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高単価・高受任率を安定させる「初回面談」前の設計―無料相談でも疲弊しない実務の整え方―

初回面談を無料にすることで相談件数は増えたものの、受任につながらない、受任しても低単価になりやすい、結果として忙しい割に利益が残らない――こうした悩みは、多くの法律事務所で共通して見られます。初回無料相談は集客に有効な一方で、運用を誤ると「失注」「低単価」「疲弊」を同時に招きやすいからです。

本稿では、初回面談の「中身」(ヒアリングの技術やクロージング)そのものよりも、面談前の段階で成果を安定させるための設計に焦点を当てます。なお、前作「10人中6人から契約したいと言われる相続相談「失注&低利益で苦しまない パターン別クロージング術」では、相談時(面談中)の構成や説明の組み立てを中心に解説しました。
今回はそれ以前の、集客・導線・事前情報・体験設計といった「面談前」の整備により、受任率と単価を安定させる視点を整理します。

また、本稿は講演商品の内容をすべて書き起こすものではありません。講演商品では、各施策の運用手順や具体テンプレートを体系化していますが、ここでは「考え方の骨格」と「導入しやすいポイント」に留めさせていただきます。

1 なぜ「初回無料相談」は成果が不安定になりやすいのか

初回無料相談がうまく回らない原因は、「面談が下手だから」という単純な話ではありません。無料相談には、構造として成果を不安定にしやすい要因が含まれています。代表的なものは次の4つです。

① 入口の母集団が変わりやすい

無料である以上、比較検討層や情報収集目的の層が一定数混ざります。「いくつか相談してから決める」「まず無料で聞きたい」という層が増え、受任率が下がりやすくなります。

② 相談者のコミットが下がりやすい

有料相談に比べ、資料が揃わない、事実関係が整理できていない、当日キャンセル等が起こりやすい傾向があります。結果として、ヒアリングだけで時間が溶け、「提案」まで到達しないまま終了しがちです。

③ 無料で価値を出しすぎて「相談で満足」されやすい

親切に説明し過ぎるほど、「やり方は分かったので自分でやってみます」となり、受任に至らない局面が生じます。無料相談は「親切であるほど受任しにくい」という逆説が起こり得ます。

④ 価格の予見可能性が低くなり、単価が伸びにくい

相談料無料が最初の基準になると、見積提示の瞬間に温度差が生じやすくなります。
「無料の延長」と受け止められると、適正な費用でも高いと感じられ、単価が上がりにくくなります。

こうした前提に立つと、無料相談の成果を安定させる鍵は、面談当日の話術だけではなく、面談前の段階で「入口・安心材料・事前準備・提案の枠組み」を整えることだと整理できます。

2 「面談前設計」の全体像

面談前の設計は、三つの層に分けて整理すると実務に落とし込みやすくなります。

① 広く届ける

Web・コラム・第三者評価・立地の見せ方などにより、「相談先候補」に入るための設計です。弁護士サービスは依頼前に品質が見えにくいため、相談者の不安を減らす情報設計が重要になります。

② 一人ずつ深める

紹介、交流会、食事会、会食などの対面接点で関係性を作り、「お願いしたい」だけでなく「紹介したい」を生みます。弁護士業務は一回限りで終わる案件も多いため、“紹介したくなる状態”まで到達できると成果が安定しやすくなります。

③ 取りこぼしを減らす

予約導線を標準化し、事前情報を回収して面談の初動を強くします。これは受任率の安定化だけでなく、事務負担の平準化にも直結します。

以降では、この三層を具体化します。

3 広く届ける

広く届ける①:Googleレビューを「不安を減らす参考情報」として運用する

レビューの話題は、弁護士業界の空気感として慎重な意見が強いことも理解しています。ここで大切なのは、レビューを「評価操作」と誤解される運用にしないことです。依頼者は弁護士選びに不安を抱えています。例えば大事な接待のお店選びでは、評価や口コミ数を参考にして失敗確率を下げようとします。弁護士選びでも、同様の心理が働きます。

実務上は、依頼者に心理的負担をかけない設計が重要です。強制感が出ないよう、次の順序で導線を用意します。

① 可能な場合のみ、その場で口コミ依頼(無理に促さない)
②難しければ、後日の口コミを依頼(QRカードを渡すorお礼メールでリンク案内)口頭でお願いする場合も、次のように「任意」を明確にします。
・口頭(相談終盤):本日のご相談のご感想として、差し支えなければGoogleにお寄せいただけますでしょうか。もちろん任意です。
③断られた場合:承知しました。ご無理のない範囲で大丈夫です。

※投稿は任意であり、内容・評価の指定や誘導は行いません。またインセンティブ提供は行いません。

広く届ける②:高単価案件の入口を寄せる「コラムの継続投稿」

入口の母集団を改善するうえで、最も再現性が高いのが「コラムの継続投稿」です。
ポイントは一般的な解説ではなく、高単価層が検索しやすい論点で書くことです。

相続であれば、不動産・共有・事業承継・税務との接点など、資産規模が大きい層が悩みやすいテーマがあります。こうしたテーマを継続的に投稿すると、入口の質が徐々に変わります。レビューやプロフィール等の安心材料と組み合わせることで、比較検討の局面で想起されやすくなり、結果として受任率・単価の安定化につながります。

広く届ける③:体験設計は心理的安全性を確保するための「環境設定」

香り(アロマ)や音(BGM)、照明等は「本質ではない」と受け止められることがあります。しかし、実務上の位置づけは「心理的安全性の確保」です。相談者は緊張し、言いにくい事実(家族関係、財産の実態、対立状況等)を伏せがちです。心理的安全性が担保されるほど、事実聴取の精度が上がり、方針判断の質も上がります。

香りや音は、低コストで即日導入できる手軽な環境設定です。高級内装・移転は中長期の投資として検討すれば足ります。まずは現状でできる範囲(照明・動線・座席配置・香り・音)から整えるのが現実的です。副次効果として、体験の一貫性が印象に残り、比較検討局面で想起されやすくなる点も期待できます。

広く届ける④:出張相談会で「出向いて接点を作る」

立地で勝負しづらい場合、ターゲットの生活圏にこちらから入る手段として出張相談会は有効になり得ます。相続のようにシニア層が中心の場合、駅前よりも徒歩・自転車で来場しやすい近隣型の会場が当たることがあります(ただし地域差があるため、小さく実施して検証するのが安全です)。

運営を外部化する場合は、弁護士としての線引きが重要です。外注は会場手配、告知、印刷・投函、受付等に限定し、法律相談内容への関与や事件の周旋に繋がる態様は避ける必要があります。報酬も固定費を基本とし、紹介数・受任数連動の成功報酬型は避けるのが無難です。表示主体(名義や告知文言)も誤認が生じないように管理します。

4 一人ずつ深める:地上戦は「お願いしたい」と「紹介したい」を同時に作る

弁護士業務では単発で終わる案件も多い一方、紹介が回り始めると成果が安定します。したがって地上戦の目標は「お願いしたい」だけではなく、「紹介したい」を生むことに置くべきです。紹介は紹介者の信用で行われます。そのため、紹介者の不安が解消される設計(説明しやすさ、安心材料、報告の丁寧さ等)が効いてきます。

具体的な場としては、経営者交流会(異業種交流会、BNI、awaka等)、食事会、会食が挙げられます。ただし、食事会戦略には向き不向きがあります。食事が好きでなければ継続が難しい一方で、単価の高い食事会には所得・資産・時間余裕のある方が集まりやすいという特徴があります。

また、これらの場で営業を前面に出すと逆効果になることがあります。趣味や共通点、食事の話を中心に関係性を作り、聞かれたら職業を開示する、という距離感の方が信頼を得やすい傾向があります。関係性が進んだ後、少人数の会食(個室等)で深い話ができる状態になると、紹介が起こりやすくなります。

5 取りこぼしを減らす:予約導線の標準化と事前情報必須化

後半でITツールの話が出ると、「ツールを入れるだけで改善するのか」と違和感を持たれることがあります。ここでの本質は、次の二点です。

① 予約導線の標準化:どの入口(電話・紹介・メール)から来ても、最終的に同じ手順で日程が確定する状態にします。これにより調整コストが減り、機会損失も減ります。リマインド等も自動化されやすく、運用が安定します。
② 事前情報の必須化:無料相談の失注あるあるは「事前情報が足りず、提案がレンジ止まりになる」ことです。そこで、予約時点で必要情報を回収し、面談開始時点で提案できる状態にします。

当事務所では、その具体例としてTimeRexを利用していますが、同種の予約ツールや予約ページでも目的は達成できます。相続であれば、財産内訳(不動産・株・預金)、対立状況、期限、資料の有無等を事前に把握できるだけで、面談の初動が大きく変わります。

※利用ツールのセキュリティ・プライバシー規約/保存・共有設定を確認し、機密性の高い資料は面談時受領とする等、取扱いの使い分けを所内ルールとして整備してください。

6 単価は「準備」だけでは安定しない:料金表の事前開示と段階提案

事前情報が揃うと、相談の流れをシミュレーションでき、提案の精度が上がります。ただし、単価が安定する本質は準備だけではありません。提案設計(商品設計+見積の出し方)が必要です。

具体的には、料金表をHPに掲示し、価格の予見可能性を高めることが有効です。見積提示時の温度差が減りやすくなります。また、無料相談は「状況整理+選択肢提示」までとし、次工程(資料精査・調査→交渉着手→受任)を段階的に提案することで、依頼者は費用を金額ではなく作業と責任の対価として理解しやすくなります。

当事務所では、予約時の入力情報を基に法律相談者リストを作成し、受任・失注・単価等を記録する運用を行っています。測れる状態を作ると改善が回り、無理のない範囲で運用の質を上げやすくなります。

本内容は講演商品(動画・音声)で詳しく解説しています。

本稿では、考え方と一部の実装例に留めました。講演商品では、各施策の具体的な運用(レビュー依頼の設計、相談会の組み立て、紹介導線の作り方、事前情報の設計、単価を安定させる提案の組み立て等)を、実務家目線で体系的に解説しています。ご関心のある先生方は、ぜひ講演商品もあわせてご覧ください。

※本稿の講演商品の発売は2026年3月1日(日)を予定しています。

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