【完全保存版】相続税申告する際の必要書類と添付書類を徹底解説
Tweet大切な家族の方が亡くなった時、遺された財産の内容によっては相続税の支払い義務が生じることがあります。その場合、税務署に対して相続税の申告をする必要があるのですが、申告には数多くの書類を用意しなければなりません。この書類をまとめる作業が相続税の申告手続きでは最も大変なことといわれています。
大変な理由としては、相続の内容によって提出しなければならない書類が異なってくるという点が挙げられます。いざ相続が発生した時に慌てることがないように、申告に必要な書類についてあらかじめ把握しておくことが大切です。
この記事では相続税に必要な書類について解説いたします。
目次
相続税申告は、一定額以上の遺産を相続すると必要
相続が発生したからといって、すべての人が相続税の手続きをしなければならないわけではありません。遺された財産によっては手続きが不要なケースもあるのです。
というのも、相続税には「基礎控除」という非課税枠が設けられているからです。相続税評価額(相続税を算出する際の元になる金額)がこの基礎控除額の範囲に収まれば、相続税の申告は不要ということになります。
基礎控除額は次のように算出します。
【3,000万円+600万円×法定相続人の数】
法定相続人とは民法で定められた相続人のことで、被相続人(亡くなった方)の配偶者や子ども、親、兄弟姉妹などを指します。もし、法定相続人が一人なら基礎控除額は【3,000万円+600万円×1人】で3,600万円ということになります。
法定相続人 | 1人 | 2人 | 3人 | 4人 | 5人 |
---|---|---|---|---|---|
基礎控除額 | 3,600万円 | 4,200万円 | 4,800万円 | 5,400万円 | 6,000万円 |
この基礎控除額を超えた場合は相続税の申告手続きを始めなければなりません。申告先は税務署ですが、被相続人の住所のある地域を管轄している税務署となるので注意が必要です。
相続税申告に必要な書類の集め方
遺された財産を調べたところ、相続税の基礎控除額を上回っていたことがわかれば申告の手続きを始めることになります。申告の期限は「被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内」です。この期限に間に合わないと重いペナルティとして附帯税が課せられるので、手続きは早めに進めるようにしましょう。
税務署に提出する書類としては「相続税の申告書」が挙げられます。これにほかのさまざまな書類を添えて提出するのですが、その書類は「すべての人に共通する書類」と「申告内容によって必要な書類」とに分けられます(それぞれの具体的な内容は後述します)。
各書類の入手先としては市区町村役場(所)や法務局、金融機関、証券会社、生命保険会社など多岐に渡ります。なかには入手の手続きに時間がかかるものもあるため、やはり早めの手続きが必要です。ちなみに、すべての書類をそろえるまでにかかる期間は平均で1か月前後といわれています。
「相続税申告書」は、税務署か国税庁ホームページで入手可能
相続税の申告で必ず使うのは「相続税の申告書」です。この書類は最寄りの税務署に行けば手に入ります。また、国税庁のホームページからもダウンロードができるようになっています。
なお、相続税の申告書は相続が発生した年の様式を使用します。
申告書の詳しい書き方については、下記の記事もご覧ください。
原本が必要な書類は「印鑑証明書」のみ
相続税の申告手続きに必要な書類は数多くありますが、そのほとんどはコピーによる提出で問題ありません。
原本が必要なのは「印鑑登録証明書」だけです。この印鑑登録証明書に関しても、遺産分割協議書の提出をしない場合(遺言がある場合など)は必要ありません。
かつては身分を証明する戸籍謄本なども原本の提出が求められていたのですが、平成30(2018)年からはその制限がなくなりました。
相続税申告に必要な添付書類一覧
ここからは相続税の申告手続きに必要な書類を一覧としてお伝えします。ここに掲げた書類すべてを用意する必要はなく、相続の内容によって要不要が異なります。
- 全員が必要な書類
- 不動産関係を相続する場合に必要な書類
- 株式や投資信託を相続する場合に必要な書類
- 預貯金を相続する場合に必要な書類
- 生命保険金を受けとる場合に必要な書類
- そのほかの資産を相続する場合に必要な書類
全員が必要な書類一覧
下記の書類はいずれも市区町村役場(所)で入手できます。原則として、被相続人が亡くなってから10日以上が過ぎた後に取得したものが必要です。
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本等
- 相続人全員の戸籍謄本
- 相続人全員の印鑑証明書
!2024年3月1日から戸籍謄本が最寄りの役所で請求できるようになります
■ 戸籍証明書等の広域交付制度
今まで戸籍謄本等の証明書を取得するためには、本籍地の市区町村の役所窓口へ申請をする必要がありましたが、2024年3月1日以降、戸籍情報連携システム導入により、全国各地にある戸籍情報を最寄りの役所窓口で請求できるようになります。
【申請できる人】
・本人
・配偶者
・直系尊属(父母、祖父母など)
・直系卑属(子、孫など)
※兄弟姉妹はできません
【申請できる場所】
役所窓口のみ
※郵送、代理人申請はできません
【必要書類】
申請者の顔写真付き身分証明書
・運転免許証
・マイナンバーカード
・パスポート
など
不動産関係を相続する場合に必要な書類一覧
土地や建物など不動産に関わる財産を相続した場合には以下の書類が必要です。
土地
- 登記簿謄本(全部事項証明書)【入手先:法務局】
- 固定資産税評価証明書 【入手先:市区町村役場(所)の資産税課、東京都は都税事務所】
- 地積測量図または公図の写し 【入手先:法務局】
- 賃貸借契約書(借家がある場合のみ) 【入手先:自宅など】
建物
- 登記簿謄本(全部事項証明書)【入手先:法務局】
- 固定資産税評価証明書 【入手先:市区町村役場(所)の資産税課、東京都23区は都税事務所】
- 賃貸借契約書(賃貸の場合のみ) 【入手先:自宅など】
株式や投資信託を相続する場合に必要な書類一覧
株式や投資信託などに関わる財産を相続した場合には以下の書類が必要です。
上場株式・投資信託
- 証券会社の残高証明書 【入手先:契約している証券会社】
- 配当金の支払通知書 【入手先:自宅など】
非上場株式
- 過去3期分の決算書(勘定内訳書などの添付書類を含む) 【入手先:該当企業】
- 税務申告書(法人税・地方税・消費税) 【入手先:該当企業】
預貯金を相続する場合に必要な書類一覧
- 金融機関の預金残高証明書 【入手先:取引している金融機関】
- 被相続人の過去5年分の通帳のコピー 【入手先:自宅など】
- 定期預金の既経過利息計算書 【入手先:取引している金融機関】
生命保険金等を受け取る場合に必要な書類一覧
- 生命保険金支払通知書 【入手先:契約している生命保険会社】
- 生命保険証書 【入手先:自宅など】
- 解約返戻金のわかる書類 【入手先:契約している生命保険会社】
そのほかの資産を相続する場合に必要な書類一覧
- 自動車:車検証 【入手先:自宅など】
- ゴルフ会員権:会員権証書や証書 【入手先:自宅など】
- 死亡退職金:退職金の支払通知書か源泉徴収票 【入手先:自宅または勤務先】
- 貴金属など:購入時期や購入金額など(査定額でもOK) 【入手先:自宅など】
特例や控除を受ける際には別の書類が必要
相続税の税額控除や特例の適用を受ける際には、それぞれに応じた書類が必要になってきます。ここではとくに適用を受けるケースの多い「小規模宅地等の特例」と「配偶者控除」に関して必要な書類を取り上げます。共通する書類がありますが、両方の適用を受ける場合は一つだけでかまいません。
小規模宅地等の特例(特定居住用宅地等)の適用を受ける場合に必要な書類
- 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本等 【入手先:市区町村役場(所)】
(相続開始の日から10日を経過した日以後に作成されたもの) - 相続人全員の戸籍謄本 【入手先:市区町村役場(所)】
(相続開始の日から10日を経過した日以後に作成されたもの) - 遺言書又は遺産分割協議書の写し 【入手先:自身で作成】
- 相続人全員の印鑑証明書 【入手先:市区町村役場(所)】
(遺産分割協議書に押印したもの) - 申告期限後3年以内の分割見込書 【入手先:市区町村役場(所)】
(申告期限内に分割ができない場合に要提出) - 特例の適用を受ける宅地等を自己の居住の用に供していることを明らかにする書類(住民票など) 【入手先:自市区町村役場(所)】
※場合により他の資料が追加で必要
配偶者控除の適用を受ける場合に必要な書類
- 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本等 【入手先:市区町村役場(所)】
(相続開始の日から10日を経過した日以後に作成されたもの) - 相続人全員の戸籍謄本 【入手先:市区町村役場(所)】
(相続開始の日から10日を経過した日以後に作成されたもの) - 遺言書又は遺産分割協議書の写し 【入手先:自身で作成】
- 相続人全員の印鑑証明書 【入手先:市区町村役場(所)】
(遺産分割協議書に押印したもの) - 申告期限後3年以内の分割見込書 【入手先:自身で作成】
(申告期限内に分割ができない場合に要提出)
おわりに:相続する財産によって必要な書類が異なるので、しっかり把握しよう
相続税の申告は、相続をする財産の評価額が基礎控除額を上回った場合に行わなければなりません。その申告にあたっては「相続税の申告書」をはじめとするさまざまな書類を用意しなければならず、思いのほか時間がかかるものです。
申告の期限は被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内ですが、いざ相続が発生すると葬儀や法要などに追われて慌ただしくなるため、気づけば時間にゆとりがなくなっていたということも十分に考えられます。そのためにも申告手続きに必要な書類はある程度把握しておくことが大切といえるでしょう。
相続税の申告手続きに不安を覚える方は専門知識が豊富な税理士にご相談することをおすすめします。手続きに必要な書類に関して適切な助言を提供してくれるのはもちろん、節税に関するさまざまなアドバイスにも期待ができます。安心して手続きを進めるためにも税理士への相談をぜひご検討ください。
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陽⽥ 賢⼀税理士法人レガシィ 代表社員税理士 パートナー
企業税務に対する⾃⼰研鑽のため税理⼠資格の勉強を始めたところ、いつの間にか税理⼠として働きたい気持ちを抑えられなくなり38歳でこの業界に⾶び込みました。そして今、相続を究めることを⽬標に残りの⼈⽣を全うしようと考えております。先⼈の⽣き⽅や思いを承継するお⼿伝いを誠⼼誠意努めさせていただくために・・
武田 利之税理士法人レガシィ 代表社員税理士 パートナー
相続はご他界された方の人生の総決算であると同時にご遺族様の今後の人生の大きな転機となります。ご遺族様の幸せを心から考えてお手伝いをすることを心掛けております。
<総監修 天野 隆、天野 大輔税理士法人レガシィ 代表>
<総監修 天野 隆、天野 大輔>税理士法人レガシィ 代表
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