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相続の知識

【保存版】相続に必要な戸籍謄本の取り方は?戸籍謄本が必要な手続きや有効期限・必要数を解説

※戸籍法の一部改正により、2024年3月1日以降、戸籍謄本等の広域交付(最寄りの市区町村窓口での請求)が可能になります。ただし条件などがありますので、詳しくは「【2024年3月1日~】戸籍証明書等の広域交付制度が開始」の欄をご覧ください。(2024/2/22更新)

戸籍謄本は、相続税の申告、不動産の相続登記、預貯金や証券口座の名義変更などの手続きを行う際に必要です。ただ「どの手続きで必要なの?」「以前に取得したものでも有効?」「返してもらって再活用できる?」など、いざ手続きを進めるにあたって疑問が出てくるかもしれません。何回も役所に足を運ばなければならない、なんてことは避けたいですよね。
この項目では、戸籍謄本が必要となる手続きやその有効期限、必要部数について説明します。

相続に必要な戸籍謄本とは、相続人の範囲を決めるもの

戸籍謄本は、誰が法定相続人であるかを確認するための客観的な証拠となります。そのため相続の手続きでは、必ずといっていいほど必要となってきます。

戸籍謄本と戸籍全部事項証明書の違いは?

戸籍は、夫婦と未婚の子によって構成されます。「戸籍謄本」とは、戸籍に記載されている全員の身分事項を証明するものです。夫婦と未婚の子が3人であれば、その5人全員の身分事項を証明するものが戸籍謄本になります。

「戸籍謄本」と「戸籍全部事項証明書」は、名称は異なるものの、戸籍としては同じものです。
「戸籍謄本」は戸籍の紙原本をコピーした証明書、「全部事項証明書」はコンピュータ管理している戸籍データを出力した証明書となります。近年、ほとんどの自治体で戸籍のコンピュータ化が進み、戸籍謄本の内容を出力して戸籍全部事項証明書として交付しています。
相続手続きで戸籍謄本の提出を求められた際に、戸籍全部事項証明書を提出することは間違いではありません。

戸籍謄本と戸籍抄本の違いは?

戸籍謄本(とうほん)と戸籍抄本(しょうほん)は一般的に同じ意味で使われており、戸籍謄本と戸籍抄本で証明される身分事項について違いはありません。
異なる点は、戸籍謄本が戸籍に記載されている全員の身分事項を証明するものであるのに対し、戸籍抄本は戸籍に記載されている人のうち1人または複数人の身分事項を抜き書き(抄写)して証明するものであることです。

戸籍に記載されている人が、夫婦と未婚の子がいる場合、夫1人のみの身分事項を証明しても夫婦2人の身分事項を証明してもどちらも戸籍抄本になります。

戸籍謄本と除籍謄本の違いは?

戸籍謄本は、戸籍に記載されている全員の身分事項を証明するものです。これに対し除籍謄本は、閉鎖された戸籍のことを指します。
戸籍に記載されている人が死亡すると、その人は戸籍から除かれます。また、戸籍に記載されている人が結婚や離婚した場合、その人は戸籍から抜けて新しい戸籍に移ります。
戸籍に記載されている人が結婚したり死亡したりすることで、一人ずつ戸籍から抜けて行き(除籍)、最終的に戸籍に誰もいない状態になってしまうと、その戸籍は閉鎖されます。このようにして閉鎖された戸籍の写しを「除籍謄本」といいます。

また、本籍の場所は届け出をすることで移すことができます。これを「転籍」といいます。転籍があった時は、従来の戸籍は閉鎖されます。このようにして閉鎖された戸籍の写しも、除籍謄本です。

相続に必要な戸籍謄本の有効期限は?

不動産を所有している人が死亡した場合、相続登記を法務局へ申請しなければいけません。また、亡くなった方(被相続人)が一定の財産を有しており、相続税申告が必要な場合には、相続税申告を税務署に行うことになります。

法務局と税務署へ提出する必要書類に有効期限はありません。何十年も前の戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍、印鑑証明書、遺産分割協議書でも有効です。
ただし、法務局へ提出する相続登記に必要となる相続人の戸籍謄本は、被相続人の死亡後に取得したものでなければなりません。相続人が現在も生存していることを証明するためです。また、税務署へ提出する相続税申告の添付書類としての戸籍謄本は、相続開始の日から10日を経過した日以降に作成されたものが必要となります。

預貯金や証券口座の名義変更を金融機関へ届ける際にも、戸籍謄本は必要です。金融機関の場合、有効期限を「3カ月」と「6カ月」の2パターンに設定しているところが多いようです。
また、印鑑証明書だけに有効期限を設定していて、戸籍謄本には有効期限を設定していない金融機関もあれば、戸籍謄本も取得から6ヶ月以内のものなど、各金融機関によって有効期限の考え方はさまざま。そのため、申請前に自身で金融機関に直接問い合わせるのがよいでしょう。

戸籍謄本が必要な相続の手続きを紹介

続いて相続に関するどの手続きで、誰の戸籍謄本が、どれだけ必要になるのかを解説します。また、戸籍謄本はどこで、どのようにして取得できるのか、取得に必要なものについても説明します。

相続人調査

相続が発生すれば、すぐに必要になるのが相続人調査のための戸籍謄本です。
相続人調査とは、被相続人にどのような相続人がいるか、戸籍謄本を用いて調査することです。相続人調査に必要な戸籍謄本は、法定相続人の種類などによって異なります。

相続人調査の手順

被相続人の出生から死亡までの戸籍をすべて確認します。まず被相続人の現在の本籍地の役所で取得します。被相続人の本籍地がわからない場合、被相続人の最後の住所地の役所にいき、住民票の除票に本籍地を記載してもらうように請求すれば確認できます。なお、戸籍の取得は郵送でも可能です。

次に、その取得した戸籍の内容を確認して、たとえば結婚や転籍などをして本籍が変わっている場合には、そのひとつ前の戸籍を当該本籍地の役所から取得し、順番に取得していきます。それを繰り返して、出生時の戸籍まで遡っていきます。

遺産分割手続き

遺産分割に関する手続きでは、多くのケースで戸籍謄本が必要となります。 たとえば次のような場合が挙げられます。

遺言書の検認

遺言書の発見者や保管者が家庭裁判所に遺言書を提出し、相続人などの立会いのもとで、遺言書を開封し、遺言書の内容を確認することを「遺言書の検認」といいます。
遺言書の検認で必要な戸籍謄本は、相続人調査の際とほぼ同じです。相続人全員の戸籍謄本は3カ月以内のものが必要なので注意してください。

相続放棄、限定承認の申立

相続人が遺産の相続を放棄することを「相続放棄」、相続によって得たプラスの財産の限度で債務の負担を引継ぐことを「限定承認」といいます。
家庭裁判所へ相続放棄や限定承認の申立てをする場合に必要な戸籍謄本は、相続人調査の際とほぼ同じです。相続放棄の場合、相続人全員の戸籍謄本の代わりに、申述人(相続放棄をしたい人)の戸籍謄本(3カ月以内のもの)が必要になります。

特別代理人選任の申立

遺産相続が発生した際の相続人が未成年の場合に、家庭裁判所によって特別に選任される代理人のことを「特別代理人」といいます。特別代理人選任の申立に必要な戸籍謄本は、親権者とその子(未成年者)の戸籍謄本です。

遺産分割調停の申立

被相続人の遺産の分割について、相続人の間で話合いがつかない場合には、家庭裁判所の遺産分割の調停の手続を利用することができます。
遺産分割調停の申立に必要な戸籍謄本も、相続人調査の際とほぼ同じです。加えて、相続人全員の住民票(3カ月以内のもの)も必要です。

遺言執行者選任の申立

遺言を実行する人を「遺言執行者」といい、財産目録の作成、遺産の管理、相続登記(名義変更)などを行います。
遺言執行者選任の申立には、申立人の戸籍謄本(申立人が被相続人の親族の場合)・被相続人の戸籍謄本(死亡が確認できるもの)が必要です。

不動産の相続登記に関する手続き

売買や贈与、相続によって土地や建物の所有権を移転する際に行う登記を「所有権移転登記」といいます。不動産登記の手続きは、不動産がある地域を管轄する法務局で行います。
所有権移転登記に必要な書類は、法務局や管轄の役所など複数の機関から入手します。
不動産登記にも、相続人調査の際とほぼ同様の戸籍謄本を使います。原本が必要ですが、相続関係説明図や戸籍謄本のコピーを添付することで原本還付を受けられます。

預貯金や有価証券の名義変更

銀行口座の相続手続きにも、戸籍謄本が必要です。基本的には相続人調査の際と同じ内容です。原本が必要ですが、確認後に返却してくれる銀行がほとんどです。即日返却か、後日返却かなど、あらかじめ確認しておくとよいでしょう。

相続税申告

相続税申告にも戸籍謄本は必要です。相続人調査の際とほぼ同じ内容の戸籍謄本を添付しますが、コピーの添付は認められています。

自動車の移転登録

被相続人が所有していた自動車を相続人がゆずり受け、名義変更(移転登録)する場合、戸籍謄本が必要となります。管轄の運輸局へ出向いて手続きを行います。

相続における戸籍謄本の必要部数は?

相続における戸籍謄本は、先に紹介した手続きの数だけ必要となります。
ただし戸籍謄本は、原本の提出が必須な場合もあれば、原本を提示すればコピーの提出でよい場合、また返却してくれて再利用できる場合もあります。手続き先の税務署や金融機関などによって異なりますので、窓口で確認するようにしましょう。

戸籍謄本の取得の仕方と必要な書類は?

戸籍謄本の取得の仕方

戸籍謄本は次の方法で取得できます。

  1. 本籍地のある市区町村役所の戸籍係の窓口で取得
  2. 郵送で請求。ただし、誰でもできるというわけではなく、戸籍に記載されている人、またはその配偶者、直系親族、代理人(委任状が必要)に限られています。

戸籍の取得時に必要なもの

  1. 申請書(戸籍が必要な人の本籍地、名前、生年月日。請求する人の名前、住所、生年月日、続柄。必要な戸籍の通数、戸籍の使い道などを記載)
  2. 請求者の顔写真のついた身分証明書の写し(運転免許証、パスポート、マイナンバーカード)
  3. 印鑑
  4. 委任状(必要な場合)
  5. 所定の料金
  6. 返信用封筒(必要な場合)

自分の本籍地の市町村の各役所に戸籍謄本を請求する

戸籍謄本は相続人の本籍地の市役所、区役所、町村役場に直接出向き、窓口で請求できます。遠隔地に住んでいる人や、役所まで出向くことができない人は、郵送で請求することもできます。

直接出向く場合に必要なもの

直接窓口で申請する際に必要なのは以下のものです。

  • 戸籍交付申請書(各市区町村が定める様式に必要事項を記載)
  • 印鑑(朱肉を使う印鑑であれば認印でも可)
  • 本人確認書類(運転免許証、パスポート、マイナンバーカードなど)

郵送で請求する場合に必要なもの

  • 戸籍交付申請書(各市区町村が定める様式に必要事項を記載のうえ、印鑑を押印)
  • 本人確認書類のコピー(運転免許証、パスポート、マイナンバーカードなどのコピー)
  • 手数料に相当する定額小為替
  • 返信用封筒と切手

【2024年3月1日~】戸籍証明書等の広域交付制度が開始

今まで戸籍謄本等の証明書を取得するためには、本籍地の市区町村の役所窓口へ申請をする必要がありましたが、2024年3月1日以降、戸籍情報連携システム導入により、全国各地にある戸籍情報を最寄りの役所窓口で請求できるようになります。

【申請できる人】
・本人
・配偶者
・直系尊属(父母、祖父母など)
・直系卑属(子、孫など)
※兄弟姉妹はできません

【申請できる場所】
役所窓口のみ
※郵送、代理人申請はできません

【必要書類】
申請者の顔写真付き身分証明書
・運転免許証
・マイナンバーカード
・パスポート
など

出典:法務省『戸籍法の一部を改正する法律について(令和6年3月1日施行)

戸籍謄本の取得に必要な費用は?

戸籍謄本より、除籍謄本・改製原戸籍謄本の方が手数料が高い場合が多いです。
詳細は各市区町村役場(所)にお問合せください。

千代田区役所の例

  • 戸籍謄本:1通450円
  • 除籍謄本/改製原戸籍謄本:1通750円

おわりに:戸籍謄本について分からないことがあれば専門家に相談しよう

戸籍謄本は相続の手続きに欠かせません。名義変更や相続税の申告など、多くの場面で戸籍謄本が求められます。入手は基本的に市区町村役場に行って手続きをするだけですが、被相続人が遠方に住んでいたような場合など、遠方の役場とやり取りするような場面も発生します。
また何部くらい戸籍謄本が必要になるのか、どのタイミングの戸籍謄本が必要なのかなど、各手続きによって微妙な違いもあります。相続手続きについて、不明な点があれば専門家に相談すると良いでしょう。委任すれば行政書士や税理士など、専門家での代理取得もできるため、時間がない方は丸ごとお任せしても良いかもしれません。

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この記事を監修した⼈

陽⽥ 賢⼀

陽⽥ 賢⼀税理士法人レガシィ 代表社員税理士 パートナー

企業税務に対する⾃⼰研鑽のため税理⼠資格の勉強を始めたところ、いつの間にか税理⼠として働きたい気持ちを抑えられなくなり38歳でこの業界に⾶び込みました。そして今、相続を究めることを⽬標に残りの⼈⽣を全うしようと考えております。先⼈の⽣き⽅や思いを承継するお⼿伝いを誠⼼誠意努めさせていただくために・・

武田 利之(税理士)

武田 利之税理士法人レガシィ 社員税理士

相続はご他界された方の人生の総決算であると同時にご遺族様の今後の人生の大きな転機となります。ご遺族様の幸せを心から考えてお手伝いをすることを心掛けております。

<総監修 天野 隆、天野 大輔税理士法人レガシィ 代表

<総監修 天野 隆、天野 大輔>税理士法人レガシィ 代表

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