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日税連が税理士事務所向けAI・クラウド活用ガイドラインを策定!安全に活用するための3つの実務ポイント
【この記事の執筆者】
天野隆
税理士法人レガシィ代表社員税理士・公認会計士。
株式会社レガシィ代表取締役会長。
宅地建物取引士、CFP。
慶應義塾大学経済学部卒業後、アーサーアンダーセン会計事務所・ヒューストン事務所を経て、現職。
【この記事のポイント】
2026年9月30日、日本税理士会連合会(日税連)は、「税理士事務所のためのAI・クラウド活用ガイドライン(Ver.1.0)」の策定を案内しました。本記事では、税理士が生成AIを「排除するのではなく安全に使いこなす」ために必要な、データの分類ルール、業務利用の3つの鉄則、顧客への説明同意、そして専門家としての最終責任についてわかりやすく解説します。
【本記事について】
本記事は、日本税理士会連合会が会員向けに提供している「税理士事務所のためのAI・クラウド活用ガイドライン(Ver.1.0)」を参考に、税理士事務所におけるAI・クラウド活用上のポイントを、レガシィ独自の視点で整理・解説したものです。ガイドラインそのものの転載や、原資料に代わる情報提供を目的とするものではありません。正式な内容については、日本税理士会連合会の会員向け原資料をご確認ください。なお、本記事は日本税理士会連合会の監修・承認を受けたものではありません。
1. なぜ今、日税連が「AIガイドライン」を公表したのか?
2026年9月30日、日本税理士会連合会(日税連)より「AIガイドライン Ver.1.0」が正式に公表されました。これまで現場の税理士や会計事務所においては、「業務のデータをAIに入力しても大丈夫だろうか」「情報漏洩のリスクがあるのではないか」といった懸念から、AIの利用に慎重姿勢をとる事務所も少なくありませんでした。
しかし、今回のガイドライン公表によって明確になったメッセージは、「AIを使わないのではなく、ルールを守ってプロとして安全に使いこなす時代になった」という点です。生成AIを業務の脅威と捉えるのではなく、共に働く「協働者」として位置づけ、税理士の本質的な価値をより高く発揮するための道具として使いこなしていく姿勢が示されています。
2. 入力できるデータ・できないデータの3分類
税理士業務において生成AIを利用する際、最も注意すべきは「どのデータをAIに入力してよいか」の区別です。ガイドラインでは、取り扱う資料やデータを大きく以下の3つに分類しています。
| 情報の例 | 基本的な考え方 | 実務上のポイント |
| マイナンバー(個人番号)を含む情報 | 汎用AI・クラウドへの入力は原則行わない | マイナンバー対応専用システムを利用するか、適切にマスキングした上で取り扱います。 |
| 顧客の財務情報・個人情報・機密情報 | 条件を確認した企業向け環境で慎重に取り扱う | DPA等によるデータ取扱条件、学習利用の有無、組織管理機能などを確認します。 |
| 公開情報・一般情報・十分に匿名化された情報 | 事務所のルールに従って利用する | 誤入力を防ぐため、事務所が承認したツールの利用を基本とします。 |
【注目すべきポイント】
従来、「顧客の決算書や財務データをAIに入れるのは禁止ではないか」と思われがちでした。しかしガイドラインでは、顧客の財務データ等(区分A)について「利用禁止」ではなく、「厳格なルールの下で利用可能」と整理された点が大きな進展です。
3. 顧客データを安全に活用するための「3つの鉄則」
顧客の財務データ・個人情報・機密情報等をAI等で取り扱う場合には、ガイドラインで示されている「3つの鉄則」を満たすことが重要です。
■ 鉄則1:企業向け有料プランの利用
顧客の財務情報・個人情報・機密情報など機密性の高い情報を扱う場合は、個人向け・無料版ではなく、組織管理機能等を備え、データの取扱条件を確認できるビジネス向け環境を利用します。一方、公開情報や一般情報のみを扱う場合は、事務所の承認ルールに従ってツールを利用します。
■ 鉄則2:DPA締結およびデータ学習オフの確認
顧客情報等を扱う場合は、DPA(データ処理契約)等によりデータの取扱条件を確認するとともに、入力情報がAIの学習・機能改善に利用されないことを確認します。DPAは別途締結する場合だけでなく、利用規約等に組み込まれて適用される場合もあるため、実際の契約条件と設定を確認します。
■ 鉄則3:所内ルールの徹底とシャドーITの防止
事務所内で承認されたツールだけを利用する仕組みを整え、入力情報の取扱ルールや職員教育を徹底します。また、サービス提供者の契約条件・安全管理措置・国外でのデータ処理等に重要な変更がないか、定期的に確認する体制を整えます。
4. 税務判断の最終責任は税理士にあり(プロの矜持と独占業務)
AI技術が高度化し、法令のリサーチや文章の要約、提案書の下書き作成を高速で行えるようになったとしても、税務判断の最終判定および責任は必ず税理士本人が負わなければなりません。
AIは時として事実と異なる情報をもっともらしく出力する「ハルシネーション」を起こす可能性があります。AIが出力した回答を鵜呑みにせず、ハルシネーションを見抜き、根拠法条や通達を自ら確認した上で税務判断を行うことこそが、税理士法に定められた独占業務を担う専門家としての真の価値であり、プロフェッショナルとしての責務です。
5. 顧客への説明と同意(信頼関係を深める実務アプローチ)
AI活用にあたっては、関与先顧客との信頼関係と安心感の醸成が不可欠です。
顧客の財務情報・個人情報・機密情報などを生成AI等で取り扱う場合は、利用目的や情報の取扱いを事前に説明し、書面による同意を得ることが強く推奨されています。また、AI議事録作成サービス等で面談を録音・録画する場合について、ガイドラインの規程ひな型では事前に相手方の同意を得る運用が示されています。
6. まとめ〜安全なレールの上で最速で走る〜
AI技術やサービス内容、関連法令は今後も変化する可能性があります。税理士事務所側でも、日本税理士会連合会から案内される最新情報や、利用サービスの契約条件・設定を継続的に確認していくことが重要です。
明確なガードレール(安全管理ルール)があるからこそ、私たちは迷うことなく最速でAIを業務に活用することができます。ルールを遵守した上で生成AIを使いこなし、業務効率化と質の高い税務サービス・顧客満足の向上を実現していきましょう。
レガシィマネジメントグループでは、士業先生方の生成AIの導入から活用を含めデジタル活用の全般を支援する「士業向けデジタル活用サポート」サービスを提供しています。今回のガイドラインに際し、AIを活用したいがどう進めていいかわからないという先生は、ぜひご検討ください。
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