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専門家インタビュー

「数字」の先にある「人間」に向き合う|清澄白河会計事務所・遠山高英先生が目指す会計士の姿

1973年生まれ。地銀、IT営業、事業会社経理を経て、2017年に公認会計士試験に合格したのち、2018年に「清澄白河会計事務所」を設立。多彩な実務経験を武器に、地元・江東区の経営者や住民の安心を支える伴走者として尽力している。

地元の銀行員としてキャリアをスタートさせ、一度は「東京の華やかなビジネスの世界」に憧れてIT業界へ。しかし、そこで改めて「会計」という仕事の奥深さに魅了され、公認会計士として独立を果たした遠山先生。豊富な社会人経験があるからこそ語れる、経営者の伴走者としての矜持や、相続に込める温かな想いについて伺いました。

公認会計士になるまでの経緯を教えてください

私のキャリアの原点は、新卒で入行した地元の銀行にあります。漁港が近かったので、特に多かった取引先は市場関係の方々や、夫婦二人三脚で営む小さな会社の社長さんたちでした。冬の寒い日、雪の中をカブに乗って担当エリアを回っていると、「昼寝してけ」って言ってくれるような方たちで、担当を辞める時には餞別で大きな魚をいただいたりして。「お前らサラリーマンは、毎月決まった給料入ってきていいな」みたいに言われることもあったのですが(笑)。
でも、そういった自分の足で立っていて、大げさな言い方かもしれませんが命を懸けて商売をされている方々の「生きた言葉」に触れた経験が、私の働くことへの意識に大きな刺激を与えてくれました 。
 
その後、一度は東京の大手町を闊歩するようなビジネスの世界に憧れ、IT企業へ転職して営業職を経験しました。営業でも成果を出すことはできましたが、どうしても学生時代に一度志した「会計の世界」を諦めきれなかったんです。会社に直訴して経理財務へ異動させてもらい、いきなり子会社3社の経理を一手に引き受けることになりました。会計ソフトの導入から資金繰り、監査法人対応まで、1から10まで手を動かしてやり遂げたことが、大きな自信に繋がりました 。
 
「やはり自分はこの道で生きていきたい」という想いが確信に変わり、本格的に勉強を始めたのは40歳を過ぎてからです。2017年、44歳の時に公認会計士試験に合格し、そこから江東区の監査団での活動などを経て、現在の事務所を開業しました。回り道をしたようにも見えますが、銀行での現場経験と、事業会社での実務経験の両方を持っていることは、現在の私の大きな強みになっています。

現在力を入れている取り組みは何ですか?

現在、特に注力しているのは「相続」です。相続業務に関しては、自身の叔父が亡くなった際の遺産整理を経験したことがきっかけでした。最初は手探りだったので、本を読み漁ったり、税理士会の研修動画を片っ端から見たりしていました。一件ずつ丁寧に対応していく中で、この仕事の重要性を痛感し、非常にやりがいを感じました。現在は、行政書士である妻と共に業務にあたっています。妻は実家がお寺ということもあり、「人の死や想いにどう向き合うか」という視点を大切にしてくれるんです。夫婦で連携して、ご遺族に寄り添ったサポートができる今の体制を非常に有り難く感じています。
 
また、江東区という地域への貢献も注力しているところです。江東区の監査団では理事長を務めていますが、江東区の包括外部監査人や、会計士・税理士会の役員としての活動を通じて、地域の財政や団体を支える役割を担っています。自身も東北から出てきてこの街に根を下ろした一人として、下町情緒あふれる江東区の方々の力になりたいという想いで、無料相談や青色申告会の講師なども積極的に引き受けています。

お客様への対応で意識していることは何ですか?

私が最も意識しているのは、単なる数字の処理ではなく「その数字の裏側にある生活や想い」を想像することです 。例えば相続であれば、「お支払いをしてくださるのは亡くなられた被相続人の方である」という意識を常に持っています。その方がどのような思いでその財産を築き、次世代に何を託したかったのか。ご家族との会話の中から故人を偲ぶきっかけを作り、その想いを形にするお手伝いをしたいと考えています 。
 
経営者の方に対しては、一方的な「提案」よりも「壁打ち相手」になることを重視しています。経営者の方は、実は心の中に答えを持っていることが多いものです。しかし、それが言語化できていなかったり、確信が持てなかったりする場合もあります。だから対話を通じて、頭の中を整理し、進むべき方向をクリアにする。お客様が「やっぱりこれでいこう」と自信を持って決断できるような安心感を提供することが、私の役割だと思っています。
 
銀行員時代の経験から、どんな方とも飾らずにお話しすることを心がけています。会社員同士の「空中戦」のような会話ではなく、一人ひとりの人間として誠実に向き合うこと。それが、信頼関係を築く第一歩だと信じています。

お客様との印象的なエピソードはありますか?

開業して最初にお取引いただいた、江東区のある会社さんとのエピソードが深く心に残っています 。そのお客様は以前の税理士さんに不満をお持ちで、私のところへ相談に来られました。
費用を抑えたいというご要望があったので、私はあえて「費用を抑えたいなら、自分たちで帳簿をつけてください」と提案し、クラウド会計ソフトを導入していただきました 。最初は使い方がわからず、夜中に「ボタンがどこにあるかわからない!」とお電話をいただくこともありましたが(笑)、根気強くサポートを続けました。
すると、ご自身で数字を入力し、通帳を確認するうちに、社長さんたちが自社の状態をリアルに把握できるようになっていったんです。そこから「利益を出すためには単価をいくらに設定すべきか」といった、より戦略的な話を一緒にできるようになりました。その結果、今では会社が非常に調子よく、ずっと黒字を継続されています。
 
年末に「感謝の気持ちです」と立派な牛肉を贈ってくださったり、街のスーパーで偶然お会いして挨拶を交わしたり。そんな、プロフェッショナルとしての伴走者でありながら、地域の一員として地続きで繋がっているような関係性に、この仕事の本当の喜びを感じます。

これから挑戦してみたいことはありますか?

私の中に常にあるテーマは「挑戦と変化」です。どんなに小さなことでも、昨日より今日、今年より来年と、やり方を改善し、進化させていきたいと考えています。
たとえば、直近では年末調整の業務フローをより効率的なものに見直そうと計画しています。目の前の業務に忙殺されるのではなく、常に「もっと良い方法はないか」と問い続ける姿勢を忘れたくありません。
 
チャンスというものは、いつも「ふわっと」やってくるものだと感じています。誰かから「こんなことをやってみないか」と声をかけていただいた時、迷わず「はい」と手を挙げられる自分でありたい。具体的な大きな野望を掲げるというよりは、一つひとつのご縁に対して、走りながら考え、全力で応えていく。その積み重ねの先に、まだ見ぬ新しい事務所の形があるのではないかとワクワクしています。

独立開業を目指している人へのメッセージをお願いします

「少しでもやりたいと思っているなら、とりあえずやってみる」ことに尽きると思います。私自身、44歳での合格と独立でしたが、決して遅すぎることはありませんでした。
多くの人は「失敗したらどうしよう」と躊躇しますが、会計の世界で資格を持っていれば、死ぬ気で探せば仕事はいくらでもあります。もし上手くいかなかったら、また引き返してやり直せばいいだけのことです。
一番もったいないのは、迷っている時間です。やってみて「これは自分に合わないな」と分かることも、立派な収穫ですよね。走りながら考えていけば、自ずと「自分たちの事務所はこうあるべきだ」という形が見えてきます。やらない後悔よりも、やった後悔。いや、本気で取り組めば、それは後悔ではなく必ず次への納得感に繋がります。ぜひ、自分の可能性を信じて一歩踏み出してみていただきたいです。
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