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税理士事務所・会計事務所の労務問題は深刻!トラブルを避ける基礎知識

「問題のある職員がいるのだけれど・・・」というような相談が後を絶えません。
税理士事務所・会計事務所の職員は法律に詳しい方であることも多く、最初のボタンをかけ間違えてしまうと後々長く引きずるトラブルに・・・。

税理士事務所・会計事務所でよくある労務問題

2020年4月から3年となった賃金の時効延長。そこからの「残業不払い問題」の大きなコストリスク対応が喫緊の課題になっています。また2022年4月から規模にかかわらず全事業所が対象となった「パワハラ防止法」をクリアするような整備や、その他パート職員の社会保険の改正の対応など、保険関係も早急な整備が必要です。

このような労務問題にまだまだ向き合えていない税理士事務所、会計事務所が非常に多く見受けられます。この記事では主に問題職員への対応方法と残業代不払いのリスクに対して、基本的な知識と具体的な対応、対策に関してお伝えしていきます。

問題のある職員への対策

問題職員のタイプ

一口に「問題職員」といっても、それぞれタイプがあります。多くは下記のどれか、もしくは複数に当てはまるのではないでしょうか。

1「指示に従わない」
2「事務所批判をする」
3「権利主張ばかりで義務を果たさない」
4「協調性がない」
5「勤怠に問題がある」
6「能力不足」

どれも困った職員です。悩んでいる税理士事務所・会計事務所の方も多いのではないでしょうか。周りで頑張っている他の職員の方々も疲弊してしまい、組織にとってはやはり解決していかなければいけない大きな課題です。

まずはどのような手順で問題を解決にもっていけばよいでしょうか。具体的な対応方法を見ていきましょう。

対応方法

実際に「うちの○○職員が事務所批判ばかりする問題職員なんですよ。どうしたらいいでしょうか」とご相談を受けたとき、私はまず「いつ注意や指導をしましたか?」ということを聞きます。
すると「いや、普段から困っているけれど、はっきりと指導などはできていなくて」と、意外と注意や指導ができていないということが多くあります。

一番先にやるべきことは「注意・指導」です。パワハラになってはいけませんが、事務所の和を乱し、貢献どころか課題となってしまう社員には、改善要求をしないといけないのです。
業務上の横領や大きな犯罪で逮捕された場合など以外、上記の1~5の「指示に従わない」「事務所批判をする」「権利主張ばかりで義務を果たさない」「協調性がない」「勤怠に問題がある」などで、事務所を辞めさせることはできません。これらの理由でいきなり「契約解除」などしたら、今度は「不当解雇」となり、また問題を大きくしてしまうことでしょう。このような問題職員に最初に行なうべきことは「注意・指導」なのです。

そして大事なのはそこから段階を経ていく、ということ。いきなりの重い懲戒は先ほど触れたように「不当」となる可能性が高いですが、最初に「注意・指導」そして改善要求をしたにもかかわらず、繰り返す場合はより重い懲戒へ、としていくことができるようになります。この段階的な制裁の過程が非常に重要なのです。

この「注意・指導」を堂々と自信を持って明確にできるためには、貴事務所の「就業規則」に上記の1~5のようなケースの内容に関する記載をしっかり盛り込んでおく必要があります。ぜひ、貴所の就業規則に対応できる条文があるかどうかをチェックしてみましょう。

また注意・指導の仕方は「人間性への批判」にならずに「事実の指摘」にすることもとても大事なポイントです。「やる気がない」「意識が低い」などを批判しても抽象的・主観的なために感情を逆なでするだけで問題解決に至りません。
「遅刻や提出物の遅れがこれだけあった」「所内での振る舞いでこのような言動があった」であったら、具体的・客観的になり、その内容が就業規則に記載されているものであれば、第三者が聞いても懲戒は相当であると認められることでしょう。

さて、上記の問題職員のパターンの最後、「6.能力不足」のケースは少し別で考える必要があります。服務は守り態度も良ければ、どんなに仕事ができなくとも懲戒はできません。しかし、このまま仕事があまりにもできないと困る・・・という悩みも当然です。
この場合、有効になってくるのは「評価」です。

評価制度を整備し、必要な能力を明確化し、毎期の評価でそれを実施していく。そこからの指導・教育を実施していき、引き上がらない場合には給与や賞与などの処遇において、他の職員との差をつけていく必要があります。もちろん、能力不足と思われていた職員が、体系立てた評価制度によって能力が上がってくることも大いに期待できます。

残業代の不払い問題に発展させないための対策

残業代の不払いが起きる主な原因

賃金不払いに関する時効は2020年4月から3年となっています。すでに今訴えられたら3年分の支払いが必要になってくる可能性があるということです。非常に大きなコストリスクなのですが、悪意はなく知識不足のために不払い状態になっていることが結構見受けられます。

その多くは本来支払わなくてはいけなかった「残業代の不払い」。例えば下記のようなケースで残業代が不払い状態になっているのです。

  • 本来の労働時間の計算ではなく、独自の時間管理をしてしまっている。
  • 割増賃金の計算が正しく行われていない
  • 管理職や年俸制を理由として残業と扱っていない

気をつけるべきは、気づいていない、もしくはグレーだけど多分大丈夫ではないか、と思っているのは事務所の経営者、管理者側だけだということ。労働者側の職員は知識があり、不満に思っているけれども言い出せない、というような状態であることが多いのです。

職員にとっては非常に大事な生活のための給料の一部。その知識も経営者、管理者よりも詳しく、それが支払われていないというのは切実な問題です。
事務所で働いているときには、仕方ないと思いつつ言い出せないでいても、事務所を辞める退職時や退職後に請求してくるケースが、実際に本当に多くあるのです。

残業代の不払いが起きるよくあるパターン

不払いが起きるパターンとしては、具体的には以下のようなケースがあります。

  • サービス残業
  • 名ばかり管理職
  • 時間外労働の知識不足

それぞれみていきましょう。

サービス残業問題

まずは「サービス残業」の問題です。残業時間を減らすために、タイムカードや勤怠システムで退勤を打刻後、そのまま残務をしてしまっているというケース、いわゆる「サービス残業」です。
退勤の記録が残っているし、実際に仕事をするかしないかは本人が勝手にやっているから支払わなくてもよいのではないか、と思われている方もいるかもしれません。しかし、揉め事になったらほぼ100%、ある程度支払う命令が出てきます。事務所内で業務を行っていたら、それは打刻後であっても労働時間となります。

業務命令ではなく、自身の研鑽のために自主的にやっていた、といっても、業務に関連する事であれば、多くが労働時間とみなされます。(自分の勉強でやらせてください、と言っていても退職後に請求してくるケースもたくさんあります)
「自分が押した打刻で記録が残っているのではないか」と思われるかもしれませんが、実態として労働していたのなら払いなさい、ということなのです。

事務所のタイムカードや勤怠システムの記録とは別に、

  • 建物の入退室の記録
  • 使用しているPCの起動している時間
  • 本人の帰宅時間
  • 本人の日記などの記録

などで、実際の労働時間の証明や主張が認められます。
実態の労働時間は事業所の記録と異なるという判断が下され、サービス残業分の支払いが発生するのです。
このようにならないためにも、サービス残業は禁止、勤務時間の中で仕事を進めるように指導するとともに、もし必要な残業であれば申請制とするなど、メリハリのある労務管理が必要になってきます。サービス残業が常態化している事務所では、打刻してから自分のペースで業務をしよう、という風潮が見られ、必要以上に時間をかけてだらだらと職場にいるというような状態になることが多いので、これを改善していきましょう。

名ばかり管理職問題

これも多い「名ばかり管理職」問題。よく「課長になったので残業代は無しになった」というようなことも聞かれます。管理職として残業代が発生しないかどうかは、事務所における肩書で決まるのではなく、これも「実態」で判断されます。
残業や休日などの割増での支払いがない「管理職」というのは、労働基準法第41条第2号に規定された経営と一体となっている「管理監督者」のことであり、これに合致していない場合は、どんなに事務所内で管理者だといっても、認められないのです。

  • 本来の労働時間の計算ではなく、独自の時間管理をしてしまっている。
  • 割増賃金の計算が正しく行われていない
  • 管理職や年俸制を理由として残業と扱っていない

気をつけるべきは、気づいていない、もしくはグレーだけど多分大丈夫ではないか、と思っているのは事務所の経営者、管理者側だけだということ。労働者側の職員は知識があり、不満に思っているけれども言い出せない、というような状態であることが多いのです。

職員にとっては非常に大事な生活のための給料の一部。その知識も経営者、管理者よりも詳しく、それが支払われていないというのは切実な問題です。
事務所で働いているときには、仕方ないと思いつつ言い出せないでいても、事務所を辞める退職時や退職後に請求してくるケースが、実際に本当に多くあるのです。

残業代の不払いが起きるよくあるパターン

不払いが起きるパターンとしては、具体的には以下のようなケースがあります。

  • サービス残業
  • 名ばかり管理職
  • 時間外労働の知識不足

それぞれみていきましょう。

サービス残業問題

まずは「サービス残業」の問題です。残業時間を減らすために、タイムカードや勤怠システムで退勤を打刻後、そのまま残務をしてしまっているというケース、いわゆる「サービス残業」です。
退勤の記録が残っているし、実際に仕事をするかしないかは本人が勝手にやっているから支払わなくてもよいのではないか、と思われている方もいるかもしれません。しかし、揉め事になったらほぼ100%、ある程度支払う命令が出てきます。事務所内で業務を行っていたら、それは打刻後であっても労働時間となります。

業務命令ではなく、自身の研鑽のために自主的にやっていた、といっても、業務に関連する事であれば、多くが労働時間とみなされます。(自分の勉強でやらせてください、と言っていても退職後に請求してくるケースもたくさんあります)
「自分が押した打刻で記録が残っているのではないか」と思われるかもしれませんが、実態として労働していたのなら払いなさい、ということなのです。

事務所のタイムカードや勤怠システムの記録とは別に、

  • 建物の入退室の記録
  • 使用しているPCの起動している時間
  • 本人の帰宅時間
  • 本人の日記などの記録

などで、実際の労働時間の証明や主張が認められます。
実態の労働時間は事業所の記録と異なるという判断が下され、サービス残業分の支払いが発生するのです。
このようにならないためにも、サービス残業は禁止、勤務時間の中で仕事を進めるように指導するとともに、もし必要な残業であれば申請制とするなど、メリハリのある労務管理が必要になってきます。サービス残業が常態化している事務所では、打刻してから自分のペースで業務をしよう、という風潮が見られ、必要以上に時間をかけてだらだらと職場にいるというような状態になることが多いので、これを改善していきましょう。

名ばかり管理職問題

これも多い「名ばかり管理職」問題。よく「課長になったので残業代は無しになった」というようなことも聞かれます。管理職として残業代が発生しないかどうかは、事務所における肩書で決まるのではなく、これも「実態」で判断されます。
残業や休日などの割増での支払いがない「管理職」というのは、労働基準法第41条第2号に規定された経営と一体となっている「管理監督者」のことであり、これに合致していない場合は、どんなに事務所内で管理者だといっても、認められないのです。

  • 企業運営における意思決定に関与できる
  • ⼈事権など企業運営における権限を持っている
  • 勤務に関しての裁量がある
  • 相応の報酬となっている

特に4番目の実際の報酬、給与額がその他の労働者と比べてそんなに変わらないという場合は認められないケースが多くあります。(他よりも見極められやすい)
また「名ばかり管理職」というのは、「0⇔100」のリスクということをよくお伝えしています。
もし管理職と認められなかったら、給与額全てを計算基礎として、1分超えたところから残業代の支払いが3年分かかるということです。

例:給与40万の課長 毎月の残業が30時間程度 月の所定労働時間は168時間
40万÷168時間=時給2,381円
2,381円×1.25=残業時間単価2,977円
2,977円×30時間=毎月の不払い残業代89,310円
89,310円×3年(36か月)=3,215,160円

管理監督者として認められれば、不払い残業代はゼロ円ですが、認められなければ一気にこの金額の支払いが必要になります。これが「名ばかり管理職」のコストリスクなのです。上記は1名分の計算ですが、同様な「名ばかり管理職」が複数名いたらかなりの金額になることでしょう。実際に今現在、このような「名ばかり管理職」がいませんでしょうか?

このようにならないためにも、前述した「管理監督者」に当てはまる対象者のみを、残業時間や休日の対象から外すという適切な労務管理をし、その他に関しては、肩書は課長などを設定しても、他の職員と同様の時間外計算や適切な固定時間外設定などをしていく必要があります。

時間外労働の知識不足

法律で残業代の支払いが必要な時間についての知識不足から、まったく悪意はなくとも不払い状態にあるというケースもとても多くあります。賃金台帳などを見せていただいた場合、100%適切に時間外労働分の計算がされているケースの方が少なく、多くの税理士事務所・会計事務所にて不払い状態になっていることがあります。

例えば、下記の穴埋めに対して、パッとすぐに回答できるでしょうか。

  • 法定労働時間は1日「 A 」時間、1週「 B 」時間。
  • 深夜時間は「 C 」時から「 D 」時まで
  • 割増は法定時間外が「 E 」%、深夜が「 F 」%、休日が「 G 」%
  • 月60時間を超える時間外は超えた分から「 H 」%

(回答はA=8、B=40、C=22時、D=翌5時、E=25、F=25、G=35、H=50)

これらの設定ができていなく、不払いが発生していることがあります。その他、週の起算日を設定せずに連続出勤、休日出勤には代休を当て割増は払っていない、月をまたいでの計算をしていない、などから本来支払わなければいけない時間外手当を支払えていないケースも多く見受けられます。
また、タイムカードや勤怠システムで15分単位や30分単位で「まるめる」場合も多いと思われますが、これも不払いの大きな要因です。実際に働いた十数分の労働時間を1日単位でカットしている場合は、不払いになっている可能性が高いです。

ニュースなどで知名度の高い企業が取り上げられ、1分単位で支払うようにという裁判例など定期的に流れてきます。労働者である職員の方々はこれらのニュースをほぼ知っているでしょう。どこかで改善が必要な労務問題なのです。

コストだけでなく、事務所イメージのダウンにもつながるものですので、どこかのタイミングで適切な時間外労働の知識を身につけ、適切な勤怠管理体制が取れるようにしていきましょう。

おわりに

最後までお読みいただきありがとうございました。
労働力減少、人手不足が進む中、いまや完全に求職者が事務所を「選ぶ」時代になっています。「とにかくすぐ働けるという経験者を雇った」ということからくる問題社員の対応が増えてくるのは致し方ないことでしょう。その際の対応を間違えないようにしなくてはいけません。
また、より採用と定着を図っていくためにも、「不払い残業」や「名ばかり管理職」のある事務所ではなく、より適切な整備をして「選ばれる」事務所になる必要もあります。
「労働問題」は非常に重要な「経営問題」です。この記事をきっかけに、ぜひ今からリスクを軽減し選ばれる側の事務所を目指していただければと思っております。

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