大学卒業後、大手OA機器商社に就職。会計事務所勤務を経て、現在のさいたま新都心税理士法人松波事務所を開業。本業の決算、税務申告・相談を行う傍ら、会計データの統計解析法を研究する。帰納的アプローチにより企業の経営課題を分析し、その成果をクライアントである中小企業にフィードバックしている。
OA機器商社の営業職を経験してから税理士を目指した松波先生。開業してからも営業時代のノウハウを生かし確率論的な考えで顧問を増やしてこられました。数多くの中小企業の経営に寄り添うなかで、自所においても自走型の組織づくりに励んでいます。その詳しい話を伺いました。
ぶっちゃけてお話しすると、父が食品関係の仕事をしていたこともあり、コックになりたかったんですよ。実は今もなれるならなりたいくらいで(笑)。ただ、就職活動中に反対され、その道は諦め、OA機器商社の営業職に就職しました。数年働きましたが、確率論で受注を取りに行く営業より、数字を管理・分析していく仕事に魅力を感じるようになり、会計事務所に転職しました。
そして、職員として働くなかで自分も資格を取りたいと思い、勉強をし始めたのです。合格するまで5年くらいかかったと思います。
先ほどお話ししたように元々は税理士を目指していなかったので、初めから開業したいと思っていたわけではありません。この業界に入りそのときどきの業務のなかで少しずつ芽生えていったような形です。
私が会計事務所に入った頃は、パソコン会計の時代じゃなかったんですよ。当時は、伝票を切って、通帳と突き合わせて、その数字が合っていることが大事ということをやっていました。もちろんそれも重要ですが、少し物足りなさを感じていましたね。そこで事務所を移り、少し大きめの会社を担当するようになってから、顧問先に「銀行の方が来るから一緒に立ち会ってくれ」とか、「事業を今後どのようにしたらいいと思う?」というような相談をされることが割と増えてきました。今の仕事の基盤になっていると思います。
その後、様々な会社を担当していくなかで、「頂戴している顧問料に見合ったサービスを提供したい」「(人によって多少のやり方の違いがあったとしても)誰が担当しても同じクオリティを提供したい」と考えるようになり、それでは独立するのが一番だ、と思ったことが大きなきっかけでした。
はい、1月31日に『新訂版 顧問先が融資を受けやすくなる!税理士が知っておきたい 中小企業の財務改善ノウハウ』を出版しました。日本の中小企業はどうして経営がうまくいかないところが多いのかというと、お金をかけるべきところにかけられていないことが多いんですよ。試験研究費にどれくらい使えるのか、省人化の投資をしたい、接待交際費も必要というようななかで、足元の試算表がきっちりできていないと、甘い実績報告から甘い予測しか立てられない。
あるいは、利益が出ていても、投資に使える資金が確保できていないことがあります。ですので、本書では利益がどれくらい出ているかをお伝えすると同時に、資金を調達し再投資していく、そしてそれを繰り返して会社を成長させていく、顧問先に的確なアドバイスためのノウハウをまとめています。顧問先に課題は感じているけれど、うまく提案できていない先生や職員さんに読んでいただけると嬉しいです。