明治大学卒業後、IT企業へ入社。約2年勤務。退職後アルバイトをしながら税理士試験にチャレンジ、合格後会計事務所へ勤務。約2年勤務後の平成12年3月に独立。
「会計事務所は会社の応援団」として質の高い「本気のお付き合い」をすることに重点を置き、事例を交えた具体的な改善案や、価値の高い情報やアドバイスを惜しみなく提供。
今回は、日本決算書すっきりアドバイザー協会の会員である荒尾先生に事務所運営で大切にしていることを中心に様々なお話を伺いました。
大学生の時に、日商簿記1級を受けるために大原簿記学校に通っていたのですが、そこで公認会計士を目指す友人と出会いました。彼の目標に触発されて、私も「税理士」を目指すようになりました。
両親は会社員として企業に勤めてほしいと思っていたようで、大反対されました。そこで、2年間、コンピューター関連の会社に勤め、自分でお金を貯めて、税理士試験合格を目指しました。
ただ、なかなか試験に受からず、腐っていた時代があるのですが、応援してくれる友人を思い出して、気持ちを切り替え、合格することができました。28歳の時のことです。
合格後、2年間、会計事務所で経験を積んで、仕事に自信が付いたところで、独立して開業いたしました。
当時、仕事ができれば、仕事が来る、と思っておりました。そう思ったからこその独立だったのですが、それは大きな勘違いでした。
仕事ができるだけでは、仕事は来ません。仕事は「信頼関係」、あるいは「信頼してみようと思う何か」があってこそ、初めていただけます。そのことに気づくのに数年かかりました。
前の事務所には2年しかいませんでしたので、当然、お客様を増やすための営業手法も知らず、最初の数年は本当に苦労しました。
「信頼」と「働きかけ」が重要と気付いてからは、人からの紹介や税理士仲間との勉強会で研鑽を積み、情報発信や営業も少しずつ行っていきました。
「関係構築」を意識するようになると、会社員として働いた経験、経営者として資金繰りや営業に苦しんだ経験が噛み合い、IT企業を中心に顧問先も増えていきました。自分も苦しんだので、社長の気持ちがよく分かるというのが強みになったのだと思います。
ある程度顧問先が増えてからは、仕事を絞る方向にシフトしています。記帳代行も行ってはいますが、経営にまで入ってサポートをすることを前提にしています。
年商規模の大きなお客様に高度な経営支援を行うことで、顧問料を引き上げ、少ない顧問先数でもやっていける体制を作っています。
現在は法人、個人あわせて20ほどのお客様の顧問をしています。
自分のターゲットとする年商規模でないお客様は後輩に紹介するようにして、時間的な余裕を作っています。また、その時間をより高度な経営支援のための知識やノウハウを取得することに使っています。
様々な社長と話してきて思うのが、社長は細かい数字を求めていないということです。決算すっきりシートは、試算表や分析シートから情報を絞って、必要なものをA4サイズにまとめるので、非常に分かりやすく、決算書説明の最後のまとめとして重宝しています。
また、すっきりシートは6年分の数字を入力します。6年の数字と指標の動きは会社の歴史そのものであり、なぜ数字が動いたかというお話をすると、過去の経営判断が紐解かれて話が非常にはずみます。コミュニケーションツールとしても優れていると思っています。
受かるまで苦労したということは前述しましたが、実際には試験に受かるまで4~5年かかっています。合格科目は法人税、住民税、消費税です。この中では、消費税が一番時間がかかりました。
私の持論ですが、税理士試験は能力でなく、「方向性のある努力」をできるかどうかです。
受験できつい人もいると思いますが、目標をしっかり見定めて、、あきらめずにコツコツとやることが大事です。
私も友人など、周りの人の応援には非常に助けられたので、苦しいときは周りの人の応援を思い出してみてください。
徐々に若い会計人にバトンタッチしていきたいという考えがあり、承継に関しても、いずれやる気のある若い税理士にお声がけしたいとは思っています。
ただ私自身、今の仕事が好きですので、少なくとも5,6年は今のお客様を最優先にしてサポートしていきたいと考えています。