相続の知識

不動産相続を相談できる窓口6選|確認しておきたいこと・タイミングも解説

本記事では、不動産相続の相談窓口と相続の手続き、専門家に相談するタイミングについて詳しく解説します。相続の内容や状況に適した相談先を見極めるために、各専門家の特徴や違いを理解することは大切です。不動産相続の発生により悩みを抱えている方は、ぜひ参考にしてみてください。

不動産相続の相談窓口はどこ?

不動産の相続が発生した際に主に相談窓口となるのは、税理士・弁護士・司法書士・行政書士・不動産会社・自治体の6つです。相続の状況や内容により、相談先に適した専門家は異なります。それぞれどのような違いがあるのか、あらかじめ把握しておきましょう。

不動産にかかる相続税は税理士

不動産に関わらず、身内の方が亡くなると、亡くなった方(被相続人)の遺産相続が発生します。遺産相続では、その合計財産額によって相続税がかかる場合があります。不動産の相続時に発生する相続税の相談は、税金の専門家である税理士に相談するとスムーズです。

相続税の申告には【相続発生日の翌日から10か月以内】という期限が設けられています。期限を過ぎてしまうと附帯税が課されるため、タイミングとしては相続発生後なるべく早く相談・検討することが推奨されます。その際は、相続に詳しい税理士に依頼したほうが安心です。相続が発生する前に事前に相談すれば、不動産を活用した節税対策に関するアドバイス等も受けられます。

税理士に依頼できる手続きは、納税額の計算と申告書の作成、税務署への提出といった相続税申告に必要となる業務です。相続税を算定するには、不動産を含めた遺産の価値をすべて算出したうえで、計算する必要があります。特に土地は相続の方法によって評価方法や評価額を下げる特例があり計算が難しいことから、相続税の相談をする税理士を選ぶ際は、相続を専門に扱っている税理士事務所を選ぶと良いでしょう。相続税申告の実績が多い税理士事務所に相談したほうが、評価減のノウハウだけでなく、関連する手続きをスムーズに進められるメリットもあります。

相続専門の税理士については、以下の記事もご覧ください。

相続不動産の分割トラブルは弁護士

複数の相続人がいる場合、不動産相続がトラブルに発展するケースは少なくありません。相続トラブルに適した相談窓口となるのは弁護士です。相続人同士では解決できないような意見の相違や、非協力的な相続人がいる場合、家庭裁判所での調停や審判により解決を目指します。弁護士に依頼すれば、相続財産調査・相続人調査などの相続に関する手続きに加え、交渉や調停、裁判なども代行してくれます。

また、裁判所での遺言状の検認や相続放棄、成年後見などの複雑な手続きも任せることが可能です。弁護士が間に入って交渉することで、相続人同士が直接衝突するのを避け、法的根拠に基づいた解決法により不動産相続のトラブルを解決しやすくなります。

なお、将来的に不動産相続が発生すると分かっている場合には、被相続人が健康で判断能力があるうちにすべての相続人と話し合う場を設け、それぞれの意向を確認したうえで遺言書を作成しておくとトラブル回避につながります。ただし、遺言書があったとしても、相続人同士の話し合いでトラブルになるケースも想定しなければなりません。遺言書を作成する際は専門家にも相談し、適切なアドバイスを受けるようにしましょう。

不動産の相続登記は司法書士

相続した不動産の名義変更などは、司法書士に相談することが可能です。不動産の名義変更を行う際は、法務局で所有権移転登記(相続登記)の手続きを行わなければなりません。相続登記は自分で行うことも可能ですが、手続きには被相続人と法定相続人すべての戸籍謄本など、多くの書類を集める必要があるため、時間と労力が必要です。また、不備があればさらに手間を要するため、専門家へ任せることも検討してみましょう。

登記の専門家である司法書士には、登記申請の代理権があるため、名義人本人でなくても手続きを行えます。特に、長年にわたり名義変更が行われていない土地の相続は、手続きが複雑になりがちです。また、遺言書の検認や相続放棄、成年後見の手続きも代行できるため、まとめて依頼することも可能です。

相続不動産の事務手続きは行政書士

行政書士が担う法定業務のひとつに、権利義務に関する書類の作成が挙げられます。そのため行政書士は、不動産相続が発生した際に、相続財産調査や相続人調査、遺産分割協議書の作成といった相続前の事務的な手続きを代行してくれます。
また、作成した書類を依頼主の代わりに提出することも行政書士の法的業務です。司法書士や弁護士よりも対応できる範囲が広く、預貯金の解約や払い戻し、有価証券・車・株式の名義変更に関する相談にも対応してくれます。

相続不動産の売却は不動産会社

相続した不動産の売却を検討しているのなら、売却サポートを行っている不動産会社を選ぶと安心です。不動産を売却する際は、複数の不動産会社へ査定を依頼し、比較検討することが大切です。
相続時の売却では、売り主を明確にするため名義変更を行わなければなりません。不動産が売却できるまでの期間は、短くても半年以上かかるケースが多くなっています。余裕のあるスケジュールを確保するようにしましょう。
特に、築年数が経過した不動産は買い手が見つかりづらいため、相続税を納税するために不動産を売却するのであれば、早めに相談するようにしてください。なお、査定の依頼は名義変更前に行うことも可能です。

税理士法人レガシィでは、相続税だけではなく、相続不動産の活用から売却までご相談可能です。レガシィマネジメントグループでは不動産部門を併設しており、相続税の相談と並行して行なうことができます。「相続税の納税資金が不安」「実家の活用方法に悩んでいる」などといった方は、ぜひ売却・活用についてもご相談ください。

税理士法人レガシィ『不動産コンサルティングサービス』

相続不動産の無料相談は自治体

各自治体には、法律相談窓口が設置されています。基本的に無料で利用でき、弁護士や司法書士などの各士業が対応してくれる場合もあります。自治体の相談窓口では、地域にあった無料相談を受けられるのがメリットです。

自治体の相談窓口を利用できるのは、管轄内に在住・勤務・在学している方に限定されます。自治体により、相談できる曜日や日時が決められている場合や、予約が必須なケースもあるため、事前にホームページなどで確認しておきましょう。

相続を専門家に相談する前に確認しておきたいこと

各専門家へ相談する前に、遺言書の有無や相続する財産、相続人に関する情報は、あらかじめ把握しておきましょう。必要な書類や情報が不足した状態で相談窓口へ出向いてしまうと、場合によっては二度手間となってしまうケースもあります。

遺言書の有無

遺言書が存在する場合は、遺言書の内容に従い相続を行うことが原則とされています。遺言書の有無により相続の内容は変わってくるため、不動産相続に限らずすべての相続において遺言書の有無は重要確認事項です。また、遺言書は正しく作成しなければ法的な効力を発揮しません。遺言書が有効か無効か判断できない場合には、専門家に相談することを前向きに検討してみましょう。

遺言書の内容と異なる方法で遺産分割する場合、すべての相続人同士で話し合う「遺産分割協議」を行います。ただし、遺産分割協議は全員の意見が一致しなければ成立しません。協議が難航したことにより不成立となった場合には、遺言書の通りに相続を行います。スムーズな相続を実現するためにも、必ず遺言書の有無を確認してから各相談窓口へ問い合わせるようにしましょう。

相続財産の状況

相続の相談をする前に、相続財産すべての状況を把握しておきましょう。不動産の他にも、預貯金や有価証券など、経済的価値のあるものは相続財産とみなされます。相続する不動産に負債が残っている場合、マイナスの財産として相続人が引き継がなければなりません。また、未払いの税金や借金、損害賠償金、連帯保証人の地位などもマイナスの財産に含まれます。

相続人

遺言書の存在しない相続では、法定相続人が被相続人の財産を引き継ぐとされています。民法で定められた法定相続人の順位は以下の通りです。

  • 第1順位 被相続人の子・孫(直系卑属)
  • 第2順位 被相続人の父母・祖父母(直系尊属)
  • 第3順位 被相続人の兄弟姉妹

出典:国税庁 『No.4132 相続人の範囲と法定相続分』

相続終了後に法定相続人の存在が発覚した場合には、トラブルになりかねません。
相続人調査では、被相続人の出生時までさかのぼって戸籍謄本を取得する必要があります。相続税の納税には期限が設けられているため、戸籍謄本の職務上請求が認められている行政書士などに依頼することも可能です。

相続を専門家に相談するタイミング

不動産相続の相談は、相続の発生後だけでなく、相続が発生する前でも受け付けてくれます。相談するタイミングによって、どのようなメリットや注意点があるのかも理解しておきましょう。

相続発生前

相続財産の中に不動産が含まれている場合、相続発生前に専門家へ相談することでトラブルを回避しやすくなります。節税対策についての詳しいアドバイスを求めたいのなら、税理士に相談すると的確なアドバイスを受けられます。また遺言の手続きやトラブル対策の相談に適した相談先は弁護士です。相続発生後は慌ただしくなりやすいため、相談時に必要な情報や書類をそろえるのに手間取ることが想定されます。

相続発生前に相談しておくことで、必要な書類や手続きの内容などを把握しておけば、相続が発生したあとも冷静に対処することが可能です。専門家のアドバイスにより、被相続人の生前に贈与として財産を受け取ったり、控除や減額制度を利用したりするなどの節税対策を行えるというメリットもあります。被相続人が生前に遺言書を作成しておけば、相続が発生したあとも円滑に相続を進められます。

また、相続発生時に納税のために売却する予定であれば、生前に測量をしておく、隣地との境界線をはっきりさせておく、などの準備をすることで、相続発生時の売却の際のスケジュールに余裕が生まれます。

相続発生後

相続相談のタイミングでもっとも多いのは、相続発生後です。精神的に余裕がない状況で、慣れない相続の手続きを進めることは簡単なことではありません。また、相続を進めていく中で想定外のトラブルが発生する可能性もあります。相続に詳しい専門家のサポートがあれば、不測の事態にも対処してもらえます。相続発生後は、相続方法(単純承認・限定承認・相続放棄)の決定・準確定申告・相続税の申告などを期限内に終える必要があります。

相続財産と負債に関係する限定承認や相続放棄は、相続開始を知った日から3カ月以内に家庭裁判所へ申告しなければなりません。また、準確定申告は4カ月以内と定められています。相続税の申告・納税は、被相続人の死亡を知った日から10カ月以内とされており、これらの手続きを行うためには、相続人すべての意見をまとめる必要があります。

専門的な知識も求められるため、期限内にすべての手続きを正しく行うためにも、相続発生後はなるべく早めに専門家へ相談するようにしましょう。

おわりに:不動産相続の相談は内容によって相談先が分かれるので注意

不動産相続の相談窓口は、相談内容によって異なります。専門家へ相談する前は、まず遺言書の有無を確認したうえで、被相続人の財産と相続人を早めに把握しておきましょう。不動産相続はトラブルが発生しやすいため、なるべく早い段階で専門家へ相談することをおすすめします。

税理士法人レガシィは、相続を専門に扱う税理士法人です。土地の相続に関してノウハウを持っていることに加え、必要に応じて行政書士・司法書士・不動産会社・弁護士と連携するワンストップサービスを展開し、相続のサポートを行います。不動産相続に関するお悩みがあれば、ぜひ一度ご相談ください。

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この記事を監修した⼈

税理士法人レガシィ代表社員税理士パートナー陽⽥賢⼀の画像

陽⽥ 賢⼀税理士法人レガシィ 代表社員税理士 パートナー

企業税務に対する⾃⼰研鑽のため税理⼠資格の勉強を始めたところ、いつの間にか税理⼠として働きたい気持ちを抑えられなくなり38歳でこの業界に⾶び込みました。そして今、相続を究めることを⽬標に残りの⼈⽣を全うしようと考えております。先⼈の⽣き⽅や思いを承継するお⼿伝いを誠⼼誠意努めさせていただくために・・

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武田 利之税理士法人レガシィ 代表社員税理士 パートナー

相続はご他界された方の人生の総決算であると同時にご遺族様の今後の人生の大きな転機となります。ご遺族様の幸せを心から考えてお手伝いをすることを心掛けております。

<総監修 天野 隆、天野 大輔税理士法人レガシィ 代表

<総監修 天野 隆、天野 大輔>税理士法人レガシィ 代表

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