相続の知識

AIと始める新しい遺言作成─終活をサポートするデジタル・アプリ活用術

近年、高齢化の進展とともに「終活」への関心が高まっています。終活とは、人生の最終段階に向けて、自分の財産や身の回りのこと、家族への想いなどを整理しておく取り組みです。お墓や葬儀の準備、医療・介護に関する希望、財産の整理、そして遺言書の作成など、内容は多岐にわたります。

これまで終活は、紙のノートや書類を使って進めることが一般的でした。しかし、スマートフォンやインターネットが日常生活に浸透した現在では、デジタル技術を活用して、より手軽に、継続的に終活を進める方法も広がりつつあります。

特に遺言書の作成は、「難しそう」「何から始めればよいかわからない」「家族にどう伝えればよいか悩む」といった理由から、後回しにされがちなテーマです。こうしたハードルを下げる手段の一つとして、AIやアプリを活用した遺言作成サポートが注目されています。

終活における遺言書の役割

「想い」を残す手段

遺言書は、自分の死後に財産をどのように承継してほしいかを、法的な形で残すための文書です。遺言書があることで、相続人同士の話し合いが進めやすくなり、相続トラブルの予防につながる場合があります。

また、遺言書には財産の分け方だけでなく、家族への感謝や、自分の考えを伝える「付言事項」を記すこともできます。法的な効果を直接持つ部分ではありませんが、遺された家族にとっては、故人の想いを受け取る大切なメッセージになることがあります。

 

遺言書作成が進みにくい理由

一方で、遺言書の作成にはいくつかのハードルがあります。
まず、遺言書は民法で定められた方式に沿って作成する必要があります。形式に不備があると、せっかく作成しても無効になる可能性があります。

次に、自筆証書遺言の場合、財産目録を除いて本文を自書する必要があり、高齢の方にとっては身体的な負担になることがあります。さらに、「遺言を書く」という行為そのものに心理的な抵抗を感じる方も少なくありません。自分の死後を具体的に考えることは簡単ではなく、必要性を感じていても、なかなか一歩を踏み出せないケースがあります。

 

デジタル技術が終活を身近にする

情報整理から始められるデジタル終活

デジタル終活というと、デジタル資産やオンラインアカウントの整理を思い浮かべる方も多いかもしれません。もちろん、IDやパスワード、ネット銀行、証券口座、サブスクリプション契約などの整理は、現代の終活において重要なテーマです。

しかし、デジタル終活の役割はそれだけではありません。財産情報を整理する、家族構成を確認する、誰に何を残したいかを考える、家族へのメッセージを書き留めるといった作業も、スマートフォンやアプリを使うことで、少しずつ進めやすくなります。

終活は、一度で完了するものではありません。体調や家族関係、財産状況の変化に応じて、見直していくことが大切です。その点で、デジタルツールは「思い立ったときに始められる」「途中で中断しても再開しやすい」という利点があります。

AIができること、できないこと

AIを活用した遺言作成サポートでは、利用者が質問に答えていくことで、財産や家族への想いを整理し、遺言書の草案づくりを支援します。

たとえば、次のような場面で役立ちます。
・何から考えればよいかを順番に案内する
・財産や相続人に関する情報を整理する
・家族へのメッセージを言葉にする
・一般的な遺言書の構成に沿って草案を作成する
・作成途中の内容を保存し、あとから見直せるようにする

一方で、AIが作成した草案そのものに、直ちに法的効力が生じるわけではありません。正式な遺言書として効力を持たせるためには、自筆証書遺言や公正証書遺言など、法律で定められた方式に沿って作成する必要があります。

また、相続人の関係が複雑な場合、不動産や事業承継が関係する場合、相続税の検討が必要な場合などは、専門家に相談しながら進めることが望ましいでしょう。

 

デジタル遺言時代に向けた動き

遺言制度にもデジタル化の流れ

2026年6月17日、デジタル遺言(保管証書遺言)の導入などを内容とする民法等の改正法が成立しました。これまで、自筆または公正証書で作成する必要がありましたが、今後は、デジタルデバイスを用いての遺言を作成することができるようになっていきます。実際に作成できるのは、改正法の施行日(公布から3年以内)の2028年ごろになる見通しです。

しかしながら、デジタル化が進むからといって、すぐにすべての手続きがオンラインで完結するわけではありません。大切なのは、制度の変化を待つだけでなく、今できる範囲で財産や想いを整理しておくことです。

遺言作成サポートアプリの活用例

会話形式で始められる遺言草案づくり

レガシィマネジメントグループでは、遺言書草案の作成をサポートするアプリ「AIユイゴン Well-B」を提供しています。

このアプリは、AIとの対話を通じて、遺言書の草案作成をサポートするサービスです。難しい法律用語から入るのではなく、家族のこと、財産のこと、誰にどのような想いを伝えたいかといった内容を、会話形式で少しずつ整理していきます。

キーボード入力に不安がある方でも使いやすいよう、音声入力にも対応しています。いきなり遺言書を書くのは難しいと感じる方でも、まずはAIとの会話を通じて、自分の考えを整理するところから始められます。

また、日々の想いや出来事を記録できる「ひとこと日記」機能や、遺産分割の内容を整理するシミュレーション機能なども用意されています。遺言書作成を一度きりの作業としてではなく、日常の中で少しずつ自分の考えを整理する取り組みとして進めやすい点が特徴です。

※現段階で作成できるのは、あくまで遺言書の草案です。作成した草案そのものが、そのまま法的に有効な遺言書になるわけではありません。正式な遺言書として効力を持たせるには、法律で定められた手続きが必要です。

■AIユイゴンWell-Bの詳細はこちら

これからの終活は「一人で悩まない」時代へ

終活や遺言書作成は、どうしても重く感じられやすいテーマです。しかし、デジタル技術やAIの活用によって、以前よりも気軽に、段階的に取り組める環境が整いつつあります。

大切なのは、完璧な遺言書をいきなり作ろうとすることではありません。まずは、自分にどのような財産があるのか、誰に何を伝えたいのか、家族にどのような形で想いを残したいのかを整理することです。

AIやアプリは、その最初の一歩を支える存在です。自分の考えを言葉にし、必要に応じて家族や専門家と共有しながら、より納得感のある終活を進めていくことができます。必要に応じて専門家にも相談しながら、自分と家族のための終活を、できるところから始めてみてはいかがでしょうか。

相続・事業承継
創業60年を超えるレガシィにお任せください。
  • 累計相続案件実績

    32,000件超

    2025年10月末時点

  • 資産5億円以上の方の
    複雑な相続相談件数

    年間1,096

    2023年11月~2024年10月

  • 生前対策・不動産活用・
    税務調査対策まで

    ワンストップ対応

当社は、コンテンツ(第三者から提供されたものも含む。)の正確性・安全性等につきましては細心の注意を払っておりますが、コンテンツに関していかなる保証もするものではありません。当サイトの利用によって何らかの損害が発生した場合でも、かかる損害については一切の責任を負いません。利用にあたっては、利用者自身の責任において行ってください。

詳細はこちら
この記事を監修した⼈

税理士法人レガシィ代表社員税理士パートナー陽⽥賢⼀の画像

陽⽥ 賢⼀税理士法人レガシィ 代表社員税理士 パートナー

企業税務に対する⾃⼰研鑽のため税理⼠資格の勉強を始めたところ、いつの間にか税理⼠として働きたい気持ちを抑えられなくなり38歳でこの業界に⾶び込みました。そして今、相続を究めることを⽬標に残りの⼈⽣を全うしようと考えております。先⼈の⽣き⽅や思いを承継するお⼿伝いを誠⼼誠意努めさせていただくために・・

税理士法人レガシィ社員税理士武田利之の画像

武田 利之税理士法人レガシィ 代表社員税理士 パートナー

相続はご他界された方の人生の総決算であると同時にご遺族様の今後の人生の大きな転機となります。ご遺族様の幸せを心から考えてお手伝いをすることを心掛けております。

<総監修 天野 隆、天野 大輔税理士法人レガシィ 代表

<総監修 天野 隆、天野 大輔>税理士法人レガシィ 代表

相続の相談をする老夫婦のイメージ画像

無料面談でさらに相談してみる