相続税に関する5つの相談先|相談できる内容やメリット、利用の流れを解説
Tweet相続財産が一定額を超えると、相続税の申告や納税が必要になります。現金だけでなく、不動産や株式なども含めて評価されるため、「うちの場合も対象になるかも?」と不安になる方も多いはずです。そんなときに頼りになるのが、専門家からのアドバイスです。この記事では、相続税に関する代表的な相談先や、税理士選びのポイントについて解説します。初めての相続で何から始めればよいかわからない方も安心できるよう、具体的な相談方法や、そのメリットについても詳しくご紹介します。
目次
相続税に関する5つの無料相談先
相続税に関する悩みは多くの人が直面する問題ですが、無料で相談できる窓口は複数あります。主な相談先は以下の5つです。
- 相続税専門の税理士事務所
- 役所(区役所・市町村役場)
- 税務署
- 国税局電話相談センター
- 日本税理士会連合会
これらの窓口をうまく活用することで、相続税の基本的な疑問や手続きの流れについて理解を深め、適切な対応ができます。次章からは、それぞれの相談先で相談できる内容や、その相談先を選ぶメリットやデメリットについて、詳しく解説します。
1.相続税専門の税理士事務所
税の専門家と言えば税理士です。中でも相続税専門の税理士事務所は心強い相談先のひとつです。
メリット
相続税専門の税理士事務所に相談する大きなメリットは、相続税申告や節税につながる特例・控除などに精通した専門家から、個別の事情に即した具体的なアドバイスが受けられる点です。複雑な財産評価や申告義務の有無など、専門的な判断が求められるケースでも、的確なサポートが期待できます。煩雑な手続きを迅速かつ正確に代行してくれるのもメリットです。初回無料相談を実施している事務所も多く、初めての相続でも安心して相談できます。
デメリット
初回相談は無料でも、2回目以降は有料となる場合が多いので注意が必要です。また、初回から有料としている事務所も存在するため、事前に料金体系を確認しましょう。さらに、税理士によって経験や専門性に差があるため、適切なアドバイスを受けるためには、相続税に強い税理士を選ぶ必要があります。これらの点を踏まえ、相談前に事務所の実績や料金を確認し、信頼できる税理士を選ぶことが大切です。
税理士事務所への相談が向いている人
個別の相続税申告や節税対策について具体的なアドバイスを受けたい方におすすめです。特に、相続財産が多岐にわたる場合や相続人の数が多い場合、複雑な財産評価が求められる場合などでは、専門的な知識と経験をもつ税理士のサポートが有効です。また、税務調査への対応や、将来的な相続に備えた生前贈与の計画など、長期的な視点でのアドバイスを求める方にも適しています。早めに税理士事務所に相談することで、節税の可能性を検討しつつ、適切かつスムーズな申告手続きを実現できます。
相談方法(利用の流れ)
相続専門の税理士事務所に相談する際は、まず電話やホームページから相談予約を行います。その際、相談内容に応じて財産目録や遺産分割協議書などの必要書類を案内されるため、準備して面談に臨みます。相談時には具体的な悩みや質問を整理し、どの部分でアドバイスを求めたいのか明確にしておきましょう。事前に整理しておくと、限られた時間内でも効率的に的確なアドバイスを受けやすくなります。
2. 役所(区役所・市町村役場)
相続手続きに関する基本的な疑問は、区役所や市町村役場でも相談できます。初めての相続で何から始めればよいか迷う方にとって、身近で安心な相談先です。
メリット
役所では税理士による無料相談会が開催されることもあり、相続に必要な手続きや書類について丁寧に教えてもらえます。公的機関のため安心して利用できる窓口です。また、戸籍謄本の取得など他の手続きとあわせて相談でき、税金以外の相続関連の手続きもカバーできるなど、ほかの相談先よりも広範囲を網羅しやすいメリットがあります。
デメリット
市役所での相談は、行政手続きに関する一般的な案内が主であり、具体的な節税アドバイスや個別対応は難しいことがあります。また、無料相談会は時間が限られ、回数制限もあるため、詳細な相談や継続的なサポートを求める場合には不向きです。相談可能な時間帯が平日の日中に限定されることが多く、仕事をもつ方にとっては利用しづらい面があります。
役所での相談が向いている人
役所での相談は、手続きの流れや必要書類など基本的な情報を知りたい方に適しています。特に相続が初めてで手続きに不安がある方、戸籍謄本や住民票などの取得方法を確認したい方に向いています。自治体によっては、定期的に税理士や弁護士が対応する無料の相続相談会を開催しており、身近な場所で専門家のアドバイスを受けたい方に適した相談先です。
相談方法(利用の流れ)
役所のホームページなどで無料相談の実施日時を確認し、電話や窓口で予約します。相談会は1回30分程度で、回数制限が設けられていることがほとんどです。限られた時間内で相続税に関する疑問や悩みを解決するためには、質問内容を整理して具体的な情報を持参する事前準備が重要です。必要な書類も確認しておくと、スムーズに相談が進みます。
3. 税務署
税務署は、税制度に関する公的な情報を提供する身近な相談先のひとつです。専門的な知識をもつ職員が対応し、申告方法や必要書類などの基本的な疑問に答えてくれます。
メリット
税務署では、相続税の申告手続きや必要書類について無料で相談できます。全国に窓口があるため利用しやすく、気軽に相談できる点も便利です。初めての相続で不安を感じる方でも、基本的な疑問をその場で丁寧に解消できる安心感があります。
デメリット
税務署での相談は、手続きの概要や必要書類などの基本的な質問には答えてもらえますが、節税対策などの専門的なアドバイスは提供されません。個別の相続税額の計算にも対応していないため、自分の納税額を知りたい場合には不向きです。また、対応する職員が相続税に詳しいとは限らず、相談内容によっては十分な回答が得られない場合があります。さらに、相談日程が限られていたり、混雑時には待ち時間が長くなったりすることもあります。
税務署への相談が向いている人
税務署への相談は、相続税の基本的な手続きや書類の提出方法を知りたい方に向いています。費用をかけずに公的な情報を得たい方や、まだ専門家に依頼する段階ではないと感じている方におすすめです。具体的な節税対策や相続税額の計算には対応していないものの、申告の大まかな流れを知りたいときに、利用したい窓口です。
相談方法(利用の流れ)
税務署で相談する場合は、事前に管轄の税務署に電話して予約を取るのが最適です。予約時に氏名や住所、相談内容を伝え、持参する書類も整理しておきましょう。当日の流れとしては、税務署を訪問し、担当職員との面談で相続税申告の流れや必要書類、基本的な手続きについて説明を受けます。
4. 国税局電話相談センター
国税局電話相談センターは、国税に関する疑問を電話で相談できる窓口です。相続税や贈与税などの専門的な質問にも対応しており、自宅から手軽に相談できます。
メリット
国税局電話相談センターは予約不要で手軽に利用でき、専門の職員が基本的な手続きや必要書類について丁寧に説明してくれます。平日の日中に電話するだけで相談できるため、忙しい方や遠方に住んでいる方にも便利です。匿名で相談できるためプライバシーも守られ、安心して疑問を解消できます。
デメリット
基本的な疑問には対応してもらえますが、複雑な事案については十分なアドバイスが得られないことがあります。節税のアドバイスや個別の相続税計算にも対応してもらえません。また、電話対応のため、書類を直接見ながらの相談ができず、必要な情報を正確に伝えるのが難しい場合もあります。さらに、土日や夜間の利用ができない点もデメリットです。
国税局への相談が向いている人
国税局電話相談センターは、相続税に関する基本的な情報を迅速に知りたい方におすすめの公的窓口です。申告の流れや必要書類、納付期限などに不安がある場合でも、電話一本で手軽に問い合わせができます。対面相談に抵抗がある方や、まずは公的機関で概要を把握したいと考えている方にとって、利用しやすく便利な相談先です。
相談方法(利用の流れ)
国税局電話相談センターは、平日の8時30分~17時まで利用できます。最寄りの税務署の代表電話にかけると音声ガイダンスで自動的にセンターへつながる仕組みです。国税相談専用ダイヤルから直接問い合わせることもできます。相談時には事前に質問内容を整理し、必要な資料を手元に用意しておくと、よりスムーズに対応してもらえます。
5. 日本税理士会連合会
「相続税について専門家に相談したいが、どこに頼めばよいかわからない」という方は、日本税理士会連合会による無料相談制度が役立ちます。
メリット
日本税理士会連合会が提供する無料相談では、電話または面談で、相続税の申告手続きや必要書類などの基本的な内容について税理士からアドバイスを受けられます。税理士会が主催するため信頼性が高く、税理士が対応してくれるため、初めての方でも安心して利用できます。相談は事前予約制で、各地域の税理士会が定期的に開催しています。詳細は各税理士会のホームページで確認できます。
デメリット
相談は基本的に予約制で、開催日が限られているため、希望通りに予約が取れない場合があります。電話相談の対応時間が短い点もデメリットです。また、相談内容は一般的な範囲に限られ、複雑なケースや具体的な申告手続きなどには対応できません。詳細な助言や個別の対応を求める場合は、別途専門家への正式な依頼が必要となることがあります。
日本税理士会連合会への相談が向いている人
無料相談のため、費用を抑えて相続税に関する概要を把握したい方にとって便利な窓口です。相続税の申告や書類について一般的な情報を得たい方や、専門家に気軽に質問したい方、まずは無料で相談を始めたい方に適しています。具体的な申告の手続きに進む前の段階で、不安や疑問を解消する手段として活用できます。相談を通じて、自分に必要な専門家のタイプや、今後の対応方針を明確にする助けにもなります。
相談方法(利用の流れ)
日本税理士会連合会では、各地の税理士会が主催する無料税務相談会を開催しています。参加を希望する場合は、管轄地域の税理士会のホームページや電話で開催日程を確認し、事前に予約しましょう。電話による税務相談の場合は、日本税務研究センターのホームページをご覧ください。平日の10時から11時45分、および13時から14時45分まで受け付けており、税理士が一般的な税務相談に対応しています。
「相続」関連の主な相談先と相談できる内容
相続に関する手続きは複雑で多岐にわたります。相続の中でも以下のような内容については、それぞれの専門家に依頼することで円滑に手続きを進められます。
弁護士 | 遺産分割協議、相続トラブル |
司法書士 | 登記又は供託手続の代理、法務局に提出する書類の作成 |
税理士 | 相続税の計算、節税対策 |
「遺産分割協議・相続トラブル」などは弁護士
相続人同士で意見が対立する遺産分割や遺留分侵害額請求などのトラブルが発生した場合や、相続放棄も検討している場合などは、弁護士への相談が適しています。法的な交渉や調停、訴訟対応まで対応できるのは弁護士だけであり、あらゆる法的問題に対処する専門知識と経験をもっています。特に、複雑な相続問題においては第三者の立場から冷静に介入し、スムーズに解決へ導いてくれます。相続トラブルを未然に防ぎたい場合にも、弁護士のアドバイスを得ることでトラブルのリスクを最小限に抑えられ、円滑な相続手続きを実現する手助けになります。
「登記又は供託手続の代理、法務局に提出する書類の作成」などは司法書士
登記又は供託手続の代理、法務局に提出する書類の作成など、法的手続きを伴う相続に関する業務は、司法書士が専門としています。相続登記は不動産の名義変更手続きを確実に行い、法的なトラブルを避けるために重要です。司法書士は登記の専門家として、書類の収集から申請書の作成まで正確かつスピーディに手続きを代行してくれます。
「相続税の計算・節税対策」は税理士
相続税の申告や納付が必要なケースでは、税理士への相談が最適です。税理士は複雑な相続税の計算や、適用できる特例・控除の判断、財産評価などに精通しており、正確かつ有利に申告できます。
また、生前贈与の活用や資産の組み換えなど、将来の相続を見据えた節税対策についても提案を受けられます。税務署では対応しきれない個別具体的なアドバイスが得られるため、相続税が発生しそうな方には特に心強い専門家です。相続税に強い税理士の選び方は次章で解説します。
相続税が得意な税理士の選び方
税理士と一口に言っても、その業務範囲は広く、さまざまな専門分野があります。すべての税理士が相続税に詳しいとは限らないため、得意分野・不得意分野があることを理解しておくことが重要です。
相続税の手続きを依頼したい場合、多くの人がまずインターネットで信頼できる税理士事務所を見つけようとするはずです。その際には、次のチェックポイントを押さえるようにしてください。安心して任せられる税理士に出会える可能性が高まります。
- 申告実績が多い
- 費用が相場と乖離していない
- 税務調査を熟知している
申告実績が多い
相続税を専門に扱う税理士事務所は、実はそれほど多くありません。多くの税理士は企業の決算や会計を主な業務としており、相続税を扱う機会が少ないのが実情です。そのため、相続税に不慣れな税理士に依頼すると、本来なら大きく節税できるはずの部分を見落とし、結果的に多額の税金を支払ってしまう可能性があります。安心して任せるためには、相続税申告の実績が豊富な事務所を選ぶことが重要です。申告実績数の目安としては、年間100件以上の申告を取り扱っている税理士事務所なら信頼性が高く、安心して依頼できます。
費用が相場と乖離していない
税理士報酬は、相続財産の総額に対して0.5〜1.0%が相場です。例えば1億円の相続財産があれば、報酬は50万円〜100万円が目安です。
報酬には「基本報酬」と「加算報酬」の2つがあります。基本報酬は財産の総額に応じて決まります。相続財産が多ければそれに伴って手続きも複雑になるため、報酬が高くなる傾向です。加算報酬は、相続人の数、相続する財産の種類、申告期限までの時間などによって追加されます。特に、相続人が複数いる場合や非上場株式がある場合、申告期限が迫っている場合などには、加算報酬が発生することが多いです。
多くの税理士事務所ではホームページなどで報酬を公開しているため、事前に見積もりを取れて、安心して依頼できます。ただし、中には報酬を公開していない事務所もあります。その場合は料金が高かったり、追加報酬が不明瞭だったりすることがあるため、料金に納得できる税理士事務所を選ぶことが重要です。
税務調査を熟知している
相続税申告後、税務署による税務調査を受けることがあります。調査は申告漏れや数字の誤りなどをチェックするもので、ミスが発覚すれば追徴課税の対象となる可能性が生じます。調査を回避したい方や、調査に入られても追徴課税のリスクを減らしたい方には、そうしたノウハウをもつ税理士事務所が安心です。
例えば、「書面添付」(税理士法第33条の2)ができる税理士事務所は信頼できます。書面添付制度は、申告書に財産の評価方法や処理過程を記載するもので、この制度を利用すると税務調査を受ける可能性が大きく下がります。この制度を活用することで、より確実に申告を終え、追徴課税のリスクを減らせます。
おわりに:まずは税理士の無料相談を活用しよう
相続税に関する個別具体的なお悩みや手続きには、税理士をはじめとする専門家への相談が有効です。個別の専門的な対応が必要な場合は、相続専門の税理士法人レガシィがおすすめです。
60年の運営実績と累計3万件超の相続案件実績をもとに、複雑な相続や資産額の大きい相続など、難易度の高い相続にも柔軟に対応します。お気軽にご相談ください。
当社は、コンテンツ(第三者から提供されたものも含む。)の正確性・安全性等につきましては細心の注意を払っておりますが、コンテンツに関していかなる保証もするものではありません。当サイトの利用によって何らかの損害が発生した場合でも、かかる損害については一切の責任を負いません。利用にあたっては、利用者自身の責任において行ってください。
詳細はこちら
陽⽥ 賢⼀税理士法人レガシィ 代表社員税理士 パートナー
企業税務に対する⾃⼰研鑽のため税理⼠資格の勉強を始めたところ、いつの間にか税理⼠として働きたい気持ちを抑えられなくなり38歳でこの業界に⾶び込みました。そして今、相続を究めることを⽬標に残りの⼈⽣を全うしようと考えております。先⼈の⽣き⽅や思いを承継するお⼿伝いを誠⼼誠意努めさせていただくために・・
武田 利之税理士法人レガシィ 代表社員税理士 パートナー
相続はご他界された方の人生の総決算であると同時にご遺族様の今後の人生の大きな転機となります。ご遺族様の幸せを心から考えてお手伝いをすることを心掛けております。
<総監修 天野 隆、天野 大輔税理士法人レガシィ 代表>
<総監修 天野 隆、天野 大輔>税理士法人レガシィ 代表