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相続の知識

実家を相続するときの活用方法とは?税金や手続きも解説

実家を相続することになった場合、必要な手続きや支払うべき税金などを知り、対処する必要があります。家は大きな相続財産であるため、ポイントを押さえて有効活用したいところです。こちらの記事では、相続する際の実家の活用方法をはじめ、相続に関する手続きや税金についてご紹介します。

実家を相続する場合の活用方法

親の死後、実家を相続する場面に出くわすこともあるでしょう。今住んでいる家が別にある場合は、いざ実家を受け継いだとしても、活用方法に迷うこともあるのではないでしょうか。
ここでは実家を相続した場合の活用について、主な方法6つを紹介していきます。

1. 実家を相続し、そこに住む

親族の中で実家に住むことを希望している相続人がいる場合は、手続きを行い実家に住むことができます。その場合は、固定資産税等を毎年支払う必要があり、実家が古くなっている場合は修繕費もかかるといった注意点があります。
また相続人が1人なら問題ありませんが、兄弟姉妹で相続する場合には、遺産分割を行わなければなりません。例えば3人で遺産を分割する場合、法定相続分は3分の1ずつです。相続人のうち1人が実家を相続するとなれば、他の2人からその分ほかの財産や現金(代償金)を要求されるケースもあります。

2. 実家を相続して、他人に貸す

相続した実家に相続人が住むのではなく、そのまま所有しつつ賃貸物件として貸し出す方法もあります。その場合は、借り手が見つかりやすい立地かどうか、リフォームの必要があるのか、などを検討したうえで決断しましょう。
立地条件が良く、リフォーム次第で賃貸物件として有効活用できる場合、リフォームに際して費用はかかりますが、家賃収入を得られます。こちらも、相続人が1人の場合は比較的決断しやすいですが、複数の場合は、権利の問題などが複雑になるケースが多いので、事前に弁護士や税理士に相談するのがおすすめです。

3. 実家を売却する

相続後の実家に誰も住まない、また、賃貸物件として活用する予定もない場合は、売却し現金化する選択肢もあります。売却のタイミングや価格は相続人の希望通りにいくとは限らず、また慣れ親しんだ実家を手放すのは心苦しいものですが、相続人が複数人の場合は、分配が公平に行いやすいというメリットもあります。また、相続後に実家を売却すると、譲渡所得から控除(最高3,000万円)を受けられる特例もあります。

マイホーム売却時に使える3,000万円控除の特例については、以下の記事もご覧ください。

4. 更地にして活用する

建物を取り壊してしまい、更地にして活用する方法もあります。更地の状態であれば、駐車場や店舗、アパートの経営など、活用方法は多岐にわたるので、借り手が見つかりやすいのがメリットです。立地的に貸し出すのが難しい場合は、相続人自身が自宅を新築する方法もあります。いずれにしても、解体費用がかかる点と、更地の状態で放置しておくと固定資産税が高くなる点には注意が必要です。

5. 相続放棄する

そもそも相続をしないという選択肢もあります。例えば、土地や建物の資産価値がほぼ無く、貸し出しても有効な活用法が無いケースなどは、相続放棄を選択する方も見受けられます。また、実家に借金があった場合は、その借金ごと相続しなければいけません。相続する遺産よりも借金の方が多い場合は、相続した方が結果的に損をすることになります。相続放棄は、期限が相続開始から3か月以内となっていますので注意が必要です。また、土地と建物はもちろん、預貯金などすべての財産の相続権利を放棄することを意味するので、借金額や今後の活用方法を弁護士等の専門家に相談しながら決める方が多いです。

6. 国に帰属する(相続土地国庫帰属制度)

手放したいのは実家だけで、そのほかの財産は相続したいという場合もあるかと思います。そのようなときは相続放棄ではなく、実家の土地だけを国に帰属する制度を活用することも可能です。2023年4月に施行された「相続土地国庫帰属制度」という制度を利用し、希望者が承認申請を行なって審査を通過すれば、土地の所有権と管理責任を国に引き取ってもらえるようになります。

ただし、申請できる土地は、持ち主が相続により取得したものに限られ、また管理費用に当たる所定の負担金を支払う必要があります。また帰属できる土地の条件もありますので、すべての土地が帰属できるわけではないので注意が必要です。

詳細は以下の記事をご覧ください。

実家を相続したときにかかる税金

実家を相続する際には税金を納める義務がありますが、税金はどの条件でも一定というわけではありません。相続には「相続税」「登録免許税」の2種類が必要となり、それぞれに規定があります。

相続税

実家をはじめ、一定以上の金額の財産を相続した場合にかかる税金が「相続税」です。株や現金などの財産は時価で評価されますが、不動産は「相続税評価額」という値にして財産額を計算します。また不動産は土地と建物それぞれに分けて評価する必要があり、建物の評価額は「固定資産税評価額」と同額とされていますが、土地の評価方法は「路線価方式」もしくは「倍率方式」によって計算します。
不動産評価は専門的な知識を要します。土地や建物の評価について、不安を感じる場合は税理士、特に相続専門の税理士事務所に相談をするのがおすすめです。

相続税評価額については、以下の記事をご覧ください。

登録免許税

実家を相続する際は不動産の名義変更(相続登記)が必要となりますが、その手続きにかかるのが登録免許税です。名義変更に課される税金は以下のような方法で算出します。(※令和5年11月現在)

【固定資産税評価額 × 0.4%】

例えば固定資産税評価額が3,000万円の場合、登録免許税として12万円かかります。ちなみに、相続による名義変更ではなく贈与や売買によって取得した場合は税率2%で、相続登記に比べて5倍も高くなるうえ、別途、不動産取得税もかかります。

登録免許税について詳細は以下の記事もご覧ください。

実家を相続したときに使える特例や特別控除

実家を相続する際の相続税に関しては、以下に挙げる特例や控除を受けられる場合があります。節税対策のためにも要チェックです。

小規模宅地等の特例

小規模宅地等の特例とは、亡くなった人の自宅や事業などの土地の評価額が減額される制度です。被相続人の住居として使用していた場合、一定の要件のもと、土地評価額から80%が減額されます。

例えば、土地評価額が5,000万円の場合は【 5,000万円-(5,000万円×80%)】となり、課税対象は1,000万円となります。こちらの特例にはさまざまな条件がありますが、評価額を大きく減らせることで税軽減に役立つので、事前に把握しておきましょう。

小規模宅地等の特例については、以下の記事もご覧ください。

相続空き家の3,000万円特別控除

空き家となった実家を相続して売却する場合、一定の条件を満たせば売却利益から最大3,000万円の控除を受けられます。売却価格が3,000万円以下だった場合、所得税はかかりません。この特例には、建築年月日や亡くなった人以外に同居人がいなかったこと、売却価格の限度額などさまざまな条件を満たしている必要があります。

空き家の3,000万円特別控除については、以下の記事もご覧ください。

実家を相続するときに必要な手続き

実家を相続する際には、それぞれのケースに対してしかるべき手続きが必要となります。手続きには期限が設けられていたり、手続き費用が発生したりする場合もあるので、きちんと把握しておきましょう。

不動産調査

まずは相続の対象となる実家の不動産情報を調査する必要があります。具体的には、不動産の正確な地番や家屋番号です。これらは「固定資産税納税通知書」や「登記済権利証または登記識別情報通知」、「登記簿謄本」に記載されています。いずれも取得できない場合は、実家を管轄している市税事務所や市区町村の役場にて取得できるので、直接問い合わせてみてください。

相続人調査

実家を含む遺産の相続は、亡くなった人と相続関係が成立している人(法定相続人)すべてに権利があります。そのため、相続を進めるためには相続人に当たる人全員を正確に把握しておかなければなりません。遺産分割を行っても、そこに参加していない相続人の存在が発覚した時点で無効となってしまうので注意が必要です。調査の方法は、亡くなった人の出生から死亡時までの戸籍謄本で行います。特に期限はありませんが、調査が遅れることで相続自体の手続きも遅れてしまうので、相続開始から2カ月ほどを目安に行ってください。

遺産分割協議

亡くなった人が遺言書を作成していなかった場合に、遺産を誰がどれだけ相続するのかを話し合うのが遺産分割協議です。これは相続人全員で実施する必要がありますが、必ずしも集まる必要はなく、電話やメール等のやりとりでも特に問題はありません。協議がまとまったら「遺産分割協議書」を作成しますが、こちらには相続人全員の実印が必要です。
期限は設けられていませんが、遺産分割協議が終わらないうちは相続税の申告が面倒になる場合もあるので、できる限り申告期限よりも前に済ませておくのがおすすめです。

相続登記

実家を相続することが決まったら、名義変更をしなければいけません。亡くなった人から相続人に名義を変更する手続きが「相続登記」です。手続きが難しいときは、司法書士などの専門家に相談してみましょう。
なお、相続登記はこれまで相続人の判断に任されていましたが、土地の権利関係などが複雑化するリスクを避けるため、2024年4月から義務化されることが決定しています。「相続の開始および所有権を取得したと知った日から3年以内」に登記しないと、10万円以下の過料が発生する可能性があるので、なるべく早めに済ませておくのがおすすめです。

相続税の申告

実家を相続する際に、相続する財産の評価額が相続税の基礎控除を上回っている場合は相続税の申告手続きをする必要があります。相続税の基礎控除額の算出は【3,000万+(600万 × 法定相続人の数)】の式で行えます。法定相続人が一人の場合、3,600万円以上の相続財産があれば、基本的に相続税の申告が必要になります。

こちらは、相続開始から10カ月以内に申告しなければなりません。遅れた場合は延滞税などの附帯税がかかる場合があるので、注意が必要です。なお相続税は現金一括納付が基本ですので、もし遺産に不動産しかない場合、納税資金不足に陥る場合もあります。その場合は延納や物納という方法もありますので、専門家に相談してみてください。

おわりに:実家の相続で迷ったら専門家に相談を

実家を相続する際は、普段慣れない手続きや相続人間の話し合いなどで、判断に困るときもあるでしょう。そのようなときはプロに相談して間に入ってもらうことで、スムーズに分割協議を進められることでしょう。
相続専門の税理士法人レガシィは、50年の運営実績、相続税申告は累計1.5万件以上という実績もあり、経験豊富な専門家が相続に関する対応を行います。また、ご予算に応じてさまざまなプランをご用意しておりますので、ぜひご相談ください。

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この記事を監修した⼈

陽⽥ 賢⼀

陽⽥ 賢⼀税理士法人レガシィ 代表社員税理士 パートナー

企業税務に対する⾃⼰研鑽のため税理⼠資格の勉強を始めたところ、いつの間にか税理⼠として働きたい気持ちを抑えられなくなり38歳でこの業界に⾶び込みました。そして今、相続を究めることを⽬標に残りの⼈⽣を全うしようと考えております。先⼈の⽣き⽅や思いを承継するお⼿伝いを誠⼼誠意努めさせていただくために・・

武田 利之(税理士)

武田 利之税理士法人レガシィ 社員税理士

相続はご他界された方の人生の総決算であると同時にご遺族様の今後の人生の大きな転機となります。ご遺族様の幸せを心から考えてお手伝いをすることを心掛けております。

<総監修 天野 隆、天野 大輔税理士法人レガシィ 代表

<総監修 天野 隆、天野 大輔>税理士法人レガシィ 代表

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