相続の知識

遺産分割協議書の提出先はどこ?自分での作成や提出しないケースを解説

相続が発生し、預金や不動産などの遺産を相続人同士で協議して分割する場合には、遺産分割協議書を作成します。この記事では、遺産分割協議書とは何か、提出先や用途、遺産分割協議書を作成・提出する必要のない具体的なケースなどを解説します。

遺産分割協議書とは?

遺産分割協議書とは、相続人全員で行う遺産分割協議において、相続人全員が合意した遺産の分け方をまとめた書類のことです。この書類には、以下の内容を記載します。

  • 被相続人の名前と死亡日
  • 相続の具体的な内容
  • 相続人全員の合意
  • 協議が成立した年月日
  • 協議後に遺産が発見された場合の取り扱い
  • 相続人全員の住所と署名

相続人全員が実印で押印し、それぞれの印鑑証明書を添付すれば、遺産分割協議書が完成します。
書類自体に決まった書式はなく、必要事項が記載されていれば手書きでもパソコンでの作成でも構いません。インターネット上のテンプレートを利用して作成するケースもあります。

遺産分割協議書の書き方については、以下の記事をご覧ください。

また作成された遺産分割協議書を相続人全員が一通ずつ保管する場合は、相続人の数分の原本が必要で、全てに署名と実印を押印します。

提出時は原本が必要、コピーは不可

相続手続きでは金融機関や法務局など各所に遺産分割協議書を提出するので、ケースによっては相続人の人数分以外にも必要な手続きの数分、作成しておく必要があります。またその際には必ず原本が必要です。銀行等では原本を渡して、その場でコピーをとった後すぐに返してくれるところもありますが、提出時には原本が求められます。
また登記申請なども含め、基本的には「原本還付」の手続きを行わないと返ってきません。もし原本還付を行いたい場合は、事前に提出先にできるかどうか確認しておきましょう。

登記の原本還付については、下記の記事でも詳しく説明しています。

遺産分割協議書の主な提出先

作成された遺産分割協議書は、相続人全員の保管用だけでなく、遺産分割協議が終了した後の相続手続きにも使われます。遺産分割協議書の主な提出先をご紹介します。

1. 法務局

法務局では、「相続登記」を行う際に遺産分割協議書を提出します。
相続登記は、遺産となった土地の所有者を被相続人から相続人へ変更するための手続きです。これまで相続登記には申請の義務はありませんでした。しかし、2024年4月からは、遺産分割が成立した日から3年以内の相続登記申請が義務付けられることとなりました。2024年4月以前の相続であっても、相続登記が完了していない土地は義務化の対象となります。また、所有者が被相続人のままでは不動産の売却ができません。土地の相続がある場合は、3年以内に必ずその土地を管轄する法務局に提出し、相続登記の申請を行いましょう。

2. 金融機関(銀行や信用金庫など)

金融機関では、預金や貸金庫などの相続の際に遺産分割協議書を提出します。被相続人が亡くなったことを各金融機関に連絡し、所定の書類と遺産分割協議書の原本を併せて提出します。手続きが完了次第、預金口座の名義変更や解約、払い戻し等ができるようになります。
金融機関での相続手続きには期限はありませんが、預金などは手続きが完了するまでお金が動かせなくなりますので、早めに手続きを済ませておきましょう。

3. 税務署

相続税の申告が必要な場合には、相続があることを知った翌日から10ヶ月以内に税務署で手続きを行います。申告自体に遺産分割協議書は必須ではありません。しかし、「配偶者の税額軽減」や「小規模宅地等の特例」などの相続税に関わる特例を受ける際は、遺産分割協議書の提出が必須です。相続税の申告が必要になったら、特例を受けるかどうかも確認し、必要に応じて遺産分割協議書を提出してください。なお税務署への遺産分割協議書の提出は、当初からコピーの提出で問題ありません。

4. 証券会社

株式を相続する場合には、証券会社での相続手続きがあります。金融機関での相続と同様に、被相続人が亡くなったことを証券会社に連絡し、所定の書類と遺産分割協議書を提出して手続きを行います。この手続きには期限はありませんが、完了するまで時間がかかる場合もあります。相続した株式の利用予定がある場合は、余裕をもって手続きをしましょう。

5. 運輸支局

査定額100万円超の普通自動車を相続する場合、名義変更には原則として遺産分割協議書が必要です。手続きを行うのは、被相続人ではなく相続人の住所地にある運輸支局です。また、名義変更には期限はありませんが、車の売却や廃車をする場合には、名義が被相続人のままだと手続きができません。車の相続がわかったら、早めに名義変更をしましょう。
ただし、相続する車が軽自動車であったり、査定額100万円以下の普通自動車であったりという場合の遺産分割協議書は不要です。その代わり遺産分割協議成立申立書という書類を用いて、簡易的な手続きで済ませられます。

遺産分割協議書を作成しなくても良いケースがある?

ここまで遺産分割協議書の提出先について見てきましたが、じつはすべての相続で提出が必要なものではありません。例えば相続人が1人だけの場合、当たり前ですが遺産を分割することがないので遺産分割協議書の作成は不要です。また複数人いた相続人が相続放棄し、結果的に1人のみの相続となった場合も同様です。

また被相続人に遺言書があり、その遺言書が法的に有効なものである場合は、遺言書の通りに遺産を分割します。この場合、遺産分割協議書の作成は不要です。ただし遺言書があっても、相続人全員の同意により遺言書の通りに相続しない場合は、遺産分割協議を行って、遺産分割協議書を作成します。

他にも作成・提出が不要なケースはあります。詳しくは以下の記事もご覧ください。

おわりに:遺産分割協議書は必要な手続きに応じて事前準備をしておこう

遺産分割協議書は、様々な相続手続きで各所に提出を求められます。遺産分割協議書を作成したら、事前にどの相続手続きを行うかを確認し、必要に応じて作成・提出しましょう。スムーズな遺産分割をご希望なら、専門家への依頼もご検討ください。

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この記事を監修した⼈

陽⽥ 賢⼀

陽⽥ 賢⼀税理士法人レガシィ 代表社員税理士 パートナー

企業税務に対する⾃⼰研鑽のため税理⼠資格の勉強を始めたところ、いつの間にか税理⼠として働きたい気持ちを抑えられなくなり38歳でこの業界に⾶び込みました。そして今、相続を究めることを⽬標に残りの⼈⽣を全うしようと考えております。先⼈の⽣き⽅や思いを承継するお⼿伝いを誠⼼誠意努めさせていただくために・・

武田 利之(税理士)

武田 利之税理士法人レガシィ 社員税理士

相続はご他界された方の人生の総決算であると同時にご遺族様の今後の人生の大きな転機となります。ご遺族様の幸せを心から考えてお手伝いをすることを心掛けております。

<総監修 天野 隆、天野 大輔税理士法人レガシィ 代表

<総監修 天野 隆、天野 大輔>税理士法人レガシィ 代表

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