相続の知識

相続税は無申告だとどうなる?ばれる仕組みやペナルティについて解説

この記事では、相続税が無申告だった場合に発生するペナルティの内容や申告が必要となる基準について解説します。
相続税を無申告のまま放置していると、税務調査によっていずれ発覚してしまいます。多額の加算税や延滞税を課される場合があるため、この記事で紹介する情報をもとに適切に納税しましょう。

相続税の無申告は危険!必要な人は必ず行うこと

相続税の申告義務があるにもかかわらず、申告しないとどうなるのでしょうか。また、いつまでに申告する必要があるのでしょうか。

相続税の申告は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に行うこととされています。例えば、2月4日に被相続人が死亡してその事実を知った場合、申告期限はその10か月後の12月4日です。この日までに相続税の申告・納税を正しく行う必要があり、申告期限を過ぎると無申告として扱われます。

では、申告を怠った場合、どのようなペナルティがあるのでしょうか。詳しくは後述しますが、申告をしなかった場合や実際の金額より少なく申告した場合などには、本来納めるべき相続税のほかに、加算税や延滞税を課される可能性があります。

相続税の無申告はバレるのか

「相続税を申告しなくてもバレずに済むのでは?」と考える方もいらっしゃるかもしれません。しかし相続税の無申告は発覚する可能性が高いでしょう。その理由について、時効の期間とあわせて解説します。

相続税の申告には時効がある

相続税の申告にはいわゆる時効があります。正確には「除斥期間」といいますが、一定期間が経過すると時効が成立し、国が相続税を徴収する権利は失われます。

相続税申告の時効は5年または7年です。
相続の発生を知らなかった場合や相続税の対象となる財産の存在を認識していなかった場合などは、時効は申告期限の翌日から起算して5年です。例えば、2022年2月4日に被相続人が死亡したとすると、10か月後の2022年12月4日が申告期限で、さらに5年後の2027年12月4日に相続税の時効が成立します。

一方、相続の発生や相続財産の存在を知っていたにもかかわらず意図的に申告しなかった場合などの時効は、申告期限の翌日から起算して7年です。例えば、2022年2月4日に被相続人が死亡したとすると、そこから10か月後の2022年12月4日が申告期限で、その7年後の2029年12月4日に時効が成立します。

税務署の調査力は侮れない

なぜ相続税の無申告は見つかってしまうのでしょうか。それは、税務署にはKSK(国税総合管理)システムをはじめとする強い調査力があるからです。

KSK(国税総合管理)システムとは、コンピューターシステムによって国税庁と全国の税務署をネットワークで結び、納税者ごとの申告・納税実績やその他さまざまな情報を一元的に管理する仕組みのことです。このシステムを利用することで、過去の所得税や固定資産税の情報から死亡までの収入、所有する不動産情報など、ありとあらゆる情報が手に入ります。
また、被相続人が亡くなり死亡届が市町村役場に提出されると、役場が受理した日の翌月末までに税務署に対して死亡の情報が伝わります。

さらに税務署には、相続人の了解を得ずとも強制調査をする権限が与えられています。例えば、金融機関は預金者の取引履歴を10年間保管する義務がありますが、税務署はこの情報を調べることができます。

相続税を申告する基準は?

とはいえ、相続が起きたときに全員が必ず相続税を支払わなければいけないわけではありません。相続税には基礎控除やその他、いろいろな種類の控除や特例が存在します。それらを適用させることで相続税がかからなくなる可能性があるのです。

まずは基礎控除額を元に判定

相続税の基礎控除額とは、遺産総額から、法定相続人の数に応じて差し引かれる金額のことです。まず相続税がかかるかどうかは、この基礎控除額を元に判定します。

遺産総額が基礎控除額を下回っていれば相続税はかかりません。反対に遺産総額が基礎控除額を上回っていれば相続税が発生します。

基礎控除額は【3,000万+600万×法定相続人の数】という計算式で算出されます。

例えば、遺産総額4,000万円、法定相続人3人のケースを考えてみましょう。上記の式に当てはめると、基礎控除額は「3,000万円+600万×3人=4,800万円」です。この場合、遺産総額が基礎控除額を下回りますので相続税は発生しません。

遺産総額4,000万円、法定相続人1人のケースではどうでしょうか。基礎控除額は「3,600万円」ですので、遺産総額が基礎控除額を400万円分上回ります。この400万円に対して相続税が発生することになります。

申告が条件となっている特例もある

相続税には基礎控除のほかにもさまざまな特例や控除の制度が存在します。本来であれば相続税が発生する場合でも、特例や控除を適用させれば相続税が0円になるケースもあります。

ここで注意点ですが、特例や控除で相続税が0円になったとしても、必ずしも相続税の申告義務がなくなるわけではありません。特例や控除の種類によって、申告義務あり・なしが分かれているのです。
例えば、「小規模宅地等の特例」「配偶者控除(配偶者の税額軽減)」は申告義務がありますが、「みなし相続財産の非課税枠」「障害者控除」「未成年者控除」「相次相続控除」には申告義務がありません。

申告義務がある場合は申告書を提出しなければ、特例や控除を適用させられないのでご注意ください。

相続税を申告する際の注意点

申告の際、「みなし相続財産の非課税分の控除」や「相続時精算課税制度」といった申告漏れしやすい項目にも注意が必要です。

みなし相続財産

みなし相続財産とは、相続で取得した財産ではないが、相続税法上は相続財産として扱われるものを指します。例えば、生命保険金や死亡退職金がこれに当たります。
みなし相続財産には非課税枠があります。生命保険金や死亡退職金の場合、非課税枠は「500万円×法定相続人の数」で計算できます。この非課税枠分を、課税遺産総額に加えたみなし相続財産の金額から除く必要があります。

相続時精算課税制度

相続時精算課税制度とは、「60歳以上の両親や祖父母」から「18歳以上の子どもや孫」に生前贈与した際に選択できる贈与税の制度のことです。
平成15年からスタートした制度のため、当時この贈与をしたことを忘れている人も多いでしょう。課税対象の遺産総額を計算する際には、この相続時精算課税制度を利用した贈与財産も加算する必要がありますので注意してください。

相続時精算課税制度について詳しくは、下記の記事もご覧ください。

相続税が無申告だった場合のペナルティ

相続税の申告を怠ってしまった場合は、ペナルティとして延滞税・無申告加算税・重加算税・過少申告加算税を加算されます。それぞれのペナルティはどのような場合に適用され、どのくらいの金額が加算されるのでしょうか。

1.延滞税

相続税の納付が遅れた場合、延滞税がかかります。延滞税は原則として納期限の翌日から納付する日までの日数に応じて課されます。いわゆる利息にあたるものです。延滞税がかかるケースは主に3つあります。

1つ目は、納期限までに税金を納めていない場合です。相続税の申告書は提出したものの、納期限までに納税していないという場合です。

2つ目は、期限後申告または修正申告した場合です。相続税の申告期限までに申告と納税がどちらもできておらず、期限後に申告もしくは修正申告をした場合を指します。
修正申告とは、計算や財産評価額の誤りを正し、少ない金額を申告し直すことです。修正申告によって納税が遅れた期間分の延滞税が発生します。

3つ目は、税務署による更正または決定の処分を受けた場合です。税務調査によって申告した税額が過少だと判断される、もしくは無申告だと発覚した場合に、指摘された税額に対して納付が遅れた日数分だけ延滞税がかかります。

なお、延滞税の税率は毎年変動しますが、納期限の翌日から2か月を経過した日以後は税率が高くなる点はご注意ください。

2.無申告加算税

正当な理由がなく申告期限までに相続税の申告を怠った場合には、無申告加算税が課税されます。無申告加算税を課されるのは以下の3つのケースです。

1つ目は、申告期限が過ぎた後に自主的に申告した場合です。この場合は、追加納付した相続税の額の5%を無申告加算税として納付する必要があります。ただし、申告期限を過ぎていても1か月以内に早急に申告した場合等の一定の条件を満たした場合には、無申告加算税はかかりません。

2つ目は、税務調査の事前通知を受けてから税務調査を受けるまでに申告した場合です。税率は追加納付した税額の10%ですが、追加納付した額が50万円を超える部分は15%となります。

3つ目は、税務調査によって無申告が発覚した後に申告した場合です。税率は追加納付した税額の15%ですが、追加納付した額が50万円を超える部分は20%課税されます。

3.重加算税

相続税を少しでも減らそう、または相続税を払いたくないといって故意に相続財産を隠した場合などには、重加算税の対象となります。
申告書の中身に虚偽や隠ぺいが発覚した場合には足りない分の相続税を支払うこととなりますが、無申告加算税に代えて重加算税として課税されます。無申告の場合の重加算税は、追加納付した税額の40%が加算されます。

さらに、過去5年以内に相続税で無申告加算税または重加算税を課されていた場合の税率は50%となります。

4.過少申告加算税

当初申告した税額が本来の税額より少なかった場合は過少申告加算税を課されます。ただし、税務署から指摘される前に自主的に修正申告した場合はかかりません。

税率は、税務調査の事前通知から税務調査までに修正申告した場合は5%ですが、期限内に申告納税した額と50万円のいずれか多い額を超える部分は10%です。
税務調査を受けてから修正申告した場合または更正を受けた場合の税率は10%ですが、期限内に申告納税した額と50万円のいずれか多い額を超える部分は15%となります。

おわりに:

相続税を申告しなかった場合や虚偽の内容で申告していた場合などには、発覚した際に大きなペナルティが発生してしまいます。本来納付するべき額に加えて多額の加算税や延滞税を課されることのないよう、法定の期限までに正しく申告・納税することが大切です。

税理士法人レガシィは、相続専門30年以上の実績がある税理士法人です。所属する税理士は土地評価に強く、相続税を節税できるノウハウを有しています。お客様の状況に合わせたオーダーメイドの相続対応が可能ですので、まずはお気軽にご相談ください。

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この記事を監修した⼈

陽⽥ 賢⼀

陽⽥ 賢⼀税理士法人レガシィ 代表社員税理士 パートナー

企業税務に対する⾃⼰研鑽のため税理⼠資格の勉強を始めたところ、いつの間にか税理⼠として働きたい気持ちを抑えられなくなり38歳でこの業界に⾶び込みました。そして今、相続を究めることを⽬標に残りの⼈⽣を全うしようと考えております。先⼈の⽣き⽅や思いを承継するお⼿伝いを誠⼼誠意努めさせていただくために・・

武田 利之(税理士)

武田 利之税理士法人レガシィ 社員税理士

相続はご他界された方の人生の総決算であると同時にご遺族様の今後の人生の大きな転機となります。ご遺族様の幸せを心から考えてお手伝いをすることを心掛けております。

<総監修 天野 隆、天野 大輔税理士法人レガシィ 代表

<総監修 天野 隆、天野 大輔>税理士法人レガシィ 代表

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