相続の知識

税理士にセカンドオピニオンを依頼するべき理由とは?メリットや注意点を解説

現在の顧問税理士だけでは対応が難しい相続や事業承継、M&Aといった高度なテーマに直面したとき、セカンドオピニオンを依頼するべきか悩む方も多いかもしれません。本記事では、セカンドオピニオンを依頼すべき理由や得られるメリット、注意点についてわかりやすく解説します。

税理士にセカンドオピニオンを依頼するべき理由

税理士における「セカンドオピニオン」とは、顧問税理士以外の別の税理士に税務についての相談を行うことを指します。税理士と一口に言っても、専門分野や得意分野はそれぞれで異なります。
税務処理や節税のアプローチといった提案が、税理士によってまったく異なることもめずらしくありません。このように、税理士はそれぞれ別のカラーを持っているため、顧問税理士以外の意見も聞きたい場合は、他の税理士にセカンドオピニオンを依頼することもおすすめです。

「顧問税理士の対応が遅い」「節税対策が画一的で自社に合っていない」など、顧問税理士に不満や疑問がある場合は、セカンドオピニオンの積極的な活用を検討しましょう。顧問税理士に対しても「確認のために他の意見も聞いてみたい」と丁寧に伝えれば、関係性を損なわずに第三者の意見を取り入れられます。

 税理士にセカンドオピニオンを依頼するべき理由

税理士のセカンドオピニオンを検討したいケース

税理士のセカンドオピニオンは、「税務以外の経営支援を求めたい」「より専門的なアドバイスが必要」と感じたときにもおすすめです。ここでは、税理士のセカンドオピニオンを検討するとよい3つのケースについて、具体的に解説します。

コンサルティングなどを相談したい

顧問税理士は、日常業務に対応していても、経営に関する相談には消極的なケースがあります。事業の拡大や新規事業の立ち上げなどを考えている場合は、より専門性の高い税理士からのサポートが必要です。特に、以下のようなニーズがある場合は、別の税理士の意見を聞いてみることをおすすめします。

  • 経営戦略や資金調達の相談をしたい
  • M&Aや事業再編に詳しい人に意見をもらいたい
  • 事業の成長に向けた専門的なアドバイスがほしい

コンサルティングに強い税理士であれば、税務の範囲を超えた経営の視点から実践的な提案をしてくれます。

事業承継の相談をしたい

事業承継は、税務・法務・経営といった幅広い分野が絡む難しいテーマであり、顧問税理士の専門分野・得意分野が法人税中心である場合は、十分なサポートを受けられないケースもあります。以下のような状況では、セカンドオピニオンを積極的に活用することをおすすめします。

  • 顧問税理士から事業承継に関する一般的なアドバイスしか出てこない
  • 非上場株式の評価算定や事業承継に関する税制優遇の話が出てこない
  • M&Aによる承継や親族内外への承継なども含め、さまざまな選択肢から最適な承継方法を検討したい

事業承継に詳しい税理士であれば、会社の実情に合った具体策を提案してくれます。事業承継に関する手続きもサポートしてもらえる場合が多いため、将来の不安を解消する道筋を明確にしたい方は、ぜひ事業承継の専門知識を持つ税理士へのセカンドオピニオンを活用しましょう。

相続・贈与の相談をしたい

相続や贈与は、一人ひとりの事情によって対策すべき内容が大きく変わるため、机上の理論だけでなく、実戦でさまざまな問題を解決してきた税理士としての経験値が重要になる分野です。そのため、法人業務をメインにしている顧問税理士だけでは、相続や贈与に関する対応が十分に行われないケースもあることに注意しましょう。

以下のような悩みがあれば、相続問題に強い税理士にセカンドオピニオンを求めることをおすすめします。

  • 財産が不動産中心で、評価が難しい
  • 複数の相続人がおり、分割で揉めそう
  • 生前贈与や遺言書の作成など、将来の準備も含めて考えたい

相続や贈与に強い税理士は、節税やトラブル防止の観点から具体的かつ多角的なアドバイスをしてくれます。セカンドオピニオンを受けて、今の対策に抜け漏れがないか確認しましょう。

 相続・贈与の相談をしたい

税理士にセカンドオピニオンを依頼するメリット

他の税理士へのセカンドオピニオンを活用すれば、新たな知見を得られるチャンスが生まれます。
現在の顧問税理士に不満や疑問がある場合だけでなく、今より一歩進んだ判断や節税策を知りたいときにもセカンドオピニオンの活用は効果的です。ここでは、セカンドオピニオンの依頼で得られるメリットについて解説します。

専門的なアドバイスを受けられる

セカンドオピニオンのメリットのひとつとして、特定の分野に強い税理士からサポートしてもらえることが挙げられます。例えば相続や事業承継、国際税務といった専門性の高い分野については、該当分野に詳しい税理士に相談することで、より実践的なアドバイスが得られます。

相談したい分野に詳しい税理士にセカンドオピニオンを依頼できれば、企業が抱える税務などの難しい問題に対して専門的な見解が得られるとともに、現在の申告内容などを客観的にチェックし改善策を提示してもらうことも可能です。自社を取り巻く状況に応じた実践的なアドバイスを受けられるため、自信を持った意思決定にもつながります。

現状とは異なる新しい知見を得られる可能性がある

セカンドオピニオンでは、現在の顧問税理士とは違う視点からのアドバイスを受けられる可能性があります。セカンドオピニオンが優遇制度や別の節税策、より有利な解釈やリスクの回避策を知るきっかけになるケースも多く見られます。

税法の解釈や適用について、顧問税理士の説明に違和感がある場合は、他の税理士の意見を積極的に聞いて視野を広げましょう。複数の税理士の意見を比較することで、税務に関する自分の理解も深まり、より納得のいく意思決定につなげられます。

より大きな節税効果を得られる可能性がある

セカンドオピニオンを通じて、現在の顧問税理士が提案していない方法を知ることにより、さらなる経済的な恩恵を受けられる可能性もあります。

税理士にはそれぞれ得意な分野とそれほど得意ではない分野があり、すべての税理士があらゆる制度や特例を網羅しているわけではありません。税制や特例に関する知識の量や、節税への取り組み方、判断のしかたは税理士によって異なります。節税についての豊富な知識を持つ税理士にセカンドオピニオンを依頼できれば、今までに使ってこなかった制度の利用や資産の組み換えなどで大きな節税効果を得られることも考えられます。

さらに、税理士によっては中長期的な視点での税務戦略を提案してもらえる場合もあります。目先の節税だけでなく、企業の状況や将来の計画を考慮した税務戦略を立案してもらうことで、長期的な税負担の軽減が期待できます。

セカンドオピニオンは、単なる「第二の意見」ではなく、今の方針を見直して新たな節税のチャンスを見つけるための手段でもあります。特に企業の事業運営にとって重要と考えられるタイミングでは、積極的にセカンドオピニオンを活用しましょう。

 より大きな節税効果を得られる可能性がある

税理士のセカンドオピニオンで受けられるサービス内容

セカンドオピニオンを依頼した場合、現在の顧問税理士だけでは得られない多角的なサポートを受けられる可能性があります。ここでは、セカンドオピニオンによって得られる主なサービスについて解説します。

顧問税理士の見解に対する客観的な視点でのアドバイス

セカンドオピニオンでは、現在の顧問税理士が提示している税務判断について、他の税理士に第三者の立場から見直してもらうことが可能です。「節税策が本当に有効かどうか」「より効果的で効率のよい方法がないか」など、気になるポイントを中心に確認してもらいましょう。

税務に関する判断は税理士によって解釈が異なる場合があるため、自社にとって有利な対応を選ぶには、複数の視点からの比較が欠かせません。第三者視点でのアドバイスは基本であると同時に、とても重要なサービスです。

税務・税務申告書のダブルチェック

セカンドオピニオンでは、顧問税理士によってすでに作成された税務申告書や会計帳簿を、第三者である他の税理士がチェックするといったサービスも受けられます。

申告書の数字や計算に間違いがあった場合や申告漏れがあった場合、後になって税務署から指摘されるリスクがあり、場合によっては追徴課税や加算税の対象になる可能性もあります。顧問税理士も仕事である以上はミスがないよう、申告書の作成時には細心の注意を払っていると考えられますが、ヒューマンエラーによる計算ミスや見落としが発生しないとは言い切れません。

セカンドオピニオンで別の税理士によるチェックを行えば、このようなリスクを事前に防ぐことも可能です。万が一の見落としを防ぐためにも、重要な申告の前や大きな取引があった年にはセカンドオピニオンを保険的に活用し、他の税理士によるダブルチェックを受けておきましょう。複数の税理士によるチェックを受けていれば、もし税務調査が行われることになっても安心して調査を受けられます。

投資などのコンサルティング

投資やコンサルティングに詳しい税理士へのセカンドオピニオンでは、新規事業への参入や不動産投資などに関する相談に乗ってもらうことも可能です。

投資は節税効果も期待できる一方、専門家でなければ気づきにくいデメリットもあるため、経済面だけでなく心理面でもハードルが高くなりがちです。しかし、セカンドオピニオンでコンサルティングのサービスを受ければ、特定の投資案件での税務上の影響やリスクについて丁寧に分析してもらえます。このように、セカンドオピニオンは、その投資が本当に自社にとって有利かどうかを見極める方法としても有効です。

また、税務面だけでなく、資金調達やキャッシュフローへの影響も含めたアドバイスが受けられるのも大きな特徴です。企業の成長段階や経営戦略に応じた投資スキームの提案もしてもらえるため、意思決定の精度を大きく高められます。

事業承継の相談

事業承継は、税務・法務・経営が複雑に絡み合う難しい課題です。事業承継に詳しい税理士にセカンドオピニオンを依頼すれば、現在の顧問税理士とは異なる視点から、承継方法の選択肢や税負担を抑えるための工夫など、より実践的なアドバイスを受けられます。

事業承継について高い専門性を備えた税理士に相談すれば、自社株の評価や後継者への株式移転、相続税・贈与税に関する対策など、承継にともなう各種手続きも丁寧に説明してくれます。また、見落としていた優遇制度や特例を活用できる可能性に気づき、相談前と比べて税負担が軽くなるケースもめずらしくありません。

さらにM&Aを活用した第三者承継や、親族内・親族外での承継を比較する場面でも、それぞれのメリット・デメリットを整理しつつ説明してもらうことも可能です。将来にわたるリスクやコスト、それらへの対策やアドバイスなどを総合的に判断し、自社に最適な承継方法を選びましょう。

相続・贈与の相談

税理士によっては、相続や贈与といった、制度が複雑で専門性の高い分野に関する相談も可能です。例えば、顧問税理士が相続・贈与に関する税制や特例、優遇措置などの知識に明るくない場合、相続における「小規模宅地等の特例」や「配偶者控除」について十分に検討されていないケースも考えられます。セカンドオピニオンでこれらに詳しい税理士に相談することで、特例などの適用条件を満たしていない場合に、どのようにすれば条件を満たせるかを考えるきっかけになります。

また、相続や贈与に関してより有利な分割方法がある場合は、将来に向けた対策を考えることにもつながります。特に遺産分割協議の場面では、分割の方法によって課税額が大きく変わるケースもめずらしくありません。セカンドオピニオンでは、税務リスクを踏まえたアドバイスを受けられるため、相続人間のトラブルを防ぎつつ適切な分割案の作成が可能です。

このように、セカンドオピニオンでは、相続税や贈与税の複雑な計算や、特例の適用判断などさまざまなケースで、他の税理士の専門的な知見を活用できます。顧問税理士がこれらの知識に詳しくない場合や、他の税理士の意見を聞いて節税につなげたい場合は、相続や贈与に関する知識が豊富な税理士にセカンドオピニオンを依頼しましょう。

顧問税理士との協業

セカンドオピニオンは、現在契約している顧問税理士との切り替えを前提としたものではありません。実際には、現在の顧問税理士とセカンドオピニオンの税理士が協力し、課題の解決に臨むケースもよく見られます。

特定の分野に強みを持つ税理士が一時的に加われば、課題に対してより高度な対応が可能です。特に顧問税理士が法人税務を中心に対応している場合には、相続や事業承継における専門的なサポートが不足することがあるため、セカンドオピニオンが効果的です。

協業体制を取れば、顧問税理士との信頼関係を崩さずに、特定の専門分野における不足を補うことが可能です。顧問税理士を含む複数の専門家の知識・経験を活かしたサポートが受けられるため、総合的かつ質の高い税務サービスの提供が期待できます。

顧問税理士との協業

税理士のセカンドオピニオンで注意するべき点

セカンドオピニオンは、専門的な知見を取り入れるうえで有効な手段ですが、依頼時にはいくつかの注意点があります。

相談費用は事前に確認する

セカンドオピニオンは、基本的に有料です。依頼する前に、必ず料金体系を確認してください。初回相談を無料で受け付けている事務所もありますが、具体的なアドバイスになると追加で費用が発生するケースがほとんどです。事前に費用の見積もりを取って納得したうえで依頼すれば、後になって想定外の出費に悩まされる可能性も低くなります。

セカンドオピニオン先の選定に注意する

税理士にセカンドオピニオンを依頼する際には、相談したいテーマや自社の業種に合った専門性を持つ税理士を選ぶことが大切です。税理士であれば誰に依頼してもよいというわけではなく、実績や経験、評判なども踏まえたうえで検討を進めましょう。

また、専門性の高さだけでなく、実際に話してみたときの印象や、コミュニケーションのしやすさも大切な判断材料となります。複数の税理士に相談して比較し、自分にとって信頼できる相手かどうかを見極めてください。

顧問税理士には事前に伝える

セカンドオピニオン自体は問題のある行為ではありませんが、顧問税理士に対しては、セカンドオピニオンを依頼することを事前に伝えておくのが理想的です。あらかじめ「重要な判断なので、他の意見も聞いてみたい」と素直に説明すれば、多くの税理士は理解を示してくれます。むしろ、専門外の分野に関しては、第三者の意見を取り入れることを推奨する税理士も少なくありません。顧問税理士との信頼関係を維持しながらスムーズな情報連携を図るためにも、顧問税理士に対しては前もって丁寧に伝えることを心がけましょう。

税理士のセカンドオピニオンにかかる料金の相場

セカンドオピニオンの料金は、相談内容の難易度や所要時間、必要な資料の量によって異なります。一般的には「単発の相談」「継続的な検討や書類確認を含む相談」で料金に差が出る傾向があることを押さえておきましょう。

単発の相談や難易度がそれほど高くない内容であれば、数千円~数万円が相場となります。初回相談を無料で実施している事務所もありますが、あくまで「概要の確認」の範囲であり、具体的な提案や書類の精査はしてもらえない場合がほとんどです。

相続税や事業承継、M&Aのように内容が複雑で専門性の高い相談になると、10万円以上の費用が発生するケースもあります。いずれにしても、前述のように、相談前に料金体系をしっかりと確認することが重要です。

セカンドオピニオンで頼れる税理士の探し方

セカンドオピニオンを上手く活用するには、相談内容に適した税理士を選ぶのが何より重要です。
単に「別の税理士に聞けばよい」というわけではなく、専門性や対応力、現在の顧問税理士との連携体制まで含めて総合的に判断する必要があることに留意しましょう。ここでは、セカンドオピニオンの依頼時に確認すべき2つのポイントについて解説します。

相談したい分野に精通しているかを確認する

セカンドオピニオンを依頼する際は、相談したいテーマに強い税理士を選ぶことが重要なポイントになります。相続税や事業承継、M&Aなどは高度な専門知識が求められるため、その分野に精通している税理士でなければ、自社の状況に合った適切なアドバイスは期待できません。まずは、税理士のWebサイトやプロフィールで、得意分野や実績を確認してください。初回相談などを通じて、実際の経験や具体的な対応事例を質問したうえで判断するのもおすすめです。

現在の顧問税理士と協業できるかを確認する

セカンドオピニオンは、あくまでも現在の顧問税理士が行っている税務を補完する目的で行うものです。そのため、現在の顧問税理士と連携しながら業務を進められるかどうかも、セカンドオピニオンを依頼する税理士を選ぶ際の重要な判断基準となります。

多くの税理士は他の税理士と協業体制を取ることに理解を示してくれますが、なかには他の税理士との協業に抵抗を感じる方もいます。最初に「顧問税理士と連携してもらえるか」を確認したうえで相談を進めるのがおすすめです。

相続・事業承継に強い税理士をお探しなら、顧問税理士との協業が可能なレガシィへとご相談ください

セカンドオピニオンは、税務の選択の幅を広げ、より納得のいく判断を下すための手段のひとつです。セカンドオピニオンを通じて、税務の見直しやダブルチェック、投資・承継に関する戦略的な提案など多角的な支援を受けられます。

税理士法人レガシィには、相続・事業承継分野の経験が豊富な税理士が多く在籍しています。顧問契約ではなくスポット対応に特化しているため、顧問税理士との関係を維持しながら、専門性の高い領域を補完する形での協業が可能です。

自社の税務課題についてセカンドオピニオンを検討している方だけでなく、クライアント様から専門外の質問が寄せられた顧問税理士の方からのご相談も歓迎しています。お気軽に以下のフォームよりお問い合わせください。

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この記事を監修した⼈

税理士法人レガシィ代表社員税理士パートナー陽⽥賢⼀の画像

陽⽥ 賢⼀税理士法人レガシィ 代表社員税理士 パートナー

企業税務に対する⾃⼰研鑽のため税理⼠資格の勉強を始めたところ、いつの間にか税理⼠として働きたい気持ちを抑えられなくなり38歳でこの業界に⾶び込みました。そして今、相続を究めることを⽬標に残りの⼈⽣を全うしようと考えております。先⼈の⽣き⽅や思いを承継するお⼿伝いを誠⼼誠意努めさせていただくために・・

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武田 利之税理士法人レガシィ 代表社員税理士 パートナー

相続はご他界された方の人生の総決算であると同時にご遺族様の今後の人生の大きな転機となります。ご遺族様の幸せを心から考えてお手伝いをすることを心掛けております。

<総監修 天野 隆、天野 大輔税理士法人レガシィ 代表

<総監修 天野 隆、天野 大輔>税理士法人レガシィ 代表

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