内に住所地の役所で行います。

世帯主変更届の用紙は役所に置いてあります。同じ世帯の人や、委任状があれば他の人でも、この手続きを代理で行うことができます。

故人の戸籍謄本や住民票の除票を取得する

亡くなった人に関する書類の入手には、特に期限はありません。しかし、相続人の確定や、以降の相続手続きに必要になるため、役所の手続きを行う際に一緒に入手しておくといいでしょう。亡くなった人の戸籍謄本は、最後の本籍地から出生時までさかのぼり、すべて必要になるため、本籍地が何度か変わっていたら、遠くの役所には郵送で取り寄せます。

死亡届を提出すると、自動的に故人の住民登録は抹消されます。それを証明する住民票の除票も入手しておくと、後の手続きに役立ちます。

なお、相続人についてもそれぞれ戸籍謄本や住民票、印鑑証明が必要になりますが、これらは遺産分割が整った後の相続手続きに必要で、通常は6カ月以内、短いところで3カ月以内に入手した書類が求められます。あまり早く入手すると、手続き前に再度、取り直しが必要なこともあるので、様子をみながら入手時期を考えればいいでしょう。

!2024年3月1日から戸籍謄本が最寄りの役所で請求できるようになります

今まで戸籍謄本等の証明書を取得するためには、本籍地の市区町村の役所窓口へ申請をする必要がありましたが、2024年3月1日以降、戸籍情報連携システム導入により、全国各地にある戸籍情報を最寄りの役所窓口で請求できるようになります。
詳細は以下の記事をご覧ください。

 

【なるべく早く】公共料金の名義変更や金融機関の手続き

亡くなった人が世帯主だった場合、水道・光熱費、固定電話などの名義変更や料金振替口座の変更、もしくは解約といった手続きが必要です。取引していた金融機関や保険会社、利用中の通信会社、クレジットカードなどの会社にも届け出や利用停止の手続きを行います。

公共料金の名義変更や解約を行う

公共料金や通信費などは、金融機関の口座やクレジットカードから自動振替になっていることが多いので、なるべく早く亡くなったことを連絡しましょう。故人と同居して住み続ける人がいれば、水道・光熱費などの振替口座は新しい世帯主の口座に変更します。
一人暮らしだった人は利用の停止と解約手続きを行いますが、空き家の片付けが終わる前に水道・電気などが止まると不便なこともあります。片付けに時間がかかりそうなときは、いったん料金の引き落とし口座を相続人に変更しておくのも方法です。

加入していた保険などを調べて連絡する

亡くなった人が加入していた保険はないか、生命保険・損害保険をすべて調べて、亡くなったことを連絡します。死亡保険金は、保険証券を見て受取人に指定された人が保険金請求の手続きを行います。死亡保険金は受取人固有の財産になり、遺産分割が整う前でも請求できるので、早めに連絡しましょう。亡くなる前に病院などに入院していたら、入院給付金が支払われる場合もあるので、そうした特約または保険の有無も確認して請求手続きをします。

火災保険や自動車保険などは、解約するなら早めに連絡を。自宅や車を引き継ぐ人がいて保険を継続する場合は、引き継ぐ人が決まってから契約者変更の手続きを行います。

金融機関の取引口座を調べて利用停止の連絡をする

亡くなった人の相続手続きをするためには、どこにどのような財産があるかを調べ、遺産総額を把握することが必要です。そのためにも、利用していた金融機関はもれなく調べることが欠かせません。それらの金融機関には亡くなったことを連絡することも必要ですが、連絡すると金融機関は亡くなった人の口座を凍結するため、残高などがわからなくなることもあります。

口座凍結後は、相続人が所定の書類を提出して残高証明書を出してもらうこともできますが、費用もかかるため、複数の口座がある場合は手続きも大変です。少額の預金なら、先に通帳などに取引履歴を記入し、残高を確認してから死亡の連絡をするといいでしょう。

証券会社の場合は取引明細書などから口座や資産状況を推察できることもありますが、最終的な死亡時の資産残高は、取引先に連絡して調べてもらうことになります。そのほか、通帳などがないネット銀行やネット支店、ネット証券での取引も、それぞれ相続人が死亡の連絡をして、所定の書類を提出して残高などを確認します。

【目安は3カ月以内】相続方法を決めるための調査

相続の方法には、遺言に従うか、遺産分割協議で決めるかという違いのほか、相続放棄などの選択肢もあります。それを検討するためにも相続人を確定し、遺産の総額をつかむための調査を3カ月以内に行うことが重要です。

遺言書の有無の確認と、必要に応じて検認を行う

遺産分割については、法的に認められる遺言書があれば、それに従うことが基本となるため、亡くなった人が作成した遺言書がないかを調べます。公正証書遺言は、原本が公証役場に保管されているため、自宅になければ最寄りの公証役場で調べてもらうことができます。

自筆の遺言書がある場合、開封前に住所地の家庭裁判所で検認の手続きが必要です。遺言書の保管者か相続人が必要書類を添付して検認の申し立てを行い、後日、指定された期日に出向いて、相続人らの立ち会いのもと、遺言書を開封し、中身を確認します。検認後に「検認済証明書」の交付を受けて、保管しておきます。

検認の手続きには1カ月くらいかかるので、遺言書の有無は早めに確認することが大切です。公正証書遺言や、自筆証書遺言でも法務局の保管制度を利用したもので「遺言書情報証明書」を入手すれば、検認の手続きは不要です。

相続人を確定させる

遺言がない場合は、相続人による話し合い=遺産分割協議で遺産の分け方を決めます。遺言がある場合も、配偶者、子、父母には遺留分があるため、民法で定められた相続人を確定することは必要です。相続人になる人は亡くなった人との関係で優先順位が決められているため、早めに調べます。

相続人の確定と、それを証明するためには、亡くなった人の死亡時からさかのぼり、出生時までの戸籍謄本(改製原戸籍を含む)をすべて調べて確認します。前の配偶者との間の子や、認知された子や養子がいる場合、その子らも全員相続人になります。

故人の財産を調査し、遺産の全容をつかむ

前述のとおり、亡くなった人の利用していた金融機関などの口座を調べ、早めに残高などを確認するように説明しましたが、相続財産は金融資産だけとは限りません。保有していた不動産は土地・建物だけでなく、貸地や貸家、アパート、借地権、農地などもすべて一定の評価額で相続財産になるため、故人の名義の不動産はすべて洗いだし、おおよその評価額を出しておきます。

そのほか、車や金、書画・骨董などの美術品、ゴルフ会員権・リゾート会員権など、金銭的価値のあるものをすべて調べて、遺産の全容をつかみ、概算での遺産総額を求めます。

また住宅ローンやカードローンなどの借入残金、個人的な借金や未払いの税金・医療費などがある場合も、その総額を把握することが必要です。これらはマイナスの財産として遺産総額から差し引けますが、マイナスの財産が全部でどれくらいあるかによって、次に説明する相続方法を検討することも必要になります。

【3カ月以内】相続放棄・限定承認の手続き

相続の方法は、3つの選択肢から選べます。借金なども含めてすべて相続することを「単純承認」といい、一般的にはこの方法が多数を占めます。しかし、すべての財産を放棄する「相続放棄」や、プラスの財産の範囲で借金などの債務を背負う「限定承認」という方法もあります。
詳しくは「相続の基本の「き」| 手続きの流れや準備するものまとめ」の記事もご覧ください。

相続放棄や限定承認を行う場合は相続開始から3カ月以内に、亡くなった人の住所地の家庭裁判所で手続きを行うことが必要です。3カ月以内に何もしなかった場合は、単純承認をしたとみなされ、後で借金があることがわかっても、相続人には返済の義務が生じます。そのため、相続財産の全容は、できるだけ早く調べておくことが重要です。

3カ月以内にすべての財産を調べきれず、相続放棄や限定承認をする可能性もある場合は、3カ月の期限が来る前に家庭裁判所に熟慮期間の伸長を申し立てることもできます。そうすると、さらに3カ月の猶予をもらえるため、悩んだときは必ずこの手続きを行いましょう。

【4か月以内】準確定申告

亡くなった人の所得税の精算を行い、申告・納付する手続きが「準確定申告」です。申告の仕方は通常の確定申告と同じで、亡くなった年の1月1日から死亡日までの故人の収入や所得、当てはまる控除などを記載した確定申告書を、相続人が所轄の税務署に提出します。申告期限は、相続の開始を知った日の翌日から4カ月以内です。

相続人が2人以上いる場合、連署により提出するのが通常で、付表に各相続人の氏名、住所、被相続人との続柄などを記入して一緒に提出します。

亡くなった人に事業所得や不動産所得などがあり、毎年確定申告をしていた場合、この手続きは不可欠です。一方、収入が公的年金のみで年間400万円以下であれば申告は不要ですが、申告することで、公的年金から源泉徴収された所得税が還付されることもあります。

【6~8カ月以内が目安】遺産分割の手続き

遺言書があり、その内容に相続人全員が納得したら、遺言に従ってそれぞれで相続手続きをはじめます。遺言書がない場合は、遺産分割協議で遺産の分け方を話し合い、全員の合意を得て遺産分割協議書を作成してから、各相続人が相続手続きを開始します。

遺産分割協議を行う

遺産をすべて調べたら、それらを一覧でわかるようにまとめた財産リストや財産目録をつくり、それを基に、相続人全員で遺産分割協議を行います。全員が一度に集まれない場合は、電話やオンラインの協議で意見をまとめてもかまいません。意見がまとまらなかったり、揉めたりする場合は、時間をおいて何度か話し合わなければならないため、できるだけ早めに遺産分割協議を始めるといいでしょう。

すべての遺産の分割方法が決まり、全員が合意したら、代表者がその内容をまとめた遺産分割協議書を作成し、相続人全員が署名し、実印で押印します。この書類は金融機関での相続手続きや不動産の名義変更などで必要なため、複数枚用意し、すべてに署名・押印しておくと、後の手続きに便利です。相続人はそれぞれの印鑑証明も同じ枚数の用意をします。

金融機関での手続きや不動産などの名義を変更する

遺言または遺産分割協議で遺産の分け方が決まったら、遺産を引き継ぐ人はそれぞれ取得した財産に応じて、金融機関などで相続手続きを進め、株式や不動産、車、会員権などは名義変更を行うことが必要です。いずれの場合も、遺言書か、遺産分割協議書と印鑑証明のほか、被相続人と相続人に関する戸籍謄本など、複数の書類の提出が必要です。金融機関や財産の種類によって必要書類は異なるため、先に連絡して確認することが大切です。

相続税がかかる場合、各相続人が取得した財産から納めるケースが多いので、納税資金として株式や不動産の売却を考える場合などは、早急に名義変更を行うようにしましょう。

【10カ月以内】相続税の申告・納付

相続税がかかる場合、相続の開始を知った日(通常は死亡日)の翌日から10カ月以内に、亡くなった人の最後の住所地を管轄する税務署に相続税の申告・納付をすることが必要です。そこから逆算すると、税理士に依頼する場合は、相続財産をだいたい把握した段階、できれば相続開始から遅くても4~5カ月後には税理士を探し、相談するとよいでしょう。

仮に遺産分割で揉めて期限までにまとまらない場合でも、相続税は10カ月以内に申告・納付しなければなりません。その場合は法定相続分で相続したものとみなして相続税額を計算するため、相続税の負担を軽くする「配偶者の税額軽減」小規模宅地等の特例が使えなくなるので注意が必要です。

ちなみに相続税は、各相続人が取得した財産に応じた納税額を、申告期限と同じ日までに金融機関にて現金で一括納付することになっています。場合によっては延納・物納を申請することもできますが、これらも条件があり、簡単ではありません。

そうしたケースも含めて、相続税がかかる場合は相続の開始を知ったら早めに相続専門の税理士に依頼し、相談しながら各手続きを進めると安心です。

【1年以内】遺留分侵害額請求

遺言などで遺留分を侵害された場合、一定の相続人は遺留分を請求する権利があります。遺留分とは、民法の遺産分割における規定で、最低限の遺産の取得分を保証する制度です。その割合は原則として法定相続分の2分の1。遺留分が請求できるのは、配偶者、子、父母(または祖父母)で、兄弟姉妹には権利がありません。

民法の改正で、現在は遺留分の請求は侵害額に相当する金銭を請求する権利になり、請求権があるのは、相続の開始または遺留分の侵害があったことを知った日から1年間です。

【3年10カ月以内】各種の税制特例を使える期限

相続税にはさまざまな特例があり、申告後に適用される優遇措置もあります。例えば、相続した不動産を売却する場合、相続税の申告期限から3年以内、相続開始からは3年10カ月以内であれば、譲渡所得税を計算する際に相続税の一定額を取得費に加え、税額を軽減できる特例が使えます。

また、遺産分割がまとまらずに法定相続分で申告・納税した場合、申告期限から3年以内に分割方法が確定すれば、当初の申告で使えなかった配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を利用して申告をし直す「更正の請求」ができます。分割の確定後、4カ月以内に更正の請求をすれば納めすぎた相続税は還付されますが、分割期限は相続開始から3年10カ月以内となります。

相続にかかる時間の目安

相続の開始から、相続人がそれぞれ財産を引き継ぐ手続きがすべて完了するまでには、早くても3~4カ月かかることが多く、遺産分割で揉めたり、トラブルなどが生じたりすると1年以上、ときには数年かかるケースもあります。相続人の数が多く、財産の種類や預け先、金額、不動産が多い人ほど時間と手間がかかり、手続きも複雑になります。相続人はできるだけ協力し、スムーズに進められるようにコミュニケーションをとりながら行うことが大切です。

相続の手続きは専門家に依頼可能!

相続手続きについては、その一部や多くを専門家に依頼して進めることもできます。どんなところに依頼できるかも確認しておきましょう。

各分野の専門家に相談・依頼する

相続に伴う手続きにはさまざまな種類があり、専門家に依頼する際にも、その内容によって担当分野が分かれています。忙しくて自分で動けない、遠方に住んでいるために手続きが困難といった場合には、下のような専門家に依頼することも検討しましょう。

遺言書の検認、相続放棄などの家裁の手続き・・・司法書士、行政書士、弁護士など
戸籍謄本など書類の取り寄せ、不動産の登記・名義変更など・・・司法書士
遺産分割協議書の作成、自動車の名義変更など・・・行政書士
遺産分割でのトラブル・仲介、法律的な相談・・・弁護士
相続財産の評価額の算出、節税アドバイス、相続税の申告など・・・税理士

金融機関の相続相談窓口

ここ数年は、銀行や証券会社などの店舗でも、相続専門の相談窓口を設置するケースが増えています。窓口で相談に応じるのは、ファイナンシャル・プランナーや相続アドバイザーなどが多いですが、実際に手続きを行う際は、その内容に応じて提携する司法書士や税理士などに引き継いで、各専門家が進めることになっています。

相続財産の調査から、遺産分割協議書の作成、相続税の申告、相続財産の換金や名義変更まで、一括で請け負うケースもありますし、生前の相続対策の相談や、遺言書の作成・保管などを行う金融機関も増えています。費用もまちまちなので、事前に確認することが大切です。

【相続専門の税理士】相談するならこちらが安心

税理士の仕事は税金に関する相談や申告が中心ですが、税理士ならだれもが相続に詳しいわけではありません。税理士は、普段は企業や団体などの法人の税務を担当している人が大半のため、個人の相続税やそれに伴う手続きに詳しい人は限られています。

相続専門で申告実績の豊富な税理士事務所や税理士法人であれば、税金のことだけでなく、相続開始から行うべき手続きなども熟知しているため、いつまでに何を、どのように進めたらいいかの助言やサポートも受けられます。
不動産などの相続財産の評価の仕方にも精通し、当てはまる特例や軽減措置をもれなく適用して、相続税額を抑えられることもあります。相続税が高額になりそうな場合は特に、最初から相続専門の税理士に相談・依頼すると安心です。

まとめ:相続の手続きはやることをリスト化!税理士への相談も早めに

相続開始後の手続きは、手間や時間がかかるものがたくさんあります。期限のあるものに注意して、いつごろまでに何をすればよいかを整理し、余裕のあるスケジュールで進めることが重要です。各手続きに必要な書類も事前に把握して用意し、相続人が手分けして行うか、専門家に依頼するかを検討しましょう。

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この記事を監修した⼈

陽⽥ 賢⼀

陽⽥ 賢⼀税理士法人レガシィ 代表社員税理士 パートナー

企業税務に対する⾃⼰研鑽のため税理⼠資格の勉強を始めたところ、いつの間にか税理⼠として働きたい気持ちを抑えられなくなり38歳でこの業界に⾶び込みました。そして今、相続を究めることを⽬標に残りの⼈⽣を全うしようと考えております。先⼈の⽣き⽅や思いを承継するお⼿伝いを誠⼼誠意努めさせていただくために・・

武田 利之(税理士)

武田 利之税理士法人レガシィ 社員税理士

相続はご他界された方の人生の総決算であると同時にご遺族様の今後の人生の大きな転機となります。ご遺族様の幸せを心から考えてお手伝いをすることを心掛けております。

<総監修 天野 隆、天野 大輔税理士法人レガシィ 代表

<総監修 天野 隆、天野 大輔>税理士法人レガシィ 代表

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