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相続の知識

相続に必要な書類 | 金融機関手続き・相続登記・相続税申告の3種類に分けて解説!

※戸籍法の一部改正により、2024年3月1日以降、戸籍謄本等の広域交付(最寄りの市区町村窓口での請求)が可能になります。ただし条件などがありますので、詳しくは「【2024年3月1日~】戸籍証明書等の広域交付制度が開始」の欄をご覧ください。


遺産相続には、銀行口座や不動産の名義変更などのほか、相続した金額によっては相続税の申告も必要となってきます。どの手続きもいくつかの必要書類をそろえなければなりません。この記事では、相続に必要な書類を「金融機関手続き」「相続登記」「相続税の申告」の3種類に分けて、必要な書類を解説します。

相続には3種類の手続きが必要

相続の手続きのうち特に重要なのが、「不動産の名義変更(相続登記)」、「相続税の申告」、「金融機関手続き(預貯金口座の名義変更など)」の3種類です。それぞれ、手続き時には多くの書類を準備する必要があります。取得に時間がかかるため、司法書士や税理士など専門家に依頼するケースも少なくありません。
3種類の手続きには、共通する書類と特有の書類があります。それぞれを理解し、なるべく効率的に取得していきたいところ。
この記事では、3種類の手続きに必要な書類を整理して紹介します。

相続登記に必要な書類

売買や贈与、相続によって土地や建物の所有権を移転する際に行う登記を「所有権移転登記」といいます。相続による所有権移転は、一般に「相続登記」と呼ばれています。相続登記に必要な書類は、法務局や管轄の役所など複数の機関から入手し、相続登記の申請は不動産がある地域を管轄する法務局で行います。

<相続登記に必要な書類リスト>
①相続人の戸籍謄本・住民票
②被相続人(亡くなった人)の出生から死亡までの戸籍謄本・住民票除票
※不動産登記事項証明書に記載された住所と住民票除票の住所が異なるときは戸籍の附票参照
③遺産分割協議書(遺産分割協議で決めた割合で相続する場合)
④相続人の印鑑証明書(遺産分割協議で決めた割合で相続する場合)
⑤不動産関係書類(相続する不動産の固定資産税評価証明書など)
⑥委任状

それぞれの入手方法などを見ていきましょう。

なお、相続登記の際には基本的には専門家に相談することをおすすめしますが、自分で手続を行うことも可能です。自分で進めようとお考えの方は下記も併せてご覧ください。

①相続人の戸籍謄本・住民票

相続人の本籍地を管轄する市区町村役場(所)で戸籍謄本と、在住する市区町村役場(所)で住民票を取得します。相続人の住民票は、不動産を取得する人の分のみ必要です。

②被相続人の戸籍謄本・住民票除票

被相続人がいつ身分事項(婚姻・離婚・養子縁組など)に変動があったかは、出生から死亡までの連続した戸籍謄本を集めて調査しないと証明できません。そこで、法定相続人の調査・確定をするために、被相続人の死亡時の戸籍謄本だけでなく、出生に遡って改製原戸籍謄本、除籍謄本を取り寄せる必要があります。

③遺産分割協議書

遺言書がない場合は、被相続人の財産を誰がどれだけ相続するかについて決めなければなりません。相続人全員が一堂に会して、相続財産の分け方を決める話し合いを「遺産分割協議」、その協議で合意を得た内容を書面にしたものを「遺産分割協議書」といいます。
遺産分割協議書は、相続人全員が集まり、相続分の結果をまとめた書類です。相続人が1人だけのケースと遺言を用いて相続登記をする場合を除き必須です。

遺産分割協議書には、相続人全員が実印で押印のうえで印鑑証明書を添付する必要があります。なお、遺産分割によらず、遺言によって相続登記を行う際には、遺言書を法務局へ提出します。

④相続人の印鑑証明書

印鑑証明書は、他人が悪意をもって勝手にハンコを作成して契約などの手続きをしないように、本人が押印した印鑑が実印であることを証明するためのものです。
相続人が在住する市区町村役場(所)で取得できます。遺産分割協議書には印鑑証明書がセットで必要です。

⑤不動産関係書類

具体的には次の二つです。

  1. 固定資産評価証明書
    登録免許税の課税価格となる固定資産評価額の確認のため、市区役所、町村役場の資産税課で、不動産の固定資産評価証明書を取得します。
  2. 登記申請書
    登記申請書は法務局のホームページからテンプレートをダウンロードできます。 

⑥委任状

相続登記の委任状とは、不動産の名義を引き継ぐ場合の手続きを、本人以外の家族または司法書士などの専門家に依頼する場合に、委任したという証明として提出する書類です。
委任状には決まった用紙などはありません。法務局ホームページの例などを参考に、自分の例に併せてまとめてください。

参考:法務局ホームページ『記載例 登記申請書』

相続税の申告に必要な書類

財産を所有していた人が亡くなり、その人が残した正味の遺産総額が一定額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)以上だった場合、相続人は相続税の申告と納付を行わなければなりません。

税額の計算は難しくはありませんが、少し手間がかかるのでここでは省略します。知りたい方は下記の記事をご覧ください。

相続税の申告には、下記の書類が必要になります。
①相続人の戸籍謄本・住民票
②被相続人の戸籍謄本・住民票
③相続人の戸籍の附票
④有価証券関係書類
⑤預貯金関係書類
⑥不動産関係書類
⑦生命保険関係書類
⑧債務・葬式関係書類

また、遺産分割を確認するために下記の書類が必要になります。

<遺言書がある場合>
遺言書に沿って相続財産を分割した場合の証明のため遺言書の写し

<遺産分割協議で分割した場合>
相続人全員の印鑑証明書を添付した遺産分割協議書の写し

具体的にそれぞれの書類の入手方法などを見ていきましょう。また、ここで挙げている必要書類には、計算に必要なものと実際に税務署に提出するものがありますが、ここでは区別していません。

①相続人の戸籍謄本・住民票

相続人の本籍地を管轄する市区町村役場(所)で戸籍謄本と在住する市区町村役場(所)で住民票を取得します。

②被相続人の戸籍謄本・住民票

被相続人の本籍地を管轄する市区町村役場(所)で戸籍謄本と被相続人が亡くなった時の住所を管轄する市区町村役場(所)で住民票除票を取得します。

③相続人の戸籍の附票

戸籍の附票とは、本籍地の市区町村において戸籍の原本と一緒に保管している書類で、その戸籍がつくられてから(またはその戸籍に入籍してから)現在に至るまで(またはその戸籍から除籍されるまで)の住所が記録されています。
市区町村役場(所)で入手することができます。

④有価証券関係書類

被相続人が株式や投資信託を所有していたら、その証書や残高証明書が必要です。株式の場合、過去5年間の取引明細書を契約していた証券会社から取り寄せる必要があります。

⑤預貯金関係書類

被相続人が金融機関の口座をもっていた場合は、残高証明書が必要です。また、過去5年分の通帳、定期預金証書も必要です。各銀行にご相談ください。
なお、被相続人の口座から相続人の口座に預金を移していた場合には、該当する相続人の預金通帳の写しも提出しなければいけません。

⑥不動産関係書類

相続財産に不動産がある場合には、次の書類が必要です。

  1. 登記事項証明書
    家や土地の種類、面積、抵当権設定の有無などが記載された書類。不動産が存在する住所を管轄する法務局に行って取り寄せるか、遠方の場合はオンラインや郵送でも取り寄せることができます。
  2. 地積測量図 
    土地の地積(面積)や求積方法が記載された書類。その土地を管轄する法務局で取得できます。
  3. 固定資産税課税明細書 
    不動産の評価額が記載された書類。評価額は毎年度改定され、所有者に4月~6月ごろに送られている「固定資産税」の納付書に同封されています。
  4. 名寄帳
    ある人が持っている不動産の一覧表で、ここには固定資産税課税明細書には記載されない公衆用道路など非課税の不動産も記載されています。不動産がある市区役所、町村役場で取得できます。 被相続人が不動産を貸していた場合には、これらに加えて「賃貸借契約書」も必要になります。

⑦生命保険関係書類

被相続人が加入していた生命保険金支払通知書と生命保険証書(コピー)、掛け捨てではない火災保険など損害保険の保険証書(コピー)が必要です。保険証書は保険証券という場合もあります。
また、被相続人の死亡後も継続している保険があるようであれば、解約返戻金がわかる資料も必要です。
保険証書は通常お手元で保管しているかと思います。支払通知書と解約返戻金がわかる資料は保険会社や担当者にご相談ください。

⑧債務・葬式関係書類

被相続人の債務と葬式関連書類が必要となります。
金融機関からの借入がある場合は、借入金残高証明書や返済予定表。金融機関以外からの債務がある場合は、金銭消費貸借契約書や返済予定表が必要です。
また、税金や公共料金などの未払い金があれば、請求書を発行してもらいます。
葬儀費用も債務控除対象となりますので、お通夜、葬儀にかかった費用の領収証を用意しておきましょう。

遺産分割協議書に添付する印鑑証明書は相続人が在住する市区町村役場(所)で取得できます。

金融機関手続きで必要になる書類

金融機関の手続きで必要となるのは次の書類です。

①相続人の戸籍謄本・住民票
②被相続人の戸籍謄本・住民票
③遺産分割協議書
④相続人の印鑑証明書
⑤相続関係説明図
⑥金融機関の書類

それぞれ入手方法などを見ていきましょう。

①相続人の戸籍謄本・住民票

相続人の本籍地を管轄する市区町村役場(所)で戸籍謄本と在住する市区町村役場(所)で住民票を取得します。

②被相続人の戸籍謄本・住民票

被相続人の本籍地を管轄する市区町村役場(所)で戸籍謄本と被相続人が亡くなった時の住所を管轄する市区町村役場(所)で住民票を取得します。

③遺産分割協議書

遺言書がない場合は、遺産分割協議を行い、遺産分割協議書を作成します。金融関係の手続きでも、この協議書が必要になってきます。
相続登記の際などと同様、相続人が1人だけのケースと遺言を用いる場合は必要ありません。
遺産分割協議書には、相続人全員が実印で押印のうえで印鑑証明書を添付します。

④相続人の印鑑証明書

印鑑証明書は、相続人が在住する市区町村役場(所)で取得できます。

⑤相続関係説明図

相続関係説明図とは、相続人が誰であるかを明確にするため、図式化したものです。
戸籍収集を終え、相続人がわかってから、作成します。相続関係図は手書きでも、パソコンを使って作成してもかまいません。
この相続関係説明図に記載するのは、 相続権のある相続人だけです。作成する際には相続人を確定させておきましょう。もしも相続人である人の記載が漏れていたり、相続人でない人を誤って相続人としてしまった場合には、せっかく作成した相続関係説明図は無効となってしまいます。

相続関係説明図サンプル

相続関係説明図

⑥金融機関の書類

具体的には次のようなものを用意しておきましょう。

  • 相続人の預金通帳
  • 被相続人の預金通帳
  • 払い戻し請求書(依頼書)

【2024年3月1日~】戸籍証明書等の広域交付制度が開始

今まで戸籍謄本等の証明書を取得するためには、本籍地の市区町村の役所窓口へ申請をする必要がありましたが、2024年3月1日以降、戸籍情報連携システム導入により、全国各地にある戸籍情報を最寄りの役所窓口で請求できるようになります。

【申請できる人】
・本人
・配偶者
・直系尊属(父母、祖父母など)
・直系卑属(子、孫など)
※兄弟姉妹はできません

【申請できる場所】
役所窓口のみ
※郵送、代理人申請はできません

【必要書類】
申請者の顔写真付き身分証明書
・運転免許証
・マイナンバーカード
・パスポート
など

出典:法務省『戸籍法の一部を改正する法律について(令和6年3月1日施行)

おわりに:3種類の必要書類を揃えてから手続きを始めましょう

不動産登記の名義変更(相続登記)、相続税の申告、金融関係(預貯金口座の名義変更)の3種類の手続きには、それぞれに多くの書類が必要となります。

ここまでご覧いただいてわかるように、

  • 相続人の戸籍謄本・住民票
  • 被相続人の戸籍謄本・住民票除票
  • 遺産分割協議書(もしくは遺言書)
  • 相続人の印鑑証明書

は多くの手続きで共通して必要な書類です。戸籍謄本や住民票を取得するために市区町村役場(所)に行くことになると思いますが、その際には、なるべくスムーズに必要書類を入手するためどこの役所で何を取得すべきかリスト化しておくとよいでしょう。

これらをすべて手配するだけでも用意なことではありません。相続登記なら不動産手続きの専門家である司法書士、相続税の申告なら税の専門家である税理士に依頼すると間違いはないでしょう。

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この記事を監修した⼈

陽⽥ 賢⼀

陽⽥ 賢⼀税理士法人レガシィ 代表社員税理士 パートナー

企業税務に対する⾃⼰研鑽のため税理⼠資格の勉強を始めたところ、いつの間にか税理⼠として働きたい気持ちを抑えられなくなり38歳でこの業界に⾶び込みました。そして今、相続を究めることを⽬標に残りの⼈⽣を全うしようと考えております。先⼈の⽣き⽅や思いを承継するお⼿伝いを誠⼼誠意努めさせていただくために・・

武田 利之(税理士)

武田 利之税理士法人レガシィ 社員税理士

相続はご他界された方の人生の総決算であると同時にご遺族様の今後の人生の大きな転機となります。ご遺族様の幸せを心から考えてお手伝いをすることを心掛けております。

<総監修 天野 隆、天野 大輔税理士法人レガシィ 代表

<総監修 天野 隆、天野 大輔>税理士法人レガシィ 代表

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