相続の知識

相続放棄申述受理証明書とは? 申請書の書き方や必要なケースについて解説

相続財産に多額の借金が含まれているなどで相続したくない場合、方法として「相続放棄」をするという選択肢があります。相続を放棄したことを自分以外の人に証明するための書類が、「相続放棄申述受理証明書」です。
この記事では、相続放棄の証明書が必要になるのはどのようなケースか、どうやって入手するのか、必要な場合の記入の仕方等について解説します。

相続放棄申述受理証明書とは

相続放棄したことを示す書類には、「相続放棄申述受理通知書」と「相続放棄申述受理証明書」があります。相続人になるはずの人が相続放棄を選択し、申述した場合に、それが受理されたことを「通知する」書類が通知書です。受理されたら家庭裁判所から自動的に交付されますが、通知書は一度しか発行されません。
これに対して、証明書は、受理されたことを「証明する」書類です。通知書と違って自動交付されるわけではありませんので、自ら申請する必要があります。通知書と違って、申請すれば何度でも、何通でも発行してもらえます。

相続放棄申述受理証明書はどんな時に必要?

相続放棄したことを書面で証明する必要があるのは、主に以下2つのような場合です。
①債権者に相続放棄を証明するとき
②不動産の名義変更(相続登記)をするとき

①債権者に相続放棄を証明するとき

相続放棄をすれば、プラスの財産もマイナスの財産も引き継がないことになり、初めから相続人ではなかったものと扱われますので、もし相続するはずだった遺産に借金が含まれていても、返済しなくてよくなります。
ただし、相続を放棄しても、それが世間に公表されるわけではありません。第三者からは、相続人が相続放棄した事実が一見して分からないため、放棄したにもかかわらず、それを知らない債権者から債務請求されることがあります。
そのような場合に、自分は相続放棄をしていて相続人ではないこと、それによって被相続人の債務を支払う義務がないことを証明するため、受理証明書が必要になります。

通知書のコピーでも、相続放棄したことを相手に理解してもらえる可能性は高いですが、もし通知書の原本を請求された場合、通知書は1度しか発行されないので、渡してしまうと他に必要な場面で使えなくなってしまいます。一方、証明書であれば何通でも発行されますので、通知書ではなく証明書を提出するとよいでしょう。

②不動産の名義変更(相続登記)をするとき

不動産を相続したら、名義変更が必要になります。これを、相続登記といいます。複数の相続人が不動産を相続することになったとします。相続人のなかに相続した人と、相続放棄した人がいる場合に、証明書を提出する必要が出てきます。
例えば父が住んでいた実家を、母と長男と次男が相続することになったけれど、次男が相続放棄したとしましょう。この場合、相続登記をする際に、母と長男の押印に加えて、次男が相続放棄したことを証明する書類として、証明書を法務局に提出しなければなりません。

不動産の他、銀行口座の名義変更などでも証明書の提出を求められることがあります。証明書が必要かどうかを、金融機関に早めに確認しておくと安心です。

相続放棄申述受理証明書の取得方法

相続放棄した場合に、相続手続きのなかで必要になる可能性がある受理証明書ですが、どのように取得するのでしょうか。取得までの流れや費用、申請書の記入方法について解説していきます。

証明書取得までの流れ

証明書取得までの流れ相続放棄受理証明書の申請までの流れは、以下の通りです。

  1. 相続放棄を決断する
  2. 相続放棄申請書を家庭裁判所に提出する
  3. 相続放棄が受理され、相続放棄申述受理通知書が届く
  4. 通知書に同封されている相続放棄証明書の申請書に内容を記載する
  5. 裁判所の窓口もしくは郵送で申請書と必要書類を提出する

相続放棄を決断し、申述書を家庭裁判所に提出して受理されると、受理通知書が交付されます。
証明書が必要な場合は、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所にて、申請に必要な書類をそろえて、受理証明申請書とともに提出します。
もし、相続放棄を申請した時点から住所などが変更されている場合は、戸籍の附票や戸籍謄本などが提出書類として必要になります。裁判所によって必要な書類が異なりますので、管轄の裁判所に確認しましょう。

相続放棄の手続きについては、下記の記事も併せてご覧ください。

必要な書類と費用

申請に必要な書類と費用は、主に以下の通りです。

  • 相続放棄受理証明書 申請書
  • 身分証明書(郵送の場合は写し)及び認印
  • 相続放棄受理通知書(郵送の場合は写し)
  • 交付手数料(収入印紙): 150円(証明書1通あたり)

※郵便での返送を希望する場合

  • 返信用封筒
  • 返信用封筒の切手代:84円~94円

※氏名・住所が申述時と異なる場合など、提出の必要がある場合

  • 戸籍謄本:1通450円
  • 住民票:1通300~400円程度(市区町村によって異なる)

証明書の申請は、家庭裁判所の窓口へ行って手続きすることも可能ですし、平日の日中は仕事などで忙しくて出向けないという場合は、郵送で申請することもできます。

いずれも手数料などの費用がかかります。証明書交付の手数料は1通あたり150円で、申請する通数分の金額の収入印紙を、申請書に貼って納付します。戸籍謄本などの必要書類をあわせて提出する必要がある場合は、役所にてそれらを取得する手数料が数百円かかります。郵送で申請する場合は、さらに返信用封筒と切手を準備して同封する費用も必要です。

申請書の書き方

相続放棄受理証明書 申請書の書き方

申請書は、受理通知書送付時に同封されています。もし紛失してしまっても、家庭裁判所に行けば改めて取得できます。インターネットでもダウンロードできますので、下記の裁判所ホームページを参照ください。

【参考】裁判所ホームページ『相続放棄受理証明書 申請書』

申請書には、事件番号と受理年月日を書く欄があります。受理通知書に記載されているので、手元にある場合はそれを見て記入しましょう。他に申請者の氏名や電話番号、通数などの必要事項を記載します。

なお、証明書は、相続を放棄した本人の他、他の相続人や、相続債権者などの利害関係者も申請することが可能です。本人以外が申請する場合は、申請書の他に、相続関係・利害関係を証明する書類を添えて家庭裁判所に提出します。

相続放棄申述受理証明書の注意点

証明書が必要なケースと、申請の方法についてご紹介しました。ここからは、証明書の注意点について解説していきます。

即日発行はできない

裁判所を直接訪れて相続放棄受理証明書を申請した場合でも、即日発行はできません。申請の受理には裁判官の許可が必要なためです。裁判所によっても交付までの日数は異なるようですので、事前に確認しておきましょう。

ちなみに、相続放棄に関する情報が保管されるのは、申述を受理してから30年間です。そのため、30年経過後に証明書を申請することはできません。もっとも、借金などの債権には5年~10年の時効があるため、証明書の請求期間が問題になるケースは少ないでしょう。

事件番号が分からないと申請ができない

申請書には事件番号を書く欄があります。事件番号は送付された受理通知書に記載されているので、手元にあればそれを写せばよいのですが、ない場合、番号が分からないと申請できません。
もし、紛失してしまったなどの理由から、通知書が手元になくて番号が分からない場合は、家庭裁判所に「相続放棄・限定承認の申述有無の照会」をすると番号を確認できます。

照会申請書と必要書類を被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に提出することで、無料で照会可能ですが、必要書類など手間も増えますので、基本的には通知書を利用するのが良いでしょう。
詳しくは裁判所のホームページをご確認ください。

【参考】裁判所ホームページ『相続放棄・限定承認の申述の有無についての照会をされる方へ』

証明書は何回でも発行できるが、通知書は1回のみ

証明書は何度でも発行してもらえますが、通知書の発行は一度のみです。前述した通り、通知書を見ないと記載できない項目などもあるので、紛失しないようにしましょう。
証明書を申請する際は、最初から複数枚発行してもらうこともできますし、発行された証明書をなくしてしまった場合には、再発行も可能です。証明書を提出する先が分かっている場合は、前もって必要な数を取得しておくと、手続きがスムーズです。

おわりに:相続放棄申述受理証明書が必要な場合は「通知書」を大事に持っておこう

相続放棄した際に使う可能性の高い証明書発行の流れや、必要になるのはどのようなケースなのかについて解説しました。申請書に必要書類を添えて提出すれば、家庭裁判所にて発行が可能で、何通でも申請できます。相続を放棄したにもかかわらず、借金の返済を要求された場合に債権者に証明書を提出すれば、返済義務がないことを証明できます。必要な場合は、早めに手続きをしておきましょう。

相続税に関する疑問があれば、相続専門の税理士に相談するのが確実です。税理士法人レガシィは、相続税申告実績の累計が1.5万件超えと、豊富なノウハウを持っています。証明書についての相談や、その他、相続関係の手続きでお困りの際は、ぜひ一度ご相談ください。

当社は、コンテンツ(第三者から提供されたものも含む。)の正確性・安全性等につきましては細心の注意を払っておりますが、コンテンツに関していかなる保証もするものではありません。当サイトの利用によって何らかの損害が発生した場合でも、かかる損害については一切の責任を負いません。利用にあたっては、利用者自身の責任において行ってください。

詳細はこちら
この記事を監修した⼈

陽⽥ 賢⼀

陽⽥ 賢⼀税理士法人レガシィ 代表社員税理士 パートナー

企業税務に対する⾃⼰研鑽のため税理⼠資格の勉強を始めたところ、いつの間にか税理⼠として働きたい気持ちを抑えられなくなり38歳でこの業界に⾶び込みました。そして今、相続を究めることを⽬標に残りの⼈⽣を全うしようと考えております。先⼈の⽣き⽅や思いを承継するお⼿伝いを誠⼼誠意努めさせていただくために・・

武田 利之(税理士)

武田 利之税理士法人レガシィ 社員税理士

相続はご他界された方の人生の総決算であると同時にご遺族様の今後の人生の大きな転機となります。ご遺族様の幸せを心から考えてお手伝いをすることを心掛けております。

<総監修 天野 隆、天野 大輔税理士法人レガシィ 代表

<総監修 天野 隆、天野 大輔>税理士法人レガシィ 代表

無料面談でさらに相談してみる