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相続の知識

相続税の申告は電子申告(e-Tax)で!メリットや手順を解説

相続税の申告のため税務署に行きたくても、平日仕事をしていて時間が取れないという人も多いでしょう。税務署に行かなくても、インターネットから相続税の申告が可能になりました。
今回は、e-Taxを使って相続税の申告を行う方法について解説します。メリット、デメリットや注意点についてもご紹介します。

相続税の申告はいつ・どこにする?

相続税は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内に申告することになっています。役所などから申告用紙が郵送されてくるわけではないため、相続人が自分で、期限内に申告しなければなりません。
提出先は、被相続人が最後に住んでいた住所地を管轄する税務署です。国内に住所地がなかった場合は、各相続人の住所地を管轄する税務署となります。
相続税の申告においては、以前は税務署に出向いて申告する必要がありましたが、令和1年からe-Taxを使った電子申告が可能になりました。

相続税を電子申告で行うメリット

e-Taxを利用してインターネット上で手続きできる電子申告には、具体的にどのようなメリットがあるのかを解説します。

いつでもどこでも手続きできる

自宅にインターネット環境があるなら、家にいながら24時間いつでも申告できる点で、e-Taxはとても便利なシステムです。システムメンテナンスのとき以外であれば、お好きなタイミングで申告できます。
申告先は被相続人の最後の住所地を管轄している税務署なので、他県など遠方にある場合には税務署に行くだけでも一苦労です。平日仕事をされていれば休んで手続きに出向くことになりますので、税務署に行かなくても自宅で申告できるのは忙しい人にとって大きなメリットです。

提出書類をデータで保存できる

e-Taxを使って提出した書類はデータとして保存できるので、紙で保存するよりも紛失しにくいというメリットもあります。受領印が押された書類を保存していて紛失してしまうと、税務調査が入った際に証明できるものがなく、とても困ります。
データでの保存であれば、パソコンが壊れない限りは紛失のリスクが低く、作成した書類を自分以外の相続人にもメールなどで共有できるため、相続人間のやり取りもスムーズに行うことができます。

本人確認書類の添付が不要となる

e-Taxでの申告が可能になる前は、相続人の本人確認として、運転免許証など本人確認書類のコピーを提出する必要がありました。電子申告の場合はe-Taxの利用登録を行う際にマイナンバーカード等で本人確認をするため、申告時に本人確認書類を添付する必要はなくなります。

電子納税の手続きもできる

e-Taxを使えば、相続税の申告だけでなく納税の手続きも可能です。その際、「ダイレクト納付」というシステムを利用します。
ダイレクト納付は、事前に税務署へ届け出をすることにより、e-Taxで申告または納付情報の登録をした後、届け出をした金融機関などの口座から振替で納付できるシステムです。簡単なクリックの操作で、その場で納付、もしくは期日を指定して納付することができます。

税理士が代理で手続きもできる

相続人本人が申告を行う場合は、他の相続人の分をまとめて申告することはできないので、複数の相続人がいる場合は各自で申告する必要があります。
ただし、e-Taxの場合、税理士または税理士法人が相続人の代理で電子申告することが可能です。その場合は一度の申告で相続人9名までの分を一括で申請できます。もし相続人が複数いて、各自がe-Taxで申告するのが難しいときは、税理士に依頼することができるのもメリットです。

相続税を電子申告で行うデメリット

忙しくて税務署に行く時間がない人にとってさまざまなメリットがある電子申告ですが、デメリットもあります。
デメリットも十分理解した上で利用を検討するようにしましょう。

相続人全員、インターネットを使える必要がある

複数の相続人がいる相続で電子申告をする場合、相続人のうちだれか一人が全員分をまとめて申告することはできません。
相続人全員が各自でインターネットを使って申告手続きをしなければならないため、相続人のなかに、自宅にネット環境がない人がいる場合や、インターネットやパソコン操作に詳しくない人がいる場合には、e-Taxを使っての電子申告は難しくなります。
自分はインターネットの手続きに問題がなくても、他の相続人も同じように対応可能とは限りません。相続人全員で話し合って、電子申告をするかどうか決めるようにしましょう。

平成30年以前の相続税は電子申告できない

相続税の電子申告制度が始まったのが令和1年10月なので、平成30年以前の相続税はe-Tax での申告ができません。その場合は書面による申告手続きが必要になります。
平成30年以前の相続税の申告とは、平成30年12月31日以前に被相続人が亡くなり、相続により財産を取得した人の申告です。これから相続税の申告を行う人は、ご自身の手続きで電子申告ができるかどうかを、まず確認するようにしましょう。

Mac OSで相続税の電子申告はできない

相続税の電子申告はe-Taxソフトをインストールすることによってできますが、e-TaxソフトがMac OSに対応していないため、Mac のパソコンを利用している方は、相続税に関しては電子申告をすることができませんので注意しましょう。

相続税 電子申告の手続き方法

ここからは、実際に電子申告を行う場合の手続き方法についてご紹介していきます。手続きは大まかに以下の8ステップがあります。

  1. パソコンの環境を確認する
  2. 電子証明書を取得する
  3. 開始届出書を提出する
  4. e-Taxソフトをインストールする
  5. 申告書を作成する
  6. 相続税額を計算する
  7. 電子署名をして送信
  8. 参照作成機能を使って他の相続人にも共有する

いつでも申告できる点で便利な電子申告ですが、最初にある程度の準備が必要です。

1.パソコンの環境を確認する

まず初めにe-Taxを使うためのパソコン環境を確認する必要があります。
Windows OSの場合はWindows 8.1(デスクトップモードのみ)、Windows10、Windows11が推奨環境とされており、それ以外のOSでは利用できない恐れがあります。
Macの場合は現在e-Taxソフトに対応しておらず、e-Taxソフト(WEB版)のみ対応していますが、e-Taxソフト(WEB版)では相続税の申告ができませんのでご注意ください。

またInternet Explorerなどのブラウザにも推奨環境がありますが、今後サポート終了などによって推奨される条件が変わっていくと思われますので、最新情報は下記の国税庁ホームページよりご確認ください。

【参考】国税庁ホームページ『e-Taxソフトのダウンロードコーナー』

ちなみに書類を閲覧・添付する際にもAdobeのAcrobat Reader DCやPDF化するためのフリーソフトもしくはAdobe社の有料ソフトなどが必要になります。

2.電子証明書を取得する

電子証明書とは、申告データが利用者本人のものであるか、改ざんされていないかを確認するためのもので、申告者の本人確認のために必要な証明書です。マイナンバーカードを持っている場合はマイナンバーカードを使ってe-Taxで申請が可能なのですが、持っていない場合は「電子証明書」を取得する必要があります。
電子証明書は税務署ではなく、指定の機関から発行されたものを自分で取得することになっており、各機関によって取得方法や費用が異なります。発行機関については下記の国税等ホームページをご参照ください。

【参考】国税庁ホームページ『電子証明書の取得』

また、これまでマイナンバーカード等の電子証明書をパソコンで読み込むためにカードリーダーを別途購入して接続するという方法が取られていましたが、令和4年からは、マイナンバーカードを持っていれば、カードリーダーを使わずにスマートフォンの二次元バーコードで読み込みが可能になりました。

3.開始届出書を提出する

電子申告をするためには利用者識別番号を取得する必要があります。これは、なりすまし防止のために税務署から発行される16桁の番号です。納税の管轄税務署に電子申告・納税等開始(変更等)届出書を提出すると発行してもらえます。すでに所得税の申告などで利用者識別番号を取得している場合は、新たに発行してもらう必要はありません。

開始届出書は、税務署に書面で提出する方法と、オンラインで提出する方法があります。
書面で提出した場合は、税務署から郵送で利用者識別番号の通知が送られてきます。少なくとも1週間ほどかかりますので、余裕を持って提出しましょう。
オンラインの場合はe-Taxを使って提出します。通知もオンラインですので、自宅にいながら申告の準備ができて便利です。

4.e-Taxソフトをインストールする

e-Taxのソフトをパソコンにインストールします。e-Taxには「e-Taxソフト」と「e-Taxソフト(WEB版)」があり、WEB版はe-Taxソフトをブラウザ上で利用できるようにしたものですが、使える機能に制限があります。相続税に関していえば、「e-Taxソフト」を利用しないと電子申告できません。
国税庁のホームページからe-Taxソフトをダウンロードしたら、「税目の追加インストール」画面で「追加インストール」をクリックします。「相続税」を選択し、該当する年度にチェックを入れて、「インストール」をクリックして完了です。

5.申告書を作成する

e-Taxソフトがインストールできたら相続税の申告書を作成していきます。相続税の場合にまず作成するのは、第9表から第15表です。
生命保険金などの明細書(第9表)、債務及び葬式費用の明細書(第13表)、相続財産の種類別価額表(第15表)などを作成していきます。第15表では、相続人ごとに取得した財産や債務の合計を計算します。

6.相続税額を計算する

第1表と第2表で、相続税の金額を計算していきます。第15表で計算した、相続人各自が取得した財産と債務をベースにして計算します。e-Taxは便利ではありますが、入力すれば税額が自動計算されるという仕組みではないので、自身で計算した値を入力していく作業が必要になります。

7.電子署名をして送信

税額の計算も終わり、相続税申告書が完成したら、提出する帳票をすべて「作成完了」の状態にして、電子署名を行います。
電子署名は、各機関で発行した電子証明書またはマイナンバーカードを使って行います。電子証明書は、パソコンへ読み込むための機器が必要です。ICカードリーダーを使う場合は、「ICカードを利用」をクリックした後にICカードリーダーをパソコンに繋いで、電子証明書を挿入します。
マイナンバーカードで電子署名を行う場合は「公的個人認証サービス(マイナンバーカード)」を選択し、マイナンバーカードを作成した際に設定した暗証番号を入力すると電子署名が完了します。

8.参照作成機能を使って他の相続人にも共有する

相続人が複数いる場合は、1人の相続人が作成した相続税の申告書を別の相続人へ共有し、そのデータをe-Taxで取り込み申告できる「参照作成機能」があります。
例えば相続人が母、長男、次男の3人で長男がパソコンに明るい場合、始めに長男があらかた申告書を作成し、その内容を母と次男に共有することで効率的に申告手続きを進めることができるでしょう。
手順7と8はどちらが先でも構いませんが、相続人が複数の場合は8を先に行って共有・確認したあと、全員同じタイミングで署名・送信の方が安心かもしれません。

おわりに:電子申告は便利だが、意外と準備が大変。税理士が使えば一括申告ができる

e-Taxを使えば、自宅にいながら相続税の申告ができることをご紹介しました。オンライン納税まで対応していて、忙しい人にとってはメリットが多いのが電子申告です。
ただし、手続きにはマイナンバーカード等が必要で、相続人が複数いる場合、全員がインターネットで申告することになるため、ネット環境がなかったり、パソコンに詳しくない人がいたりするとスムーズに進められないというデメリットもあります。

もし、電子申告をしたいけれど、ご自身での申告が難しいと感じる場合は、税理士に代理で申告してもらうことも可能です。税理士の代理申告であれば、相続人それぞれで申告は必要なく、9名までの相続人分を一括で申告できる権利が認められています。専門知識のある税理士に任せれば、申告内容を間違えることもなく安心です。
相続専門の税理士法人レガシィでも、電子申告に対応しています。相続税の電子申告でお困りなら、ぜひご相談ください。

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この記事を監修した⼈

陽⽥ 賢⼀

陽⽥ 賢⼀税理士法人レガシィ 代表社員税理士 パートナー

企業税務に対する⾃⼰研鑽のため税理⼠資格の勉強を始めたところ、いつの間にか税理⼠として働きたい気持ちを抑えられなくなり38歳でこの業界に⾶び込みました。そして今、相続を究めることを⽬標に残りの⼈⽣を全うしようと考えております。先⼈の⽣き⽅や思いを承継するお⼿伝いを誠⼼誠意努めさせていただくために・・

武田 利之(税理士)

武田 利之税理士法人レガシィ 社員税理士

相続はご他界された方の人生の総決算であると同時にご遺族様の今後の人生の大きな転機となります。ご遺族様の幸せを心から考えてお手伝いをすることを心掛けております。

<総監修 天野 隆、天野 大輔税理士法人レガシィ 代表

<総監修 天野 隆、天野 大輔>税理士法人レガシィ 代表

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