名寄帳とは?取得方法・請求できる人・見方などを解説
Tweet不動産の相続で困っている人は名寄帳を取得すると、手続きをスムーズに進められます。本記事では相続で知っておきたい名寄帳の基本や取得方法、請求できる人について解説しています。台帳の見方もあわせて紹介しているので、複数の不動産を相続する予定がある人は必見です。
目次
名寄帳(なよせちょう)とは
名寄帳(なよせちょう)とは、所有者別に土地または家屋に関する情報をまとめた、市区町村が作成する台帳です。所有している固定資産全てを把握できるため、固定資産課税台帳・土地家屋課税台帳を兼ねている地域もあります。
名寄帳は地方税法の規定に基づき作成される台帳であり、固定資産税の判断に使われています。この台帳から、所有者の氏名や住所、不動産の構造や地番といった情報を確認することが可能です。
また、固定資産税評価額・固定資産税課税標準額・固定資産税額などの情報も記載されているため、相続時には取得しておくと便利です。不動産の名義を変更するときでも、法務局への提出を求められる台帳ではありませんが、不動産全てを把握できないケースでは役立ちます。
名寄帳の取得方法
名寄帳が必要な場合、どのように取得すればよいのでしょうか。閲覧・取得できる場所や発行料を確認しておきましょう。
閲覧・取得場所
名寄帳の閲覧や取得ができる場所は、所有不動産がある市区町村の役所です。複数の市区町村で所有していると考えられる場合には、それぞれの市区町村役場で請求する必要があります。相続手続きに使用する場合は、あらかじめ取得しておくとその後の対応がスムーズに進められます。
万が一、不動産を所有しているエリアの見当がつかない場合には、毎年4~6月に発行される固定資産税・都市計画税の課税明細書を確認してください。ただし、名寄帳には、請求年の1月1日における所有情報が記載されており、1月2日より後に取得した不動産は記載されないので注意してください。
発行料
名寄帳の発行料は各自治体や期間(4月から6月)などによって異なり、0円で取得できるケースもあれば、1通あたり200~400円前後の手数料が発生するケースもあります。高額な手数料が発生するわけではありませんが、不安な人は、取得する自治体のホームページ等で事前に確認してみましょう。
この台帳は閲覧のみを行うことも可能ですが、後日見返したい場合は、取得しておくことをおすすめします。なお、遠方に住んでいて足を運べない場合は、自治体によっては郵送請求ができます。発行にかかる手数料は、定額小為替などで送る必要があります。
請求できる人
被相続人が亡くなった後で名寄帳を請求申請できるのは、納税管理人・相続人(またはその代理人)です。所有者との関係性を証明する書類が必要であり、納税義務者と無関係な人は申請できません。また、被相続人が納税義務者でない場合も請求できないため注意が必要です。
被相続人が共同名義と単独名義の不動産を両方所有している場合は、一覧表にまとめて掲載されますが、発行料が2通分かかる可能性があります。共同名義の不動産を所有しているなど、発行料について疑問がある場合は、各自治体へ確認してください。
取得に必要な書類
名寄帳の取得には、以下の書類が必要です。
- マイナンバーカード、運転免許証、健康保険証など申請者の本人確認証明書
- 被相続人が亡くなっていると証明できる書類
- 住民票除票
- 戸籍謄本
戸籍謄本は、被相続人と相続人の関係性を証明するために提出が求められます。また、相続人の代理人がこの台帳の取得申請をする場合は、代理人の本人確認書類に加えて、委任状を添付する必要があります。法人所有物件に関しては、請求書に法務局登録済みの代表者印を押印してください。
請求書や委任状は各自治体のホームページでダウンロード・印刷できます。事前に必要な書類を確認しておくことで、スムーズに手続きが進められます。
名寄帳を取得するときの注意点
名寄帳を取得する際には、注意しておいた方が良いことがいくつかあります。被相続人の所有不動産が曖昧な場合には、以下に気をつけて名寄帳の閲覧・取得をしてください。
新しい不動産は載っていない可能性がある
前述しましたが、被相続人の所有不動産が曖昧なケースにおいては、名寄帳だけでは新たに取得した不動産が分からない可能性があります。この台帳には該当年度の1月1日時点での情報が記載されるため、1月2日以降に得た不動産情報が年内に反映されません。固定資産税・都市計画税の課税明細書にも反映されないため、直近に取得した不動産に気がつかないまま手続きを進めてしまう恐れがあります。
不動産を複数所有している場合は、売買契約書を探すなどして所在を確認することが大切です。また、1月1日には所有していたと名寄帳に記載されていても、1月2日以降に売却されているケースがあります。この場合、登記事項証明書を取得すると被相続人の名義かどうかを確認できます。事前に所有不動産をできる限り確認してから、取得手続きを進めてください。
名寄帳にあるのは個人名義の不動産のみ
被相続人の名寄帳には、個人名義の不動産に関する情報が反映されます。ただし、共同名義の不動産に関しても一覧に掲載されます。よって、共同名義の不動産を所有しているかどうかを名寄帳で確認することが可能です。
ただし、被相続人が経営していた企業が保有する法人名義の不動産情報は記載されないので、別途取得が必要です。法人名義の名寄帳の取得手続きをしてください。上述したように法人名義の不動産に関しては、請求書に法務局登録済みの代表者印の押印が必要なので、自治体へ確認しておくことが重要です。
名寄帳は自治体ごとの管理である
名寄帳は自治体ごとに管理される台帳であるため、市区町村ごとの不動産情報しか確認できません。被相続人が投資をしていたり、遠方にある実家を相続していたりしても、他の市区町村で取得した台帳では、それらの不動産に関する情報を確認できないので注意してください。複数の市区町村にまたがって所有不動産がある場合は、各自治体へ請求手続きが必要です。
被相続人の所有不動産の税金、固定資産税や都市計画税は毎年課税されるので、判明するまで未納・延滞状態が続きます。未納に気がつくのが遅れた場合、罰金を支払うというリスクを負ってしまうため、名寄帳で確認できない情報は、固定資産税の納税通知書や登記資料などで確認してください。
自治体によっては発行していない
名寄帳を発行していない自治体もあります。各自治体により固定資産税情報の管理方法は異なり、名寄帳ではなく固定資産税課税台帳に統一されている自治体もあります。そのような場合は、「固定資産評価証明書」を申請・取得することで、不動産情報を入手することができます。
名寄帳の見方
名寄帳の記載方法は各自治体によって異なりますが、不動産の所在地や課税標準額、評価額や課税額といった情報は、どの自治体が発行する台帳でも確認できます。加えて持分割合や種類、用途や家屋番号、地積といった情報も確認しておきたいところです。
また、非課税の不動産も記載されるため、固定資産税納税通知書で見落としていた不動産の存在に気がつくことも可能です。
東京都主税局の名寄帳に関しては見本とその見方がサイトに掲載されていますので、参考までにご覧ください。
おわりに:不動産の多い相続で名寄帳は役立ちます
名寄帳は、被相続人名義の複数の不動産を確認するときに活用できる書類です。非課税不動産や共有名義の不動産に関する情報も一度で確認でき、固定資産税納税通知書などで見落としていた不動産の存在に気がつくきっかけになります。一方、不動産が複数ある場合、その相続手続きは煩雑になりがちです。
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陽⽥ 賢⼀税理士法人レガシィ 代表社員税理士 パートナー
企業税務に対する⾃⼰研鑽のため税理⼠資格の勉強を始めたところ、いつの間にか税理⼠として働きたい気持ちを抑えられなくなり38歳でこの業界に⾶び込みました。そして今、相続を究めることを⽬標に残りの⼈⽣を全うしようと考えております。先⼈の⽣き⽅や思いを承継するお⼿伝いを誠⼼誠意努めさせていただくために・・
武田 利之税理士法人レガシィ 代表社員税理士 パートナー
相続はご他界された方の人生の総決算であると同時にご遺族様の今後の人生の大きな転機となります。ご遺族様の幸せを心から考えてお手伝いをすることを心掛けております。
<総監修 天野 隆、天野 大輔税理士法人レガシィ 代表>
<総監修 天野 隆、天野 大輔>税理士法人レガシィ 代表
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