相続の知識

豊かな老後の生き方|デジタルも活用しながら、ウェルビーイングに生きるには?

老後の生活は不安と期待が入り混じる時期です。経済的な心配、健康の問題、人間関係の変化など、多くの課題に直面しますが、適切な準備と心構えがあれば、この人生の新たな章を豊かに過ごすことができます。本記事では、老後のリスクと向き合い、経済面、健康面、社会的つながりをバランスよく整えながら、デジタル技術も活用した充実した老後生活を実現するための具体的なアプローチを解説します。人生100年時代、自分らしく幸せに生きるためのヒントをご紹介します。

 

老後の生き方における現代的リスクと課題

豊かな老後を実現するには、まず直面するリスクと課題を正しく理解することが重要です。経済、社会的つながり、健康の3つの側面から、現代の高齢者が抱える主な問題を見ていきましょう。

経済的安定を脅かす老後のお金のリスク

退職後の生活資金確保は多くの高齢者にとって最大の懸念事項です。年金制度の先行きが不透明であり、将来の受給額について不安を抱える方が増えています。また、予想以上の医療費や介護費用が発生するリスクも見過ごせません。

これらの経済的リスクに対処

 

するためには、現役時代からの計画的な貯蓄と投資が不可欠です。老後の生活費を試算し、それに向けた資産形成を行うことで、経済的な不安を軽減することができます。総務省の「家計調査年報(家計収支編)」によると、老後に必要な資金は平均的な生活を送る場合、夫婦で約3,000万円となっています

核家族化がもたらす社会的つながりの喪失

現代社会では核家族化が進み、一人暮らしの高齢者が増加しています。配偶者や友人との死別による孤独感の増加は、精神的健康に大きな影響を及ぼします。社会的なつながりの喪失は、孤立感を深め、うつ病などの精神疾患のリスクを高める要因となっています。

この課題に対処するためには、地域活動や趣味の会、ボランティア活動などを通じた新たな人間関係の構築が効果的です。国立長寿医療研究センターの研究によると、社会的なつながりを持つ高齢者は、そうでない高齢者と比較して認知機能の低下が約50%も少ないというデータがあります。人との交流は心の健康だけでなく、脳の健康維持にも重要な役割を果たしているのです。

老後の健康維持と自立生活のための対策

高齢期には、糖尿病や高血圧などの慢性疾患のリスクが高まります。また、認知症の発症や筋力・骨密度の低下による自立生活の困難さも大きな課題です。健康上の問題は、生活の質を著しく低下させるだけでなく、経済的な負担も増加させます。

健康リスクに対処するためには、定期的な健康診断の受診、適度な運動習慣の継続、バランスの良い食生活の維持が重要です。世界保健機関(WHO)によると、65歳以上の高齢者では、週に150分以上の中強度の運動(ウォーキングなど)を行うことで、慢性疾患のリスクが約20%減少するという研究結果があります。また、専門家のアドバイスを受けながら、自分に合った健康管理の方法を見つけることも大切です。

 

高齢者のウェルビーイングを支える3つの基盤

豊かな老後生活を送るためには、いくつかの基盤となる要素があります。ここでは、経済的安定、趣味の充実、自立した生活という3つの重要な側面から探ります。

老後の安心を支える経済的安定の確保

経済的な安定は、老後の生活の質を大きく左右します。年金や貯蓄で医療費・生活費の不安を解消することは、安心して老後を過ごすための基盤となります。計画的な資産形成と、リスクに備えた保険の活用が重要です。

経済的安定を確保するためには、まず自分の年金受給額を正確に把握し、それに基づいた生活設計を行うことが重要です。また、iDeCo(個人型確定拠出年金)やNISA(少額投資非課税制度)などの税制優遇制度を活用した資産形成も効果的です。老後の生活においては、無理なく継続できる範囲での支出計画を立て、予期せぬ出費に備えた緊急資金を確保しておくことも大切でしょう。

老後の生きがいを創出する趣味の充実

趣味は老後の生活に彩りを与え、日々の充実感をもたらします。旅行、読書、園芸、手芸など、自分の好きなことに没頭することで、退職後の時間を有意義に過ごすことができます。新たな趣味を見つけることは、新しい出会いや学びの機会にもなります。

趣味を通じた生きがいの創出は、精神的な健康にも良い影響を与えます。National Institutes of Healthの「趣味と高齢者の健康」の論文によると、趣味を持つ高齢者は、うつ症状が30%も少ないという研究結果もあります。また、趣味を通じて同じ興味を持つ人々との交流が生まれることで、社会的なつながりも維持・拡大できます。自分の好きなことを見つけ、それを楽しむ時間を持つことは、老後の生活の質を高める大切な要素です。

家族への負担を減らす自立した生活の維持

自立した生活を維持することは、自分自身の尊厳を保ち、家族への負担を軽減するために重要です。健康管理や日常生活の維持を自らの力で行うことで、自己効力感を持って生活することができます。

こうした生活を続けるためには、身体機能の維持・向上に努めることや住環境を自分の身体状況に合わせて整えることも重要です。手すりの設置や段差の解消などのバリアフリー化を進めることで、安全に自立した生活を続けることができます。必要に応じて介護サービスなどの社会資源を利用することも、自立生活を支える賢い選択肢となるでしょう。

 

デジタル技術を活用した老後の生き方の充実

現代の高齢者は、デジタル技術を活用することでより豊かな老後生活を送ることができます。ここでは、デジタル技術が高齢者の生活にもたらす恩恵と、そのスキルを身につけるための方法について解説します。

高齢者のQOL向上に貢献するデジタルサービス

デジタルサービスの活用は、高齢者の日常生活における利便性と豊かさを向上させる重要な手段となっています。オンラインショッピングは重い荷物を持ち運ぶ負担を軽減し、遠隔医療サービスは通院の手間を省きます。また、様々なコミュニケーションツールを活用することで、離れて暮らす家族や友人との交流も容易になります。

内閣府の「令和4年度 高齢者のデジタル活用に関する調査」令和4年度によると、65歳以上の高齢者のうち、デジタルサービスを活用している人は生活満足度が20%以上高いというデータもあります。特に、買い物や銀行取引などの日常的な活動をオンラインで行えることは、移動が困難になりがちな高齢者にとって大きなメリットです。また、健康管理アプリや歩数計機能を活用することで、自分の健康状態を客観的に把握し、適切な生活習慣を維持することも可能になります。

高齢者のためのデジタルデバイド解消への取り組み

デジタルデバイド(情報格差)の解消は、豊かな老後生活の実現に不可欠です。多くの自治体や団体では、高齢者向けのデジタルスキル習得支援が進められています。

具体的には、以下のような取り組みが全国で展開されています。

  • ・オンラインコミュニティアプリの活用
  • ・地域のスマホサポーターの養成
  • ・自治体との連携によるICT講習会
  • ・民間企業と協力したユーザーフレンドリーなサービス開発

これらの取り組みにより、参加した高齢者の80%以上がデジタル機器の利用に対する不安を軽減できたという結果も報告されています。重要なのは、高齢者自身がデジタル技術の便利さを実感できる機会を提供することです。そのためには、個々の興味や関心に合わせた学習内容や、実生活ですぐに役立つスキルから始めることが効果的です。

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オンラインコミュニティを通じた社会的つながりの構築

デジタル技術は高齢者の社会的つながりを維持・拡大するための強力なツールとなります。SNSやビデオ通話アプリを活用することで、物理的な距離を超えた交流が可能になり、新たなコミュニティへの参加も容易になります。

富山県朝日町では、地域の高齢者向けに定期的にオンライン交流会を開催し、地域コミュニティの絆を強化する取り組みが行われています。Zoomなどのビデオ通話アプリを活用し、高齢者が自宅から簡単に参加できる環境を整えています。この取り組みに参加した高齢者の90%が「孤独感が軽減した」と回答しており、オンラインコミュニティの有効性が実証されています。また、共通の趣味や関心事に基づいたオンラインコミュニティを構築することで、新しい友人関係を築くことも可能です。さらに、デジタルプラットフォームを通じたバーチャルボランティア活動への参加は、社会貢献の機会を増やし、自己効力感や生きがいの向上にもつながります。

デジタル健康管理ツールの活用法

スマートフォンやウェアラブルデバイスなどのデジタル技術を活用した健康管理は、高齢者の自立した生活をサポートする強力なツールとなります。歩数計アプリやバイタルデータ記録アプリを使うことで、日々の健康状態を客観的に把握し、適切な行動につなげることができます。

健康管理アプリの活用で特に効果的なのは、継続的なモニタリングと適切なフィードバックです。健康管理アプリを6ヶ月以上継続して使用した高齢者は、使用していない高齢者と比べて身体活動量が平均30%増加したという研究結果もあります。また、血圧や血糖値などのデータを記録・管理することで、異常の早期発見や、医師との効果的なコミュニケーションも可能になります。認知症予防のための脳トレアプリや、服薬管理をサポートするアプリなど、高齢者の生活や健康をサポートするさまざまなデジタルツールを賢く活用することで、より自立した健康的な生活を送ることができるでしょう。

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豊かな老後生活のためのデジタル活用実践事例

デジタル技術の活用は、現代の高齢者の生活をより便利で豊かにする可能性を秘めています。ここでは、実際に高齢者がデジタル技術を活用して生活の質を向上させている具体的な事例を紹介します。

高齢者向けスマートフォン活用講座

全国各地で高齢者向けのスマートフォン活用講座が開催され、多くの成功事例が報告されています。適切なサポートがあれば、高齢者でもデジタル技術を生活に取り入れることができるのです。

オンライン趣味サークルで広がる高齢者の交流の輪

オンライン上で趣味を共有するコミュニティは、高齢者の新たな交流の場として注目されています。「シニアネットクラブ」という全国規模のオンラインコミュニティでは、絵画、写真、俳句、園芸など多様な趣味のグループが形成されており、高齢者同士が作品を共有したり、オンライン上で交流したりしています。

遠隔医療サービスを活用した高齢者の健康管理

近年、遠隔医療サービスの普及により、高齢者の医療アクセスが改善されています。特に移動が困難な高齢者や、医療機関が少ない地方在住の高齢者にとって、遠隔医療は大きなメリットをもたらします。

デジタル決済で広がる高齢者の生活の利便性

キャッシュレス決済の普及により、高齢者の買い物や支払いが便利になっています。特に、重い財布を持ち歩く必要がなくなったことや、小銭の計算・管理の手間が省けることは、高齢者にとって大きなメリットです。

 

豊かな老後を実現する5つの実践ポイント

理想的な老後を送るためには、具体的な行動計画が重要です。ここでは、豊かな老後生活を実現するための5つの具体的なポイントを紹介します。それぞれのポイントを実践することで、バランスのとれた充実した老後生活を送ることができるでしょう。

老後の生活設計における計画的な経済準備

老後の経済的な安定を確保するためには、計画的な準備が不可欠です。まずは、老後の収入と支出を具体的に見積もり、不足分を貯蓄や投資でどのように補うかを計画しましょう。また、医療や介護に備えた保険の確認・整備も重要です。

効果的な経済準備のポイントとして、以下の項目が挙げられます。

 

  • ・年金の受給見込み額を確認し、生活費との差額を試算する
  • ・iDeCoやNISAなどの税制優遇制度を活用した資産形成を行う
  • ・医療保険や介護保険の内容を確認し、必要に応じて見直す
  • ・定期的に家計の収支を見直し、無駄な支出を削減する
  • ・遺言作成や財産整理を行い、将来の家族の負担を軽減する
  •  

計画を立てることで不安を軽減し、より前向きに老後生活に臨むことができるでしょう。

老後の心身健康を維持するための習慣づくり

心身の健康は豊かな老後生活の基盤となります。定期的な健康診断の受診や、継続可能な運動習慣の確立が重要です。また、バランスの良い食生活や十分な睡眠も、健康維持には欠かせません。

効果的な健康管理のための具体的な習慣としては、以下のような取り組みが推奨されます。

 

  • ・年に1回以上の定期健康診断の受診と結果に基づく生活改善
  • ・毎日30分程度のウォーキングや軽い筋トレなどの運動習慣
  • ・タンパク質、野菜、果物をバランスよく摂取する食生活
  • ・趣味や読書などによるストレス発散と脳の活性化
  • ・適切な睡眠時間の確保と質の高い睡眠を促す環境づくり
  •  

世界保健機関(WHO)によると、適度な運動と健康的な食事習慣により、高齢者の主要な慢性疾患リスクを約50%低減できると報告されています。健康的な習慣を若いうちから身につけることが、健康長寿の鍵となるでしょう。

地域活動参加による老後の社会的つながりの構築

社会的なつながりを維持・構築することは、豊かな老後生活に欠かせない要素です。地域活動やボランティア活動に参加することで、新たな人間関係を築き、社会との接点を持ち続けることができます。また、友人や家族との定期的な交流も重要です。

社会的つながりを構築・維持するための効果的な方法としては、以下のような活動が挙げられます。

 

  • ・町内会やコミュニティセンターでの地域活動への参加
  • ・自分の経験や技術を活かせるボランティア活動への参加
  • ・趣味のサークルやスポーツクラブでの活動
  • ・家族や友人との定期的な交流の機会を意識的に設ける
  • ・SNSやオンラインコミュニティを活用した新たな交流の場の開拓
  •  

内閣府の調査によると、社会活動に参加している高齢者は、そうでない高齢者と比較して、生活満足度が約25%高いという結果が報告されています。人との交流や社会との接点を持つことは、精神的な健康を維持し、豊かな老後生活を送るための重要な要素となります。

老後の生きがいを見つける多様な趣味の探求

趣味や活動を楽しむことは、老後の充実感や生きがいにつながります。新たな挑戦や学びの機会を持つことで、日々の生活に刺激と喜びをもたらすことができます。自分の興味や関心に合わせた趣味を見つけ、楽しむ時間を持ちましょう。

老後の生活を豊かにする趣味や活動の例として、以下のようなものが挙げられます。

 

  • ・ガーデニングや家庭菜園などの植物栽培
  • ・料理や菓子作りなどの食に関する活動
  • ・絵画、音楽、手芸などの創作活動
  • ・国内外の旅行や温泉巡り
  • ・カメラ撮影や俳句、短歌などの表現活動
  • ・生涯学習講座や語学学習などの知的好奇心を満たす活動
  •  

趣味を通じて脳を活性化させることは、認知機能の維持にも効果的です。また、趣味を通じて他者と交流することで、社会的なつながりも維持・拡大できます。

老後の生活スタイルに合わせた快適な住環境の整備

快適な住環境を確保することは、安全で自立した老後生活を送るための基盤となります。加齢に伴う身体機能の変化に対応したバリアフリー化や、自分の趣味や生活スタイルに合った住環境・地域を選択することが重要です。

老後の住環境を整備する際のポイントとしては、以下のような点が挙げられます。

 

  • ・段差の解消や手すりの設置などのバリアフリー化
  • ・滑りにくい床材の採用や照明の明るさ調整
  • ・医療機関や買い物施設へのアクセスの良さ
  • ・趣味活動ができるスペースの確保
  • ・防犯・防災対策の強化
  • ・必要に応じたスマートホーム化(見守りシステムなど)
  •  

安全で快適な住環境は、自立した生活の継続と生活の質の向上に大きく貢献します。自分の現在の状況だけでなく、将来の変化も見据えた住環境の選択や整備を行うことが大切です。

まとめ

豊かな老後生活は一朝一夕に実現するものではなく、日々の小さな積み重ねによって築かれていきます。今からできることから少しずつ取り組み、自分らしい充実した老後生活を実現していきましょう。専門家のアドバイスを参考にしながら、自分に合った方法で老後の準備を進めていくことをお勧めします。

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この記事を監修した⼈

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陽⽥ 賢⼀税理士法人レガシィ 代表社員税理士 パートナー

企業税務に対する⾃⼰研鑽のため税理⼠資格の勉強を始めたところ、いつの間にか税理⼠として働きたい気持ちを抑えられなくなり38歳でこの業界に⾶び込みました。そして今、相続を究めることを⽬標に残りの⼈⽣を全うしようと考えております。先⼈の⽣き⽅や思いを承継するお⼿伝いを誠⼼誠意努めさせていただくために・・

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武田 利之税理士法人レガシィ 代表社員税理士 パートナー

相続はご他界された方の人生の総決算であると同時にご遺族様の今後の人生の大きな転機となります。ご遺族様の幸せを心から考えてお手伝いをすることを心掛けております。

<総監修 天野 隆、天野 大輔税理士法人レガシィ 代表

<総監修 天野 隆、天野 大輔>税理士法人レガシィ 代表

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