法定相続人と遺言ではどちらが優先？ドラマ「相続探偵」第一話を振り返る！

ドラマ「相続探偵」の第一話「或る小説家の遺言」が2025年1月25日に放送されました。赤楚衛二さん演じる灰江七生かっこよかったですね！

赤楚さんがでている作品をたびたび見ていますが、その役ごとの特徴をしっかりとらえて演じられているので、見ていて飽きませんね。今回の灰江七生役も、冷静なところもありながら、故人の遺志に寄り添う温かさがある演技が魅力的でした。今後もますます期待してしまう俳優さんです。

今回は第１話のストーリーを振り返りながら、相続に関する重要なキーワードを解説していきたいと思います！

第一話のストーリー※ネタバレあり

物語は、大物ミステリー作家・今畠忍三郎（橋爪功）が亡くなり、彼の遺産を巡る相続トラブルから始まります。今畠の遺産は、長女・市香（佐藤仁美）、次女・双葉（うらじぬの）、三女・美樹（松井愛莉）の三姉妹に渡ると思われていましたが、今畠はビデオメッセージで「財産の全てを秘書の桜庭真一（髙嶋政伸）に相続させる」と遺言を残していました。

この遺言により、三姉妹は激怒し、桜庭が無理やり遺言を書かせたのではないかと疑います。しかし、ビデオメッセージでの遺言は法的に無効であるため、正式な遺言書が必要です。灰江は、今畠がビデオメッセージを残した理由に疑問を抱き、調査を開始します。

灰江は、今畠の通夜で配られた返礼品の高級ワインが偽物であることを見破り、さらにビデオメッセージに映る今畠の手の甲にできた傷が防御創であることに気付きます。これにより、今畠が虐待を受けていたことが明らかになります。

令子（桜田ひより）が今畠の遺体を調べた結果、今畠の身体には硬い棒で殴られた傷があり、元科捜研の朝永（矢本悠馬）は犯人が左利きであると推定します。相続人の中で左利きの人物は桜庭だけであり、桜庭が犯人であることが明らかになりました。

最終的に、灰江は今畠の書斎から万年筆で書かれたもう一つの遺言書を発見します。その内容は、家政婦の下島美代子（田中真弓）に1億円を残し、残りは貧困国の援助団体に寄付するというものでした。これにより、桜庭の虐待と遺言書の強要が明らかになり、事件は解決します。

相続に関するキーワードを解説！

法定相続人と遺言、どちらが優先？

法定相続人とは、法律で定められている相続人のことです。配偶者、子、親、兄弟姉妹が含まれます。今回のエピソードでは、今畠の三姉妹が法定相続人として登場しました。

生前に遺言が残されている場合、基本的には法定相続人よりも遺言の内容が優先されます。遺言は、意思を死後に実現させるために設けられた制度で、被相続人は誰に財産を残すかを決められます。親族以外へ財産を残すことも可能です。

ただし遺族の生活保障への考慮から、配偶者や子いった一部の法定相続人には財産の一部を相続できる権利「遺留分」が設けられています。遺言で法定相続人以外に財産を全部渡すよう指定されていたとしても、法定相続人である配偶者や子などは遺留分を請求し財産を取得することができます。

遺言は３種類ある！

遺言書の書き方には「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類があります。

「自筆証書遺言」は遺言者による自筆で遺言書を作成する方法で、遺言の全文と氏名、日付を記載して押印するだけで遺言の効力が認められるため、手軽な作成方法といえますが、紛失や改ざんされるリスクがあります。

「公正証書遺言」は公証人と共同して遺言書を作成し、公正証書として遺言を残す形式のため、紛失や改ざんというトラブルを回避できますが、費用がかかります。

「秘密証書遺言」は遺言者が自作した遺言書に署名・捺印したうえで封印し、公証人役場へ持参して公証人と証人の立ち会いにより保管を依頼します。遺言内容を誰にも知られず遺言書を保管するため紛失や改ざんのリスクがありませんが、不備があっても封を開けるまで気づくことができません。

遺言で寄付をして、相続税を節税できる?

ドラマの最後では、正式な遺言が見つかり、遺言の内容は家政婦さんへの相続と団体への寄付ということでした。遺言による寄付（遺贈寄付）は、遺言者が死後に自身の遺産を寄付することです。遺言による法人への寄付は、原則相続税の課税対象にはなりません。遺贈寄付は、生前に自分の死後に自己の財産をどう使うかを決められるので、社会貢献として選択する人が増えており、近年注目度が高まっています。

上記の内容についてより詳しく知りたい方はこちらもご覧ください。
＞法定相続人って誰？確認の仕方や注意点、相続分についてわかりやすく解説
＞遺言書で効力を持つ事柄は？効力を失うケースや有効期間についても解説
＞遺言による寄付（遺贈寄付）とは？相続税や遺言の効力、遺留分の注意点を解説

まとめ

「相続探偵」の第一話では、遺産相続にまつわる複雑な事件が描かれ、灰江七生がその謎を解き明かしました。遺言書などの相続に関するキーワードもでてきて、見ている方は、へぇそうなんだ！という場面を多かったのではないでしょうか！次回のエピソードも楽しみですね！