遊休地を活用するには?メリットや活用方法5選を紹介
Tweet遊休地は、固定資産税の負担や雑草の処理、不法投棄などの管理面で多くの所有者を悩ませており、「何か有効な活用方法はないか」と考える方も少なくありません。そこで本記事では、遊休地の基本的な定義から、活用によって得られるメリット、代表的な活用方法、検討する際に押さえておくべき注意点までをわかりやすく解説します。
目次
遊休地とは?

「遊休地」とは、現在利用されていない土地を指す言葉で、将来的な利用計画が明確でない場合も含まれます。一般的には更地や建物のない空き地、あるいは住宅が建っていても長期間空き家となっている敷地などが該当します。
また、利用目的が定まらず放置されている土地も遊休地に含まれるため、所有しているだけで維持費がかかる点が大きな課題となります。具体的には、固定資産税や都市計画税といった税負担が発生します。
このように、使われていない土地であってもコストは継続的に発生するため、所有者にとっては有効な活用方法を検討することが不可欠です。適切な活用策を見出すことは、資産価値の維持や将来の生活設計に直結する重要な取り組みです。
遊休地を活用するメリット

遊休地を適切に活用すれば、所有者にとって経済的な利益だけでなく、地域社会への貢献といった効果も期待できます。主なメリットとしては、以下の点が挙げられます。
- 安定した収入を得られる
- 固定資産税や相続税の負担を軽減できる場合がある
- 地域環境の改善や社会への貢献につながる
第2の収入源・不労所得を得られる
遊休地を活用する大きな魅力のひとつは、家賃や利用料といった継続的な収入を得られる点にあります。例えば、賃貸住宅を建てて入居者から家賃を受け取ったり、駐車場として貸し出して利用料を得たりすることで、長期的に安定した収益源を確保できます。
また、この方法は土地を手放さずに収益化できるのも大きな利点です。売却によって一時的に現金を得る場合とは異なり、所有を続けながら定期的な収入を得られるため、資産価値を維持しつつ将来的な選択肢を広げられます。
毎月の収入が発生する運用であれば、副収入として家計を支えるだけでなく、年金に上乗せする形で老後の生活を安定させる手段にもなります。管理業務を外部に委託すれば手間を抑えられ、実質的に不労所得として活用することも可能です。
節税対策になる
遊休地を賃貸住宅として活用すれば、土地の評価額が下がり固定資産税や都市計画税の軽減効果を得られる可能性があります。特に、アパートやマンションを建設すると相続税評価上「貸家建付地」として評価されるため、税負担を抑えつつ安定した家賃収入を確保できることが大きな利点です。
また、相続時には「小規模宅地等の特例」といった税制優遇が適用される場合があり、土地の評価額を大幅に減額できる可能性があります。これにより、相続税の負担を軽減し、次世代へのスムーズな資産承継につなげることが可能です。
さらに、事業として運用する場合には、維持費や管理費を必要経費として計上できるため、所得税の節税効果も期待できます。適切な活用方法を選ぶことで、収益性の向上と税負担の削減を両立できます。
地域貢献につながる
遊休地を地域に開放して、駐車場や小規模施設として利用してもらえば、住民の利便性が向上し、地域の活性化にもつながります。土地を資産として有効活用しながら、周辺の暮らしや経済活動を支える役割を果たせる点は大きな魅力です。
また、未利用の土地は不法投棄や雑草の繁茂を招きやすく、防犯上の不安や景観の悪化につながる恐れがあります。整備して活用することで環境が改善され、地域の安全性や快適さを保つ効果も期待できます。
このように、土地を放置せず積極的に利用することは、所有者の利益にとどまらず、地域全体の価値を維持・向上させる取り組みにもつながります。
遊休地の活用方法5選

遊休地は、放置すると税金や維持管理の負担がかかりますが、適切に活用すれば収益の確保や資産価値の向上につながります。
代表的な活用方法としては、以下の5つが挙げられます。
- 賃貸住宅を建てて家賃収入を得る
- オフィスビルや商業施設を建てて事業者に貸す
- 駐車場として整備し、利用料を収益化する
- 借地や定期借地として貸し出す
- 土地そのものを売却して資金化する
1.賃貸住宅
賃貸住宅を建設して経営する方法は、遊休地を安定した収入源に変える代表的な活用手段です。アパートやマンションを整備して入居者を募れば、毎月の家賃収入を継続的に得られ、長期的に安定した収益基盤を築くことが可能です。
さらに、この方法は税制面でも有利に働きます。賃貸住宅が建つことで、土地の評価額が下がり、固定資産税や相続税の負担を軽減できるため、資産承継の際の節税効果も見込めます。経営状況によっては損益通算や減価償却を活用でき、所得税対策としても有効です。
ただし、初期投資が大きな負担となる点には注意が必要です。とはいえ、金融機関の融資を利用すれば自己資金が限られていても始めやすく、需要のある地域で適切な計画を立てることで、資産価値の維持と収益確保を両立できます。
2.オフィスビル・商業施設
オフィスビルや商業施設を建設して企業や店舗に貸し出す方法は、立地条件によっては高い収益を見込める有効な活用手段です。都市部や駅周辺といった需要の大きいエリアでは、テナントビルや大規模施設として活用でき、効率的に空間を貸し出すことで安定した賃貸契約につながります。
加えて、賃貸住宅よりも坪単価を高めに設定できる場合が多く、景気が安定している時期には収益性の高さが魅力となります。商業施設は集客力のある立地に適しており、オフィスビルはビジネス需要が集中する地域で強みを発揮します。
ただし、初期投資が大きく、景気動向や空室リスクの影響を受けやすいため、十分な市場調査と資金計画が不可欠です。適切な立地と用途を見極めて計画を進めれば、土地の価値を引き上げる長期的な活用方法となります。
3.駐車場(コインパーキング)
駐車場経営は、遊休地を比較的少ない初期費用で収益化できる代表的な活用方法です。土地を舗装して月極駐車場やコインパーキングとして貸し出せば、空き地を効率的に活用できます。
小規模な敷地や不整形地でも導入しやすく、大規模な建物を建てる必要がないため、土地の形状や周辺環境にあわせて柔軟に運用できる点が特徴です。住宅街では月極駐車場が安定した収入源となり、都市部ではコインパーキングが高い収益をもたらす場合もあります。
他の活用方法と比べて収益の水準はやや低めですが、短期的な転用や将来の売却を検討しやすいという利点があります。運用のしやすさと収益のバランスがよく、手軽に始められる土地活用のひとつです。
4.借地・定期借地
借地や定期借地は、土地を第三者に貸し出し、借主が建物を建てて利用する仕組みであり、所有者が建設費を負担せずに安定した地代を得られる点が大きな魅力です。利用者は住宅や商業施設として土地を活用でき、所有者は継続的な収入を確保できます。
また、借地契約は借地借家法に基づいて期間や条件が定められるため、双方にとって権利関係が明確になります。特に、定期借地では契約満了時に土地が返還されるため、将来的な活用計画を立てやすいのが特徴です。
ただし、契約は長期間に及ぶことが多いため、途中で自由に用途を変更することは難しくなります。そのため、地代の設定や利用目的を明確にし、将来の資産戦略と整合する契約内容にしておくことが重要です。
5.土地の売却
土地の売却は、遊休地を現金化する最もシンプルかつ確実な方法です。利用予定がなく維持管理負担の重い土地を手放すことで、所有者は固定資産税や管理から解放され、効率的に資産を整理できます。
売却によって得た資金は新たな投資や生活費に充てられるため、資金計画の自由度を高める効果があります。住宅地や商業地として需要の高いエリアであれば、比較的スムーズに取引が成立し、短期間で資産を現金化できるのも利点です。
ただし、売却益が出た場合には譲渡所得として課税されるため、税負担が生じる点にも注意が必要です。また、不動産市場の動きや周辺環境の変化によっては希望額での売却が難しい場合もあるため、市場状況や税制面を含めて十分に見極め、不動産会社や専門家に相談して最適なタイミングを判断することが大切です。
遊休地を活用する際の注意点

遊休地を効果的に活用するためには、収益面の利点だけでなく、想定されるリスクについても理解しておくことが重要です。特に、以下の点には注意を払う必要があります。
- 収益を得る前に多額の資金が必要となる場合がある
- 地価の変動によって、将来の資産価値が下がる可能性がある
資金確保が必要な場合がある
賃貸住宅や商業施設としての活用は、安定した収入が見込める一方で、数千万円から数億円に及ぶ多額の初期投資を要する点に注意が必要です。そのため、自己資金だけでは不足するケースも多く、金融機関からの融資を利用するのが一般的であり、返済条件や金利を踏まえた慎重な資金計画が求められます。
また、入居者やテナントの獲得が計画通りに進まなければ、借入金の返済が重荷となり、事業全体の安定性を損なう可能性があります。土地の特性や地域需要を的確に把握し、長期的に実現可能なシナリオを検討した上で計画を立てることが重要です。
地価が下がる場合がある
土地活用を検討する際には、不動産市場の変動によって地価が下落するリスクがあることを考慮しましょう。特に、建物を建設すると流動性が低下し、売却時に希望額で取引できない可能性があります。
また、地域の再開発や周辺環境の変化によって、土地の評価は大きく動くため、将来の需要を正確に予測することは難しく、資産価値が想定外に下がる恐れもあります。
郊外や人口減少が進む地域にある土地では、活用が必ずしも資産価値の上昇につながらず、むしろ評価額の下落を招く場合もあります。したがって、立地条件や需要動向を慎重に見極めた上で判断することが重要です。
遊休地の活用をご検討中なら専門家までご相談ください
遊休地は収益源としての可能性がある一方で、活用方法によっては多額の投資や市場変動に左右されるリスクも存在します。そのため、収益性・節税効果・地域への影響などを総合的に検討し、その土地に合った形で活用することが重要です。
もし具体的な方向性に迷っている場合は、税務や不動産に精通したレガシィの専門家による「不動産投資コンサルティング」の活用がおすすめです。資産価値の維持と将来の安定収入を見据えたアドバイスを得られるため、遊休地を安心して有効活用する一歩につながります。
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陽⽥ 賢⼀税理士法人レガシィ 代表社員税理士 パートナー
企業税務に対する⾃⼰研鑽のため税理⼠資格の勉強を始めたところ、いつの間にか税理⼠として働きたい気持ちを抑えられなくなり38歳でこの業界に⾶び込みました。そして今、相続を究めることを⽬標に残りの⼈⽣を全うしようと考えております。先⼈の⽣き⽅や思いを承継するお⼿伝いを誠⼼誠意努めさせていただくために・・
武田 利之税理士法人レガシィ 代表社員税理士 パートナー
相続はご他界された方の人生の総決算であると同時にご遺族様の今後の人生の大きな転機となります。ご遺族様の幸せを心から考えてお手伝いをすることを心掛けております。
<総監修 天野 隆、天野 大輔税理士法人レガシィ 代表>
<総監修 天野 隆、天野 大輔>税理士法人レガシィ 代表
