相続の知識

死亡届の書き方|提出に必要なものや申請手続きの流れも解説

身内の方が亡くなった際は、さまざまな手続きが発生します。「死亡届の提出」もそのひとつですが、死亡届には決まった書き方があり、提出期限も定められているため注意が必要です。
本記事では、死亡届の書き方や入手方法、提出先、その他の各種手続きなどについて解説します。

死亡届とは

「死亡届(死亡届書)」とは、個人の死亡を公に証明する書類です。親族や同居人などが亡くなった際に手続きが発生し、期日までに役所へ書類を提出しなくてはなりません。

また身内の方が亡くなると、遺族は死亡届の提出以外にもさまざまな手続きを行わなくてはなりません。公的年金や保険会社などで手続きを行う際に死亡届の提出が求められることもあるため、死亡届を役所に届け出る前に、何枚かコピーしておくと手続きがスムーズです。

もしコピーし忘れてしまった場合でも、死亡証明書(死亡届の写し)を役所もしくは法務局で後から発行することもできます。ただし死亡届の提出先によって申請先が変わったり、申請できる人の要件などもあったりしますのでご注意ください。

死亡証明書については下記の記事で詳しく解説しています。

死亡届の手続きの流れ

死亡届の手続きの流れまずは、死亡届書の入手先や提出先、届出人の要件など、死亡届を提出する方法や流れについて確認していきましょう。

死亡届の入手先

病院で故人が死亡した場合、死亡届は基本的に病院側が用意してくれますので、特別に用紙を準備する必要はありません。A3用紙の左半分が死亡届、右半分は死亡診断書(もしくは死体検案書)という医師が記入する用紙があり、死亡届と一対になった形でもらうことができます。そのため、右半分については、遺族の方が記入する欄はありません。
特殊な事情により自身で用意することになった場合には、法務省のサイトや役所の窓口でも入手できます。役所の窓口では、一般的に戸籍係が扱っています。

【参考】法務省『死亡届』

死亡届の届出人

死亡届の提出をする届出人は、故人の親族や同居人のほか、故人が住んでいた家の家主や地主、不動産(家屋または土地)の管理人などと、法律で定められています。

第八十七条 次の者は、その順序に従つて、死亡の届出をしなければならない。ただし、順序にかかわらず届出をすることができる。

第一 同居の親族

第二 その他の同居者

第三 家主、地主又は家屋若しくは土地の管理人

② 死亡の届出は、同居の親族以外の親族、後見人、保佐人、補助人、任意後見人及び任意後見受任者も、これをすることができる。

e-Gov法令検索『戸籍法』

なお、届出義務が生じる優先順位があるため覚えておきましょう。基本的には、「故人と同居していた親族→同居していない親族→その他の同居人→家主や地主・不動産の管理人」といった順です。故人が親族のほかに内縁の同居人と生活していたケースでも、親族が優先して提出するとされていますが、内縁の妻(同居人)も提出自体は可能です。
また、故人の後見人・補助人・保佐人・任意後見人・任意後見受任者なども死亡届の提出ができます。

死亡届の提出期限

死亡届は、死亡の事実を知った日から7日以内に届け出ることが、義務づけられています。正当な理由なく届出が遅れた場合には、5万円以下の過料支払いが命じられます。

ちなみに、故人が外国で亡くなった場合には、死亡の事実を知るまでに時間がかかるケースが少なくありません。そのため海外で亡くなった場合には、死亡の事実を知った日から3ヶ月以内の届出が必要と、国内で亡くなったときより期間が長く設けられています。

死亡届で必要なもの

死亡届の提出時には、届出人が記入した死亡届・医師が記入した死亡診断書(死体検案書)のほかに、念のため印鑑と届出人の身分証明書を用意しておきましょう。

以前は死亡届の記入欄に届出人の押印が必要でしたが、令和3年9月より戸籍法の改正によって、押印は廃止(任意)となりました。そのため、必ず持ってくる必要はありませんが、書類の記載内容に誤りがあった場合に訂正印は必要です。実印ではない印鑑(認印)でも問題ありませんが、シャチハタは認められていないので注意してください。

届出人の身分証明書は必須です。マイナンバーカードや運転免許証、パスポート・保険証など公的な身分証明書を忘れず持参しましょう。

死亡届の提出先

死亡届の提出先は、以下のいずれかの場所です。

  • 故人の本籍地または死亡地の役所
  • 届出人の住所地の役所

上記に該当しない役所の窓口へ書類を持参しても、受理してもらえないため注意しましょう。
よくあるミスが、故人の住所地の役所窓口へ提出しようとするパターンです。届出人の所在地を管轄する役所には提出できるものの、故人の所在地の役所には提出できないため、気をつけましょう。

死亡届の書き方

死亡届の用紙は先述した通り、A3サイズで左半分が死亡届、右半分が死亡診断書(死体検案書)となっています。大きく分けると、「故人の情報」と「届出人の情報」の2つに分かれています。
死亡届に記入が必要な項目は以下の通りです。

出典:法務省『死亡届(記載例)』

①提出日・提出先(役所名)

死亡届を提出する当日の日付と、提出先の役所名を記載します。提出直前に役所の記入コーナーで書いても良いでしょう。

②故人の氏名・性別・生年月日

亡くなった方の主な個人情報を記載します。氏名の漢字は、戸籍上の漢字を使用しましょう。生年月日は和暦で記入しましょう。
※生まれてから30日以内に亡くなってしまった場合は、生まれた時間も記入します。

③死亡日時・場所

亡くなった日時と場所を記載します。右半分の死亡診断書(死体検案書)を参照して記入しましょう。

④故人の住所と世帯主

亡くなった方の住民登録をしている住所地と、その世帯主を記載します。

⑤故人の本籍

亡くなった方の本籍地を記載します。本籍地は住民票の取得で確認できます。他の相続関連の手続きにも要するため、この機会に取得しておきましょう。

⑥故人の配偶者の有無

亡くなった方の配偶者の有無を記載します。配偶者がいる場合には、その年齢も併せて記入します。内縁の妻・夫の場合は戸籍上の配偶者ではないため、「いない」にチェックを入れましょう。

⑦故人の職業

亡くなった方の就労状況について、当てはまるものをチェックします。任意記入ですので、分からなければ未記入でも問題ありません

⑧届出人の住所・本籍・氏名

実際に死亡届を提出する届出人の情報を記載します。「筆頭者」というのは戸籍上で使われる言葉で、戸籍の先頭に書かれている人のことです。基本的には夫(父親)となることが多いと思われますが、例外もありますので確認しましょう。

【欄外記入】火葬場の名前・届出人の続柄

届書には欄がありませんが、役所で必ず尋ねられることとして、「火葬場の名前」と「届出人の欄に記載した方と故人との続柄」がありますので、書類最下部の欄外等に記載しておきましょう。

死亡届以外の手続き例

故人が亡くなった際には死亡届の提出以外にもさまざまな手続きが発生します。主な公的手続きは以下の通りです。

火葬許可証の発行

故人の火葬には居住している市町村および特別区の首長の許可が必要なため、火葬許可証の発行が必要です。基本的には死亡届を提出した際に、併せて役所で入手できる「火葬許可申請書」の提出をすると発行してもらえますが、死亡届の提出と同時に火葬許可証を発行してくれる自治体もあります。なお、申請書が必要な場合であっても窓口にて申請書を記入するだけなので、特別な準備は必要ありません。

住民票の世帯主変更届の提出

世帯主が亡くなり、同居していた身内の方などが新たな世帯主となる場合に必要な届出です。世帯主の死亡から14日以内に手続きしなくてはなりません。もし期限を過ぎれば住民基本台帳法違反となり、5万円以下の科料に処せられます。

国民健康保険 被保険者資格喪失届の提出

故人が国民健康保険の被保険者であった場合は、故人の死亡から14日以内の手続きが必要です。

年金受給停止の申請

故人が年金受給者であった場合には、年金受給停止の手続きを10~14日以内に行う必要があります。こちらも届出の義務を怠った場合は国民年金法違反により10万円以下の科料となるため、速やかに届け出てください。

相続税の申告および納税

故人の遺産総額が相続税の基礎控除額を超える場合は、死亡を知った翌日から10か月以内に相続税の申告と納税を行う必要があります。

身内の方が亡くなったあとにする手続きのスケジュールについては、下記の記事もご覧ください。

おわりに:死亡届はコピーをとって、7日以内に必ず提出しよう

死亡届は故人が亡くなった際に必ず提出が必要な届出です。提出を怠ると罰則の対象になるので、忘れず提出しましょう。また、故人の死亡後には死亡届の提出のほかにも各種手続きが必要です。
中には7日以内や14日以内といった期限が設定されているものもあるので、注意してください。

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この記事を監修した⼈

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陽⽥ 賢⼀税理士法人レガシィ 代表社員税理士 パートナー

企業税務に対する⾃⼰研鑽のため税理⼠資格の勉強を始めたところ、いつの間にか税理⼠として働きたい気持ちを抑えられなくなり38歳でこの業界に⾶び込みました。そして今、相続を究めることを⽬標に残りの⼈⽣を全うしようと考えております。先⼈の⽣き⽅や思いを承継するお⼿伝いを誠⼼誠意努めさせていただくために・・

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武田 利之税理士法人レガシィ 社員税理士

相続はご他界された方の人生の総決算であると同時にご遺族様の今後の人生の大きな転機となります。ご遺族様の幸せを心から考えてお手伝いをすることを心掛けております。

<総監修 天野 隆、天野 大輔税理士法人レガシィ 代表

<総監修 天野 隆、天野 大輔>税理士法人レガシィ 代表

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