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【税理士向け】経済的利益とは | 会社・役員間において問題となる課税関係

経済的利益とは

経済的利益とは、直接の金銭等のやり取りが無い場合において得た利益であるといえます。
課税庁は、債務の免除なども経済的利益といっていますが、果たして債務の免除すべてが経済的利益になるのでしょうか。社員旅行における経済的利益の考え方がありますが、一人当たり会社負担三十万円の社員旅行が経済的利益として課税されるのでしょうか。

経済的利益は金銭以外の利益享受であるので、そのことに対して税を課するためには、それだけの税を払うとするような金銭と同じ価値をどこに見出すかということではないでしょうか。金銭であれば、貰った金銭から税を払うことは何ら問題ないものと考えられます。
言い換えれば、単に本来であれば出来得ないようなことしてもらう、例えば海外旅行などを会社から提供されても、そもそも自身の体での享受に対して税金という金銭を払うのですから、そこにはよほどの利益享受というものを見出すことが必要ではないかと思うのです。

また、通常企業において働いていることによる福利厚生としての恩典ともなるのですから、よほどの利益享受でないと自らの懐からの金銭出費としての税の納付の意義が損なわれるような気もします。心底、享受した者が本当に儲かったと思えることが必要だと思うのは、ここなのです。

所得の意義は、可処分性にあります。使途を決められた所得などはあり得ません。所得税を課す意義はそこにしかありませんから、その意義を損なわれるような課税が生じることは無いと思うのです。また、幾らなら良くて、幾らなら課税とするような基準を設けるようなこともあってはならないと考えられます。会社の規模や業種、社会的な立場なども影響するでしょう。そういうことを総合して考慮することも必要であるのに、そこまで考えていません。ただ、課税庁がそう考えたとしても、納税者側での正当な理論に拠る反論が出来れば必ず対応できるのに、納税者側の代理人である税理士にそれができなということにも大きな問題があると思うのです。いずれにしても、不必要な役務提供や物品の享受などは可処分性が有りませんから課税すべきではないのです。

課税されることが最初からわかっているなら、最初からそのような役務提供や物品享受などは拒否するでしょう。経済的利益への課税が、「お金を貰って旅行に行く、物を買う」という屁理屈にもならないような課税の理屈を根本から改めないと、経済的利益というようなある意味不当な課税は無くならないようにも思いますし、もう少し税理士がきちんと法理論を展開できるようにならなければならないと考えます。

経済的利益の額

では、仮に経済的利益と認定された場合、どのような金額で課税するのでしょうか。課税の方式としては社員であれば単に給与課税、役員であれば給与課税に併せて法人税課税が生じます。
例えば、通常取引小売価額十万円の鞄を社員に成績優秀による顕彰の意味で支給すれば、十万円の賞与になるといわれていますが、本当にそうでしょうか。この場合、鞄を販売している会社であるとすれば、その鞄の仕入価額としての六万円(仮定)が経済的利益の価額で問題は無いでしょうし、そうではなくて鞄販売会社以外の業種の会社では、通常鞄を小売店で買って支給すると考えられますから、その時の経済的利益の額は、十万円となるでしょう。
経済的利益の額というのは、その時々の事情や支給形態、支給事由によって変わるのであり、決し一律ではないことに留意することが必要でしょう。
また、特定の社員だけを対象に飲食供応すれば、全額が給与課税されます。 それが飲食業であれば、仕入原価を経済的利益、飲食業以外の業種であれば、実際に飲食店に支払った価額を経済的利益の価額とするべきであると考えます。
さらに、個人間での例えば土地などの低額譲渡をした場合の時価の算定について、画一的な評価はすべきではなく、時価とは、当事者同士での交渉や目的などを考慮して決定するものであり、基本的には時価との差額としての低額譲渡などは生じないものと考えられます。低額かどうかを判断するのは、取引事情に拠るので、当事者双方の取引事由も異なりますから、それら取引事由を調整した価額をもって譲渡するのですから、単純に路線価などをもってきて、それらとの差額を経済的利益として認定することは取引自体を阻害するものであり、そこに租税回避の意図が無い限り、税法と言えど否定することはできないのではないでしょうか。

役員と会社間での取引行為に関わる価額の決定としての「時価」

時価とは算定するものではありません。それが低いと思おうが高いと思おうが、当事者間での取引価額が時価として認識されるべきものであり、税法が一方的に決めつけるものではありません。役員と会社間取引も同じ考え方です。

役員の場合、同じ行為をしても社員との利益享受金額の差が問題となることがあります。また、時価よりも著しく低いなどというような不確定概念のようなものもあります。しかし、この「著しく低い」というのは、一体どのような価額と比較するのでしょうか。物の価額などは統一されていません。企業が価格統一すると、公正取引違反などとされるように、親会社同士が価格協定などすることは許されません。
税の世界では何故一律を必要とするのか。私は必要だとは思いません。時価とは、当事者がそれぞれの取引事情などを考慮しながら一致させた金額ですから、そこに対して国が首を突っ込むなどということは到底許されないのではないでしょうか。
国が時価を云々する理由は、そこに租税回避行為が存在するのではないかということです。そうすると、租税回避行為を壮麗せず、正当な取引事由があれば、問題は無いのです。
時価とは、取引当事者がそれぞれの取引事由を調整したうえで合意形成された価額であり、そこに租税回避の意図が無いという場合に生じる価額です。もし、それが可笑しいというなら、国側が価額を決めて処分すれば良いのです。ただ、可笑しいという理由は、法人税法その他の税法には一切存在しません。言い換えれば、可笑しいという理由で更正処分は出来ない訳ですし、根拠が言えないから可笑しいとしかいえないということを理解しなければなりません。
しかし、税理士がそのような反証をすることができないから、事はややこしくなる訳です。経済的利益課税が適正に行われるためには、そもそも税理士自身がもう少し法に対する理解を深め、不確定概念に対しては断固として修正しないことを徹底すべきだと考えています。

所得の可処分性

会社の資金事情が厳しいときに、金銭支給に代えて、商品等で支給する代物弁済という行為がありますが、これは給与であるとされています。例えば、代わりにテレビを貰うというようなケースの場合、それが欲しいのであれば課税は理解できます。また、本当は冷蔵庫が欲しいという場合に、テレビか冷蔵庫を選べるなら給与課税は理解できます。ただ、選べないようなケースで、そのものを不要とするなら、課税はすべきではないと思うのです。押し付けられた課税は、可処分所得の本旨を外れますから、それら代物弁済に対する課税はすべきではありません。何故なら、儲けではない、言い換えれば経済的利益ではないからです。
所得という定義は税法にはありません。しかし、通常一般的に考えれば、儲けですし、その儲けは取得者自身が自由に使えるものでなければなりません。上記のように、不要なものを貰って、何をもって儲けと言えるのでしょうか。このような課税自体、取り消されるべきものです。給与は、労働の代償として会社から貰うものです。そうして、税金や保険料などを差し引いた残りはすべて可処分性があるので、自由に使えることが前提です。そうすると、自由に使えないお金に税を課すなどという行為は成立しないはずなのです。残念ながら、このような主張をされる税理士はほとんどいません。しかし、可処分所得自体を真剣に考えるのであれば、底に落ち着くはずなのですが。

社員と役員の差が何故生まれるのか

社員と役員の経済敵利益に対する金額差を疑問視されることがありますが、役員と社員をそもそも同列で考えることの方が問題あるように思えます。これは、例えば人間ドッグ費用が役員は1回100万円、社員は1回5万円とされた場合、役員が高すぎるとの指摘を受けます。しかし、あくまでも指摘であり、本当に可笑しいのであれば税務署側が正しい金額を説明しなければならないはずなのですが、ここで慌ててしまう税理士は、無視すれば良いのですが、無視できない。ここは明らかに説明できない税理士の責任でしょう。
役員の責任や義務は会社法において定められており、損害賠償責任まで負わされることもあります。しかし、社員には、そこまでの明確な責任や義務はありません。そもそも立場や役割も違うのですから、役員が高い利益享受を受けるのは当然です。このような明確な説明をするのも税理士の役割であります。適切な説明が出来れば、不本意な課税関係は生じません。また、社員間同士でも、社員の会社での貢献度や能力その他が異なれば、給料に差が付くのと同じで、このような福利厚生費自体にも個々に差が付くのは当然ではないでしょうか。役員と社員間でも、役員の方が給料も高い、貢献度も高いなどを見比べると、自ずと何が正しいかが理解できるはずです。

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