あずさ監査法人(現有限責任あずさ監査法人)、株式会社パートナーズ・コンサルティング、あがたグローバルコンサルティング株式会社を経て、2016年1月アヴァンセコンサルティング株式会社設立。上場企業等の会計相談、決算コンサルティング業務のほか、M&A・事業再生に関する財務デューデリジェンス業務等に従事。
今回は、上場企業等を中心に会計コンサルティングを行っている公認会計士・税理士の野村先生にお話を伺いました。企業サポートに特化したいと考えている会計士さんや会計士を目指している方は、監査法人からキャリアをスタートし、企業をサポートするコンサルティング業務に舵を切った野村先生のお話をぜひ参考にしてください。
大学3年の終わりぐらいに、進路を考えなくてはいけないという時に、何か資格を取った方がいいんだろうなと考えました。司法試験はハードルが高いように思い、公認会計士を目指したというのがスタートです。大学3年の終わりぐらいから勉強をはじめ、大学を卒業した年に1回目の試験を受けたのですが、不合格でした。1年浪人して、次の年の試験に合格しました。
漠然と会計士になると、監査の仕事がメインだという認識はありましたので、監査法人に入って監査をやると将来を思い描いていました。
勉強は大変でしたが、両親のサポートもあり、とてもありがたかったですね。
当時は2次試験の合格発表前に、監査法人の就職説明会や面談があり、何社か回り、無事合格することができたため、朝日監査法人(現 有限責任あずさ監査法人)に入社しました。
その後、監査部門のマネージャーまで、監査法人で勤めていました。ただ、ポジションが上がるとともに非常に多忙になり、業務も監査法人としての意見を固めて会社にお伝えするということが多くなってきました。そうした中で、監査ではなく、もっと企業に寄り添った仕事をしたいという思いを持つようになりました。
そこで、入社から9年目で、独立系のコンサルティング会社に転職しました。そこでは、企業の会計の相談やM&Aの財務調査にかかわったり、株価算定をしたり、内部統制(J-SOX)の資料を作るといった業務に従事しました。この会社に2年ほどいまして、その後あがたグローバル税理士法人に転職しました。ここでも、税務をやっていたわけではなくて、同じグループのあがたグローバルコンサルティングでコンサルティング業務を行っていました。そこに6年くらい勤めました。その後、あずさ監査法人時代の同期と2人で今の会社を作りました。
コンサルティング業務に関わるようになり、企業側に立って色々アドバイスしたり、色々やって喜んでいただけるというのが非常にやりがいになりました。
コンサルティングというのは、業務の幅が広く、さらにどんどん新しいことが増えていきます。監査法人時代から行っていた財務調査だけでなく、国際財務報告基準(IFRS)とか、IPOとか、MBOとか、事業再生とか、本当にありとあらゆるニーズがあります。そのたびに今までの知識を生かしながら、また新たに勉強もして、アドバイスしていく必要があり、これが本当に大変です。
監査法人時代の監査先だった会社など、長い間お付き合いさせていただいている会社を基礎にしていますが、新しいお客様については、ほぼご紹介です。
ありがたいことに、色んな所のご縁がつながり、「今、こんなことで困ってるから、できる?」という依頼が集まってきます。そういうお付き合いは本当に大切にしています。
紹介できたお客様と長いお付き合いを構築するためには、コミュニケーションが重要だと思っています。忘れられないぐらいの頻度で会うようにしています。何か困りごとがあった時に、我々を思い出していただけるような距離感にいることが大事だと思っています。
ここ数年で、監査役への就任要請が増えました。
上場会社や上場を目指す企業では、社外の非常勤監査役が必要です。この監査役になってほしいというニーズが結構ありまして、ここ数年、依頼の話が来ています。また、非営利法人(学校法人、社会福祉法人、地方公共団体の包括外部監査人)などの監査人をお願いされることも増えてきました。監査法人では対応していない監査業務の依頼や、監査役という役職への就任ニーズが増えているということです。
やっぱり「監査」は、公認会計士として一番重要なお仕事ですし、今までのコンサルでの経験・知識を活用しながら携わるというのは、非常にありがたいことだと思っています。
会計は先ほどお話したように、税効果・退職給付会計などのもともと難しい会計基準だけでなく、IFRSや米国基準等も採用している企業もあり、複雑です。同様に税務も、税制改正における変更やインボイス制度のような新制度の導入などがあり、非常に複雑化しています。個人的には、税務と会計を第一線で両方ちゃんと行うことができる人というのはほとんどいないのではないかと考えています。
勿論、業務バランスや組織での対応で両方を行っている方は多数いらっしゃいます。
私としては、ある程度どちらかに特化して企業ニーズに応えていく方がよいのではないかと考えています。
我々はやっぱり会計をずっと仕事にしてきた人間です。何か会計に困った時に一番お役立ちできる存在でいたいと思っています。
私は、大手の監査法人に在籍していた9年で、日本を代表する企業だったり、割と小さい企業だったり様々な企業の監査業務に従事しました。今から思うと、このことが本当に財産になっていると感じています。
会計士を目指すのであれば、監査法人でしっかりと経験を積むのがいいと考えています。基礎がしっかりできてさえいれば、応用業務はいかように対応できると思います。
また、会計士の中には、独立するなら地方公共団体など地域に貢献したいと考える方も少なくないと思います。地域に関わる仕事は公認会計士協会の地区会などにちゃんと参加していると、チャンスが与えられることが多いように思います。自分達のテリトリーだけでなく、いろんなところに出ていくことがチャンスにつながります。コミュニケーションを大事にすることが重要だと思います。