デジタル終活とは?始めるメリットやデジタル遺品の整理方法、注意点を解説
Tweet生活の多くがオンライン化する現代、スマートフォンやパソコンに蓄積された個人情報や契約データなどの「見えない資産」を生前に整理する「デジタル終活」に注目が集まっています。
本記事では、デジタル終活の概要や対象となるデジタル遺品について解説します。整理の流れや注意点についてもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
デジタル終活とは?
終活とは、人生の最期を見据えて、身の回りの整理を行う活動のことです。自分自身が安心して老後を過ごすとともに、家族への負担を軽減する目的があります。その終活の一環として注目されているのが「デジタル終活」です。
ここでは、デジタル終活の基本的な考え方や対象となるデジタル遺品、また普通の終活との違いについて解説します。
デジタル終活の概要
「デジタル終活」とは、スマートフォンやパソコンに蓄積された個人データを、生前に整理・管理しておくことを指します。スマートフォンやパソコン内のデータだけでなく、SNSやクラウド上のファイルや、各種ウェブサービスのアカウントも整理の対象です。
万が一の際に、家族がスムーズに対応できるよう、ID・パスワード、利用サービス一覧、資産情報などを記録・管理しておきましょう。こうした準備を怠ると、大切な思い出の喪失や情報漏えい、相続手続きの遅れといったトラブルにつながる恐れがあります。
デジタル遺品に該当するもの
「デジタル遺品」とは、故人が残したデジタル上の財産や情報のことを指します。代表的なものは以下の3つです。
| デバイス内のデータ | スマートフォンやパソコン、外付けHDD(ハードディスクドライブ)、クラウドサービスなどに保存されている写真・動画・文書など |
| オンラインアカウント | SNS、ブログ、サブスクリプションサービス(例:Netflix)、オンラインゲームのアカウント情報や契約履歴など |
| デジタル資産 | ネット銀行口座、ネット証券口座、仮想通貨、電子マネーなど、金銭的な価値を持つデジタルデータなど |
このようなデジタル遺品は、「見えない遺品」とも呼ばれています。相続手続きや不要なデータの削除をスムーズに行うためにも、生前にきちんと整理しておくことが大切です。
特に思い出や資産に関する情報は、家族が後から困らないよう、アクセス方法やパスワードなどをわかりやすく残しておくことをおすすめします。
デジタル終活と普通の終活の違い
終活には、「物理的な整理」と「情報の整理」という二つの側面があります。一般的な終活では、通帳や不動産、葬儀の準備など、目に見える財産の管理が中心です。
一方、デジタル終活では、SNSやクラウドサービス、ネット銀行など、インターネット上に残る「見えない資産」の整理が主な目的です。特にデジタル遺品は、家族であってもパスワードがわからなければアクセスできず、結果として放置されてしまうリスクが高い点が特徴です。そのため、従来の終活と同様に、生前からの計画的な整理と情報共有が欠かせません。
終活について詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。
デジタル終活が注目を集める背景

近年、高齢者の間でもスマートフォンやインターネットの利用が急速に広がっています。総務省の調査によると、20~59歳のスマートフォン所有率は80%を超え、80歳以上でも50%以上の方がSNSを利用しています。このような状況から、スマートフォンやパソコンに故人の財産や契約情報が残っているケースも増加している状況です。
特に注意が必要なのが、サブスクリプションサービスの契約です。本人が解約しないまま亡くなってしまうと、料金が自動的に引き落とされ続け、遺族が思いがけない金銭的負担を抱えることもあります。
こうした背景を受け「デジタル終活」は、家族の負担軽減や個人情報や資産を守るための取り組みとして、年々注目が高まっています。
デジタル終活を始めるメリット

デジタル終活は、単にデータを整理するだけでなく、家族の負担を減らしたり、個人情報や資産を安全に守ったりするための大切な準備です。ここでは、具体的にどのようなメリットが得られるのかをわかりやすく紹介します。
デジタル遺品を整理することでプライバシーを守れる
スマートフォンやパソコンには、写真・動画・メッセージ・検索履歴など、他人には見られたくない個人情報が数多く残されています。例えば、SNSアカウントを長期間放置すると、思わぬ形で趣味や交友関係が家族に知られたり、アカウントが乗っ取られて個人情報が外部に漏れたりするリスクもあります。
しかし、生前にこれらのデータやアカウントを整理しておけば、こうしたリスクを避けられます。具体的には、使わなくなったアカウントを削除するなど、ログイン情報を適切に管理することがポイントです。
このように「デジタル終活」は、自分自身のプライバシーを守るだけでなく、家族にも安心してもらうための取り組みでもあります。
デジタル関係のサイトやログイン情報の整理につながる
デジタル終活を行う利点のひとつが、利用中のサービスやアプリを整理できることです。IDやパスワードを一覧化しておけば、使っていないサービスの解約や、重複している契約の見直しが容易になります。結果として、不要な課金や無駄な支出の削減にもつながります。
また、ログイン情報を明確にしておくことで、万が一の際にも家族がスムーズに手続きを進められます。本人しか知らない情報を「見える化」することで、トラブルや情報漏えいのリスクを減らし、安心してデジタル資産を家族に引き継げます。
万が一の際も家族などに迷惑が及ばない
デジタル終活は家族への思いやりを形にする取り組みのひとつです。ネット銀行の口座残高や利用中のオンラインサービスを明確にしておくことで、相続手続きに必要な情報の漏れや混乱を防げます。
また、サブスクリプションサービスを解約し忘れたままにしておくと、料金が引き落とされ続けるといったトラブルも起こりかねません。本人しか知らないログイン情報やクラウド上のデータについても、どのように取り扱ってほしいかをあらかじめ伝えておくのが大切です。
デジタル遺品の整理方法と流れ

スマートフォンやパソコン、クラウドなどに残されたデジタル遺品を整理するには、あらかじめ計画を立て、順序立てて進めることが大切です。ここでは、デジタル遺品を無理なく整理するための基本的な手順を、4つのステップでわかりやすく解説します。
1.保有するデジタル端末を洗い出す
まずは、自分が所有している端末やデータの全体像を把握することから始めましょう。パソコン、スマートフォン、タブレット、外付けHDD、USBメモリなど、情報が保存されている機器をひとつずつリストアップします。あわせて、それぞれの端末の起動方法やパスワードもメモしておくと、後の整理がスムーズです。
意外と見落としやすいのが、クラウドサービスに保存されている写真やメール、連絡先といったデータです。オンライン上の履歴やアカウント情報も含めて把握することで、自分のデジタル資産の全体像を「見える化」できます。
2.データやデジタル契約の情報をまとめる
次に、洗い出したデータや契約内容を整理します。保存すべきデータと削除してよいデータを分類し、ネット銀行や証券口座、サブスクリプションサービスなどの契約を一覧にまとめましょう。
さらに、各アカウントのログインID・パスワード・登録メールアドレスなどの認証情報を管理しておくことも大切です。情報を「見える化」しておくことで、いざというときの引き継ぎや確認作業がスムーズになります。
3.不要なデータや契約は破棄する
他人に見られたくない写真や動画、使わなくなった古いメールは削除しましょう。プライベートな情報を放置すると、思わぬトラブルにつながるおそれがあります。また、利用頻度の低いサブスクリプションサービスも解約しておけば、無駄な支出や手続きによる負担を避けられます。
情報漏えいを防ぐためにも、使わない端末は初期化や破棄を行い、必要に応じて物理的な破壊も検討しましょう。
4.残すデータや契約などはエンディングノートにまとめる
デジタル遺品の整理が終わったら、必要な情報をエンディングノートにまとめておきましょう。
具体的には、家族に残したい写真・文書、解約が必要なサービスの契約情報などを、サービス名やURLとともに明記します。
ただし、ログインIDやパスワードは直接記載せずに、ヒントになる言葉や暗号化したメモなどを工夫して記し、情報漏えいのリスクを減らすことが大切です。また、エンディングノートの保管場所は家族と共有し、すぐに見つけてもらえるようにしておきましょう。
エンディングノートについては、以下の記事でも詳しく解説しています。
デジタル終活する際の注意点

デジタル終活を誤った方法で進めてしまうと、家族の混乱や情報漏えいなどのトラブルを招くおそれがあります。ここでは、デジタル終活を進める際に注意すべきポイントについて詳しく解説します。
エンディングノートは誰が読んでも理解できる内容にする
エンディングノートは、家族や関係者が見てすぐに理解できる内容でまとめることが大切です。
専門用語や略語はできるだけ避け、身近な言葉で簡潔に記しましょう。
特に、パソコンやスマートフォンの起動パスワード、よく利用するアカウントのログイン情報などは、緊急時に非常に役立つ手がかりとなります。また、デジタル終活の内容や理由も一緒に記載しておくことで、家族が状況を正しく理解し、スムーズに対応できます。
さらに、アルファベットや数字の表記にも注意が必要です。例えば「O(オー)」と「0(ゼロ)」、「l(エル)」と「1(イチ)」などは、形が似ていて間違えやすいため、誰が読んでもわかるように書き方を工夫することも大切です。
デジタル終活の情報は家族等に共有する
デジタル終活は、情報を整理するだけではなく、家族と共有してこそ意味を持つ取り組みです。
エンディングノートの存在や保管場所を、信頼できる家族や身近な人にきちんと伝えておきましょう。
どれほど丁寧に準備をしても、誰にも知らせずに保管してしまうと、亡くなった後に見つけてもらえず、対応が遅れる可能性があります。パスワードなどの情報を記載する際には、合言葉の設定や暗号化など、安全に引き継ぐための工夫が必要です。また、家族が迷わず行動できるよう、どの情報をどの順番で確認すればよいかを明示しておくと安心です。
銀行口座のパスワードなど重要情報の扱いに注意する
エンディングノートに銀行口座やネット証券のログイン情報を記載する場合は、特に慎重な取り扱いが必要です。パスワードや暗証番号をそのまま記入してしまうと、情報漏えいのリスクが高まります。もしもの際に悪用されないよう、これらの情報は直接ノートに書かず、貸金庫や自宅の金庫など安全な場所で保管する方法がおすすめです。
また、家族が必要なときにスムーズに対応できるよう、本人にしかわからないヒントや手がかりを残しておくのも効果的です。例えば、「母の誕生日」や「以前住んでいた住所の郵便番号」など、本人と家族だけが理解できる形でメモしておくことで、安全性を保ちながら情報を伝えられます。
エンディングノートの内容は定期的に見直す
エンディングノートは一度作って終わりではなく、定期的に見直すことが大切です。クラウドサービスやパスワードが変わると、古い情報のままでは家族が対応できない場合があります。
目安として、半年から1年に一度は内容を見直しましょう。その際、不要になった項目を削除し、新たに利用を始めたサービスやアカウントを追加することが大切です。
さらに、更新した日付を明記しておくことで、家族が情報の新しさを判断しやすくなります。このように、変化し続けるデジタル環境に合わせてエンディングノートをこまめに更新しておくことで、より確実で安心できるデジタル終活につながります。
相続の不安やご不明点は専門家までお寄せください
デジタル終活とは、スマートフォンやパソコンに保管されている個人情報やデジタル資産を、生前に整理しておくことを指します。SNSやネット銀行のアカウントなど、普段は目に見えないデジタル遺品を事前にリスト化しておくことで、家族の負担を減らせるだけでなく、情報漏洩のリスクも抑えられます。さらに、エンディングノートにこれらの情報を記入し、定期的に内容を見直すことが大切です。
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陽⽥ 賢⼀税理士法人レガシィ 代表社員税理士 パートナー
企業税務に対する⾃⼰研鑽のため税理⼠資格の勉強を始めたところ、いつの間にか税理⼠として働きたい気持ちを抑えられなくなり38歳でこの業界に⾶び込みました。そして今、相続を究めることを⽬標に残りの⼈⽣を全うしようと考えております。先⼈の⽣き⽅や思いを承継するお⼿伝いを誠⼼誠意努めさせていただくために・・
武田 利之税理士法人レガシィ 代表社員税理士 パートナー
相続はご他界された方の人生の総決算であると同時にご遺族様の今後の人生の大きな転機となります。ご遺族様の幸せを心から考えてお手伝いをすることを心掛けております。
<総監修 天野 隆、天野 大輔税理士法人レガシィ 代表>
<総監修 天野 隆、天野 大輔>税理士法人レガシィ 代表
