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専門家インタビュー

困っている社長さんを助けたい。父の背中を見て決めた、牛尾税理士事務所のスタイル

成蹊大学卒業後、一般事業会社での営業職を経て税理士業界へ。2つの税理士事務所で多種多様な業種・規模の案件に携わり、2014年に独立。「納税者の立場に立った税理士」を信条とし、経営者の些細な悩みにも親身に寄り添う。営業経験を活かした話しやすさと、現場感覚を大切にする姿勢で顧問先から厚い信頼を得ている。

一般事業会社での営業職を経て、2014年に独立した牛尾税理士事務所の牛尾貴哉先生。父の背中を見て抱いた「事務作業に困る経営者の役に立ちたい」という信念のもと、納税者目線で語りかけます。経営者の孤独な不安に寄り添う事務所のこだわりと、事務所の目指す姿についてお話を伺いました。

税理士を目指したきっかけを教えてください

父のいとこが税理士をしていたこともあり、税理士という仕事自体は知っていました。ただ当時はどちらかというと、あまりやりたくない職種というイメージでしたね。私は大雑把な性格なのですが、数字に係わる仕事っていうのは細かそうだなと(笑)。そのため、普通に就職活動をして、一般事業会社に営業職として入社しました。
 
一般事業会社で勤めていたのは5年弱ほどです。当時の主なお客様であったガソリンスタンドの社長さんと向き合う毎日でした。相手が経営者ですから、商談の中で決算の話が出てくるのですが、当時の私には「なんじゃそりゃ」というレベルで、全くついていけませんでした。これは会計の知識がないと厳しいなと感じ始めていた矢先、会社の業績が悪化し、職場の雰囲気が一気に暗くなっていくのを目の当たりにしたんです。
給与カットが始まり、月末になると経理が小切手を回収して銀行へ走る……そんな自転車操業的なことになっている噂も流れてきて、当時25、26歳だった私は、将来に強い不安を抱いたことを覚えています。
 
もともと私は少しわがままなところがあり(笑)、納得できないことを会社都合で押し付けられるサラリーマン生活には向いていない自覚もあったので、独立できる仕事をしたいなという気持ちが芽生えていたんです。そういう私の性格や、会社の業績の悪さが「勉強しなくちゃいけないな」というタイミングと重なりました。勉強はあまり好きじゃないどころか、本当に嫌いだったんですよ。でもどうせ嫌いな勉強をするなら、将来夢が広がるものを、と覚悟を決めました。
 
まずは将来独立できる資格を5つピックアップし、そこから消去法で選んでいきました。公認会計士は、当時は一発合格しか認められなかったのでやめて、弁護士は難易度が極端に高いので候補から外しました。一級建築士は理系への転向が必要、中小企業診断士は更新しないと登録抹消になることに抵抗があり、候補から外れました。
最終的に、一度受かった科目の権利が一生続く点や、親族に税理士がいて多少は身近だったという理由から税理士が残りました。いざ簿記の勉強を始めてみると、パズルを解くような快感があって、意外と自分に向いているんじゃないかと。そこから本格的に税理士の道を歩み始めることになりました。
 

独立開業するまでの経緯を教えてください

一般事業会社を退職した後、1年間の勉強期間を経て、会計事務所に入所しました。そこは所長と私の2人だけという小さい事務所。そこで2年間ほど勤めた後、次の会計事務所に転職して、10年間近く働いていました。
独立は最初から考えていました。もともと勉強を始める時も「将来の夢が広がる仕事」つまり「独立できる仕事」というのが前提だったので、独立というのは根底にはあったんです。
 
ただ、独立するにあたって決定的な出来事があったわけではないんです。資格を取ってから最低でも2年間は恩返しの意味もあって今の事務所で働こうと思っていたんですが、ちょうど2年が経った頃、酔っぱらって電車に乗っている時に「そうだ、独立しよう」と思い立って決断しました。本当にもう勢いですよね。その時にいた事務所はとても働きやすく、恵まれた環境だったので、ずっとここで働くのもありだなとは思っていたんです。でも、一度思い立ったら独立する覚悟が決まっていて、家族も応援してくれたこともあり、そこから半年くらいで事務所を退職しました。
 
もちろん独立することに不安がなかったわけではありませんが、不思議と「なんとかなるだろう」という楽観的な気持ちもありました。
独立当初は前職でご縁のあった方からのご紹介が多かったです。たとえば、担当していた会社の経理の方が転職し、「転職先で税理士を探しているんだけど、やならい?」とお声がけいただくとか。そうして少しずつご紹介の輪が広がっていきました。特別な営業はしていなかったですが、一人ひとりのお客様の要望に愚直に応え続けてきたことが、結果として今の事務所の形に繋がっているんじゃないかと思います。
 

事務所の特色としてはどんなところがありますか?

特色といっていいかわかりませんが、お客様に寄り添って支えていきたいという思いがあります。
最近では、事務所側では入力せずにお客様が行ったチェックしかしないというスタンスの事務所も多いようですが、弊所ではお客様から領収書などの資料一式お預かりして、こちらですべて対応しています。
その根底にあるのは、設計事務所を経営していた父の姿ですね。中小企業の現場では、経理の知識がない家族が手伝っていたり、そもそも経理担当がいなかったりするのが現実です。以前就職活動中に面接を受けた税理士事務所で「うちは入力なんかしない」と威丈高に言う先生を見て「独立したら1から全部ちゃんとやらないと、うちの父の会社みたいなところは困っちゃうだろう。そういう会社とも丁寧に向き合いたいな」と思いました。

お客様との印象的なエピソードはありますか?

中小企業の社長さんというのは、あえてこういう言い方をしますが、みなさん「わがまま」なんです。自分の我を通していかなければ会社を運営できないという責任があるので、当たり前ですよね。一方で、経営というのは非常に孤独で、不安があってもなかなか周囲に相談できないというジレンマを抱えていらっしゃいます。
 
ある時、社員を数十人抱えるワンマンな社長さんがいらっしゃいました。私が会社に伺う際は、社員の方々の前で常に堂々と、威厳を持ってお話しされる方。ところが、私が会社を後にした直後に、その社長から私の携帯に電話がかかってきて、「さっきの件、本当に大丈夫ですよね?」 と。
税理士というのは、お金のことはもちろん、家族や親友にさえ言えないようなことを聞く立場です。人前では絶対に見せない、不安そうな声をお聞きしたとき、税理士っていうのは社長が誰にも言えないことを受け止めるためにいるんだなと感じました。そんな深い部分の不安を吐露していただけたときは、信頼していただけているのだなと感じて、嬉しい気持ちになりますね。

お客様への対応で意識していることは何ですか?

一番は、難しい言葉を使わないことですね。世の中の人からすれば、「記帳代行」という言葉ですら何を指しているのか分からないのが普通です。ですから、「会計ソフトに入力します」といった分かりやすい言葉に言い換えたり、用語の解説を丁寧に添えたりすることを心がけています。そのせいでメールが長くなってしまいがちなんですが(笑)。
 
私は「先生」と呼ばれるのがあまり好きではなくて、自分はあくまで「いちサービス業、いち業者」であるという感覚でいます。税理士としての威厳を出すよりも、上から目線にならないよう、相手目線のコミュニケーションを何より大切にしたいんです。
特にフリーランスの方などは、確定申告の時期に「資料がこんな状態でごめんなさい」と恐縮しながら来られることがよくあります。もしかしたら「怒られる」というイメージが強いのかもしれません。でも、私はそこで「全然きれいですよ、整っていますよ」とお伝えして、まずは安心してもらうことを意識しています。話しやすく、偉そうにせず、資料を送るだけで形にしてくれる。そうした安心感を提供できる存在でありたいと考えています。

これから挑戦してみたいことはありますか?

正直なところ、大きな野望というよりは、目の前の課題にどう向き合うかを考えています。ここ数年、事業の畳み込みや売却(M&A)によって、お別れするお客様が増えているんです。おそらく似たような課題に直面している事務所さんもたくさんあるんじゃないでしょうか。
最近は、レガシィさんのようなサービスに登録してみるなど、自分に合った新しい縁の作り方を模索し始めています。ガツガツした営業は私には合わないなと感じますが、そういう私の姿勢を評価してくださるお客様と、これからも丁寧に関係を築いていきたいです。自分のカラーを保ちつつ、どうやって新しいお客様に事務所を知ってもらうか。それがこれからの数年で向き合っていく、静かな挑戦だと思っています。

独立開業を目指している人へのメッセージをお願いします

もし独立を考えているのなら、「頑張ってね」というエールとともに、「思い立ったら今だよ」とお伝えしたいです。結局、今この瞬間が人生で一番若いですから。
 
税理士という資格を持っていれば、万が一独立がうまくいかなかったとしても、就職できないなんてことはないはずです。ですから、あまり難しく考えすぎず、ダメならやり直せばいいという気持ちで飛び込んでほしいと思います。
 
私自身、前の事務所で「辞めよう」と決めたときは、ちょうど2人目の子供が生まれる直前でした。今振り返ればすごいタイミングでしたが、あの時勢いで決めていなければ、10年経った今、同じように独立はできなかったと思います。
「やるなら今」。その一言に尽きると思います。自分の直感と勢いを信じて、一歩踏み出してみてください。
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