相続税の申告なら相続専門税理士法人レガシィ【公式】

相続の知識

公正証書遺言の証人は誰に依頼できる?条件や該当者がいない場合の解決策についても解説

もし自分が亡くなった後、大切な家族が遺産について揉めてしまうとしたら悲しいものです。遺言を作成しておくことは、そのような事態を避ける助けになるでしょう。
なかでも、公正証書遺言は無効になるケースが少ない形式の遺言として知られています。作成を検討する際に知っておくべき、証人の役割や条件、作成の流れについて解説します。

公正証書遺言の証人とは

公正証書遺言とは、公証人に作成してもらう遺言書のことを指します。
遺言には主に、遺言を残す本人が自分で作成する「自筆証書遺言」と、公証人が作成する「公正証書遺言」があります。後者の場合、公証人とは別に証人を2名探してきて、遺言書の作成時に立会ってもらわなければなりません。

公正証書遺言の証人の役割は、

  • 遺言者に人違いがないか
  • 認知症などにかかっておらず、正常な判断力をもって自分の意思で遺言しているか
  • 遺言が遺言者の真意を正しく反映したものとなっているか

を確認することです。これらを証人が立ち会って確認することによって、公正証書遺言の客観性が証明され、確実で信頼できるものになります。

また遺言者が亡くなった後、相続人同士で遺産相続争いなどが起こった場合に、遺言書の有効性が焦点になってくることがあります。そのような場合に証人は、裁判で有効性を証言するよう求められます。

証人になれない人

2名の証人を誰にするかは、遺言作成者が決めることができます。ただし、誰でもよいというわけではありません。証人になる資格がない人のことを、「欠格者」といいます。
欠格者に間違って証人を依頼してしまった場合、せっかく労力をかけて作った遺言が無効になってしまうので、誰を証人に選ぶかは注意して慎重に決める必要があります。
とはいえ、証人になるために特別な資格は必要なく、欠格者に該当しなければ、親族に依頼することもできます。
欠格者は法律で決められていますので、それ以外の人の中から選んで依頼しましょう。

公正証書遺言の証人の資格がない人

  • 未成年者
  • 受遺者(遺言により財産を取得する人)
  • 推定相続人
  • 推定相続人や受遺者の配偶者や直系血族
  • 公証人の配偶者、四親等内の親族、書記、使用人

未成年者は判断能力の点で難しいため欠格者となります。
その他、証人になった場合に公正さを保てない立場の人や、遺言書のチェック機能が働きにくくなる配偶者などの身近な人には依頼できません。これらの人を避けて証人を選ぶ必要があることを覚えておくとよいでしょう。

公正証書遺言の効力

次に、公正証書遺言の効力について解説していきます。自筆証書遺言とどこが違い、どのような効力があるのでしょうか。

第三者の確認が入らず、自分だけで書く自筆証書遺言は、形式の不備などを理由に無効になるケースがあります。それに比べて、公正証書遺言は法律に通じた公証人が作成するため、形式不備による無効はほとんどありえません。
いずれの方式でも、本人が認知症になっていた場合など遺言能力がなかったとみなされると、後々無効になることはありえます。しかし、公正証書遺言は公証人や証人2人という第三者が介在しているため信頼性が高く、自筆証書遺言に比べ無効になりにくいといえます。

また、作成した遺言書をどこに保管するかも重要ですが、自宅に保管していると、うっかり紛失したり、間違って破棄したりすることが考えられます。また、自分が書いた遺言書を、利害関係のある相続人が改ざんしてしまう恐れもあります。加えて、そもそも遺言書を書いた本人が保管場所を忘れてしまったり、相続人が発見できないようなところに保管してしまったりすることでせっかくの遺言書が見つからなかったというトラブルも多く発生しており、これらが自筆証書遺言のリスクと言えるでしょう。

公正証書遺言の場合は原本、正本、謄本を作成し、原本を役場に保管するため、もし万が一紛失してしまった場合も公証役場で検索できます。しっかり管理されるため、不正に改ざんされることもなく安心です。

公正証書遺言の証人に適した人とは?

証人になれない人が法律で決められているため、それ以外から選ぶことになりますが、実際には誰を選んだらよいのか、悩まれるかもしれません。遺言者にとって身近な人である配偶者や子どもに頼みたくなるかもしれませんが、欠格者なので頼めませんし、それ以外となると頼める人がなかなか思い浮かばないというケースもあるでしょう。

証人を探す方法はいくつかあります。

  • 自分で探してくる
  • 弁護士や司法書士などの専門家に依頼する
  • 公証人役場に証人を紹介してくれるよう依頼する

自分で探してくる場合、欠格者以外であれば親戚などでも構わないのですが、以下のような人は避けたほうがよいでしょう。

  • 信頼できない人
  • 自分の財産などプライベートを知られたくない人
  • 口が軽く、話してしまう可能性のある人

秘密にしておいてほしいとお願いしたにもかかわらず、いつの間にかまわりの人に大切な情報が漏れてしまうのは不快なものです。これらに該当しそうな知り合いに依頼するのは避けたほうがよいでしょう。

自分で探すのが難しい場合は、費用が発生するものの公証役場に紹介してもらうこともできます。または、弁護士や司法書士、相続専門の税理士などの専門家に依頼するなら、依頼人の秘密を守るように法律で定められていますし、客観性や専門的な知識があるため安心です。

証人に課せられる役割と責任

証人になった人は、遺言書作成の日に公証役場に行って、公証人が作成して読み上げた遺言書の内容が、遺言者の口述した内容と合っているかを確認し、署名捺印を行います。
当日の持ち物は「本人確認書類」と「印鑑(シャチハタは不可)」が必要ですので、用意して持参します。
遺言書作成当日の役割はこれだけですが、作成後も証人としての責任を負うことになります。

通常は問題ありませんが、相続人同士で遺産相続をめぐって争いが起こった場合には、裁判所に出廷して公正証書遺言の有効性を証明するための証言をしなければならなくなることもあります。
裁判所への出頭要請があった場合、正当な理由がない限り欠席は認められません。違反した場合の罰則もあります。そのため、証人を依頼する際は責任感のある人かどうか慎重に判断しましょう。

公正証書遺言作成の流れ

それでは、実際に公正証書遺言を作成するまでの流れを解説していきます。

1.遺言内容を決める

遺言の内容が決まらないと遺言書が作成できません。まずは現状を把握するところから始めます。どんな種類の財産がどれくらいあるかを確認します。
預貯金の他、不動産や株式を整理する必要があります。

  • 貯金は通帳などで残高を確認
  • 不動産は毎年自宅に届く「固定資産税納税通知書」の内容を確認
  • 株式は毎年自宅に届く「取引残高報告書」の内容を確認

財産の把握ができたら、次は自分の気持ちを整理して、誰にどの財産を渡したいかを決めます。
その際、現時点で持っている財産が将来も同じだけ残っているか定かではないため、金額ではなく割合を決めるようにしましょう。

OK例:長男、長女に全財産を等分
NG例:長男、長女に現金でそれぞれ1,000万円ずつ

2.公正証書遺言を作成するための書類を準備する

遺言書の内容が決まったら、公正証書遺言を作成するための書類を用意します。
主に以下のような書類が必要になってきますが、内容によって必要書類は変わってきますので、弁護士などの専門家や公証人と相談しながら、準備してください。

  • 遺言者の実印、印鑑証明書など
  • 戸籍謄本(遺言者と相続人の関係を確認するため)
  • 証人の印鑑、住民票など
  • 相続財産の資料(不動産登記簿謄本、有価証券証明書、通帳など)

原案と必要書類の準備ができたら、公証役場に提出して公正証書遺言の作成日を予約します。

3.公証人との事前協議

原案は遺言者が作成しますが、公証人には事前に公開し、公証人と相談しながら遺言内容が遺言者の意思を反映したものになるように修正していきます。

4.作成日程と証人の決定

遺言書作成の日時を公証人と相談して決定し、遺言者は当日立ち会ってくれる証人を2名選びます。先述したように、自分で心当たりがない方は、専門家や公証人役場への依頼を検討しましょう。

5.作成当日の読み聞かせと署名捺印

あらかじめ決めた日時に遺言者、公証人、証人2名が集まって、作成した遺言書を公証人が読み上げます。内容に間違いないことを確認できたら、遺言者と証人2名がそれぞれ署名捺印を行います。
証人は認印で構いませんが、遺言者は実印が必要です。印鑑証明で確認を取って、公証人が公証文言を記入して署名捺印をすれば、公正証書遺言が完成します。

完成後は公証役場で原本が保管され、データーベースで管理されるので、必要なときには公証役場で確認できます。

公正証書遺言の作成にかかる費用

次に、公正証書遺言を作成する場合にどれくらいの費用がかかるのでしょうか。以下、必須の費用と、状況によって必要な費用に分けて解説します。

(1)必ずかかる費用

  • 公正証書の作成費用(公証人手数料):概ね4万~12万円(下記を参照)
  • 必要書類の準備費用・・・1千円~5千円

必要書類は戸籍謄本や印鑑証明などで、それらの発行に1通300円〜600円程度かかるため、例えば不動産を複数持っている場合などは、その分だけ書類発行の手数料が増えるでしょう。

また、上記の公正証書の作成費用(公証人手数料)は法律によって決められており、全国どこの公証役場で作成しても同じですが、相続(遺贈)する財産額が増えるほど手数料も高くなります。
詳細は以下の通りです。

遺言に記載する財産額 手数料
100万円以下 5,000円
100万円超~200万円 7,000円
200万円超~500万円 11,000円
500万円超~1,000万円 17,000円
1,000万円超~3,000万円 23,000円
3,000万円超~5,000万円 29,000円
5,000万円超~1億円 43,000円
1億円超~3億円 43,000円に超過額5,000万円までごとに13,000円を加算
3億円超~10億円 95,000円に超過額5,000万円までごとに11,000円を加算
10億円超~ 249,000円に超過額5,000万円までごとに8,000円を加算

注意点として、上記の手数料は、相続・遺贈を受ける人ごとにかかります。
また、財産の合計が1億円以下の場合は、「遺言加算」として11,000円が必要です。

【出典】日本公証人連合会 公証事務

たとえば、妻に2,000万円、長男に4,000万円、長女に1,000万円相続させる旨記載する場合は、以下のような計算になります。
23,000円(妻)+29,000円(長男)+17,000円(長女)+11,000円(遺言加算)=80,000円

(2)ケースによってかかる可能性のある費用

  • 公証人が出張する場合の費用(上記の公正証書作成費用の50%加算、さらに日当や交通費など):3万~8万円
  • 証人を依頼する場合の日当(2人分):1万~3万円(4時間以内なら1万円で済む場合もあり)
  • 弁護士など専門家に依頼する費用:10万~20万円

(2)の費用は、自分で対応できれば不要になります。

  • 公証人が出張する場合の費用

遺言者が病気や体調不良などで公証役場に出向いての遺言書作成ができないとき、自宅や病院などに来てもらう場合の費用です。

  • 証人を依頼する場合の日当

証人を自分で探してくることができない場合、公証役場や専門家に証人を用意してもらえますが、費用がかかります。

  • 弁護士など専門家に依頼する費用

弁護士や司法書士、行政書士、税理士などに遺言書について相談したり、作成を依頼したりする場合にかかる費用です。財産額や遺言書の内容、証人の準備などのサービス内容によって金額が変わります。

頼める証人がいない場合は?専門家に相談するメリット

ここまでご紹介した通り、公正証書遺言は信頼性が高く、無効になりにくい形式の遺言です。そのため、自筆遺言書より手間と費用はかかりますが、作成することによる安心感は高いでしょう。

しかし、遺言者自らが証人を2名用意しなければならない点がハードルになるのも事実です。
欠格者ではない証人を自分の知り合いのなかから2名探すこと自体なかなか骨が折れることです。前述の通り証人には責任が生じるため、相手から断られることもあるでしょう。引き受けてくれた場合は、何らかの謝礼を払うことも考える必要があります。
また、証人の選定によっては、まわりに知られたくない遺言の内容が漏洩してしまう恐れもゼロではありません。
このように、遺言者にとって証人を探すのは精神的負担が大きいため、費用をかけても公証役場で紹介してもらったり、弁護士や司法書士、行政書士、税理士などの専門家に依頼したりするほうがよいと感じる方もいます。

また、遺言書の作成において、公証人は遺言者の希望通りに遺言を作成してくれますが、遺言書の内容を検討する段階で、相続トラブルを防止するためのアドバイスなどはしてもらえません。
その点、弁護士や相続に詳しい税理士などの専門家に依頼すれば、遺言者の財産評価から遺言書作成のアドバイス、節税シミュレーションのうえで遺産分割に関する相談などにも乗ってもらえます。必要書類の準備や、証人の用意をしてくれるサービスもありますので、遺言書の作成で迷ったり悩んだりしたら専門家に依頼することを検討しても良いのではないでしょうか。

おわりに:条件に則って、信頼できる証人を選定しよう。不安があれば専門家に相談を。

公正証書遺言の証人について、満たすべき条件や証人の役割、遺言作成の流れと実際にかかる費用について解説しました。証人を探すのが困難な場合は、公証役場に紹介を頼んだり、弁護士や税理士など専門家に依頼したりすることも可能なので、心配はいりません。

相続税申告で日本最大級の実績を誇る税理士法人レガシィは、公正証書遺言作成支援サービスも展開しています。税務的視点からの遺言書作成のアドバイスや原案下書き、証人としての立会いまでお手伝いできます。土地評価に強く、相続税額を抑えるノウハウも持っていますので、ぜひお気軽にご相談ください。

当社は、コンテンツ(第三者から提供されたものも含む。)の正確性・安全性等につきましては細心の注意を払っておりますが、コンテンツに関していかなる保証もするものではありません。当サイトの利用によって何らかの損害が発生した場合でも、かかる損害については一切の責任を負いません。利用にあたっては、利用者自身の責任において行ってください。

詳細はこちら
この記事を監修した⼈

陽⽥ 賢⼀

陽⽥ 賢⼀税理士法人レガシィ 代表社員税理士 パートナー

企業税務に対する⾃⼰研鑽のため税理⼠資格の勉強を始めたところ、いつの間にか税理⼠として働きたい気持ちを抑えられなくなり38歳でこの業界に⾶び込みました。そして今、相続を究めることを⽬標に残りの⼈⽣を全うしようと考えております。先⼈の⽣き⽅や思いを承継するお⼿伝いを誠⼼誠意努めさせていただくために・・

武田 利之(税理士)

武田 利之税理士法人レガシィ 社員税理士

相続はご他界された方の人生の総決算であると同時にご遺族様の今後の人生の大きな転機となります。ご遺族様の幸せを心から考えてお手伝いをすることを心掛けております。

<総監修 天野 隆、天野 大輔税理士法人レガシィ 代表

<総監修 天野 隆、天野 大輔>税理士法人レガシィ 代表

無料面談でさらに相談してみる