相続の知識

死亡証明書(死亡届の写し)の取得方法や期限について解説

死亡証明書(死亡届の記載事項証明書)は、市区役所、町村役場へ死亡届を提出したことを証明する書類です。相続人が亡くなった方(被相続人という)の遺族年金などを請求する際に必要となります。この項目では、どんな目的で、いつ取得するのか、またどのように取得するのか詳しく解説します。

「死亡証明書」とは?

家族や同居人が亡くなった際、同居人や親族、土地・家屋の管理人は故人の本籍地か死亡地、届出人の住所地の市役所町村役場へ「死亡届」を提出しなければなりません。死亡の事実を知った日から7日以内に届け出ることは法律で義務づけられているからです。正当な理由なく届出が遅れた場合には、戸籍法によって5万円以下の過料支払いが命じられます。

この「死亡届」の記載事項証明書が俗に「死亡証明書」と言われているものであり、「死亡証明書」は書類の正式名称ではありません。市区町村役場(所)へ提出した死亡届のコピーの下部の余白欄に日付印・市長印・公印を押印したもので、死亡届の提出を証明する書類となります。「死亡届の写し」とも呼ばれます。

「死亡証明書」は法律により原則として非公開ですが、法令で認められた特別な理由がある場合は一定の利害関係者に対して公開・発行されます。

特別な理由一例

  • 遺族年金の請求
  • 労働災害保険(公務災害)の請求
  • 郵便局簡易保険 死亡保険金の請求

「死亡証明書」と「死亡診断書」は違う

「死亡証明書」は「死亡診断書」と混同しがちですが、異なるものです。「死亡診断書」は、人が亡くなった場合に医師(病院)から発行してもらう書類で、人間の死亡を医学的・法律的に証明するものです。亡くなった人を診療してきた、または死亡を確認した医師が、死亡日時、場所、死亡に至るまでの過程と死因(病名)を可能な限り詳細に記します。これが「死亡診断書」です。
死亡診断書の発行は保険診療ではないため、定まった料金はありません。医療機関が独自に決められるため、1,000円から2万円程度まで幅があります。平均すると5,000円程度です。

医師から受け取った「死亡診断書」は、用紙の片側半分が「死亡診断書」、もう半分が「死亡届」となっています。つまり、「死亡診断書」と役所へ提出する「死亡届」はセットになっているのです。
役所に提出する「死亡届」は、この「死亡診断書」と一緒に提出します。「死亡診断書」がないと、葬儀や火葬などの手続きを進めることができません。また、亡くなった人は法的には生存しているとみなされるため、火葬や埋葬をすることはできません。そのため課税や年金の支給も継続することになります。
「死亡届」は、必要事項を記入したうえで署名・捺印(認印)し、「死亡診断書」とともに、次の①~③のいずれかの市区役所または町村役場へ提出します。

①故人の死亡地
②故人の本籍地
③届出人の居住地または住民登録している住所地

死亡届の記入者は、遺族、親族、同居人、家主などの関係者(届出義務者)でなくてはなりません。なお、このとき提出する死亡届と死亡診断書は返却されません。
先に述べたとおり、死亡証明書は「死亡届の写し」のことです。つまり、死亡証明書は、ある人の死亡届を役所に提出したことを証明するものなのです。

なぜ「死亡証明書」が必要なのか

「死亡証明書」は、法令によってその提出が義務づけられている公的年金や遺族補償金などの請求に使われます。具体的には、遺族基礎年金や遺族厚生年金、遺族共済年金、郵便局簡易保険(現かんぽ生命)の死亡保険金(郵便局の民営化前の契約で証書上の保険金額が100万円を超えるもの)などを請求する場合に用いられます。

以下に記すのが、法令によって死亡証明書の提出が義務づけられているものです。なお、死亡証明書の提出の代わりに死亡診断書のコピーの提出でも認められる場合があります。

請求の内容 法令の条文
郵便局簡易生命保険(現かんぽ生命) 保険の種類ごとの約款(郵政民営化以前)による
国民年金遺族基礎年金の請求 国民年金法施行規則第 39 条第 3 項第 7 号
遺族厚生年金の請求 厚生年金保険法施行規則第 60 条第 3 項第 4 号
船員保険遺族年金の請求 船員保険法施行規則第 81 条第 3 項第 2 号
地方公務員等共済組合基礎年金の請求 地方公務員等共済組合法施行規程第 134 条第 2 項第 3 号
国家公務員共済組合遺族年金の請求 国家公務員共済組合法施行規則第 114 条の 26 第 2 項第1号
私立学校職員遺族共済年金の請求 私立学校教職員共済法施行規則第 33 条の 6 第 2 項第 3 号
農林漁業団体職員遺族年金の請求 農林漁業団体職員共済組合法施行規則第 41 条第 2 項第 1 号
労働者災害補償保険法の未支給の保険給付の請求 労働者災害補償保険法施行規則第 10 条第 3 項第 1 号
労働者災害補償保険法の遺族補償年金の請求 労働者災害補償保険法施行規則第 15 条の 2 第 3 項第 1 号
労働者災害補償保険法の遺族一時金の請求 労働者災害補償保険法施行規則第 16 条第 3 項第 3 号イ
労働者災害補償保険法の葬祭料の請求 労働者災害補償保険法施行規則第 17 条の 2 第 3 項
労働者災害補償保険法の遺族特別支給金の請求 労働者災害補償保険特別支給金支給規則第 5 条第 6 項第 1 号

死亡証明書を取得・申請するタイミングと期限

死亡証明書はいつ取得・申請すればよいのか、そのタイミングと期間を説明します。

取得するタイミング

死亡証明書は、被相続人の遺族年金、郵便局簡易生命保険(現かんぽ生命)などを請求する際に取得できます。
取得できるタイミングは、死亡届を提出してからです。遺族基礎年金や遺族厚生年金の場合、配偶者が亡くなったときから受給が始まるため、できるだけ早く手続きをしましょう。
たとえば遺族年金の申請期間は5年です。受け取ることができる要件を満たしていても、何も手続きしないで5年を過ぎてしまうと、時効で受け取ることができなくなってしまうので注意してください。

遺族年金について詳しく知りたい方は下記の記事もご覧ください。

取得の期限

死亡証明書の期限は、死亡届を提出した役所によって異なります。その理由は、保存期間が異なるからです。

1 死亡届を提出した先が故人の本籍地の市区役所町村役場である場合

死亡届を出してから約1カ月以内であれば、届けを出した市区町村役場で受け取ることができます。1カ月以上経過すれば、死亡届は本籍地を管轄する法務局に移管されるため、法務局へ請求します。法務局での保存期間は27年間です。

2 死亡届を提出した先が故人の本籍地以外の市区町村役場に死亡届を出した場合(故人の 死亡地、届出人の居住地または住民登録している住所地の市区役所)

死亡届を出してから約1年間は、届けを出した市区役所町村役場で請求をすることができます。1年以上経過すれば、死亡届は本籍地を管轄する法務局に移管されるため、法務局へ請求します。
※死亡届の保管期間は市区町村によって多少異なります。死亡届を出した役所に電話で確認してみましょう。

取得できる場所

死亡証明書は、死亡届を提出した市区町村役場(所)で取得できます。ただし、一定期間を過ぎると本籍地を管轄する法務局での取得になります。

取得に必要な書類等

死亡証明書の取得に必要な書類は以下のものです。

  • 年金証書や簡易保険証書、遺族年金請求書など、故人が加入していたことを証明する書類
  • 申請する人本人を確認できるもの(運転免許証、マイナンバーカード、パスポート、保険証など)
  • 利害関係人であることがわかる戸籍謄本
  • 代理人が請求するときは、請求者が代理人あてに書いた委任状が必要
  • 印鑑

取得にかかる費用

市区役所町村役場で取得する場合……1通につき350円
法務局や地方法務局で取得する場合……無料

取得できるのは利害関係者

死亡証明書を取得できるのは、死亡届の届出人や死亡者の親族などの利害関係人かつ特別な理由がある人と定められています。弁護士や行政書士など代理人の場合は、利害関係人の委任状が必要です。
なお、単に財産上の利害関係をもつにすぎない人は請求できません。

利害関係者は誰を指すのか

利害関係者は誰を指すのか

利害関係者とは、死亡届を提出した人や死亡した人の親族で、この場合の親族とは配偶者、6親等内の血族及び3親等内の姻族を指します。

おわりに:死亡証明書は「死亡届の記載事項証明書(死亡届の写し)」のこと

死亡届の記載事項証明書(死亡証明書)は、故人の死亡届を市区役所町村役場へ提出したことを証明する「死亡届の写し」のことです。特別な理由がある場合(法令で認められた使用目的)のみ、利害関係者(故人の親族)か親族の代理人が申請できます。
特別な理由とは、遺族年金等の請求に用いることです。遺族基礎年金や遺族厚生年金の支給は、条件を満たしていれば配偶者が亡くなった日の翌月から始まります。そのためできるだけ早く死亡証明書を取得し、年金事務所で手続きをしましょう。

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この記事を監修した⼈

陽⽥ 賢⼀

陽⽥ 賢⼀税理士法人レガシィ 代表社員税理士 パートナー

企業税務に対する⾃⼰研鑽のため税理⼠資格の勉強を始めたところ、いつの間にか税理⼠として働きたい気持ちを抑えられなくなり38歳でこの業界に⾶び込みました。そして今、相続を究めることを⽬標に残りの⼈⽣を全うしようと考えております。先⼈の⽣き⽅や思いを承継するお⼿伝いを誠⼼誠意努めさせていただくために・・

武田 利之(税理士)

武田 利之税理士法人レガシィ 社員税理士

相続はご他界された方の人生の総決算であると同時にご遺族様の今後の人生の大きな転機となります。ご遺族様の幸せを心から考えてお手伝いをすることを心掛けております。

<総監修 天野 隆、天野 大輔税理士法人レガシィ 代表

<総監修 天野 隆、天野 大輔>税理士法人レガシィ 代表

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