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専門家インタビュー

国税当局時代の経験を活かした 「個人の国際税務に強い」税理士への転身

国税組織で38年、大手税理士法人で8年の税務経験を持ち、個人事業主や不動産、金融商品、国際税務など幅広い分野に対応。税務調査対応経験も豊富で、海外居住者や外国人の税務のサポートを行っている。

国税を定年まで勤め、いまは個人の国際税務を中心に活躍されている阿部先生に国税時代の経験などをお伺いしました。

これまでの経歴や税理士を目指したきっかけを教えてください

大学を卒業してすぐ国税局に入りまして、調査畑に25年くらい、そのうち国際関係の部署に12,3年くらい勤めました。国際関係は、個人・法人・相続など幅広いんですけれど、私は個人の、つまりは所得税の部署にいたんです。国際の部署に入ったのは、自分で手を挙げたというところもあるんですけれど、語学が好きだったというのが、大きな要素なんです。そこでは、外国人や富裕層の調査をしていまして、富裕層の方だとだいたい海外に資産をお持ちなので、その運用益が漏れていないかとか、そんな調査をずっとしていました。そして60歳になり定年退職を迎えて、税理士になりたいと思ったのです。
そうしたところに、世界150カ国ぐらいと提携している太陽グラントソントン税理士法人という事務所に採用されましてね。しかも自分が希望していた個人の国際関係の部署に配属されたので、すごく嬉しかったですよ。外国人の確定申告書を作ったり、相談事務に携わったりとか、セミナー講師をしたりとか、そのような仕事に携わってきて、65歳になったので定年退職し、独立開業しました。
開業後は、太陽グラントソントンにいた時の外国人のお客さんとのつながりですとか、グラントソントンとの業務提携ですとか、私が個人の国際に強いということを知ってくれている先生からの紹介ですとかで、お客さんもついてくれ、現在に至っているという感じです。個人でやるようになってからも、個人の国際税務に特化しています。

国税時代に思い出に残っていることを教えてください

30代前半の頃ですかね。査察部に所属していました。令状を持ってガサ入れや取調べを行うのですが、朝早くから夜遅くまで働き、特に実施班としての業務が大変でした。ガサ入れの日は早朝現場に入るので7時くらいから近くの公園で待機したり、取調べなどが夜遅くまで続くことが多かったです。重要参考人の取調べではなかなか本当のことを言わないので、深夜までかかることもよくありましたね。国税局には泊まれる部屋があり、布団を敷いて雑魚寝しましたが、気が高ぶって寝言で怒鳴りあっている査察官もいましたね笑。
包丁を突き付けられたり、開けようとしない玄関を鍵屋と警官を呼んで開けたりすることも経験しました。厳しい上下関係や困難な状況も多かったですが、そういった経験がよい思い出となっていますね。
 

独立してからの働き方はいかがでしょうか?

開業してからは、今までと全く変わりましたね。まず人に指示されることがないというのが一番いいところですよね。組織にいると、自分の言いたいことって100%は言えないと思うんです。我慢しなきゃいけない時があるじゃないですか。国税の職場って本当にピラミッド型ですので、上にはなかなか逆らえないんですけど、今はもう言いたいことを言えますし、先日お客さんに、そんな言い方は無いでしょうと怒鳴ったこともありました。それでもちゃんと信用いただいて顧問を続けていますので、そこが一番ストレスがないというところですね。それと、いつでも自分の好きなことができるということが何よりですね。赤坂で事務所をやっているのですが、平日はそこに寝泊まりしているんですよ。そうすると、夜遅くまで、物を書いたり調べものをしたり、好きなことができるじゃないですか。週末の金曜日の夜、千葉の自宅に帰る、そんな生活をしていますね。ただ、何から何まで自分でやらなきゃいけないのが少し大変ですね。それこそ郵便を送るにしても、まず重さを量って、切手を買ってこなくちゃいけない。ただ、この歳でそれをやれることが、逆に楽しいですけどね。
他にもいろいろな細かい作業はありますけど、自分で税務ソフトに入力して、申告書自体を作るのが好きなんですよ。おそらく私くらいの年齢の先生だと、大体何人か職員を事務所に抱えていて、事務所員が作った申告書をレビューチェックするっていうパターンだと思うんですけど、僕は自分で作るのが好きなんです。もしそれができなくなったら、仕事を終えるときかなと思っています。
 

今後の展望を教えてください

今のところ、赤坂で78歳ぐらいまで申告書を作ったりはしたいなと思っているんです。78歳を過ぎても、例えば何か執筆するとか、本の改訂版を出すとか、それこそ病気で倒れるまでこの仕事をやりたいなという気持ちが強いですね。
あとは、自分の後継者としてグラントソントンに入った時にペアを組んでいた方がいて、彼とは気が合うし、いま37歳なので将来的に独立したいって言っているので、あと5,6年経ったら、基本的には渡せるお客さんは任せて、執筆とかにシフトしていきたいと思っています。
今後の話として、やっぱり自分がやりたいのは、あと残り少ない何年間において、自分が今まで色々な人にお世話になって教えてもらったこと、あるいは自分が勉強したことを後輩の税理士に引き継いでいきたいなと思っています。
 
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