1.住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税の延長・拡充
ポイントと影響
経済的波及効果が大きい住宅需要を刺激するとともに、良質な住宅ストックの形成を促すこと及び消費税率引上げの前後における駆け込み需要による住宅市場への影響を踏まえその影響の平準化及び緩和を図るため、住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置が延長・拡張されます。
なお、消費税の税率、贈与時期によって非課税金額が異なるため、住宅の購入によるキャッシュアウトフローと贈与税の非課税金額とのバランスを考えて売買契約の時期を選択することが必要となるでしょう。内容
直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置について、次のとおり非課税限度額を拡張した上で、適用期限が平成31年6月30日まで延長されます。
消費税率10%が適用される者 | 左記以外の者 | |||
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対象期間 | 耐震・エコ・ バリアフリー住宅 | 一般住宅 | 耐震・エコ・ バリアフリー住宅 | 一般住宅 |
26年1月~26年12月 | – | 1,000万円 | 500万円 | |
27年1月~27年12月 | 1,500万円 | 1,000万円 | ||
28年1月~28年9月 | 1,200万円 | 700万円 | ||
28年10月~29年9月 | 3,000万円 | 2,500万円 | 1,200万円 | 700万円 |
29年10月~30年9月 | 1,500万円 | 1,000万円 | 1,000万円 | 500万円 |
30年10月~31年6月 | 1,200万円 | 700万円 | 800万円 | 300万円 |
適用時期
平成26年12月31日までであった適用期限が平成31年(2019年)6月30日まで延長されます。
2.結婚・子育て資金の一括贈与に係る非課税措置の創設
ポイントと影響
結婚・子育てに要する費用についても、教育資金と同様に祖父母・両親が非課税で支援することが可能となります。
一括贈与の残額については相続税又は贈与税の課税対象となるため、従来からあるその都度贈与と比較してどちらのリスクが少ないかを検討する必要があります。内容
贈与者 祖父母・父母(直系尊属) | 受贈者 子・孫(20歳以上50歳未満) |
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適用時期 | 平成27年4月1日から平成31年3月31日まで(4年間) |
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贈与手段 | 金融機関に子・孫名義の口座を開設し、資金を一括拠出 |
非課税限度額 | 1,000万円(結婚に際して支出する費用については300万円を限度) |
結婚・子育て資金の範囲 | 結婚に際して支出する婚礼費用、住居に要する費用及び引越に要する費用、妊娠・出産などに要する費用及び子の医療費、保育料など。この範囲は内閣総理大臣が決定。 |
税務署への申告 | 金融機関経由で非課税申告書を提出 |
払出 | 結婚・子育て資金に充てたことを確認できる書類を金融機関に提出 |
使途 | 金融機関が領収書等をチェックし書類を保管 |
贈与税 | 子・孫が50歳に達する日に口座は終了し、使い残しがあれば贈与税を課税 |
(注)期間中に贈与者が死亡した場合の取扱い 信託等があった日から結婚・子育て資金管理契約の終了の日までの間に贈与者が死亡した場合には、死亡の日における非課税拠出額から結婚・子育て資金支出額を控除した残額については、受贈者が贈与者から相続又は遺贈により取得したものとみなして、贈与者の死亡に係る相続税の課税価格に加算する。この場合に、残額に対応する相続税額については相続税額の2割加算の対象としない。
適用時期
平成27年4月1日から平成31年3月31日まで間に拠出されるものについて適用されます。
3.教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置の延長・拡張
ポイントと影響
教育資金の払出のうち、少額の支払については領収書に代えて支払金額等を記載した書類の提出が可能になるため、事務手続が簡略化されます。
内容
- (1)教育資金の範囲の拡大 特例の対象となる教育資金の範囲に、通学定期券代、留学渡航費等が加わります。
- (2)金融機関への領収書等の提出の一部簡略化 領収書等に記載された支払金額が1万円以下で、かつ、その年中における合計支払金額が24万円以下のものについては、領収書等の提出に代えて支払先、支払金額の明細を記載した書類の提出することができます。
適用時期
平成25年4月1日から平成27年12月31日までの適用期限が平成31年3月31日まで延長されます。なお、領収書等の提出の一部簡略化については、平成28年1月1日以降に提出する書類から適用されます。
4.非上場株式に係る贈与税・相続税の納税猶予制度の見直し
ポイントと影響
経営者の高齢化が進む中、2代目経営者から3代目経営者に事業承継する場合に贈与税の納税義務が生じないようになるため、中小企業の事業承継のより一層の円滑化が期待できます。
内容
- (1)経営承継期間(申告期限の翌日から同日以後5年を経過する日までの期間)経過後の事業承継 3代目経営者が贈与税の納税猶予を受ける場合には2代目経営者が猶予されていた贈与税が免除されます。
- (2)経営承継期間内の事業承継 経営承継期間内の贈与であっても、2代目経営者が身体障害等のやむを得ない事情により代表者でなくなったことにより、3代目経営者が贈与税の納税猶予を受ける場合にも2代目経営者が猶予されていた贈与税が免除されます。(2代目経営者が相続税の納税猶予を受けていた場合についても同様に免除されます。)
適用時期
平成27年4月1日以後の相続もしくは遺贈又は贈与による贈与による取得から適用されます。