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相続の知識

【相続ケース別にみる】相続登記に必要な書類は? 取得方法と主要書類について解説

相続によって不動産を取得した時に、必ず行っておきたい手続きの一つとして「相続登記」があります。相続登記とは亡くなった方(被相続人という)が所有していた不動産の名義を相続人の名義へと変更することをいいますが、現時点では義務化はされていません。ただし、その手続きを怠るとさまざまな面でデメリットが生じてきます。

たとえば、その不動産を売却することはできなくなりますし、担保にすることも不可能になります。また、相続登記の手続きを済ませないうちに新たな相続が発生する可能性もあります(相続人だった人が亡くなり、今度はその遺族が新たな相続人になるケース)。そのことで相続人が増えてしまい、手続きがより複雑になることも十分に考えられるのです。

この相続登記ですが、令和6年(2024年)までに義務化される予定です。
※相続登記の義務化について、詳しくは「相続登記の義務化による変化とは? 義務化の経緯や手続きを解説」の記事もご覧ください。

不動産を相続する可能性のある方は相続登記への理解を深めておくことをおすすめします。この記事では相続登記に必要な書類とその取得方法について解説いたします。

【ケース別】相続登記に必要な書類一覧表

相続登記には「相続登記に必ず用意しなければならない書類」があります。その書類は以下のとおりです。

書類名 入手先
相続人全員の戸籍謄本 市区町村役場(所)
被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
被相続人の住民票の除票
不動産取得者の住民票
相続する不動産の固定資産評価証明書 不動産所在地の市区町村役場(所)
収入印紙 郵便局・コンビニ・法務局など
登記申請書 自分で作成
返信用封筒 郵便局・コンビニなど

さて、相続には三つのケースがあります。「遺産分割協議による相続」「法定相続分による相続」「遺言による相続」です。そのケースに応じて申請に必要な書類も異なり、上記の書類に加えて提出をします。それぞれのケースにおいて必要となる書類を説明していきましょう。

遺産分割協議によって相続する場合

「遺産分割協議」とは相続人全員が集まって「誰がどの財産を取得するか(分割するか)」を決めることをいいます。遺産分割協議が合意に達しないと相続登記をすることができないため、全員が納得する相続となるようにしっかりと話し合うことがポイントとなります。 遺産分割協議がまとまると「遺産分割協議書」を作成し、相続人全員が署名をし、実印を押します。 遺産分割協議によって相続する場合は、前述した相続登記に必ず用意しなければならない書類のほかに、この「遺産分割協議書」とそれぞれの「印鑑証明書」が必要です。

書類名 入手先
相続人全員の戸籍謄本 市区町村役場(所)
被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
被相続人の住民票の除票
不動産取得者の住民票
相続する不動産の固定資産評価証明書 不動産所在地の市区町村役場(所)
収入印紙 郵便局・コンビニ・法務局など
登記申請書 自分で作成
返信用封筒 郵便局・コンビニなど
遺産分割協議書 自分で作成
相続人の印鑑証明書 市区町村役場(所)

法定相続分どおりに相続する場合

「法定相続分」とは民法上で決められた相続人のとり分の割合のことを指します。この割合に従って相続を行った場合、相続登記に必要な書類は最小限にとどまります。 つまり、最初にお伝えした「必ず用意しなければならない書類」がそれに該当します。

書類名 入手先
相続人全員の戸籍謄本 市区町村役場(所)
被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本  
被相続人の住民票の除票
不動産取得者の住民票
相続する不動産の固定資産評価証明書 不動産所在地の市区町村役場(所)
収入印紙 郵便局・コンビニ・法務局など
登記申請書 自分で作成
返信用封筒 郵便局・コンビニなど

遺言によって法定相続人が相続する場合

被相続人の遺言によって法定相続人が不動産を取得した場合、必ず用意しなければならない書類に加えて「遺言書」が必要です。 遺言書には「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」がありますが、このうち自筆証書遺言(法務局の自筆証書遺言書補完制度を利用していないもの)・秘密証書遺言に関しては家庭裁判所の検認手続き(遺言書が本物であるということの検証手続き)が必要です。 一方、公正証書遺言の場合は検認の必要はなく、謄本の提出でもかまいません。

書類名 入手先
相続人全員の戸籍謄本 市区町村役場(所)
被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
被相続人の住民票の除票
不動産取得者の住民票
相続する不動産の固定資産評価証明書 不動産所在地の市区町村役場(所)
収入印紙 郵便局・コンビニ・法務局など
登記申請書 自分で作成
返信用封筒 郵便局・コンビニなど
遺言書 -

遺言によって法定相続人以外が相続する場合

遺言によって相続人以外の人に財産を遺すことを「遺贈」といいます。この場合、上記の書類に加えて次の書類が必要になってくることがあります。 もし、遺言執行者(遺言を実現するための手続きを行う人)が遺言によって選ばれていたら、その当人の「印鑑証明書」が必要です。もし遺言執行者が家庭裁判所の審判で選ばれていたのなら、同じく当人の印鑑証明書と、さらに「遺言執行者選任審判謄本」が必要です。

もし遺言執行者がいなかった場合は、相続人全員の印鑑証明書を用意します。

書類名 入手先
相続人全員の戸籍謄本 市区町村役場(所)
被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
被相続人の住民票の除票
不動産取得者の住民票
相続する不動産の固定資産評価証明書 不動産所在地の市区町村役場(所)
収入印紙 郵便局・コンビニ・法務局など
登記申請書 自分で作成
返信用封筒 郵便局・コンビニなど
遺言書 -
遺言執行者の印鑑証明書(選任されていた場合) 市区町村役場(所)
遺言執行者選任審判謄本(家裁の審判で選任の場合) 家庭裁判所
相続人の印鑑証明書
(遺言執行者が選任されていない場合)
市区町村役場(所)

主要な必要書類を解説

相続登記をするにあたって必要となる書類のなかでも、特に主要なものは以下のとおりです。

  • 登記事項証明書
  • 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本
  • 被相続人の住民票の除票
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 遺産分割協議書および相続人全員の印鑑証明書
  • 相続関係説明図
  • 固定資産評価証明書
  • 相続登記申請書

それぞれに解説していきましょう。

登記事項証明書

法務局に提出する相続登記申請書を作成する際には、不動産の正確な地番や家屋番号を記入しなければなりません。その確認のために必要なのが「登記事項証明書」です。これは「登記簿謄本」と基本的には同じものです(コンピュータ処理をしているものが登記簿事項証明書で、していないのが登記簿謄本です)。なお、登記事項証明書は提出する必要はありません。

被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本

相続が発生したことおよび相続人にあたるのが誰なのかを証明するために必要な書類が「戸籍謄本」で、被相続人の出生から死亡までの連続したものを用意しなければなりません。戸籍は結婚や離婚、転籍、あるいは養子縁組をした場合など一生の間に複数つくられます。連続した戸籍謄本を確認することで相続人を確定することができるのです。

被相続人の住民票の除票

登記簿上の被相続人と戸籍上の被相続人が同一人物であることを証明するための書類が「被相続人の住民票の除票」です。被相続人の死亡時の住所と登記されている住所が違っている場合は、前の住所地で記録されている「住民票の除票」または「戸籍の除附票」によって住所が移転したことを証明する必要があります。

相続人全員の戸籍謄本

相続発生時に相続人が生きていることを証明するために用意するのが「相続人全員の戸籍謄本」です。被相続人の戸籍謄本は出生から死亡までが必要でしたが、相続人の場合は現在の戸籍だけでかまいません。

遺産分割協議書および相続人全員の印鑑証明書

すでにふれたように、遺産分割協議によって相続の内容を決めたことを証明するためには「遺産分割協議書」が必要です。全員が合意したことを示すために、遺産分割協議書にそれぞれが署名をし、実印を押します。さらに「印鑑証明書」も添えます。

相続関係説明図

相続関係を説明するための図が「相続関係説明図」です。被相続人とそれぞれの相続人がどのような関係にあるのかがわかるようにした図で、家系図に似ています。この相続関係説明図を申請時に提出すると、後で戸籍謄本の原本を返却してもらうことができます。

固定資産評価証明書

相続登記を行う際には「登録免許税」という税金を支払わなければなりません。税額は【相続登記をする不動産の固定資産評価額×0.4%】で算出しますが、ここで必要なのが「不動産の固定資産評価額がいくらなのか」ということです。その評価額を示すのが「固定資産評価証明書」というわけです。提出する証明書は最新年度のものでなければなりません。

相続登記申請書

相続登記の申請に用いるのが「相続登記申請書」です。この書類は法務局で手に入りますし、法務局のホームページからもダウンロードすることができます。相続登記申請書は前述した相続のケースによって記入方法が異なるので注意が必要です。

遺産分割協議による相続

法定相続分による相続

遺言による相続

 

相続登記を代理人に依頼するなら委任状が必要

相続登記は専門的な知識と複雑な手続きが必要なので、専門家である「司法書士」に依頼したほうが安心といえるでしょう。依頼の際に必要なのが「委任状」ですが、これは司法書士が作成してくれます。そこに署名・押印をするだけで、それ以外には大きな手間はかかりません。

おわりに:相続登記はケースによって書類が変わるので注意が必要

不動産を取得すると、名義変更のための手続きをしなければなりません。相続に伴うその手続きのことを「相続登記」といいますが、相続のパターンによっては必要な書類も申請書の記入の仕方も違ってきます。専門性の高い知識に基づいて複雑な手続きを進めていくことになるため、司法書士に代行を依頼したほうが手間も労力も省けるといっていいでしょう。

相続をする場合、相続税に関連して税理士に相談をしている方も少なくないと思います。税理士事務所の多くは司法書士と連携をとっており、必要に応じて紹介を受けることも可能です。自分で新たに司法書士を探し出すよりも安心で効率的なので、まずは相談をしてみてはいかがでしょうか。

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この記事を監修した⼈

陽⽥ 賢⼀

陽⽥ 賢⼀税理士法人レガシィ 代表社員税理士 パートナー

企業税務に対する⾃⼰研鑽のため税理⼠資格の勉強を始めたところ、いつの間にか税理⼠として働きたい気持ちを抑えられなくなり38歳でこの業界に⾶び込みました。そして今、相続を究めることを⽬標に残りの⼈⽣を全うしようと考えております。先⼈の⽣き⽅や思いを承継するお⼿伝いを誠⼼誠意努めさせていただくために・・

武田 利之(税理士)

武田 利之税理士法人レガシィ 社員税理士

相続はご他界された方の人生の総決算であると同時にご遺族様の今後の人生の大きな転機となります。ご遺族様の幸せを心から考えてお手伝いをすることを心掛けております。

<総監修 天野 隆、天野 大輔税理士法人レガシィ 代表

<総監修 天野 隆、天野 大輔>税理士法人レガシィ 代表

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