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専門家インタビュー

ゲームと税務の融合で、自分らしい働き方をつくる

大学卒業後、一般企業を経て税理士法人に転職。営業力が問われる環境の中で10年間にわたり実務経験を積み、税務・会計の専門知識に加え、提案力や顧客対応力を磨く。2024年に独立し、澤木伸哉税理士事務所を開業。「好きなことを仕事にする」をテーマに、法人顧問・申告業務に加え、ゲームや教育といった分野との掛け合わせを通じて、税務の新しい可能性を広げている。自身のゲーム好きを活かし、税務や経営の仕組みを“攻略”という視点で発信するなど、独自のスタイルを築いている。

ゲームと税務を融合させるというユニークな考えで実務を行っている澤木先生に、税理士を目指したきっかけなどをお伺いしました。

税理士を目指したきっかけを教えてください

昔から「好きなことをして自由に生きていきたい」という気持ちが強く、早くから自分の道を自分で決めたいという思いがありました。ただ、それだけでは現実はうまくいかない。生活の安定や社会的信用なども必要だと考え、将来にわたって続けられる“武器”として、資格の取得に目を向けたのが最初のきっかけです。
 
大学では商学部に進み、会計や経済の授業を通じて数字の世界に自然と興味を持つようになりました。特に、税理士は独立しやすく、専門性を活かして長く活躍できる職業だと知り、「これだ」と直感的に感じたのを覚えています。組織に縛られず、個人の力で勝負できる職業。まさに自分の理想と重なりました。
結果として、その直感は大正解だったと思っています。
 
在学中から少しずつ勉強を進めていましたが、当時はまだ「いつか取れればいいかな」という気持ちもあり、本格的に目指し始めたのは社会人になってからでした。

税理士法人勤務時代、実務の経験を通じて得たものとは?

大学卒業後はまず一般企業に就職し、働きながら資格取得を目指しました。ただ、思うように結果が出ず、「環境を変えよう」と転職を決意。そこで出会ったのが、営業力の強い税理士法人でした。
 
その事務所では、担当件数や売上実績が評価に直結し、自分の成果が明確に数字で表れる環境。最初は戸惑いもありましたが、逆にそのわかりやすさが自分には合っていたのかもしれません。税務の知識だけでなく、顧問先との信頼関係の築き方や、どうしたら提案が伝わるかといった実務感覚を一つひとつ体得していきました。
 
特に印象的だったのは、「税務」だけで仕事を終わらせないというスタンス。たとえば、お客様の家族や従業員の話、ちょっとした雑談からも多くの情報を引き出せるということを現場で学びました。税理士にとって本当に大切なのは、単なる機械的な税務や会計の知識の提供ではなく、お客様との長期的な信頼関係や、他とは違う「自分自身」という価値の提供であると再認識しました。
 
また、長く勤務する中で、後輩の育成にも携わるようになり、自分が見てきた世界をどう伝えるかという新たな課題にも向き合いました。組織としての良さと難しさ、その両方を経験できたことは、のちの独立にも大きく活きています。

独立を決意した経緯を教えてください

税理士法人には10年間勤務しました。多くを学び、任せてもらえる領域も広がり、安定した環境ではありましたが、次第に「もっと自分らしく働きたい」「価値観を押しつけられることなく、一件一件のお客様を大切に、互いを尊重し合いながら、より深く関わり、ともに学び・成長していける関係性を築いていきたい。」という気持ちが強くなっていきました。
 
実は、税理士を目指したときから「いつかは独立したい」という思いは持っていたんです。ただ、現実的にはタイミングや不安もあり、なかなか踏み出せずにいました。けれど、これ以上自分に嘘はつけないと思い、2024年に独立を決断しました。
 
独立後は、法人顧問や申告業務といった基盤の業務を大切にしつつ、自分が「面白い」「やってみたい」と思えることに時間を使えるようになりました。効率や利益だけを追いかけるのではなく、自分の好奇心や価値観に正直でいたい。そう思えるようになったことが、独立して一番良かったと感じていることです。
 
また、現在は完全に一人で運営しており、自分の裁量でスケジュールも内容も決められる自由さを実感しています。無理をしない、自分のペースで働けるというのは、本当に大きな魅力です。

ゲームと税理士業務──ユニークな挑戦

私が最近力を入れているのが、ゲームと税理士業務の掛け合わせです。もともとゲームが好きで、仕事とは別に発信活動をしていたのですが、これを仕事に活かせないかと考えるようになりました。
 
現在は、ゲームの世界観や用語を活かしながら、税務や会計の内容をより親しみやすく伝える取り組みを行っています。たとえば、節税や資金繰りといったテーマを“戦略”や“コンボ”といったゲーム用語になぞらえて解説したり、経費処理や減価償却を“攻略ルート”のように整理することで、難解な税務の話も楽しく学べる工夫をしています。
 
こうした表現は、特にゲーム好きの経営者層やフリーランスの方々から好評をいただいており、SNS発信や勉強会、コラボ企画などにもつながっています。今後は、教育分野にもこの発想を広げ、子どもたち向けに税金を楽しく学べるような教材づくりも視野に入れています。
 
もちろん、対象によって伝え方は工夫しています。年配の経営者や法人顧問の際は、より伝統的な税理士らしい対応を心がけていますし、そのためにホームページも2つ運用しています。あくまで軸にあるのは、「伝わる方法で伝える」こと。形式ではなく中身で信頼を築いていくことを大切にしています。

今後の展望を教えてください

豊かさとは、単にお金の多さではなく、健康でいられること、そして大切な時間をどう使えるかだと考えています。そのため現時点では、事務所を大きくする意欲はそれほどありません。人を雇って拡大するよりも、効率的な仕組みやデジタルツールを活用して、少人数でもしっかり回る体制を目指しています。
 
たとえば、クラウド会計ソフトを導入し、オンライン完結型の業務フローを構築。お客様とのやり取りもチャットやオンライン面談が中心で、柔軟な対応が可能になりました。今後はAIなども積極的に取り入れて、さらに効率と品質の両立を図っていきたいと考えています。
 
そして、いずれは「旅をしながら働く」というライフスタイルも実現したいです。ノートPCひとつあればどこでも仕事ができる環境は、今の税理士業界でも徐々に整いつつあります。だからこそ、「オフィスに縛られずに、好きな場所で、好きなことをしながら働く」――そんな未来を描いています。
 
税理士という仕事は、まじめで堅実なイメージがあるかもしれません。でも、実際は自分の個性や価値観を強みにできる、自由度の高い職業だと感じています。
 
私自身、「ゲームが好き」「自由に働きたい」という気持ちを起点に、独立という選択をし、自分らしい仕事をつくってきました。こうしたスタイルが広がれば、税理士という職業のイメージももっと多様で楽しいものになっていくと思います。
 
ただ、AIの進化により、今後税理士の業務は大きく変化するでしょう。完全になくなることはないにしても、定型的な業務はかなり自動化されるはずです。そんな時代に求められるのは、専門知識以上に、「この人と話すとなんだか楽しい」「相談しやすい」といった、人間的な魅力や感情に根差した関係性なのではないかと感じています。
 
税理士の資格は「プラスアルファとしての武器」程度に捉え、税理士資格にあぐらをかく事なく、いち経営者としての人間的魅力を磨く努力や営業努力を怠らないようにしていかなければ、AIに淘汰されて行ってしまうのではないかなと思っています。
 
だからこそ、私は“楽しむこと”を大切にしています。それが結果的に、収入にも仕事にも、良い循環をもたらすと信じています。
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