リゾート会員権の相続税評価とは?方式別の評価方法を解説
Tweetリゾート会員権は預貯金や不動産とは異なり、会員権の種類によって相続税の評価方法が変わります。取引相場のある会員権・株主会員制・不動産所有権付きといった方式ごとに評価の考え方が異なるため、まず手元の会員権がどの方式にあたるかを確認することが出発点です。
ここでは方式別の評価方法を整理したうえで、名義変更・売却時の税務・相続放棄の取り扱いまで解説します。
【この記事でわかること】
- リゾート会員権が相続税の課税対象になるしくみと、評価しない場合の要件
- 会員権の方式別(取引相場あり・株主会員制・不動産所有権付き)の評価方法
- 相続後の名義変更手続きと売却時の譲渡所得・確定申告
- 利用していない会員権の処分方法と相続放棄の基本的な考え方
【こんな方におすすめ】
- 親などからリゾート会員権を相続した、または相続する見込みがある方
- 会員権の評価額の調べ方がわからず、相続税申告の準備に迷っている方
- 会員権を売却または退会したいが、税務上の取り扱いを確認したい方
目次
リゾート会員権の相続税評価の考え方
リゾート会員権は種類によって相続税の評価方法が異なります。評価の基本的な考え方を整理します。
相続税の課税対象だが評価は種類で異なる
リゾート会員権も預貯金や不動産と同様に相続財産に含まれ、相続税の課税対象です。ただし、すべての会員権に財産価値が認められるわけではありません。リゾート会員権の評価は後述のとおりゴルフ会員権の評価方法に準じるため、ゴルフ会員権で評価しないとされる会員権の考え方も同様に当てはまります。具体的には、株式の所有も預託金の預け入れも必要とせず、かつ譲渡できない会員権で、返還を受けられる預託金等もなく、単に施設を利用できるだけのものは、財産的価値がないものとして評価の対象になりません。
基本的にはゴルフ会員権の評価に準じる
リゾート会員権には財産評価基本通達に個別の評価規定がありません。そのため、ゴルフ会員権の評価方法(財産評価基本通達211)に準じて評価するのが基本です。
取引相場のある会員権は、課税時期(相続開始日)における通常の取引価格の70%相当額で評価します。70%を乗じるのは、リゾート会員権の取引が上場株式のように公開市場で行われず、取引業者ごとに価格にばらつきが生じやすいことを踏まえた評価上の安全性への考慮からです。取引価格に含まれない預託金等がある場合は、返還時期に応じた金額を加算します。
会員権の方式による評価の違い
リゾート会員権の方式は大きく「取引相場のある会員権(預託金方式など)」「株主会員制」「不動産所有権付き」に分けられます。方式ごとの評価方法を確認します。
取引相場のある会員権(預託金方式など)の評価
取引相場のある会員権は、前述のとおり通常の取引価格の70%相当額で評価します。預託金方式のように取引価格と別に預託金等がある場合は、その預託金等を取引価格に加算する点が評価のポイントになります。
加算額は預託金等の返還時期によって変わります。直ちに返還されるものはその額をそのまま加算し、一定期間後に返還されるものは複利現価で割り引いた額を加算します。
株主会員制の会員権の評価
運営会社の株主にならなければ会員になれない株主会員制の会員権は、取引相場がない場合、財産評価基本通達に定める取引相場のない株式(非上場株式)と同じ方法で評価します。会社規模や株主の属性に応じて類似業種比準方式・純資産価額方式などを用いるため評価が複雑になります。評価額を自分で算定するのは難しいケースも多いため、相続専門の税理士への相談をおすすめします。
不動産所有権付き会員権の評価
エクシブなどに代表される、不動産売買契約と施設相互利用契約が一体となった不動産所有権付きの会員権は、不動産所有権と施設利用権を分離して譲渡できません。
国税庁の照会事例によれば、取引相場がある場合は「取引相場のあるゴルフ会員権の評価方法」に準じて、通常の取引価格の70%相当額で評価するとされています。契約解除時に清算金の返還がある場合でも、取引価格にその清算金が反映されると考えられるため、特段の事情がない限り70%評価を適用します。
相続したリゾート会員権の名義変更と売却
評価額の確定後は、会員権を相続人名義に変更するか、売却・退会するかを判断します。名義変更の手続きと売却時の税務を整理します。
運営会社への名義変更の手続き
相続したリゾート会員権の名義変更は、運営会社に名義書換の申請を行います。会則により理事会等の入会承認手続きを要する場合があります。
不動産所有権付きの会員権(共有制)では、通常の名義変更に加えて不動産の持分移転登記も必要です。名義変更に必要な書類(戸籍謄本、遺産分割協議書、相続人全員の印鑑証明書など)は会員権の種類や運営会社によって異なるため、最新の必要書類は運営会社に直接確認するのが確実です。
売却したときの譲渡所得と確定申告
相続したリゾート会員権を売却して利益が出た場合、個人では総合課税の譲渡所得として確定申告が必要です。所有期間が5年以内は短期譲渡所得、5年超は長期譲渡所得となり、長期の場合は課税対象の金額が2分の1になります。なお、相続により取得した資産は被相続人の取得時点から所有期間を引き継ぐのが原則です。
売却損が出た場合、リゾート会員権は「生活に通常必要でない資産」として、売却による損失は給与所得など他の所得と損益通算できないため注意が必要です。
リゾート会員権の相続に関するよくある質問
リゾート会員権の相続で多く寄せられる疑問を2点取り上げます。
利用していないリゾート会員権はどうすればよいですか
利用していない会員権でも、保有を続ける限り年会費・管理費の支払いが発生します。使っていなくても費用だけがかかり続けるため、相続したまま放置するとかえって負担が大きくなりかねません。
売却するか、運営会社に退会を申し出て預託金の返還を受けるかが主な選択肢になります。いずれの場合も、まず現在の取引相場と年会費の負担額を把握したうえで判断を進めるとよいでしょう。相場は会員権売買専門業者の査定で確認でき、評価額の算定にも役立ちます。
リゾート会員権だけを相続放棄できますか
リゾート会員権だけを選んで相続放棄することはできません。相続放棄をすると、その相続についてはじめから相続人でなかったものとみなされ(民法第939条)、プラスの財産も含め一切を放棄することになります。
会員権だけを手放したい場合は、売却・退会・預託金の返還請求といった方法を検討するとよいでしょう。なお、相続放棄の申述は相続の開始を知った日から3か月以内に家庭裁判所に行う必要があります(民法第915条)。
リゾート会員権の相続は評価と手続きを正しく進める
リゾート会員権の相続税評価は、会員権の方式によって計算方法が異なります。手元の会員権の種類を確認し、課税時期の取引価格や財産評価基本通達の規定に沿って評価額を算出することが出発点です。評価後は名義変更や処分の方針を早めに決め、相続税申告期限(相続開始を知った日の翌日から10か月以内)に向けて準備を進めてください。
税理士法人レガシィは相続専門50年、累計1.5万件超の実績を持つ専門家集団です。評価の判断や申告手続きについて、ご状況に合わせてサポートします。リゾート会員権を含む相続財産の評価や手続きに迷う場合は、お気軽にご相談ください。
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陽⽥ 賢⼀税理士法人レガシィ 代表社員税理士 パートナー
企業税務に対する⾃⼰研鑽のため税理⼠資格の勉強を始めたところ、いつの間にか税理⼠として働きたい気持ちを抑えられなくなり38歳でこの業界に⾶び込みました。そして今、相続を究めることを⽬標に残りの⼈⽣を全うしようと考えております。先⼈の⽣き⽅や思いを承継するお⼿伝いを誠⼼誠意努めさせていただくために・・
武田 利之税理士法人レガシィ 代表社員税理士 パートナー
相続はご他界された方の人生の総決算であると同時にご遺族様の今後の人生の大きな転機となります。ご遺族様の幸せを心から考えてお手伝いをすることを心掛けております。
<総監修 天野 隆、天野 大輔税理士法人レガシィ 代表>
<総監修 天野 隆、天野 大輔>税理士法人レガシィ 代表
