令和4年税制改正(抜粋)
01 住宅借入金等特別控除
ポイントと影響
改正前と比較して、控除額が減額された。
ただし、カーボンニュートラルに配慮した場合には、控除額の縮小幅は小さくなる。
また、対象者の所得制限が厳格化された。(3,000万円以下→2,000万円以下)
内容
イ ロ以外の住宅の場合
居住年 | 借入限度額 | 控除率 | 控除期間 |
---|---|---|---|
令和4年・令和5年 | 3,000万円 | 0.7% | 13年 |
令和6年・令和7年 | 2,000万円 | 10年 |
注)上記の金額等は、住宅の取得等が居住用家屋の新築、居住用家屋で建築後使用されたことのないものの取得又は宅地建物取引業者により一定の増改築等が行われた一定の居住用家屋の取得である場合の金額等であり、それ以外の場合(既存住宅の取得又は住宅の増改築等)における借入限度額は一律2,000万円と、控除期間は一律10年とする。
ロ 認定住宅等の場合
居住年 | 借入限度額 | 控除率 | 控除期間 | |
---|---|---|---|---|
認定住宅 | 令和4年・令和5年 | 5,000万円 | 0.7% | 13年 |
令和6年・令和7年 | 4,500万円 | |||
ZEH水準 省エネ住宅 |
令和4年・令和5年 | 4,500万円 | ||
令和6年・令和7年 | 3,500万円 | |||
省エネ基準 適合住宅 |
令和4年・令和5年 | 4,000万円 | ||
令和6年・令和7年 | 3,000万円 |
(注1)上記の「認定住宅等」とは、認定住宅、ZEH水準省エネ住宅及び省エネ基準適合住宅をいい、上記の「認定住宅」とは、認定長期優良住宅及び認定低炭素住宅をいう。
(注2)上記の金額等は、住宅の取得等が認定住宅等の新築又は認定住宅等で建築後使用されたことのないもの若しくは宅地建物取引業者により一定の増改築等が行われたものの取得である場合の金額等であり、住宅の取得等が認定住宅等で建築後使用されたことのあるものの取得である場合における借入限度額は一律3,000万円と、控除期間は一律10年とする。
適用時期
令和4年から令和7年までの間に居住の用に供した場合に適用
02 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置等
ポイントと影響
非課税限度額が改正前より500万円引き下げられた。
また、新耐震基準に適合していることが要件とされた。
内容
改正前 | 改正後 | |
---|---|---|
①適用期限 | 令和3年12月31日 | 令和5年12月31日 |
②非課税限度額 | 耐震等 1,500万円 上記以外 1,000万円 |
耐震等 1,000万円 上記以外 500万円 (契約締結時期によらず) |
③新耐震基準 | なし | あり (昭和57年1月1日以降に建築された ものは適合しているものとみなす) |
④築年数基準 | あり | なし |
⑤受贈者の年齢要件 | 20歳以上 | 18歳以上 |
※⑤については、令和4年4月1日以降の贈与から適用する
※①③⑤は相続時精算課税制度の特例措置及び震災特例法の贈与税の非課税についても同様
適用時期
令和4年1月1日~令和5年12月31日までに贈与により取得する住宅取得資金に係る贈与税について適用
03 非上場株式等に係る相続税・贈与税の納税猶予の特例制度に係る特例承継計画の提出期限延長
ポイントと影響
納税猶予制度の適用にあたって、特例承継計画の提出期限が延長された一方で、適用期限が延長されていないことから、事業承継を検討している場合には早期に事業承継に取り組むことが求められる。
内容及び適用時期
改正前 | 改正後 | |
---|---|---|
①提出期限 | 令和5年3月31日 | 令和6年3月31日 |
②適用期限 | 令和9年12月31日 |
04 財産債務調書制度等の見直し
ポイントと影響
従来は対象者が所得金額2,000万円以下であれば、保有資産の額にかかわらず提出の義務はなかったが、富裕層の税逃れ防止の強化のため、一定額以上の資産を保有している場合には所得金額にかかわらず提出が義務付けられた。
内容
新制度 | 旧制度 | |
---|---|---|
提出義務者 | 右記のほか、財産10億円以上 の居住者 |
所得金額2,000万円超かつ、3億円 以上の財産又は1億円以上の有価証券 の所有者 |
提出期限 | その年の翌年6月30日 | その年の翌年3月15日 |
期限後提出の宥恕措置 | 右記の規定を調査通知前 の提出に限定 |
更正または決定を予知してされたもの でないときは期限内提出とみなす |
記載省略可能な 家庭用動産 |
300万円未満 | 100万円未満 |
適用時期
提出義務者、提出期限、記載省略可能な家庭用動産・ 令和5年分以後
期限後提出の宥恕措置・・・・・・・・・・・・・・・令和6年1月1日以後提出のもの
05 給与等の支給額が増加した場合の税額控除制度
ポイントと影響
改正前は新規雇用者給与等の支給増加が要件であったが、改正後は継続雇用者給与等の支給増加が要件となった。
内容
改正前 | 改正後 | ||
---|---|---|---|
要件 | 新規雇用者給与等支給増加額 対前期2%以上 |
継続雇用者給与等支給増加額(A) 対前期3%以上 (一定の大企業には宣言・届出が必要) |
|
税額 控除額 |
控除額 | 新規雇用者給与等支給増加額×15%(※) ※教育訓練費増加額(B)が 対前期20%以上増加の場合は20% |
雇用者給与等支給増加額×15%(※2) ※2 ①Aが4%以上 →25% ②Bが10%以上 →20% ③①②を共に満たす→30% |
限度額 | 法人税額×20% | 同左 |
適用時期
令和4年4月1日~令和6年3月31日の間に開始する各事業年度
06 中小企業における所得拡大促進税制
ポイントと影響
従来制度に、税額控除率の上乗せがされ、適用期限が1年間延長された。
内容
改正前 | 改正後 | ||
---|---|---|---|
要件 | 雇用者給与等支給増加額(A) 対前期1.5%以上 |
同左 | |
税額 控除額 |
控除額 | A×15%(※) ※次の①及び②の要件を満たす場合 は25% ①Aが2.5%以上 ②教育訓練費増加額(B)が10%以上 又は経営力向上の証明 |
A×15%(※2) ※2 ①Aが2.5%以上 →30% ②Bが10%以上 →25% ③①②を共に満たす→40% |
限度額 | 法人税額×20% | 同左 |
適用時期
令和4年4月1日~令和6年3月31日の間に開始する各事業年度