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専門家インタビュー

独立開業を支えたのは「聞く力」。下高井戸で資産家の悩みに向き合う、世田谷アセット会計事務所の伴走支援

大学卒業後、自動車メーカーのホンダにて経理財務を4年間経験。専門性を高めるために公認会計士資格を取得し、EY監査法人で約10年間、上場企業の会計監査に従事。
その後、自身の実家の相続や借地権問題に直面したことをきっかけに「不動産×税理士」の可能性を見出し、世田谷区・下高井戸にて独立開業。現在は約10名のスタッフとともに、不動産オーナー向けの支援を中心に行っている。

大企業の監査を担う公認会計士から、個人の資産や人生に深く関わる税理士へと転身を果たした柳田先生。自身の経験から不動産実務への強みを築き、世田谷・下高井戸の地で地域に根ざした支援を続けています。「お客様の話を聞くこと」を何よりも大切にする柳田先生に、これまでの歩みと独自の強みについて伺いました。

公認会計士を目指したきっかけは何ですか?

大学卒業後は自動車メーカーのホンダに就職し、そこで4年間、経営や経理財務の業務に携わりました。仕事をしていく中でもっと専門性を高めたいと考えるようになり、一念発起して公認会計士の資格を取得しました。その後はEY監査法人に入所し、約10年間にわたって上場企業の会計監査に従事しました。
 
思い返せば、数字や計算に対する興味は、小学校に入る前から抱いていました。子供の頃からお小遣い帳をつけて帳簿管理をしたり、お年玉を定期預金に入れて複利で運用したりしていたほどです。答えがはっきりと決まっているところや、数字をきれいに整理していく作業が自分の性に合っていたのだと思います。

開業までの経緯を教えてください

監査法人で10年ほど経験を積んだ後、もっと自由に、自分のペースでやってみたいと思うようになりました。周囲からも「マイペースだね」と言われることがあり、あまり大きな組織には向いていないかもしれないと感じていたのも理由の一つです。

また、独立の決定的なきっかけとなったのは私自身の家族の事情でした。親の相続を経験したこと。そして都内にあった物件で、借地特有の不動産問題に直面したことです。親が亡くなった後、名古屋にある実家を取り壊してアパートを建てたのですが、その過程で不動産活用や借地権について自分自身で対応せざるを得なくなりました。当時は宅建士の勉強もしましたし、借地権に関する専門書を買って読み込み、その本を執筆された専門家の先生(芳賀成人先生)のところへ直接質問に行ったこともあります。

その時に学んだのは、「借地問題は単にこちらの言いたいことを主張するだけでは駄目で、地主さんの承諾を得ながら上手く合意点を見つけ、交渉しなければならない」ということ。東京と名古屋では不動産の市場も事情も異なりますが、自分で徹底的に調べたおかげで実家の借地問題も無事に解決できました。

この一連の経験から、「不動産活用と税理士の組み合わせは非常に相性が良いのではないか」と閃いたのです。そして不動産に強みがある税理士になろうと決意し、税理士としての実務経験はゼロでしたが、いきなり独立開業に踏み切りました。

開業場所に現在の世田谷エリア(下高井戸周辺)を選んだのは、私の自宅から近いということもありますが、この地域にお住まいの方々の力になれると考えたからです。世田谷周辺は土地の価値が高く、普通にご自宅をお持ちの方でも相続や不動産の活用に悩まれるケースが少なくありません。そうした地域特有のお悩みに対して、私の実体験や不動産の知見が少しでもお役に立てるのではないかと感じました。

現在力を入れている取り組みは何ですか?

開業から10年が経ち、現在は不動産オーナーを中心とした資産関係の確定申告や、相続対策、収益不動産の活用方法など、資産家向けの地元密着型のサポートに注力しています。お客様のエリアとしては、世田谷を中心に、杉並、新宿、渋谷、調布といった周辺地域が多いですね。

ここ数年、相続税の基礎控除が引き下げられ、税金がかかる方が増えています。相続税は増税や規制強化の方向に向かっているため、資産家の方ほどお悩みが多い状況です。ご相談内容としては、「相続税対策をどうすればいいか」「もめない遺産分割の方法」「遺言書の書き方」「不動産の組み替え」などが中心となっています。

また、不動産オーナー様特有の悩みとして、代がわりの問題も挙げられます。お子様がアパート経営を引き継ぎたがらないケースも多く、資産をどう承継するのか、あるいは処分してしまうのか。処分して現金で持っていると相続税が上がってしまうといったジレンマもあり、お客様ごとに特有の事情に合わせたきめ細かい対応が求められます。毎年継続して関与させていただいているお客様が多く、ご家族の事情にも非常に詳しくなっていますね。

お客様への対応で心掛けていることはなんですか?

公認会計士の仕事と税理士の仕事で一番違うのは、ご依頼いただく相手です。監査法人時代は大企業が相手で、経理の知識があり、組織がしっかりしている方々と論理的に話を進めていました。しかし、税理士として独立してからは、経営の専門知識がない個人や中小企業の方がほとんど。そのため、専門用語を使わずに、いかにわかりやすく説明するかを意識しています。

また、お客様は感覚的にお話しされることが多いので、本当は何を聞きたいのかを、思いつきの質問の中からご相談の真の意図や趣旨を汲み取る「対話力」が非常に重要です。

お客様との対話で一番心がけているのは「苦労話や昔の話をしっかり聞くこと」。この取材前にいらっしゃった80代のお客様とも、80年前の下高井戸の街並みや、昔の世田谷線の話で盛り上がりました。ご自身の苦労や思い出を聞いてもらうだけで、お客様は安心してくださる場合が多いです。それに、雑談の中から見えてくるお人柄やお金の使い方の傾向が、結果的に税務への重要なヒントに繋がることも少なくないんですよ。

もう一つ、独立当初から意識しているのは「仕事を選り好みしないこと」。税理士経験ゼロで開業したため、最初は初めての仕事ばかりでした。それでも「初めてだから」と断るのではなく、すべて引き受け、自分で徹底的に調べて対応してきました。その積み重ねが今の力になっていると思います。

お客様との印象的なエピソードはありますか?

税務とは全く関係のない、ご家族の親子げんかや夫婦の仲裁に入ることがよくあります。長年お付き合いしているとご家族の事情に詳しくなるため、「自分からは言いにくいから、先生から子供に説明してくれないか」と頼まれるわけです。

そうした関係性がこじれてしまっている場に立ち会う時は、あくまで中立的な立場を崩さず、一方的に意見を伝えるようなことはしません。「とにかくお互いの話を聞く」という場を作ることに徹します。

印象的だったのは、朝の10時にお客様とお会いして、一緒にお昼ご飯を食べながら、夕方の5時までずっとお話を聞き続けたことです。ただただ真摯にお話を聞き、受け止めるだけで、お客様はすっきりとされていました。私は元々人と話をするのが好きですし、数字だけでなく「人」に向き合うこの仕事にとてもやりがいを感じています。

これから挑戦してみたいことはありますか?

業務面で興味があるのは、医療関係・ドクターのお客様を増やしていくことです。弊所があるのはそういったお客様が多い土地柄だと考えているのですが、診療に熱心なあまり経営面に手が回らないという方もいらっしゃいます。医療特有の専門的な会計税務のサポートに加え、現在主力としている富裕層・不動産オーナー向けの支援とのシナジー効果も高い分野です。今後は開業支援などにも力を入れていきたいですね。

もう一つは「組織作り」です。事務所の規模も現在10名ほどに成長してきました。これまで私一人が対応することで回っていましたが、これからはチームとして、組織の中でお客様の課題を解決できる体制を作っていきたいと考えています。マニュアルやチェックリストを整備し、日々の業務の調書をファイリングして後進が見返せるようにしたり、社内のコミュニケーションツールにやり取りを残して他のメンバーも勉強できるようにしたりと、より多くのお客様に対応できる組織化を進めているところです。

独立開業を目指している人へのメッセージをお願いします

独立開業するにあたって、まずは何かしらの自分の強みや特徴を打ち出していくことが大切だと思います。私自身が不動産という強みを軸に据えたように、最初のうちは「どうやってお客様を増やせばいいのか」と誰もが悩むのではないでしょうか。

だからこそ、まずは強みをアピールし、その上で「来た仕事は何でも引き受ける」という姿勢を持つことをお勧めします。初めての仕事でも選り好みせずに挑戦し、自分で必死に調べることで、必ず自分自身の成長に繋がっていくはずです。

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