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【弁護士向け】相続が「争族」になりやすい遺産分割のケースや原因

争族・争続とは

亡くなった方が遺した財産を引き継ぐ「相続」ですが、場合によっては「家族同士の争い」・「相続人同士の争い」が引き起こされることから、「争族・争続」と表現されることがあります。
遺産の大小に関係なく、相続をめぐる争いはどの親族間でも起きてしまう可能性があります。相続発生をきっかけとして、疎遠だった親族間のやり取りが始まり、被相続人の残した財産をどう分けるかについて相続人それぞれの利害や感情も絡みます。そして、争族・争続問題に発展してしまうのです。

争族の件数と割合

それでは、「争族」になってしまう件数や割合はどのぐらいあるのでしょうか。
「令和3年(2021)人口動態統計月報年計(概数)の概況」によると、令和3年の年間死亡者数は143万9,809人です。そして「令和3年司法統計年報概要版」より、第二審判事件数23,016件のうち、9.8%が遺産分割等による事件で、件数にすると約2,550件です。また、家事調停事件数132,556件のうち10.2%が遺産分割等による事件であり、約13,520件です。

この他、調停が成立せず訴訟に移行した遺留分請求訴訟や遺言無効訴訟などもあり、裁判所手続きになる争族の割合は、相続発生件数全体の1%強になると考えられます。

出典:令和3年(2021)人口動態統計月報年計(概数)の概況

出典:令和3年司法統計年報概要版

遺産分割で争族になる主な原因

争族になる相続は、大きく(1)相続人の性格や人間関係に基づく問題、(2)遺産の構成による問題に分けられます。この二つの視点から解説します。

性格や人間関係による問題

まず以下のように人間関係の問題があると、お互いに信頼関係がなく、相続人同士での話し合いが難しくなってしまいます。

  • 遺言もないのに遺産を独占しようとするなど、相続人の性格に問題がある場合
  • 全く交流がない相続人がいる場合
  • 両親が離婚して別々に暮らしていた兄弟姉妹の場合
  • 前妻の子と後妻がいる場合
  • 相続人が代襲相続人と子(祖父が亡くなった場合の甥・姪と叔父・叔母との相続など)の場合

このような人間関係による問題がある相続人間では、遺産に対する考え方も異なります。
例えば、昔ながらの制度で長男が全財産を相続する「長子相続」の考えもあれば、現代的な平等分割の考えもあります。また、過去の親族間の経緯から、感情問題も絡みます。

相続人同士の利害や感情の調整を行える親族もおらず、落ち着いた話し合いができず、感情的にもぶつかってしまうことがあります。このような「人」の問題があると、遺産分割が難航しがちです。

遺産の構成による問題

また人間関係ではなく、遺産の構成に問題があっても、遺産分割が難しくなります。
例えば、以下のようなケースです。

  • 遺産の大半が不動産で、ある相続人が不動産の取得を希望している
  • 相続が起きる前に被相続人の預貯金から多額の預貯金の引出しがされている
  • 特別受益が問題になっている
  • 寄与分が問題になっている
  • 生命保険金の額が遺産と比較して過大

遺産の構成に問題があると、相続分に応じて適正に遺産を分ける方法を見出しがたく、遺産分割を進めにくくなります。
この中でも、特に争いやすい「遺産の大半が不動産で、ある相続人が不動産の取得を希望しているケース」と「預貯金の使い込みや使途不明金があるケース」について、次の章で解説します。

遺産分割で争族になる場合の具体的なケース

遺産の大半が不動産であるケース

預貯金や現金・証券市場で売却できる上場株式といった遺産は、1円単位で計算ができ、分割のための計算も容易です。他方で、不動産を分けることは簡単ではありません。
更地であったとしても現物分割のための測量・分筆手続きが必要ですし、建物の現物分割は困難です。共有分割は本質的な解決に馴染みません。遺産の土地を使用中の相続人や建物に居住中の相続人は、土地や建物の取得を希望することが多くなります。

金融資産が少ない場合、土地や建物を取得したい相続人が他の相続人に「代償金」(相続分の買い取りのための現金)をいくら用意できるかがテーマとなります。
これまで無償で住み続けていた不動産居住者の相続人にとっては、遺産分割を進める=不動産取得のためにお金を支払う、といった構図となります。心理的な抵抗が特に強くなります。
特に都市部では不動産の価値・評価が高くなりがちで、時には1億を超える不動産評価となってしまい、取得希望者の負担する代償金も数千万円以上となります。そのため、代償金の用意が困難となり、遺産分割の協議や調停も難航しがちです。

預貯金の使い込みや使途不明金があるケース

亡くなった方のキャシュカードや通帳・印鑑を管理していた相続人が、金融機関の預貯金口座から多額の引出しをし、遺産の預貯金が非常に少ないことや使途不明金が発生していることがよくあります。
引出しをした相続人が、手元にその分を保管したり、引き出した分を遺産に戻すことを素直に認めれば問題はないのですが、引出しの関与を否定したり、引出した分は全て被相続人の生活費に使ったと強弁したり、被相続人からの贈与を主張するような場合は、非常に厄介です。
このような預貯金の使い込みや使途不明金について調停で決着がつかないことが多く、民事訴訟(損害賠償請求訴訟や不当利得返還請求訴訟)で決着をつける必要がありますが、そこに至るまでの協議や調停のやり取りが長期化しがちです。

争族における遺産分割協議の進め方や遺産分割調停

弁護士の対応としては、上記のように、争族になりやすい原因をしっかり押さえた上で遺産分割の法律相談を受け、活動方針を整えて遺産分割事件を受任することが重要です。

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