【特別コンテンツ】経営陣座談会を開催しました!VOL.2
2025.1.9
この度、レガシィ60周年を記念して、経営陣5名による座談会を開催しました。
テーマは『想いをつなぐ=Legacy ~ファミリービジネスとイノベーション~』。
レガシィ経営陣が大切にしてきた想いを、全3回にわたってお伝えします(今回はVol.2)!
Vol.1はこちら
Vol.3はこちら
― 次に、「事業承継は母で決まる」というテーマについて、皆様の想いや考えをお聞かせいただけますか。
大輔:
はじめに背景を話すと、私はそもそもレガシィを継いで経営する仕事に興味がなく、文学研究が好きでそちらに専念したいと思っていました。しかし、だんだんと社会に出て働く必要性を感じるようになり、当時成長していたIT分野に興味を持ち、SE(システムエンジニア)の道を選びました。しかし、入社した企業規模が大きいこともあり、やり甲斐を失うことも多く悩んでいました。その時、母(紹子さん)が経営に参画して人事改革やブランディングで成果を上げている姿を見て、経営に興味を持ちました。昔ながらのワンマン型リーダーシップではなく、別のやり方があることを知り、自分次第で何事も変えられる可能性に魅力を感じました。承継にあたっては難関の資格取得も必要でしたが、チャレンジしてみようと決意しました。結果的に、母(紹子さん)の勧めもあって今の立場があるので、とても感謝しています。
今回「事業承継は母で決まる」というテーマを設定したのは、そうした母(紹子さん)の一言が決め手となった自身の経験もありますが、一般的に相続においても「母」が重要な役割を果たすことが多いこともあります。まず、事業を承継するにあたっての紹子さんの想いをお話しいただきたいと思います。
紹子:
私は大学卒業後すぐに結婚して子供ができたため、アルバイト位でしか働いた経験がありませんでした。30年近く専業主婦をして子育てが一段落した頃、母の介護が始まり心身ともに疲弊していました。隆さんから「週に1、2回でも会社に来て気分転換してみてはどうか」と誘われました。最初は気晴らしのつもりで行きましたが、会社の現場に初めて触れ、非常に面白いと感じました。しかし、会社の組織がまとまっていないことに気づき、何とかしなければという思いが湧いてきました。そして、その思いから隆さんに相談して人事改革を進めました。大変な部分も多々ありましたが、専業主婦とは違うやりがいを感じました。この経験を子供にも話したわけです。特に大輔さんにはしっかり伝えましたね。自分がやりがいを感じている舞台を子供にも経験してほしいと思い、「恵まれた舞台があるのだから、そこで挑戦してみたらどうか」「伝統芸能のように代々継がなければならないものではない。たとえ潰れてしまっても構わないから思い切ってやったらいい」と言いました(お客様やメンバーのことを考えると本当に潰れると困りますので、あくまで母親としての発言です)。多少なりともこの言葉が響いたのだと思います。
大輔:
そうですね。チャレンジする勇気を与えてもらいました。事業承継のフェーズで会社が潰れることもありますし、想像以上にプレッシャーを感じるものですが、私は背中を押してもらったことで、自分の色を出してチャレンジしても良いんだと前向きに捉えることができました。麻子さんはどうでしたか。
麻子:
私はレガシィへ来た当初、他のメンバーと同じように働いていましたが、子供を産んで産休・育休を取得し復帰する中で、この会社が子育てしながら働きやすい環境だと感じました。これはファミリービジネスの良さだと思います。そのため、私が得た職場環境への感覚を他のメンバーにも同じように感じてもらいたくて、育休を3歳までに延長したり、テレワークを導入したりするなど、働きやすい環境の整備に取り組みました。また、いわゆる「小1の壁」に対応するため、子供の小学校入学に伴う新たな負担や不安を軽減できるよう、時短勤務の対象期間を小1から小3まで延長するなど、柔軟な働き方を可能にする制度改革を進めてきました。
大輔:
そうですね。麻子さんは女性の視点をうまく経営に取り込んで、人事面や管理面、ブランディングなどについても、しっかり取り組んでいますよね。そのあたりは、皆さんも感じ取っている部分だと思います。
麻子:
私自身がまさに子育てを行っており、女性目線の経営といった部分を理解・体現しやすい立場にあると考えていますし、今の立場に居られることにとても感謝をしています。
大輔:
統さんはどう感じていますか。
統:
「事業承継は母で決まる」という言葉を聞いて、思い出したことがあります。以前、私が担当していた医療法人のお客様なのですが、娘様が医大に進まれていたので事業承継されるのだろうなと思っていたところ、「事業承継は考えていない」とおっしゃるので違和感を覚えました。そこで、ご家族でお話しされてみたらどうですかとお伝えしたところ、後日「妻と話してみて、娘に承継することも含めて考えていこうと思う」と考えが変わられたことがありました。この事例から、私自身は「事業承継は母で決まる」という言葉が腑に落ちたわけです。お客様は、奥様の鶴の一声で決まったとは思っていなかったのでしょうが、実際には、こうやって決まることが多いんだろうなと改めて思いました。
紹子:
特に男性の場合、進路を決めるにあたって、父親に対して反発心を抱くことも多いですよね。いま思うとちょうどそういった難しい時期に、隆さんが大輔さんと麻子さんを当時岩本町にあった会社に呼んで、会社説明をしたことがありました。隆さんは決算書だとかたくさん資料を用意して説明されたようですが、2人とも全然関心を持ってくれなくて。とても残念そうに家に帰ってきたことがありました。私としては、そんなものよねと思っていましたが、隆さんとしてはあの時どういった心境だったのですか。
隆:
うーん、二人ともあまり関心ないんだなって(笑)
大輔:
申し訳なかったです(笑)
紹子:
私はレガシィの経営層という立場である一方で、子供たちの母親でもあるので、子供たちの幸せを考えて、先ほどの「恵まれた環境があるのだから」といった話をしたわけです。
大輔:
恵まれたというのは、「自分自身で決めたことが実現できる環境がある」という意味でもあったのかなと思います。
紹子:
当時、大輔さんはSE(システムエンジニア)をしていて帰宅が遅く、 障害対応で夜中に呼び出されるので、会社の近くで一人暮らしをしていました。母親としてそういった働き方を見ていた一方で、私自身会社でやりたいことが出来るようになったこともあり、親心として、自分が決めたことを実現できる環境で挑戦させてあげたいという思いに駆られたわけです。
大輔:
そうした経営と親心の両面の想いを聞くと、先ほど統さんの話で出てきた理事長のご令嬢の話ともリンクする部分を感じますね。隆さんとしては当時、どのような想いを抱いていたんですか。
隆:
結果的にはありがたかったというのが正直なところですね。子供のために事業承継を勧めるということは母親としての視点であり、当時、私からそうした話はできませんでした。そのため、「自分で決めたことを実現できる、こんな恵まれた環境はない」といった発言は母親だからこその深みがあり、説得力があってさすがだなと思いましたね。
大輔:
隆さんが相続実務を通じて長らく打ち出している「勘定より感情」――この思想とも通ずるところがあるなと。事業の承継に際して、紹子さんとしては、まさに「勘定よりも感情」の視点が色濃く出ていたのだなと感じました。
紹子:
父親の視点としてはどうですか。潰れてもいいから、なんて隆さんの口からは言えなかったんじゃないですか。
隆:
もちろん口が裂けても言えないです(笑)。お客様やメンバーのことを考えるとね。ただ、一般的には承継に際して「これだけの会社を用意してやったんだぞ、こんな恵まれた環境はないんだぞ」って言う人が多いですよね。
大輔:
そう言われるとやる気が出ないですね。感情より「勘定」が優先してしまっていますね。
紹子:
隆さんが事業承継を受けたときのことは覚えていますか?
隆:
父からの話で一番印象に残っているのは、「お前な、事務所を継いで自分で事務所を出すんだったら、鉛筆一本から自分で買わなきゃいけないんだぞ」という言葉。まあ、小さな話ではあるんですけど、結構響きました。その言葉の奥には、本当は鉛筆の話じゃなくて、「お客さんや社員がこれだけいるんだぞ、これだけの基盤があるんだぞ、そして築いてきた信用があるんだぞ」というメッセージが込められているわけです。この言葉を受けて、まずは父のお客様を大切にしようと思いました。父の働きに対してお客様がお金を出してくれたおかげで、学費も出してもらえたし、生活ができていたんだなということを強く感じたからです。私の話になりましたが、最後に、「母」がキーパーソンであるというところはレガシィとしても非常に当てはまると感じておりますので、「母」には感謝せねば、ということでまとめたいと思います。[vol.3へつづく]
Vol.1はこちら
Vol.3はこちら
<経営陣紹介>
天野 隆:
1974年慶應義塾大学経済学部卒業後、アーサーアンダーセン会計事務所入所。1980年父の天野克己税理士事務所入所。1985年株式会社財産クリニック代表取締役となる。1990年株式会社財産クリニックを株式会社 FP ステーション(現株式会社レガシィ)と社名変更し代表取締役となる。2003年税理士法人思援(現税理士法人レガシィ)代表社員税理士となる。2008年レガシィマネジメントグループの代表者、2021年同グループ会長となる。
天野 紹子:
神奈川県立湘南高等学校・慶應義塾大学文学部卒業。1989年に有限会社財産クリニック(現株式会社セブンス)代表取締役就任。2006年株式会社FPステーション(現株式会社レガシィ)顧問就任。2008年に株式会社レガシィ・税理士法人レガシィ顧問就任。2012年株式会社レガシィ専務取締役就任。2021年株式会社レガシィ代表取締役専務就任し、現在に至る。
天野 大輔:
1979年東京生まれ。慶應義塾大学大学院文学研究科修了。2005年富士通エフ・アイ・ピー株式会社(現 富士通Japan株式会社)に入社し、システムエンジニアとして従事。2010年公認会計士試験合格。2011年監査法人よつば綜合事務所(現 みつきコンサルティンググループ)に入所。2015年税理士法人レガシィへ入社。相続実務、事業承継・M&Aコンサルティング、デジタルサービス企画・開発に従事。2021年グループ代表に就任。
梅田 麻子(旧姓:天野):
早稲田大学卒業後、監査法人トーマツへ入社。公認会計士試験に合格し、上場企業の財務諸表監査・内部統制監査を担当。2013年税理士法人レガシィ入社。2024年税理士法人レガシィ代表社員税理士となる。 2012年には、バックパッカーとして8ヶ月かけて22カ国を周遊し世界一周を達成した。2児の母としてワーキングマザーでもある。
天野 統:
2009年上智大学文学部史学科入学後、2011年にイギリス、ロンドンに語学留学。2015年ネットワーク渡辺税理士法人に入社し、医療系の顧問サービスに従事。2021年税理士法人レガシィに入社。