【特別コンテンツ】経営陣座談会を開催しました!VOL.1
2024.12.26
この度、レガシィ60周年を記念して、経営陣5名による座談会を開催しました。
テーマは『想いをつなぐ=Legacy ~ファミリービジネスとイノベーション~』。
レガシィ経営陣が大切にしてきた想いを、全3回にわたってお伝えします!
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― レガシィ60周年、本当におめでとうございます。まずは、60周年を迎えた今の率直な想いをお聞かせください。
隆:
まず、この会社が60年という長きにわたり、しっかりと続いてきたことが素直に嬉しいですね。これはお客様やメンバーの皆様など、様々な関係者のおかげだと思っています。
紹子:
本当にそうですね。ここまで3代にわたって繋いできたわけですが、その間に会社がどんどん成長し、一層素晴らしい会社になってきていると思いますし、今後も続いていって欲しいと思います。私自身、まさか夫の会計事務所をマネジメントするなんて、予想もしていませんでした。私がこの会社で過ごしてきた20年間を振り返ると、会計事務所をマネジメントするということは、大きな人生の出来事であり、非常に恵まれた人生だなと思っています。
麻子:
私はレガシィが50周年を迎えた年に入社しました。当時のイベントでは、各メンバーがどのような出し物をするかアイディアを出し合ったり、終業後にみんなで集まって出し物の練習をしていました。皆さんが一生懸命イベントを作り上げていた姿が印象的で、その時のことははっきり覚えています。60周年のイベントでは、本部という立場で関わっており、皆さんが精いっぱい頑張ってくれているところを間近で見ているので、本当に楽しみです。
統:
祖父の克己さんがこの会社の前身となる事務所を立ち上げて、私が生まれた頃には、すでにこの会社がありました。それを考えると、すごく長い年月が経ったのだなと改めて感じます。
大輔:
私は3代目ということになりますが、これからの時代へ紡いでいかなければと改めて思いますね。先日、東京駅で東海道新幹線60周年と掲げてあったのを目にしました。レガシィも同じ歳であることをSNSにあげたところ、皆様から沢山のお祝いの言葉をいただき、改めて節目の周年であることを実感しました。人生における60年というのは、還暦として節目を祝うことなどからも、一つの大きな区切りの年であると強く感じています。その意味でも60年も続くというのは素晴らしいことだと思います。多くの人が支えてくれたおかげだと感じていますし、非常に感慨深いですね。
― 皆様が考えるファミリービジネスのメリット・デメリットは何でしょうか。
大輔:
メリットの一つ目は、まず「長期的な視点で経営ができる」ということです。目先の利益にとらわれず、あるべき理想に向けてチャレンジできます。また、家族の成長を長い目で温かく見守るように、メンバーの皆さんの成長を温かく見守ることができます。二つ目は「夢への情熱を育みやすい」ということです。ファミリー内で遠慮せずに意見をぶつけることで、ビジョンに向けて進んでいくことができます。そして、三つ目は「世代交代に伴いイノベーションを実現しやすいこと」です。ファミリーだからこそ、世代のギャップを敏感に感じ取り、そのギャップと後継者がそれまで得てきた先代とは異なる経験や強みを掛け合わせることで、イノベーションを起こすことができるのです。
一方で、デメリットとしては、家族間の感情的な対立、事業承継の難しさ、私利私欲に走ってしまいやすいことが挙げられます。特に人材のアサイン・昇降格・報酬などの人事面に関しては、比較的公平な目線が入りにくくなりやすいので、ガバナンスの仕組みが重要だと思っています。そのため、レガシィでも重視して様々なツールを導入し、整備しています。
一般論はここまで。ここからはイノベーションの観点も絡めながら、レガシィのファミリービジネスについて議論していきたいと思います。説明も兼ねて申しますと、2代目隆さんは初代克己さんがやっていなかった「相続」の分野に注力し、公認会計士としてのキャリアやスキルを活かして、家業である税理士事務所にイノベーションをもたらしました。また、紹子さんも専業主婦としての経験や子育てを通じたマネジメント経験を活かして、ブランディング等の変革に取り組むなど、次々と既存の事業にイノベーションを起こしていきましたよね。
紹子:
子育ての経験が活かされたところもありますが、私の性分だとも思います。ビジネスが好きなんです。かつては女性がビジネスの場面で活躍をしづらい時代だったこともあり、ずっと憧れがありました。そうした意味でも、ファミリービジネスとして、恵まれた環境で実現できるチャンスがあったことは、本当にありがたいことだったなと思います。
大輔:
紹子さんの強みを活かしてイノベーションに取り組まれるとともに、そこにファミリービジネスとして恵まれた環境があったからこそ、色々なことが実現していったという部分には非常に共感できます。
私としては、SE(システムエンジニア)や会計士・税理士としての経験を活かしてデジタル化を進めています。以前のキャリアが今の相続事業との掛け算にも役立っています。また、学生時代に学んだ文学を通して、相続にも相通じる「感情」の部分を学んできたと自負しています。相続は感情が支配する部分もありますし、経営ではメンバー一人ひとりの感情にも考慮しなければなりません。そうした意味では、自身の強みを活かして、良い状況を創り出せているのではないかと考えています。
麻子さんについて言えば、監査法人の経験や世界一周等を通じて培ったチャレンジ精神が、経営にも活かされているように感じていますが、そのあたりはどうですか。
麻子:
そうですね。私自身の人生を振り返ると、色んなチャレンジをしてきたなと思います。特に、公認会計士の勉強や世界一周の旅はとても大きなチャレンジだったと思っていて、これらの成果や行動が自信となり、次のチャレンジに繋がりました。チャレンジを決意した時にはいつも「心理的安全性」という基盤があり、だからこそ安心して次へ踏み出せたのだと思います。
社内では「失敗してみよう」を昨年度のスローガンとして掲げ、失敗を許容する文化を推奨したことが非常に良かったなと思います。失敗が許される環境があることで、メンバーが安心してチャレンジできるようになり、全社的に良い結果を生んだと感じています。
大輔:
統さんは会計事務所での経験があり、担当者として多くの顧問業務を行ってきました。その中で、お客様の気持ちを理解することを経験し、それが現在の士業支援や士業向けのサポート、提携に非常に役立っていると思いますが、そのあたりはどうでしょうか。
統:
そうですね。前職での経験から言うと、私は担当者として、サービス業や接客業に近い動きをしていました。もちろん、税務や財務の知識を得ながらですが、その中で求められることも多かったですし、現在の士業の世界としても求められることが多いと感じていました。
税理士は国内全体で約8万人であるのに対し、税理士事務所は約2万8千もあり、多くの人が独立しています。業界的には、短期的に組織や人の入れ替わりが激しい中で、長期的な視野で経営を見られるというのは非常に特徴的だと思います。この業界をよく理解しているというのは、担当者としての強みだと思いますし、ファミリービジネスの強みでもあると思います。
大輔:
デメリットについても話したいと思います。特に、ガバナンスの意識についてですが、ファミリーが独善的にならないようにするためにどうバランスを取るかが重要だと思います。ゴミが落ちたら拾うといった基本的なマナーや道徳も含めて、自律的に規律を保つことが求められます。ファミリービジネスでは株主等のステークホルダーからのプレッシャーがない分、こうした視点が欠けやすく、自分たちで律していかなければならない部分も多いですよね。
隆:
「利他の精神」をテーマに色々活動を行っておりますが、ビジネスをうまくやり遂げることと利他の実践の間にはタイムラグがあり、目先の欲に走るとうまくいかないということが真にわかってきました。特に、ファミリービジネスのような環境では、先行投資というか、今やっていることが直接利益にならなくても、将来良いことがあることを信じて長期的な視点で取り組んだ方がよいことが多いと思います。
大輔:
隆さんはウェルビーイングの研究やアドラー心理学を題材にしたYouTube、相続の書籍執筆など多岐にわたって活動されていますが、特に相続においては、譲ることで運が開けるとか「勘定よりも感情」という根本的な部分は経営にも生かせると考えますがいかがですか。
隆:
確かにそうですね。自分の利益のための行動で後々しっぺ返しを食らうことは今までもありましたし、それをどうやって自分なりに解釈し抑えてマネジメントを行うか点は意外と重要かなと。このぐらいの齢になると尚更わかってきます。
大輔:
紹子さんも、地元や地域への貢献に力を入れて様々な活動をされていますが、こうしたファミリービジネスのデメリットを克服するためのガバナンス意識の一環として、そうした活動が役立っているのではないでしょうか。
紹子:
そうですね。ある年齢を超えたあたりから社会貢献をしたいという気持ちが強くなって取り組んでいることではあります。十数年前、自分が最後に何をできるかと考えたとき、たまたま高校の同級生との交流がありました。実家が藤沢にあったので、今はなき実家の代わりになるようなコミュニティの場所を作りたいと思い、母校OBのためのコミュニティラウンジを作りました。収益の一部を奨学金制度に寄付したり、低料金でコミュニティや会議の場として提供したりしています。自分も楽しみつつ、利他の部分として社会貢献もできているのではないかと思っています。ちなみに、母親目線で言えば、今こうして社会に貢献している子供たちを育てたことも社会貢献と言えますね。
大輔:
ありがとうございます。あと、ファミリービジネスのデメリットとしては、ガバナンスの意識をどう高めていくかが課題だと考えています。これをレガシィとしてどのように実践し、意識しているかについて何かありますか。
麻子:
私は前職の監査法人で一従業員として働いていて、レガシィに入ってからもしばらくはチームの一員として働いてきたので、会社員としてのガバナンスの意識は強い方です。特に、ガバナンスについては、メンバー一人ひとりとなるべく意見交換を行うことや情報を共有することを意識しています。基本的なことですが、重要なことだと考えています。
大輔:
麻子さんは、人事制度改革を進め、公平でフラットな人事評価の仕組みの導入を率先して提唱して、実際に導入しましたよね。これもガバナンスへの意識からなのかなと思いますが、いかがですか。
麻子:
会社員意識がありましたので、人事については公正であるべきという意識が強く、一方的な思いで不公平があってはいけないと考えていました。今後も皆が客観的に評価できる仕組みを整えたいと思っています。
大輔:
なるほど、デメリットについて、統さんはどうですか。
統:
先に挙がったガバナンスの問題というのはありますね。また、株主等からの目がないために、軸がぶれやすい側面もあると思っています。20代の頃、経営者に対して「こうした方がいいですよ」とアドバイスをしてきました。そのため、自分がそのアドバイスを守らないのは違うと感じています。そうした自ら律していく部分は必要かなと思っています。
大輔:
確かに、ガバナンス面に関して、自分を律するための仕組みは課題ですね。そうした部分を今後強化するために動き始めていますし、しっかり自己研鑽としての勉強を今後も続けていこうと思います。もともと文学を学んでいたこともあり、文学を読み直してみると、マネジメントに通じる部分が結構あるんですよね。なぜ憎悪が生まれるのか、なぜ人は揉めてしまうのか――そうした様々な問いに対する真理が読み取れたりするんです。そうした意味で文学を通じて自分の経験を見直すことも重要だなと感じました。
では、そんなところで、次のテーマに行きましょう![vol.2へつづく]
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<経営陣紹介>
天野 隆:
1974年慶應義塾大学経済学部卒業後、アーサーアンダーセン会計事務所入所。1980年父の天野克己税理士事務所入所。1985年株式会社財産クリニック代表取締役となる。1990年株式会社財産クリニックを株式会社 FP ステーション(現株式会社レガシィ)と社名変更し代表取締役となる。2003年税理士法人思援(現税理士法人レガシィ)代表社員税理士となる。2008年レガシィマネジメントグループの代表者、2021年同グループ会長となる。
天野 紹子:
神奈川県立湘南高等学校・慶應義塾大学文学部卒業。1989年に有限会社財産クリニック(現株式会社セブンス)代表取締役就任。2006年株式会社FPステーション(現株式会社レガシィ)顧問就任。2008年に株式会社レガシィ・税理士法人レガシィ顧問就任。2012年株式会社レガシィ専務取締役就任。2021年株式会社レガシィ代表取締役専務就任し、現在に至る。
天野 大輔:
1979年東京生まれ。慶應義塾大学大学院文学研究科修了。2005年富士通エフ・アイ・ピー株式会社(現 富士通Japan株式会社)に入社し、システムエンジニアとして従事。2010年公認会計士試験合格。2011年監査法人よつば綜合事務所(現 みつきコンサルティンググループ)に入所。2015年税理士法人レガシィへ入社。相続実務、事業承継・M&Aコンサルティング、デジタルサービス企画・開発に従事。2021年グループ代表に就任。
梅田 麻子(旧姓:天野):
早稲田大学卒業後、監査法人トーマツへ入社。公認会計士試験に合格し、上場企業の財務諸表監査・内部統制監査を担当。2013年税理士法人レガシィ入社。2024年税理士法人レガシィ代表社員税理士となる。 2012年には、バックパッカーとして8ヶ月かけて22カ国を周遊し世界一周を達成した。2児の母としてワーキングマザーでもある。
天野 統:
2009年上智大学文学部史学科入学後、2011年にイギリス、ロンドンに語学留学。2015年ネットワーク渡辺税理士法人に入社し、医療系の顧問サービスに従事。2021年税理士法人レガシィに入社。