相続には「一次相続」と「二次相続」があります。
一次相続とは、両親のうちの1人の方が亡くなって、もう片方の親と子どもが相続人
となる、最初の相続のことを指します。
当社がお手伝いさせて頂いた相続案件を分析した「相続事例分析」のデータによりま
すと、父親が先に亡くなるケースは87%です。
一般的にみても、母親よりも父親が先に亡くなるケースが多いため、一次相続は「父
の相続」とも言われます。
二次相続はその次に行われる相続のことで、ご存命であったもう片方の親が亡くな
り、子ども達に遺産が引き継がれる相続です。
「母の相続」とも言われます。
では、
一次相続の場合、「母親がすべて相続」するケースと、「母親と子ども達が分け合って相続」するケース、一体どちらが多いのでしょうか。
答えは、「母親と子ども達が分け合って相続」するケースです。
民法で規定されている割合(法定相続分といいます)に従って、母親が財産の半分を相
続し、残り半分は子ども達が相続するといったパターンです。
節税の観点からみると、「母親と子ども達が分け合って相続」するケースのほうがお
得だと言えます。
一次相続で母親がすべて相続すると、父親が持っていたもともとの財産に対して、一
次相続のときと二次相続のときで2度にわたって相続税を支払うことになりますが、
母親と子ども達が分け合って相続した一次相続の場合は、二次相続における課税対象
額を半分に減らすことができるからです。
このように、一次相続の段階から、二次相続を見据えて遺産分割を検討していくこと
が一般的です。
しかし、本当に「母親と子ども達が分け合って相続」するのがよいのでしょう
か?・・・
当社の「相続事例分析」のデータによりますと、父親が亡くなったあとの母親の平均
余命は約18年です。
18年ものあいだ、母親は自分で生活を維持していかなければなりません。
残された母親の生活のことを考える。
一次相続ではこれが一番大切なことではないかと思います。
法律どおりに法定相続分で相続するのではなく、まずは母親の生活を考えた相続にす
ることが大切です。
「お母さん、今後の生活を考えて全部もらってよ」
子ども達からそんな気遣いの言葉が聞かれる遺産分割協議は幸せですね。