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相続の知識

婚外子(こんがいし)とは?婚外子を含む場合の相続割合や対策を解説

父親の遺産相続が発生した場合、婚外子の相続割合は認知の有無によって変わります。
この記事では、婚外子の概要や婚内子との違いなどを「相続」の視点から解説しています。また、認知の有無による相続割合の違いやトラブル回避のポイントも紹介しているので、婚外子を含めた相続にお困りの方はぜひ参考にしてみてください。

婚外子(こんがいし)とは

婚外子とは、法律上の婚姻関係にない男女の間に生まれた子どものことで、法律上は「非嫡出子」と表現されます。たとえ生計を共にしている事実婚であっても、両親が法律上の夫婦でない場合、生まれた子どもは婚外子と呼ばれます。
一方、婚姻関係にある男女から生まれた子どもを「婚内子」または「嫡出子」と言います。つまり現行法上、子どもが生まれた場合は「婚外子」と「婚内子」のどちらかに分類されるということです。

婚外子と婚内子の違い

婚外子と婚内子の違いは、両親の婚姻関係の有無です。
婚外子は、基本的に父親との関係を戸籍の上で証明できません。そのため、何も手続きを行わなければ、父親との関係性は「他人」ということになります。ただし、婚姻から200日経過後、または婚姻解消後から300日以内に生まれた子どもは「嫡出子」として推定されます。
なお、母親は出生届の提出により出産の事実が認められるので、特別な手続きなしに親子関係を明らかにできます。

婚外子の戸籍

たとえ婚外子であっても、母親との関係は出生後すぐに証明できます。そのため、婚外子は生まれたらまず母親の戸籍に入ります。もし母親自身が親(婚外子から見て祖父または祖母)の戸籍に入っている場合、分籍して新たに母親を筆頭者とした戸籍に母子で入ることになります。なぜなら、戸籍法第6条で同一の戸籍に入れるのは、夫婦とその子どもの2世代と決まっているからです。

その際、新しい戸籍で父親との親子関係を証明できないので、子どもの戸籍の「父」の欄はひとまず空欄になります。父親との関係を立証するためには、「認知」と呼ばれる手続きを取る必要があります。

婚外子の認知

「認知」は、婚外子と父親の親子関係を明らかにするための手続きです。手続きが受理されると、父親には扶養・養育義務が発生します。また、父親が亡くなった場合には、婚外子であっても相続権が認められるようになります。

認知は、「任意認知」と「強制認知」の2つに分けられます。
任意認知とは、父親本人の意志で認知を行うことです。任意認知には、通常多くの方がする「認知届による認知」のほかに、「胎児認知」「死亡した子の認知」「遺言認知」などがあります。
もし父親が認知を拒否した場合は、「強制認知」という方法を取るケースもあります。強制認知には、父親の死後、認知請求を行う「死後認知」と、調停や裁判を行い強制的に認知させる「裁判認知」が含まれます。

特に調停の申し立ては専門的な知識を必要とする場面も多い上、裁判にもつれ込み長期化すると高額な費用がかかる恐れもあります。スムーズに認知を受けるためにも、手続きを希望する場合は弁護士等の専門家への相談をオススメします。

婚外子の相続割合

婚外子の相続割合婚外子の相続割合は、認知の有無によって異なります。ここからは、認知されているケースと認知されていないケースに分けて、認められる相続割合を詳しく解説します。

認知されている婚外子の相続割合

父親の死亡などで相続が発生した場合、認知されている婚外子であれば、婚内子と同じく財産の1/2を相続できます。

例えば父親が1,000万円の遺産を残して亡くなった場合。配偶者と婚内子と婚外子が1人ずついたとすると、それぞれの法定相続分は以下のようになります。

  • 配偶者:500万円(相続財産の1/2)
  • 婚内子:250万円(相続財産の1/2を子ども2人で分ける)
  • 婚外子:250万円(相続財産の1/2を子ども2人で分ける)

もともと婚外子の相続分は婚内子の1/2というのが通例でしたが、平成25年にこうした扱いが不平等であるとの判決が出たため、現在では平等に扱われるようになりました。

認知されていない婚外子の相続割合

認知されないままに相続が発生した場合、婚外子の相続権は認められません。なぜなら、戸籍の上で父親との親子関係を証明できないからです。

この場合、前述と同じく父親が1,000万円の遺産を残した際の配偶者・婚内子・婚外子の相続額は、以下のように変化します。

  • 配偶者:500万円(相続財産の1/2)
  • 婚内子:500万円(相続財産の1/2)
  • 婚外子:0円

中には死後認知の手続きをとる場合もありますが、新たな相続人が出現により、相続割合や相続順位の変更や遺産分割協議をやり直しが発生するなど、さまざまな不都合が起きる可能性があります。場合によっては大きなトラブルに発展することもあるので注意しましょう。

婚外子による相続でのトラブルを避ける方法

婚外子の相続によるトラブルを防ぐには、父親が生前に何らかの対策をとっておくことが重要です。ここでは、具体的な対策を2つ紹介します。

生前に遺言書を作成しておく

父親が生前に「遺言認知」の手続きを行うことは、トラブル回避のための有効な手段のひとつです。遺言認知とは、父親が遺言書内で行う認知のことです。何らかの理由があり生前に認知できない場合は、遺言認知を行い法的な親子関係を証明することで、財産を相続させられます。

ただし、遺言書の作成にあたって、複雑な記載内容や独特の表現方法などが必要になります。もし間違いがあった場合、遺言書が効力を失うこともあるため、正しく遺言書を作成するためにも、まずは専門家へ相談しておくと安心です。

なお、婚外子に相続させたくないのであれば、遺言書内に「相続させない」という意志を明記できます。ただしこの場合でも、認知された婚外子には「遺留分」を受け取る権利があります。遺留分とは、被相続人の兄弟姉妹を除くすべての相続人に最低限保障された遺産の相続分のことです。そのため相続させたくない旨を遺書に残したとしても、婚外子が遺産を全く受け取らないわけではありません。

遺留分について詳しくは下記の記事もご覧ください。

認知したうえで家族に婚外子がいると伝える

父親が生前、婚外子を認知した上でその存在を家族に伝えておくことも、相続時のトラブル発生対策になります。相続が発生すると、遺族はまず全ての法定相続人を探し出す作業に取りかかります。父が子を認知した事実は父の戸籍に記載されるため、認知している婚外子の存在を家族に隠していたとしても、父親の戸籍謄本や除籍謄本を確認した時点ですぐに明るみに出てしまいます。家族の死後に隠されていた事実を知ることは、遺族にとって非常に辛いことです。

また、発覚したタイミングによっては、相続に関する手続きを増やしてしまう可能性もあります。遺族にさらなる負担を掛けないためにも、婚外子の存在はできる限り打ち明けておくべきです。もし婚外子にも相続させたい場合は、あらかじめ認知した婚外子がいる事実を家族に伝え、トラブル発生防止に努めましょう。

おわりに:婚外子への相続は事前準備がおすすめ

婚外子と父親の親子関係は、父親が認知の手続きをとることで証明されます。これにより、婚外子は多くの場面で婚内子と同等に扱われるようになります。しかし特に相続の場面においては、婚外子の存在は他の法定相続人の相続割合や相続順位にも影響を与えるため、トラブルに発展するケースも少なくありません。スムーズな手続きのためにも、婚外子が法定相続人の中に含まれている場合は、生前のうちに専門家への相談をおすすめします。

「税理士事務所レガシィ」は相続専門の税理士事務所です。創業50年以上の歴史を誇り、多種多様な相続問題の取り扱い実績があります。経験豊富な税理士が多数在籍していますので、婚外子を含む複雑な相続における遺産分割や相続税でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。

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この記事を監修した⼈

陽⽥ 賢⼀

陽⽥ 賢⼀税理士法人レガシィ 代表社員税理士 パートナー

企業税務に対する⾃⼰研鑽のため税理⼠資格の勉強を始めたところ、いつの間にか税理⼠として働きたい気持ちを抑えられなくなり38歳でこの業界に⾶び込みました。そして今、相続を究めることを⽬標に残りの⼈⽣を全うしようと考えております。先⼈の⽣き⽅や思いを承継するお⼿伝いを誠⼼誠意努めさせていただくために・・

武田 利之(税理士)

武田 利之税理士法人レガシィ 社員税理士

相続はご他界された方の人生の総決算であると同時にご遺族様の今後の人生の大きな転機となります。ご遺族様の幸せを心から考えてお手伝いをすることを心掛けております。

<総監修 天野 隆、天野 大輔税理士法人レガシィ 代表

<総監修 天野 隆、天野 大輔>税理士法人レガシィ 代表

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