人生100年時代とは?これから起きる変化、生き方について解説
Tweet「人生100年時代」という言葉を聞いて、長生きできる期待よりも漠然とした不安を強く感じてしまう方も多いのではないでしょうか。実際、長寿化には老後の生活資金の確保、親の介護、子どもへの資産承継など、多くの問題が伴います。本記事では、人生100年時代の概要をはじめ、そこで生じる問題と、どのような対策ができるかについて解説します。
目次
人生100年時代とは
「人生100年時代」とは、平均寿命が延伸し、多くの人が100歳まで生きるようになった時代を指します。ここでは、人生100年時代は誰の言葉なのか、また日本における長寿化の傾向を、その根拠と共に解説します。
言葉の発祥
「人生100年時代」は、ロンドン・ビジネススクールのリンダ・グラットン教授が『LIFE SHIFT』という著書で提唱した言葉です。この著書で氏は、2007年生まれ以降の人は半数以上が100年以上生きると推計し、長寿化する社会での働き方や生き方を説いています。
例えば、現在の平均寿命は概ね80歳前後であり、それに応じて人生設計も80年を基準に想定しているのが一般的です。具体的には、ライフステージを3つに分けた場合、「教育20年、仕事40年、老後20年」が基本的に想定されています。
しかし、寿命が20年延びると、この人生設計にも大きな変化が生じることは避けられません。
「教育20年、仕事40年、老後40年」という形で、単純に伸びた寿命分を老後期間に上乗せするだけでは、就労期間と老後期間が一緒の長さになり、個人レベルでも社会レベルでも大きな経済的問題が生じてしまいます。お金の問題を度外視しても、20年という時間は無目的・無計画に過ごすには長すぎる期間です。
そのため、人生100年時代の到来にあたっては、従来のライフプランニングにとらわれない生き方を検討する必要があります。
日本における長寿化の傾向
人生100年時代の到来は単なる空想ではなく、しっかりした根拠に基づいたものです。
例えば内閣府「令和6年版高齢社会白書」によると、2022年(令和4年)時点での日本の平均寿命は、男性が81.05歳、女性が87.09歳と報告されています。また、同資料の将来推計では2070年(令和52年)時点で、男性が85.89歳、女性が91.94歳になる見込みです。
このデータからも窺えるように、世界でも長寿国として有名な日本では、100歳前後まで生きることが、もはや珍しいとは言えない状況になりつつあります。
内閣府|令和6年版高齢社会白書 第1章 高齢化の状況(6ページ参照)
人生100年時代|これから起きる変化について
人生100年時代の到来にあたっては、大きく分けて「教育・働き方・資産形成」という3つの分野で変化が生じると考えられます。詳しくは以下のとおりです。
教育の変化
人生100年時代では、年齢に関係なく学び続けることが大切になると考えられます。
従来の人生設計は、20歳頃までに教育を済ませ、その知識を土台に残りの60年を生きるというものでした。しかし、人生100年時代だと、子どもの頃に受けた教育は老人になった頃には100年近く前の知識ということになってしまいます。
ただでさえ現代は、グローバル化やIT技術の進化などに伴い、知識や価値観のアップデートが強く要求される時代です。こうした状況では、人生の初めの20年で得た知識だけで残りの人生を生きていくのが難しくなります。
こうした事情から昨今では、就労後も個々人の希望や必要に応じて教育機会を適宜設ける「リカレント教育」という考え方が注目を集めています。
働き方の変化
就労期間の延長や働き方の多様化も想定される変化です。
特に日本の場合、従来は新卒などで就職した企業で60歳の定年まで勤め上げ、老後は退職金や年金で過ごすといったライフプランが主でした。しかし、人生100年時代では寿命が20年長くなる分、老後に必要な生活資金の額も大きくなります。また、定年退職してもまだまだ元気で、外に出て働きたい意欲を持っている方も多いはずです。
そのため、人生100年時代では、従来型の「60歳定年→老後」というライフプランではなく、時代の変化に合った働き方が必要となってきます。具体的には、「定年年齢の引き上げ」や「定年後の再雇用・シニア起業・アルバイト」などが想定されます。加えて、キャリア形成についても、副業をしたり、リスキリングをして新しい分野へ挑戦したりと、幅広い選択肢を持つことが重要です。
資産形成の変化
前段でも触れたように、人生100年時代では人生を生き抜くために必要な資産も変化すると考えられます。しかも、これは単に「より多くのお金が必要となる」ことだけを意味するのではありません。
そもそも資産は大別すると、「有形資産」「無形資産」の2種類に分けられます。
有形資産:貯蓄、土地・建物などの資産
無形資産:健康、知識、スキルなどの資産
人生100年時代においては、長い人生をできるだけ不自由なく生きるために、有形資産(貯蓄などの備え)と共に、健康やスキルといった無形資産の重要性も増すと考えられます。しかし、これこそがまさに、人生100年時代に対して多くの方が抱える不安の源泉でもあります。
人生100年時代の生き方
人生100年時代を幸福に生きるためには、特に以下の点を意識することが大切です。
- 健康の維持
- 金銭的な備え
- ウェルビーイングを意識
健康の維持
人生100年時代を有意義に生きるためには、単に寿命を延ばすだけでなく「健康寿命」を意識することが大切です。健康寿命とは、医療や介護に頼らず自立して生活できる期間を指します。例えば2019年時点での日本人の健康寿命は以下のとおりです。
男性の健康寿命:約73歳(平均寿命は約81歳)
女性の健康寿命::約75歳(平均寿命は約87歳)
健康寿命を延伸するためには、バランスの取れた食事や適度な運動、予防診療の定期受診など、健康的な生活習慣を心がけることが大切です。健康寿命と平均寿命の差を縮めることは、より質の高い人生を実現すると共に、医療費や介護費用などの経済的負担を軽減することにもつながります。
金銭的な備え
先述の通り、定年後の生活を支えるために、金銭的な備えをしておくことも求められます。この際に注意したいのは、平均寿命と健康寿命の差異を意識し、生活費以外に医療費や健康維持費の確保も考えておくことです。
自分にとって快適な生活水準を維持しようとすると、年金や退職金だけは不足する可能性があります。老後資金を確保するためには、堅実な貯蓄だけでなく、余剰資金を資産運用して、お金を効率的に増やす工夫をするのがおすすめです。また、会社が許可しているなら副業を通じて収入源を多様化し、定年後にアルバイトをして収入を得ることも選択肢として考える価値があります。
ウェルビーイングを意識
健康やお金は大切ですが、これらはあくまで「ウェルビーイング」を実現するための一要素にすぎないことを意識するのも大切です。ウェルビーイングとは、身体的・精神的・社会的に満たされた状態を指します。簡単に言えば、総合的に見て「幸福に生きている状態」のことです。
どのような状態を幸せと感じるかは人それぞれ異なります。持病に苦しみながらも、献身的に看護してくれる家族に感謝し、「自分は恵まれている」と感じている方もいるかもしれません。また、報酬の出ないボランティア活動に大きなやりがいや充実感を感じている方も多いはずです。
幸福な人生を送るうえでは、お金や健康だけでなく、良好な人間関係や仕事・趣味への没頭、社会貢献の実感など多種多様な要素が関係します。老後の生活に不安を感じすぎて過度の節制や倹約をすることは、総合的なウェルビーイングを損ねる可能性もあります。健康や物質的な豊かさだけでなく、自分が何に幸せを感じるか、広い視点でウェルビーイングを考えるのが人生100年時代を生きるコツです。
ウェルビーイングについては以下で詳しく解説しています。
人生100年時代に向けて、早めの対策を。
人生100年時代が到来すると、教育や働き方、資産形成などさまざまなことに変化が生じます。このような新しい時代を幸福に生き抜くためには、「ウェルビーイング」という視点の下で、健康維持や資産管理などへ積極的に取り組むことが大切です。
こうした準備を始めるのに早すぎることはありません。税理士法人レガシィの生前対策サービスでは、総合的な資産診断や安心プランニングの提供を通じて、相続や税金などに関する不安を解消します。
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人生100年時代、より豊かな人生にするためにぜひご検討ください。
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陽⽥ 賢⼀税理士法人レガシィ 代表社員税理士 パートナー
企業税務に対する⾃⼰研鑽のため税理⼠資格の勉強を始めたところ、いつの間にか税理⼠として働きたい気持ちを抑えられなくなり38歳でこの業界に⾶び込みました。そして今、相続を究めることを⽬標に残りの⼈⽣を全うしようと考えております。先⼈の⽣き⽅や思いを承継するお⼿伝いを誠⼼誠意努めさせていただくために・・
武田 利之税理士法人レガシィ 代表社員税理士 パートナー
相続はご他界された方の人生の総決算であると同時にご遺族様の今後の人生の大きな転機となります。ご遺族様の幸せを心から考えてお手伝いをすることを心掛けております。
<総監修 天野 隆、天野 大輔税理士法人レガシィ 代表>
<総監修 天野 隆、天野 大輔>税理士法人レガシィ 代表