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【税理士向け】中小企業経営強化税制の範囲が拡大!実務ポイントを解説

「中小企業経営強化税制」においては、令和3年度税制改正で新たに「D類型」が設けられ、適用対象資産が広がりました。税額控除または即時償却が選択できることから、中小企業等において設備投資があった際には積極的に利用したい制度です。
一方で類型ごとにスケジュールの制約などもあり、適用漏れには注意が必要です。

1.中小企業経営強化税制の概要

中小企業経営強化税制とは、経営力向上のための設備(A類型からD類型)投資をする中小企業向けの税制優遇の制度です。
特定経営力向上設備等に該当するもののうち、一定の規模以上のものの取得等(※1)をして、その設備等を国内にあるその法人の指定事業の用に供した場合には、供用日を含む事業年度(※2)において、その設備等の普通償却限度額との合計で、その取得価額までの特別償却(即時償却)とその取得価額の7%(※3)の税額控除との選択適用ができます。

※1 取得または製作、もしくは建設
※2 解散(合併による解散を除く)の日を含む事業年度および清算中の各事業年度を除く
※3 特定中小企業者等(資本金または出資金が3,000万円以下の法人、農業協同組合等、商店街振興組合および個人事業者)の場合は10%

対象者

青色申告書を提出する中小企業者または農業協同組合等もしくは商店街振興組合(以下、「中小企業者等」という)で中小企業等経営強化法の経営力向上計画の認定を受けたもの

対象期間

平成29年4月1日から令和7年3月31日まで

対象設備

生産等設備を構成する機械装置、工具、器具備品、建物附属設備およびソフトウェア
生産等設備とは、例えば、製造業を営む法人の工場、小売業を営む法人の店舗または自動車整備業を営む法人の作業場のように、その法人が行う生産活動、販売活動、役務提供活動その他収益を獲得するために行う活動の用に直接供される減価償却資産で構成されるものをいいます。
したがって、例えば、本店、寄宿舎等の建物、事務用器具備品、福利厚生施設等は対象外となります。また一棟の建物が本店用と店舗用に供されている場合など、減価償却資産の一部が法人の生産等活動の用に直接供されているものについては、そのすべてが生産等設備となります。

このとき新品が対象であり、貸付用の設備は対象になりません。また、税制措置の適用を受けるためには、その特定経営力向上設備等が、主務大臣の認定を受けた経営力向上計画(※4)に記載されたものに限られます。
※4 中小企業等経営強化法18条1項の規定による変更の認定があったときは、その変更後のもの

税額控除における控除税額は当期の法人税額の20%を上限とし、控除限度超過額は1年間の繰越ができます。また、特別償却は、償却限度額まで償却費を計上しなかった場合には、その償却不足額を翌事業年度に繰り越すことができます。

税額控除を適用する場合は、
①中小企業投資促進税制
②中小企業経営強化税制
以上2つの税制の控除税額の合計で、当期の法人税額の20%が上限とされる点に留意する必要があります。

2.中小企業経営強化税制のポイント

中小企業経営強化税制の要件や注意点などのポイントをまとめました。

令和3年度税制改正における変更点

  • 経営資源集約化設備(D類型)が対象に追加

要件

  • 中小企業等経営強化法上の経営力向上計画の認定を受けた中小企業者等(かつ中小企業等経営強化法2条6項に規定する特定事業者等 )であること
  • 生産等設備を構成する機械装置、工具、器具備品、建物附属設備およびソフトウェアで一定のもの
  • 特定経営力向上設備等に該当するものであること

類型

A類型:生産性向上設備
B類型:収益力強化設備
C類型:デジタル化設備
D類型:経営資源集約化に資する設備【新】

  • 特定経営力向上設備等が、経営力向上計画(中小企業等経営強化法18条1項の規定による変更の認定があったときは、その変更後のもの)に記載されたものであること
  • 設備等は一定の規模以上のものであること(最低取得価額要件を満たすものであること)
  • 機械装置(160万円以上)
  • 工具(30万円以上)
  • 器具備品(30万円以上)
  • 建物附属設備(60万円以上)
  • ソフトウェア(70万円以上)
  • 指定事業の用に供するものであること

特定事業者については、中小企業等経営強化法2条5項に特定事業者の定義が定められています。

  • 製造業、建設業、運輸業等
  • 常時使用する従業員の数が500人以下の会社および個人
  • 卸売業
  • 常時使用する従業員の数が400人以下の会社および個人
  • 小売業またはサービス業
  • 常時使用する従業員の数が300人以下の会社および個人

このように、業種ごとに従業員数の基準が設けられています。
ただし、中小企業等経営強化法改正前の同法の中小企業者等で改正後の同法の特定事業者等に該当しないものについては、経過措置として、令和5年3月31日までの間は、同法の特定事業者等とみなして、同法の経営力向上に関する規定を適用することとされています(産競法等改正法附則9条2項)。

もっとも税制措置の適用を受けることができるのは、租税特別措置法上の中小企業者等であるため、資本金または出資金の額が1億円以下の法人、従業員数1,000人以下の個人事業者、組合等が対象になります。

実務においてポイントとなる注意点

  • 適用漏れ、適用する際のスケジュール(申請時期等)の制約
  • 主務大臣による認定回数
  • 中小企業投資促進税制との比較

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