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相続の知識

なぜ相続税は必要? 相続税がかかる三つの理由や無申告がばれる理由を紹介!

大切な家族の方が亡くなった時、その方の遺した財産の額によっては相続税を支払わなければならない場合があります。相続税とは財産を受け継いだ人(相続人)が払う税金のことを指しますが、そもそもなぜこうした税の制度があるのでしょうか?
相続人のなかには「親が懸命に働いて築き上げてきた財産を税金として支払うなんて……」と考える人もいることでしょう。しかし相続税がなぜ制定されているかについては明確な理由があり、国としてもその理由に基づいて徴収には力を入れています。この記事では、なぜ相続税が必要なのかという理由や、相続税の無申告が発覚しやすい理由について解説いたします。

そもそも相続税とは? 相続が発生した際に必要な税金のこと

「相続」とは、亡くなった方が生前にもっていた財産上の権利や義務を、その方の配偶者・子どもなどが受け継ぐことを意味します。この相続においては、亡くなった人のことを「被相続人」、財産を受け継ぐ人のことを「相続人」と呼びます。
相続の際に、財産の評価額に応じて課せられる税金が「相続税」であり、その相続税を払う義務があるのは相続人となります。ここで注意をしていただきたいのは「財産の評価額に応じて」という点です。相続が発生すれば、そこに必ず相続税の支払い義務が生じるかというと、決してそうではありません。相続税の制度には一定の額までは課税対象から外れる「基礎控除」というルールが設けられているからです。
基礎控除に関してはこの記事でも解説しますが、まずはその前に「なぜ相続税というものがあるのか」について理解を深めていくことにしましょう。

相続税が必要な三つの理由

日本国憲法では国民の三大義務として「教育」「勤労」「納税」が掲げられています。国民が払う税金はすべて法律で決められているため、そこには合理的な理由が必ず存在します。日本は法治国家なので、国民の納得が得られない根拠のない法律はつくらないからともいえるでしょう。
では、相続税における合理的な理由とはいったい何でしょうか? 大きくは次の三つが挙げられます。

①不労所得に対する課税をするため
②富を再分配するため
③所得税の補完機能を果たすため

それぞれ見ていくことにしましょう。

①不労所得に対する課税をするため

相続によって手にした財産は、労働による対価ではなく「不労所得」と呼ばれるものになります。言い換えれば「タダで多額の財産を手に入れた」ことになるわけです。
一方、多くの人は働くことでお金を得て、そのお金で日々の暮らしを支えています。不労所得に縁のない人がほとんどといってもいいでしょう。また、働くことで得たお金には所得税もかかってきます。
となると、不労所得を得た人が税の負担もしないとなれば、そこには大きな不公平感が生じるのは否定できません。その不公平感を解消するための手段として相続税があるわけです。

②富を再分配するため

相続税にはまた「富を再分配する」という役割も担っています。もし相続税がなければお金持ちの家に生まれた人は、代々ずっとお金持ちであり続けることが容易になってきます。それは裏を返せば、貧しい人たちは常に貧困に苦しむことにつながっていきます。結果として貧富の差が広がり、いびつな社会構造が生まれてしまいます。
かつての日本は武家や貴族のような一部の層にだけ富が集中し、それ以外の大多数の人たちが貧困にあえぐという社会でした。そうした状況をふたたび招かないために相続税によって富を再分配し、格差をなくしていこうというわけです。

③所得税の補完機能を果たすため

相続税には所得還元を通して補完機能を果たす役割も与えられています。難しい言葉に聞こえるかもしれませんが、要は「本来は払っていたはずの所得税を相続税という形に変えて払ってもらう」ということです。被相続人が多くの財産を築けたのは、それだけ払った税金が少なかったためという考えから来ています。
所得税には非課税措置や軽減措置があり、それらを使うことで節税対策ができます。また、本来は所得を生み出すことのできる財産を、そのように使わなかったことで所得税を払わなかったという考えもできます(賃貸にできる不動産を自分で使うことで家賃収入を得なかったなど)。そうやって未払いで済ませていた所得税を相続のタイミングで清算してもらうというのが、所得税の補完機能というわけです。

基礎控除とは? 支払う相続税が減る

なぜ相続税が必要なのかという理由の一つには「格差の解消」という考え方がありました。それは相続税のルールの一つである「基礎控除」にも反映されています。
相続が発生したからといって、必ず相続税の支払い義務が生じるわけではないことは前述したとおりです。相続税には一定の額までは非課税となる枠が設けられており、それを超えない限り課税されることはありません。その枠のことを基礎控除といいます。
これはつまり、基礎控除として設定された額を超えるほどの多額の財産を受けとった人には支払い義務が生じ、そうでない人は払わなくていいということです。その基礎控除について、さらに詳しく見ていくことにしましょう。

基礎控除額の計算方法

基礎控除額は法定相続人(民法で定められた相続人)の数によって変わってきます。その計算式は次のとおりです。

【3,000万円+(600万円×法定相続人の数)】

たとえば、法定相続人として被相続人の配偶者と子ども2人がいる場合、基礎控除額は【3,000万円+(600万円×3人)】で4,800万円となります。もし被相続人の遺した財産の評価額が4,800万円以内なら相続税の支払い義務は生じないということです。参考までに、法定相続人の人数に応じた基礎控除額の表を掲げておきます。

法定相続人 1人 2人 3人 4人 5人
基礎控除額 3,600万円 4,200万円 4,800万円 5,400万円 6,000万円

基礎控除額の注意点

法定相続人とは民法で定められた相続人のことで、被相続人にとっての配偶者・子・父母・兄弟姉妹が該当します。しかし、被相続人のなかには養子縁組をしているケースも考えられます。この場合、養子は法定相続人として認められるのでしょうか?
結論から先にいうと、養子であっても法定相続人として認められます。ただし、人数に上限があります。もし、被相続人に実子がいた場合、法定相続人として認められる養子の数は1人までです。もし被相続人に実子がいない場合は、法定相続人として認められる養子の数は2人までとなります。
なお、養子縁組をすると法定相続人が増えるので節税対策になります。これに関しては後述します。

【被相続人に実子がいた場合:認められる養子の数1人】
【被相続人に実子がいない場合:認められる養子の数2人】

相続税を払わないとなぜばれる? それは、税務署が厳しく管理しているから

相続税は自己申告制なので、支払い義務があるかどうかは相続人自身で確認しなければなりません。その確認が面倒であるとか、そもそも「相続を払いたくない」といった理由で申告を怠ると税務署からチェックが入り、結果として重いペナルティが科せられることもあります。「黙っていても(申告をしなくても)わからないだろう」という考えは、まず通用しないと考えてよいでしょう。
前述したように、納税は国民の義務であり、国には税金を徴収する権利があります。そのため、相続税の申告をする人としない人との間で不公平が生じないように税金を徴収する体制を整えているのです。

たとえば税務署では不動産の名義変更や大きなお金の流れを把握しています。ある程度の資産をもっている方が亡くなると、その情報は税務署に報告されます。当然のことながら、その方の過去の納税情報は税務署で管理していますから相続税が発生しそうなケースは容易に判別できるというわけです。
また、金融機関に対して被相続人や相続人の預金残高・取引履歴を明示させる権限ももっています。もしお金の動きに不審な点があれば、そこから税務調査が始まります。
「忙しくて時間がなかった」という理由も税務署は認めてくれません。もし自分の手に負えないとわかったら、すぐに税理士などの専門家の力を借りることをおすすめいたします。

相続税を節税する方法【3選】

相続税はその支払い義務が生じた時は必ず支払わなければなりませんが、一方で特例やそのほかの税の制度を活用することで負担を減らすことができます。相続税を支払うことで相続人の生活に支障をきたすようでは本末転倒といえるからです。ここでは相続税の節税対策として有効な以下の三つの方法をご紹介することにしましょう。

①年間110万円以内で生前贈与を行う
②養子縁組で法定相続人の数を増やす
③生命保険などの非課税枠を活用する

①年間110万円以内で生前贈与を行う

個人から個人へと財産を無償で渡すことを「贈与」といいます。この贈与には「贈与税」がかかってくるのですが、相続税と同じく基礎控除額が設定されており、その額を超えない限りは課税されることはありません。
その額は原則として1年間(1月1日から12月31日まで)に110万円です。この贈与税の非課税枠を利用して、被相続人が存命中に毎年110万円ずつ相続人に対して生前贈与をすれば、無税で財産をゆずっていくことができます。
ただし、例えば総額1,000万円を10年に分けて毎年一定の時期に100万円ずつ贈与するような場合には「定期贈与」とみなされ、その取り決めをした年に1,000万円に対して贈与税が課税されたり、相続人が亡くなる前の3年間の贈与は相続税の対象となるなど細かいルールもあるため、活用するには注意が必要です。

②養子縁組で法定相続人の数を増やす

法定相続人が一人増えると相続税の基礎控除額は600万円増えることになるので、節税対策としては有効です。たとえば、長男の妻を養子にするといったケースや孫を養子にするといったケースが考えられます。
ただ、その一方で法定相続人が増えることで遺産争いが生じる可能性も大きくなります。法定相続人が増えるということは、それぞれの相続人の財産の取得分が減ることを意味するからです。たとえば、長男の妻を養子にすると、財産は長男夫婦どちらも受けとることができます。もしこの長男にきょうだいがいた場合、しっかりとした話し合いを行わないと感情的なもつれが生じかねません。そういう意味でも、節税対策としての養子縁組は慎重を期す必要があるといえるでしょう。

③生命保険等の非課税枠を活用する

生命保険には相続税の非課税枠が設定されています。【法定相続人の数×500万円】を死亡保険金から差し引くことができるというルールです。
たとえば死亡保険金が1,000万円降りたとします。これに対して法定相続人が3人であれば【500万円×3人=1,500万円】で、保険金は相続税の課税対象とはなりません。
もし死亡保険金1,000万円に対して法定相続人が一人であれば、差し引き500万円が課税対象となります。生命保険に加入するなら、非課税枠を意識することが大切です。

おわりに:相続税がなぜかかるのか理解して節税対策をしよう

大切な家族の方が亡くなると相続が発生します。その方の遺した財産の額によっては、相続人は相続税を支払わなければならないケースもあります。相続税には富の再分配を通して貧富の差をなくしたり、不労所得に対する不公平感を解消するなどの役割があり、社会的な意義をもつ税金です。当事者の方たちにとっては「せっかく築いた財産に課税されるなんて」との思いもあるでしょうが、世の中のためになることなので納得していただくしかありません。
ただ、その一方で相続税には基礎控除額の設定など税負担の軽減につながるルールもさまざまに用意されています。相続税を払った結果、相続人が生活できなくなってしまっては本末転倒だからです。こうしたルールもしっかりと理解したうえで相続税の対策に臨むようにしたいものです。

もし相続税に関して不明な点や心配なことがあれば、税の専門家である税理士に相談してみてはいかがでしょうか。実績の豊富な税理士であれば、相続税の社会的意義を踏まえた上で相続人サイドに立って、節税につながるアドバイスや申告などにおける実務的なサポートをさまざまに提供してくれます。プロに任せることで安心の相続税対策ができるという意味でも、ぜひ一度ご検討ください。

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この記事を監修した⼈

陽⽥ 賢⼀

陽⽥ 賢⼀税理士法人レガシィ 代表社員税理士 パートナー

企業税務に対する⾃⼰研鑽のため税理⼠資格の勉強を始めたところ、いつの間にか税理⼠として働きたい気持ちを抑えられなくなり38歳でこの業界に⾶び込みました。そして今、相続を究めることを⽬標に残りの⼈⽣を全うしようと考えております。先⼈の⽣き⽅や思いを承継するお⼿伝いを誠⼼誠意努めさせていただくために・・

武田 利之(税理士)

武田 利之税理士法人レガシィ 社員税理士

相続はご他界された方の人生の総決算であると同時にご遺族様の今後の人生の大きな転機となります。ご遺族様の幸せを心から考えてお手伝いをすることを心掛けております。

<総監修 天野 隆、天野 大輔税理士法人レガシィ 代表

<総監修 天野 隆、天野 大輔>税理士法人レガシィ 代表

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