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相続の知識

ゴルフ会員権の相続を解説!相続税評価額の計算や取り扱い方法

ゴルフ会員権とは、会員制ゴルフクラブの利用権を指します。この記事では、会員権を相続する場合、相続税の対象となるのか否かについて解説しています。会員権の種類によって税の対象となるか否かが異なるうえに、相続税評価額の計算方法も変わります。

ゴルフ会員権は相続税の対象になるのか?

ゴルフ会員権は、譲渡できるか否かによって相続税の対象となるかどうかが異なります。会員の死亡を資格喪失事由として定めていないケースで、被相続人の会員権を譲渡できる、あるいは預託金の返還を受けられる場合は資産性があると判断され、相続税の対象財産となるので注意が必要です。
反対に譲渡ができず、ゴルフ場でプレーのみできるだけの会員権は資産性がないと判断でき、相続財産として評価がなされません。

ゴルフ会員権は大きく3つに分類される

ゴルフ会員権の種類は、株主会員制・社団法人制・預託金制の3つに分かれます。被相続人がどの種類の会員権を保有しているかによって、相続時に気を付けるべきポイントが異なります。

株主会員制のゴルフクラブ

株主会員制のゴルフ会員権は、会員が企業の株主となり出資しています。株主のため株主総会にて議決権を行使でき、ゴルフクラブを利用できるだけでなく経営にも携われます。株主権の他にも、一般ビジターにはない優先プレー権が保証されているのが特徴的です。ゴルフクラブの解散時には持ち株比率にて財産が分配されるなど、資産と権利の両方が明確になっています。

古くからあるゴルフクラブは株主会員制のところが多くなっており、ゴルフ会員権の中でも評価が高くなっています。原則として株式の譲渡が認められているので、相続財産として扱われる可能性が高く注意が必要です。ただし、譲渡時に理事会承認が求められるケースもあるため、規約を確認しておきたいところです。

社団法人制のゴルフクラブ

社団法人制のゴルフ会員権は、社団法人としてゴルフクラブが運営しており、利益を追及しない運営スタイルのため、第三者への譲渡がほぼ認められていません。一代限り会員権が得られ、欠員が出たタイミングで入会できるケースが多くなっています。ゴルフクラブの経営と会員組織が同じで、譲渡はほぼ認められないことから、相続時には資産として判断されない可能性が高いです。

ただし、数が少ないですがゴルフクラブによっては直系者のみ相続を認めているケースがあるため、その場合は資産性があるとみられる可能性があるので注意してください。

預託金制のゴルフクラブ

預託金制のゴルフ会員権は、入会金や年会費といった一定額を支払い、会員となれる権利のことです。原則として会員権の譲渡が認められているほか、一定期間経過後あるいは退会時に預託金の返金を受けられる可能性があります。会員権の譲渡時には、多くのゴルフクラブで引き継ぐ人の入会審査が行われます。ゴルフクラブの規定で会員(被相続人)の死亡を理由とした預託金の返還を認めている場合は、相続人が預託金を受け取ることが可能です。

ただし、預託金制のゴルフクラブの中には施設の利用権のみの会員権が増えているので、死亡を理由とした預託金返還が認められていないケースが少なくありません。預託金の返還が受けられるかどうかはあらかじめ確認が必要です。

ゴルフ会員権の相続税評価額の計算方法

ゴルフ会員権の取引相場があるかどうかで、相続税評価額の計算方法は大きく異なります。取引相場がある会員権を引き継ぐ場合と、取引相場がない会員権を引き継ぐ場合の計算方法を解説していきます。

1. 取引相場がある会員権の場合

取引相場があるゴルフ会員権を持っている場合は、預託金があるか否かや返還タイミングによって、相続税評価額の計算方法が変わります。いずれのケースに当てはまるかをよく見極めて、引き継ぐ予定のゴルフ会員権の相続税評価額を確認してみてください。

(1)預託金がない場合

預託金がないゴルフ会員権を相続する場合、相続税評価額は以下の式で算出します。

【相続開始時(被相続人が亡くなった日)の会員権の取引価格 × 70%】

ゴルフ会員権の取引価格を確認したい場合は、ゴルフ会員権を取り扱う仲介業者のホームページにて会員権の価格を確かめることが可能です。相続するゴルフ会員権によってweb上に情報がほとんど見当たらないケースがあるため、取引価格が分からない場合はゴルフクラブに確認するのもひとつの手です。

(2)預託金がただちに返還される場合

預託金がただちに返還されるタイプのゴルフ会員権を相続する場合、相続税評価額は以下の式で算出します。

【相続開始時(被相続人が亡くなった日)の会員権の取引価格 × 70% + 預託託金の額を足した額】

預託金がただちに返還されるかどうかは、ゴルフクラブの規約で確認できます。直ぐに返還を受けられる場合は預託金の額まで相続税評価額としてカウントされます。

(3)預託金が一定期間後に返還される場合

預託金が一定期間後に返還されるゴルフ会員権を相続する場合、相続税評価額は以下の式で算出します。

【相続開始時の会員権の取引価格 × 70% + 返還される預託金の複利現価額】

複利現価額とは、将来返還される預託金の金利分を割り引いた現在価値のことです。現時点では預託金を受け取れないため、金利分を割り引く必要があります。実際に返還を受ける時期までの期間に応じて基準年利率による利息を割り引き、現在価値を算出して相続税評価額を算出します。もしも、預託金の返還を受けるまでの期間が一年未満である場合や、一年未満の端数がある場合には、一年としてカウントします。

2. 取引相場がない会員権の場合

取引相場がないゴルフ会員権を相続する場合には、非上場株式、および気配相場等のある株式以外の株式と同様の相続税評価額となります。原則的評価方式か、配当還元方式により相続税評価額が計算されます。国税庁が公表している「取引相場のない株式(出資)」の評価明細書を用いると、算出することが可能です。

出典:国税庁『[手続名]取引相場のない株式(出資)の評価明細書』

ゴルフ会員権の取引相場価格の調べ方

ゴルフ会員権の取引相場価格を調べるには、ゴルフ会員権を取り扱う仲介業者のホームページで確認してみてください。売り希望価格と買い希望価格の中間値が取引相場価格となります。取引相場価格を確認する場合は被相続人が亡くなった日(相続が発生した日)が評価基準日となるので注意が必要です。
ただし、売り希望価格・買い希望価格のどちらかが公表されていないなど、売買の状況によっては算出できないケースも珍しくありません。もしも、取引相場がない場合には前後日程で近い相場価格を用いる必要があります。

複数の仲介業者の取引相場が確認できる場合は、安い取引相場価格を用いることが可能です。ただし、他の仲介業者と比べてあまりにも安い取引相場価格を採用すると、認められない可能性があるので注意してください。仲介業者のホームページで取引相場価格が確認できない場合は、ゴルフクラブやゴルフ会員権取引業者に直接問い合わせることも可能です。

相続したゴルフ会員権の取り扱い方法

相続したゴルフ会員権の取り扱い方法相続したゴルフ会員権の取り扱い方法について解説していきます。売却・第三者への譲渡・ゴルフクラブへの償還・名義変更の4つの方法の中で、自身の条件に合致する方法を検討してみてください。

①売却する

相続したゴルフ会員権を売却するには、名義変更が必要なケースと、名義変更なしで手放せるケースがあります。ゴルフクラブによって売却方法が異なるため、事前に確認しておくとスムーズに売却できます。名義変更が必要なケースでは、名義書換にさらに費用が発生します。名義変更には時間がかかるため、余裕をもって売却手続きを進めておきたいところです。また、ゴルフ会員権の売却により利益を得た際には、給与などと含めて総合課税の対象となり、確定申告が必要となる可能性があります。

②第三者に譲渡する

相続したゴルフ権を第三者へと譲渡する場合、名義変更後でないと譲渡ができないケースがあるので、事前にゴルフクラブまで確認してください。名義変更をしていなくとも譲渡ができる場合は、譲渡書類・戸籍謄本・遺産分割協議書・相続人全員分の印鑑証明書が求められます。戸籍謄本は相続人の名前が全て記載されている必要があります。

③ゴルフクラブに償還する

ゴルフ会員権の売却が困難であるケースは、ゴルフクラブへの償還が可能です。償還とは、ゴルフクラブへ会員権を返還することを指し、預託金を受け取ってクラブを退会できます。ただし、バブル崩壊の影響で資金がないゴルフクラブが増加したため、預託金が返還されない、あるいは一部のみ返還となる可能性があるので注意が必要です。専門家に相談することで、預託金の一部を償還してもらえるケースもあります。

④名義を変更して引き継ぐ

名義を変えて会員となる場合は、ゴルフクラブで手続きが必要です。ゴルフクラブから求められた必要書類をそろえ提出し、審査を経て入会する運びとなります。入会が認められた際には、名義書換手数料などをゴルフクラブへ支払います。入会金や年会費などの支払いが発生するケースもあるので、事前に確認をしておくと安心です。

【Q&A】ゴルフ会員権の相続でよくある質問

ゴルフ会員権の相続でよくある質問事項をまとめました。疑問を抱えている人は、相続時の参考にしてください。分からないことは専門家に相談することもおすすめです。

相続を放置しているとどうなる?

相続を放置すると、ゴルフクラブの年会費がかかり続けるので、負の遺産となる可能性があります。名義変更しない限り、年会費が故人宛に請求され続けます。もしも、名義変更や売却を行う場合は未精算の年会費の支払いが必要となります。

ゴルフ会員権の名義変更代はいくら?

ゴルフクラブにより名義変更代は異なるものの、一般的には10~100万円が相場価格です。ただし、名義変更代の他にも、相続人が新たに会員となるための年会費・追加預託金が発生する可能性があります。詳しくは該当のゴルフクラブへお問い合わせください。

おわりに:ゴルフ会員権を相続したら相続税の計算に気を付けよう

ゴルフ会員権は譲渡ができるもの、かつ資産性のあるものは相続税の対象財産になります。相続する際は、取引相場や預託金の有無によって相続税評価額の計算方法が異なるため、判断に迷う人も少なくありません。「手続きが煩雑で進まない」、「償還できない」といった悩みを抱えている人は、まずは税理士などの専門家へ相談してみてください。

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この記事を監修した⼈

陽⽥ 賢⼀

陽⽥ 賢⼀税理士法人レガシィ 代表社員税理士 パートナー

企業税務に対する⾃⼰研鑽のため税理⼠資格の勉強を始めたところ、いつの間にか税理⼠として働きたい気持ちを抑えられなくなり38歳でこの業界に⾶び込みました。そして今、相続を究めることを⽬標に残りの⼈⽣を全うしようと考えております。先⼈の⽣き⽅や思いを承継するお⼿伝いを誠⼼誠意努めさせていただくために・・

武田 利之(税理士)

武田 利之税理士法人レガシィ 社員税理士

相続はご他界された方の人生の総決算であると同時にご遺族様の今後の人生の大きな転機となります。ご遺族様の幸せを心から考えてお手伝いをすることを心掛けております。

<総監修 天野 隆、天野 大輔税理士法人レガシィ 代表

<総監修 天野 隆、天野 大輔>税理士法人レガシィ 代表

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