遺品整理はいつから始めるのか?タイミングや行うときのポイント
Tweetご親族などが亡くなった場合、どのタイミングで遺品整理を始めるのがよいのでしょうか。この記事では、整理に手を付ける一般的なタイミングや、整理の方法について解説します。遺品整理を自分で行う場合に押さえるべきポイントを理解し、効率的に進めましょう。
目次
遺品整理はいつから始める?一般的なタイミングとは
身近な方を亡くした際は、亡くなった方の生活用品や家電・家具、車などの家財を整理する、いわゆる「遺品整理」が必要になります。大切な人が亡くなったばかりで悲しみに暮れている最中に、遺品整理はなかなか手がつかないという方も多いのではないでしょうか。
遺品整理を始めるタイミングは人それぞれであり正解はありませんが、ここでは一般的なタイミングについて、いくつかご紹介していきますので、参考にしてみてください。
①葬儀後(亡くなった7日後~)
一番早いタイミングでいうと、葬儀後すぐに開始されるケースです。葬儀は一般的に亡くなった翌日が通夜、翌々日が葬儀・告別式とされています。死亡届についても、亡くなってから7日以内に提出が必要なので、まずは死亡直後の手続きが終わったことを目安に、遺品整理を開始するイメージです。
特に故人が賃貸物件に住んでいた場合、死亡後も賃貸契約は継続されます。毎月賃料が発生すること、また契約更新の時期などもあることから、きちんと契約状況を確認したうえで、退去に向けてなるべく早めに遺品整理を始めましょう。
また故人が施設などに入所していた場合も、施設によっては「1週間以内に退所」などの期限が定められているところもありますので、前もって施設側にルールを確認しておきましょう。もし急ぐ必要がある場合には、葬儀後すぐに始めましょう。
葬儀は故人の親族が集まるため、遺品整理を行いやすくなるタイミングでもあります。親族が海外に住んでいるなど、すぐに集まれないようなご家庭の場合には、葬儀後のタイミングで始めておくのが良いかもしれません。
②社会保険・役所関連等の手続き後(亡くなった14日後~)
身内が亡くなった直後の手続きでは、他にも期限が決められているものがあります。それは主に「社会保険」と「年金」に関連する手続きです。まず健康保険についてですが、故人の住所地の役所の担当窓口に資格喪失届を提出し、健康保険証を返却します。また老齢基礎年金や老齢厚生年金を受給していた場合は、最寄りの年金事務所または年金相談センターで、受給停止の手続きを行います。
これらの届出は亡くなって14日以内(厚生年金は10日以内)に手続きをする必要がありますので、まずは手続きがひと段落したら、遺品整理を開始するという風に決めても良いでしょう。
③四十九日法要の後(亡くなった49日後~)
故人の命日から四十九日目に行われるのが、多くの親族が集まる「四十九日法要」です。仏教の多くの宗派において、故人が極楽浄土に入れるかどうかを決める裁判が終わる四十九日までは、故人は現世をさまよっていると考えられています。そこで、四十九日を区切りとしてとらえ、その後に遺品整理をするのが一般的です。
四十九日法要は故人を弔うだけでなく、親族が整理した遺品について相談して形見分けなどをするのに絶好の機会です。親族が話し合えばお互いが納得して遺品整理を行えるため、後々のトラブルを防げます。四十九日法要以外の法要などでも遺品整理の話し合いは可能なので、話し合いに備えて意見をまとめておきましょう。
④相続放棄の期限前(亡くなった3か月以内)
遺産相続の際には、まず故人の遺産を「すべて相続する(単純承認)」か「すべて相続しない(相続放棄)」、あるいは「一部を相続する(限定承認)」という3つの方法の中からどれか1つを選択する必要があります。何も申立てをしなければ自動的に「単純承認」とされますが、もし「限定承認」や「相続放棄」を選択したい場合、その期限は「被相続人が亡くなってから3か月以内」と定められています。亡くなった方に借金があった場合は、それまでにプラスの財産額を調べることができると相続の承認方法を選択するのに役立ちますので、遺品整理においても3か月以内を1つの目安とすることができるでしょう。
⑤相続税の申告期限前(亡くなった10か月以内)
故人の遺産が相続税の非課税額を超えている場合、相続人には相続税が課されます。相続税の申告と納税は、故人が死亡してから10か月以内に行わなければなりません。期限を過ぎてしまった場合は、延滞税などの附帯税を課される可能性があります。相続税を算出するには、まず遺品整理を行い、故人の遺産の評価総額を把握することが必要です。
遺品の中から、銀行通帳や保険・不動産関係の書類など重要なものを探しましょう。土地や建物などの不動産は、査定が必要です。遺産の内容次第では、貴金属類や骨董品などの査定も必要になるかもしれません。期限に間に合うように、余裕をもって数か月前から遺品整理を行いましょう。
⑥気持ちが落ち着いてから
気持ちの整理をつけられずに遺品整理を始めても、感情に左右されて作業を進められません。整理しようとすると、故人との思い出がよみがえり処分する気になれなくなってしまいますよね。そのため、気持ちの整理がついてから一気に遺品整理を行うのもよい手です。
ただし故人の死亡から何年も経ってしまうと、かえって何が重要で何が不要なのか、わからなくなってしまうことも考えられます。すぐに遺品整理を行う気持ちになれない場合は、「まずは半年」など目安の期限を自分のなかで設定しましょう。
もし相続税の期限が心配という場合でも、10か月以内に一度概算(財産額を多めに見積もった内容)で申告・納税をしておき、その後改めて財産内容が確定した段階で「更正の請求」をすれば、多めに払っていた分を還付することもできます。更正の請求の期限は「相続税の申告期限から5年以内」ですので、ある程度の猶予があると考えても良いでしょう。その点はぜひ、相続に詳しい税理士にご相談ください。
遺品整理は誰がやる?2つのケース
遺品整理は自分で行えますが、業者に依頼することも可能です。それぞれのケースについて、どのようなメリット・デメリットがあるのかを押さえましょう。
自分で行う場合
遺品整理を自分で行うメリット、デメリットは以下の通りです。
メリット
- 費用を抑えやすい
- 自分のペースで行える
デメリット
- 手間と労力がかかる
- 精神的な負担がかかる
業者に依頼すれば費用が発生しますが、自分で行えば費用は抑えられます。自分のペースで進めるため丁寧に整理できますし、うっかり大切なものを捨てることもないはずです。一方、自分だけで整理して廃棄するには多大な時間と労力がかかります。気持ちの整理がつかずに整理を行う場合は、身体的な負担だけでなく精神的な負担もかかります。
業者に依頼する
遺品整理を業者に依頼する場合のメリット、デメリットは以下の通りです。
メリット
- 短時間かつ一括で整理できる
- 手間や労力がかからない
デメリット
- 費用がかかる
- 間違えて大切なものを捨てる場合がある
プロに依頼することで、不要なものを一括で廃棄できます。特に重いものや大きなものを速やかに処分してもらえるため、負担が大幅に軽減されます。しかし、業者に依頼する際は費用を支払わなければなりません。重いものや大量のものを処分する場合の費用は、高額になる可能性が高いとみられます。業者ごとに基準や項目が異なるため、複数の業者に見積もりを依頼しましょう。さらに、業者が誤って大切なものを処分してしまうかもしれません。大切なものと処分するものの区別を明確にして、間違いが起こらないようにするのが重要です。
遺品整理を行うときのポイント
自分たちで遺品整理を行うにあたり、押さえておきたいポイントがいくつかあります。やみくもに開始してしまう前に、見ておきましょう。
早めに対応すべき手続きを知る
遺品整理を行うタイミングは人それぞれで問題ありませんが、すぐに対応しなければならないこともあります。例えば、前述した故人が賃貸に住んでいた場合の解約手続きや、社会保険・役所関連の手続きなどです。
- 死亡届の提出
- 健康保険証の返納
- 年金受給権者死亡届の提出(故人が年金受給者の場合)
- 世帯主変更届
- ガス、水道、電気などの公共料金の解約
- 携帯電話の解約
- 加入していた保険の変更手続き など
故人の銀行通帳や印鑑などの所在は、明らかにしておくと後に役立ちます。各手続きに定められた期限を把握し、期限内に手続きを終えましょう。必須の手続きを終えることで、落ち着いて遺品やその整理に向き合えるかもしれません。
ただしガスや水道などの公共料金は解約してしまうと、その後遺品整理で実家を訪れる際などにも使えなくなってしまいますので、解約日は整理のスケジュールにあわせて決めるようにしましょう。
死亡時の手続きについて詳しくは、以下の記事もご覧ください。
作業の計画を立てる
スケジュールを組まずに整理を始めても、時間がかかり想定した範囲まで終わらない場合があります。ただ漫然と整理をするのではなく、計画を立てたうえで効率よく整理をすることが必要です。
まず、遺品整理をいつまでに終わらせたいかを決めましょう。予定終了日から逆算して、どの場所(部屋)をいつまでに整理するのかについて具体的なスケジュールを決めていきます。
整理する場所ごとに掃除用具や解体用の工具といった必要な備品を準備する必要があります。片付けだけでなく、清掃をする必要が生じるかもしれません。想定よりも汚れている、大量のごみが出る場合もあるため、備品は多めに用意すると確実です。都合がつかない場合や作業が進まない場合もあるため、スケジュールは余裕をもって組みましょう。
遺品をわかりやすく分類する
生活空間はさまざまな物があり、整理を行おうとしても、何から手を付ければよいかわからなくなるかもしれません。整理を行うにあたり、いくつかの基準をもとに遺品を分類します。
- 貴重品(相続財産に関連する書類、現金や銀行通帳、印鑑、貴金属類など)
- 思い出の品
- 自分では判断がつかないもの(一見価値がなさそうに見えるが、親族にとっては重要かもしれないものなど)
- 明らかに廃棄すべきもの(生活ごみなど)
上記の基準に沿って大まかに分類し、作業を進めましょう。重要なものは間違って処分しないように、別の場所に保存する、目印をつけるなどの工夫が必要です。不透明なケースや袋に入れず、厳重に保管しましょう。
自分にとっての思い出の品などは、きれいな状態で保管するのがおすすめです。一方、自分にとって不要なものでも、親族などにとっては思い出の品かもしれないため注意が必要です。親族がそろった時ならば、確認しながら整理できます。
明らかに廃棄すべきごみなどは、負担がかからないように少しずつ処分していきます。家電や家具などを廃棄する場合は、自治体のルールに従って処分しましょう。状態がよいものなどは、買い取ってもらえる可能性があります。廃棄する前に確認しておくことをおすすめします。
迷うものは一旦保留にする
遺品整理を進めるうちに、分類できずに迷う場合があるはずです。長い時間迷っていると、作業が進められません。しかし、廃棄すれば取り返しのつかない可能性も考えられます。迷うものは無理に分類しようとせずに、一度保留にしましょう。
迷うものの中には、気持ちの整理がつけば処分できるものと、後から必要になるものがあります。
特に故人の手紙や住所録などは、一見不要に見えるかもしれませんが、後から連絡を取る必要が生じる可能性があるため、保管することをおすすめします。
トラブルに注意する
前述の通り、他の親族の了承を得ずに遺品整理を行うと、トラブルに発展する可能性があるため注意しましょう。自分以外にも相続人がいる場合は貴重品の扱いについて非難され、相続時に問題となるかもしれません。親族の了承を得てから整理を始めることをおすすめします。
親族だけでなく、業者とトラブルになる可能性もあります。追加料金が無いかなど確認し、悪徳業者に依頼しないようにしましょう。業者に依頼する際には、貴重品や大切なものは別の場所に移動させるなど、紛失などの事態が生じないような対策が必要です。
おわりに:遺品整理のタイミングは「相続放棄」と「相続税申告」の期限が目安に
遺品整理を行うタイミングは、葬儀後や四十九日法要の前後、相続税の申告期限前などが一般的です。遺品整理を自分で行えば費用は抑えられますが、時間と手間がかかります。状況に応じて業者に依頼し、負担を減らしましょう。
遺品整理を自分で行う場合は、必要な手続きを押さえて計画を立てましょう。遺品を大まかに分類し、のちの親族への形見分けなどのために整理するようにしましょう。
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陽⽥ 賢⼀税理士法人レガシィ 代表社員税理士 パートナー
企業税務に対する⾃⼰研鑽のため税理⼠資格の勉強を始めたところ、いつの間にか税理⼠として働きたい気持ちを抑えられなくなり38歳でこの業界に⾶び込みました。そして今、相続を究めることを⽬標に残りの⼈⽣を全うしようと考えております。先⼈の⽣き⽅や思いを承継するお⼿伝いを誠⼼誠意努めさせていただくために・・
武田 利之税理士法人レガシィ 代表社員税理士 パートナー
相続はご他界された方の人生の総決算であると同時にご遺族様の今後の人生の大きな転機となります。ご遺族様の幸せを心から考えてお手伝いをすることを心掛けております。
<総監修 天野 隆、天野 大輔税理士法人レガシィ 代表>
<総監修 天野 隆、天野 大輔>税理士法人レガシィ 代表
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