【特別コンテンツ】経営陣座談会を開催しました!VOL.3
2025.1.17
この度、レガシィ60周年を記念して、経営陣5名による座談会を開催しました。
テーマは『想いをつなぐ=Legacy ~ファミリービジネスとイノベーション~』。
レガシィ経営陣が大切にしてきた想いを、全3回にわたってお伝えします(今回はVol.3)!
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― 今後、継続的にイノベーションを推進していくにあたって、ファミリービジネスとして意識することはどのようなことでしょうか。
大輔:
ファミリービジネスという形態は、イノベーションを起こしやすいビジネス形態であると考えています。特に、世代交代に際して後継者のこれまでの経験や得意分野が先代と異なることで、新たな強みを生かそうとする意識が芽生えやすく、それまでの土台から第二の創業が生まれやすいことは経営学の観点からもよく言われています。
一方で、そうしたイノベーションを起こすにあたっては、土台部分のファミリービジネスの良さが保たれていないと実現することは難しい側面もあります。ファミリービジネスの良さというのは、先ほども話した長期的な成長を考えられるといった部分にも繋がるので、もう一度メリットを振り返ります。
ファミリービジネスには、短期で業績を追い求めるという投資家からの要求やそれに応えるための過度なプレッシャー等がなく、長期的に継続して組織を成長させていくという視点に立脚できる点に大きなアドバンテージがあります。そうした視点に立ち、その良さをどうやって保っていくのかという点で言えば、私は「許す」ということ――つまり、心の寛容さが非常に大事だと思っています。経営に携わっていると、短期的には腹立たしいこともあったりするわけです。例えば、誰かが仕事で失敗してそれが業績にも響いてしまうなとか、人事的な判断を誤ってしまったとか。そういった場合、誰かのせいにしてしまいがちですが、経営陣としては、それも含めて自分ごと化するべきであって、他責性という側面は排除すべきと考えています。そうした場面においても、よほどのことがない限りは許していく、そうした寛容さがないと、長期的な成長には繋がりにくいのではないでしょうか。
実際、相続の現場を見ていても、特に配偶者からの「諌め(いさめ)」が結構多かったりします。例えば、奥様のお父様の相続に際して、兄弟姉妹に私利私欲に走りがちな方がいて、奥様が割を食う役目になりそうな場合――そうした中で配偶者(夫)から、「俺が稼ぐから大丈夫だよ」といったような肝の座った一言があることで奥様もじゃあ仕方ないわね、と最終的には許していける。不思議なもので、そうやって許していける人のもとにはツキが回ってくるんですよね。そうしたツキの循環のようなものはビジネスや経営の場においても当てはまると思っていて、私はそうした好循環や許しの心自体をイノベーションを起こし続けていくにあたって大切にしたいと考えています。
隆:
2021年11月にこの会社を大輔さんへ承継するにあたり、私はそうしたイノベーションを続けてもらいたいと思ったからこそ、全ての権限・決裁権を渡すことを決意しました。私が経営に入り込みすぎることで、意見が異なることも出てくるでしょうし、大輔さんの考えるイノベーションの妨げになる可能性もあるでしょうから、自分の意識を違うところに集中しようと考えました。そうした想いもあり、SNSやウェルビーイングをはじめとする様々な活動をして、他の分野で忙しくしつつ、しっかりと応援をしていこうと決めたのです。ただ、応援するからには、細々した応援でなくて、背中を押すような立場になろう、それをやることが一番大切かなと。一般的に「俺がやっていた時代のことをどんどん変えていく。けしからん」といった類の言葉をよく聞きましたが、私はむしろ変えていく方がいいんだよ、失敗したら失敗したでそれも勉強ということで良いのではないかと思っています。それだけ信用しているということでもあります。
大輔:
そうした意味で言えば、私自身も隆さんから「許しの心」で許していただいていると言えますね(笑)。
紹子:
ファミリービジネスとして重要な点として、寛容さはもちろんですが、全体的な一体感というか家族的な意識も重要と感じています。私は性格的に、組織についてもメンバーについても、家族として自分の子どものように見てしまうところが、良いところでもあり悪いところでもあるのですが、その根底には「一体感を持ちたい」という気持ちがあります。だからこそ、その人のことを知ろうとする努力が必要ですし、そのために、自ら発信していくということは常々意識しています。ファミリービジネスだからこその心の温かさや一つのファミリーなんだという一体感はこれからも大切にしていきたいと考えていますし、実際にレガシィにはそうした雰囲気が醸成されてきているなと感じています。
大輔:
そうした意味では、10年前の50周年記念の際、現在プレミアム税理士として大活躍しているベテランの岡崎さんが紹子さんのことを「レガシィの母」と表現していたことが今でも印象に残っています。岡崎さんに限らず、紹子さんがレガシィに参画した際にまだ若手だったメンバーが、今ではプレミアム税理士やベテランメンバーとして会社の核となってきていますよね。そういった歴史を振り返ると、レガシィの母としての存在感は大きいなと改めて感じます。
紹子:
実際、そうした距離感やカルチャーが嫌だという人が抜けて大変だった時期もありました。自分の子供に対してもファミリーに対してもですが、優しさだけでなく、愛情の裏返しとしての厳しさが必要な時ってありますよね。当時、そうした部分を出しちゃったわけです。でも、今残っているメンバーについては、しっかりファミリーとして本音で会話ができ、ちゃんと想いが伝わっているなという実感はあります。
麻子:
私もファミリービジネスの強み、そして、今後も意識していくべき点は、家族的な温かみの部分であると考えています。レガシィがメインで行っている相続業務においても、お客様のサポートを行うにあたっては、心の温かみを持った人がお客様に寄り添ってサポートしていくことが重要です。そうした意味でも、心の温かみを持っている人たちがこれからもレガシィに参画してくれるといいなと感じており、対外的にもうまくアピールしていきたいと考えています。
ファミリービジネスという観点で言えば、繰り返しになりますが、心理的安全性が非常に重要だと思っています。振り返ってみると、過去私が一歩踏み出してチャレンジできたのは、心理的安全性が確保されたときでした。先ほど大輔さんが言っていた「許す心」と言いますか、そういった失敗しても許される寛容な環境があるからこそ、失敗を恐れずにチャレンジしていけるのだと思います。そういう心理的安全性をメンバー一人ひとりが持てるような環境を今後も整えていきたいですね。
大輔:
ファミリーってポジティブな面も、そうでない面もありますよね。当然、家族といる時だってストレスを感じることもあるし、家族だからといって温かい面ばかりでなく、喧嘩することもあるわけで。様々な側面を含めて、ファミリーという言葉をとらえる必要があります。特に、イノベーションを起こし続けていくには、家族的・本質的なコミュニケーションを通じてそれぞれの考えを明らかにして、腹落ちした上でなければ、真に納得して次に進めないのではないかと考えています。もちろん、そうした家族的・本質的なコミュニケーションがデメリットになることもあるとは思いますが、個人的にはメリットの方が大きいと感じています。統さんはどうですか。
統:
イノベーションを起こし続けていく、その上でファミリービジネスとして意識すべきこととしては、いまの自分の知識が古くないか、自分の考えが古い考え方や凝り固まった考え方になっていないかを意識して、知識や考え方をアップデートし続けていくことだと考えています。
また、より大きな観点で言えば、全体最適の意識といった点も重要だと感じています。複数の部署や立場があると、どうしてもポジショントークになりやすい部分がありますが、ファミリービジネスにおいては、全体最適の視点で組織のことを考えやすいという利点があります。そうした点は、自身としても今後より意識していきたいと考えています。
大輔:
確かにそうした観点は重要ですね。ファミリーという切り口にデジタルという要素を加えて考えてみると、今後、デジタル化がより加速しAI時代に突入していく中で、AI自体もファミリーとして捉えられるようになるのではないかと考えられます。私自身、日ごろ生成AIと言葉のキャッチボールをすることがありますが、どんどん私の相棒のようになっている感覚があります。さらに進化が進むと、人間そっくりのAIロボットやドラえもんに近い世界になっていく可能性があるわけですが、ただそこにもファミリーとしての温かみは残っていると思いますし、同時にイノベーションの可能性が沢山詰まっているんだろうなと感じています。そう考えると、本当にいろんな可能性を感じますね。
― 最後に代表の大輔さんから一言お願いします。
大輔:
改めてこの60周年というタイミングで感じることは、次の10年、更には100周年へ向けてレガシィが長期的に発展していくにあたり、テクノロジーもどんどん進化していきます。そうした中で、レガシィにおけるファミリービジネスのあり方や考え方もどんどん進化させていかなければと感じています。我々が社会に貢献し続けるためには、進化しながら事業を継続することが重要ですので、これからも次の時代に向けてしっかりと想いを繋いでいきたいですし、そのために、今一度意識を改めよう――そのように思えた座談会でした。皆様ありがとうございました。
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<経営陣紹介>
天野 隆:
1974年慶應義塾大学経済学部卒業後、アーサーアンダーセン会計事務所入所。1980年父の天野克己税理士事務所入所。1985年株式会社財産クリニック代表取締役となる。1990年株式会社財産クリニックを株式会社 FP ステーション(現株式会社レガシィ)と社名変更し代表取締役となる。2003年税理士法人思援(現税理士法人レガシィ)代表社員税理士となる。2008年レガシィマネジメントグループの代表者、2021年同グループ会長となる。
天野 紹子:
神奈川県立湘南高等学校・慶應義塾大学文学部卒業。1989年に有限会社財産クリニック(現株式会社セブンス)代表取締役就任。2006年株式会社FPステーション(現株式会社レガシィ)顧問就任。2008年に株式会社レガシィ・税理士法人レガシィ顧問就任。2012年株式会社レガシィ専務取締役就任。2021年株式会社レガシィ代表取締役専務就任し、現在に至る。
天野 大輔:
1979年東京生まれ。慶應義塾大学大学院文学研究科修了。2005年富士通エフ・アイ・ピー株式会社(現 富士通Japan株式会社)に入社し、システムエンジニアとして従事。2010年公認会計士試験合格。2011年監査法人よつば綜合事務所(現 みつきコンサルティンググループ)に入所。2015年税理士法人レガシィへ入社。相続実務、事業承継・M&Aコンサルティング、デジタルサービス企画・開発に従事。2021年グループ代表に就任。
梅田 麻子(旧姓:天野):
早稲田大学卒業後、監査法人トーマツへ入社。公認会計士試験に合格し、上場企業の財務諸表監査・内部統制監査を担当。2013年税理士法人レガシィ入社。2024年税理士法人レガシィ代表社員税理士となる。 2012年には、バックパッカーとして8ヶ月かけて22カ国を周遊し世界一周を達成した。2児の母としてワーキングマザーでもある。
天野 統:
2009年上智大学文学部史学科入学後、2011年にイギリス、ロンドンに語学留学。2015年ネットワーク渡辺税理士法人に入社し、医療系の顧問サービスに従事。2021年税理士法人レガシィに入社。