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専門家インタビュー

女性が働きやすく、女性が頼みやすい税理士事務所

大学卒業後、会社員を経て、税理士資格を取得。相続特化の事務所で実務経験を積んだ後、縁があり、西国分寺で税理士事務所を承継。その後、試行錯誤をしながら、女性が働きやすい、女性が頼みやすい税理士事務所をテーマに事務所運営に取り組んでいる。

たまたま英会話教室でお母さまのお隣の方が、事務所を引き継いでくれる方を探している所長先生の奥さまだった、という「ご縁」としか言いようのないきっかけで、税理士事務所を承継した中村先生。二代目所長としての先生の思い、女性の働きやすい環境づくりなど、興味深い話を色々と聞くことができました。

税理士を目指したきっかけを教えてください

 大学を卒業して入ったのが、女性は30歳を超えたら辞めるのが当たり前というような風潮の会社でした。その会社にずっといるのは難しいと感じて、簿記を勉強して転職しました。
 その後、女性でも一人で食べていくには、国家資格があると心強いと思うようになりました。何か良い資格がないかと大原簿記学校に行った時に、ちょうど税理士コースのキャンペーンをしていました。税理士試験というのは一科目ずつ合格すればよいから、自分のペースで資格が取れると言われて、税理士を目指すことにしました。実は、その時点では、税理士がどういう職業かほとんど知らなかったんですが……。本当に巡りあわせのようなものだと思います。
 ちょうどそのタイミングで、父の知り合いの税理士事務所が顧客増加につきスタッフを募集していて、知り合いのお子さんなら安心だということで、そこに入らせていただきました。
 そこの所長先生がすごく応援してくれて、勤務シフトを融通してくれたり、受験のアドバイスをしていただいたり、本当によくしていただきました。実は、4年目に不合格になり、落ち込んでしまい、勉強をやめてしまおうかと思っていたのですが、先生が「来年はこの2科目だね」と言うので、逃げるに逃げられず、5年目で5科目合格を達成しました。

資格取得後のことを教えてください

 合格後2年ぐらい、そこで働いていたのですが、行う業務はそれまでと変わらず記帳代行の入力業務をしていました。友人から「せっかく、税理士になったのに、登録前と変わらない仕事のままで、いいの?」と問われて、転職を意識しました。
 その後、転職して2つ目の会計事務所に入るのですが、最初は苦労しました。というのも、私はそれまで、入力業務ばかりを行ってきたので、税理士としての申告業務などは未経験でした。当然、お客様との面談の場に立ち会ったこともありませんでした。しかも、相続特化の事務所だったので、未経験のことばかりで不安ばかりでした。
 研修等もなく、いきなり現場に放り込まれた感じでしたが、上司とお客様に鍛えられて税理士業の基礎を覚えることができました。

独立のきっかけを教えてください

今の事務所なんですが、母の英会話教室で隣の席だった方が先代の奥さんだったんです。私が税理士であることや先代が後継者を探してるという話が、母たちの話題に上ったことがあり、転職をして事務所を承継しないかというお話をいただきました。その頃、通勤時間や残業の多さに悩んでいたこともあり、お話をお受けしました。仕事を一緒にやって色々教わりながら承継に備えるという予定だったのですが、先代の体調もあり、入所から2年後に前倒しで事務所を承継することになりました。

引き継いでから苦労したことはあったのでしょうか?

 先代が気を使ってくださり、スタッフも全て入れ替えたほうがやりやすいだろうということで、新たにスタッフを雇うことになりました。
 私は採用も指導もしたことがなかったので、この部分は本当に苦労しました。何を基準に選べばいいかとか、自分でも分からなかったので、結構悩まされましたね。
 最近は即戦力の方ばかり来ていただいてるんですけれども、それが定まるまでは試行錯誤を重ねました。
 現在は本当に良い方に恵まれて、私も安心して自分の仕事もできるし、上がってきたデータや資料も正確なので本当に助かっています。

これから力を入れていきたいことを教えてください

 まず、前の先生から引き継いだ方に関して、しっかりサポートしていくことが事務所を承継した自分が最低限やらなくてはいけないことだと考えています。
 その上で、相続関連業務にもっと力を入れていきたいと考えています。
 顧問先の相続や紹介、ホームページからの案件は今も対応しているのですが、もう少し積極的に相続業務をアピールできればと考えています。

お客様とのかかわりで大切にしていることを教えてください

 お客様との関わり方で気を付けていることは、ごく当たり前のことですけれども、難しい言葉を使わない、ということです。一般の方々にとって、税理士が当たり前に使う言葉は非常に難しく拒否反応が出てもおかしくないということを意識するようにしています。税理士は通訳として、税務を分かりやすくお客様に伝えることが重要だと感じています。
 相続では、「先代の遺志を次の方にうまく伝え、架け橋になる」ということも税理士の仕事だと思います。できることは限られていますが、相続人の皆さんがうまい落としどころを見つけられるよう、配慮を忘れないように心がけています。
 また、相続は女性が関わる場面が少なくないと思っています。相続人は男性でも書類を取りに行ったり、私との窓口になって下さるのは相続人の奥さんというのは少なくありません。相続はやはり心理的負担も大きいものですから、税理士が女性で良かった、などと言っていただけるよう心がけています。

どんな事務所を目指しているか教えてください

 現在、働いているのは全員女性です。ですので、女性が働きやすい職場にしたいなと思っています。自分がサラリーマン時代に嫌だったこと、働きにくいなと思ったことは起こらないようにしたいですし、嬉しかったことは、スタッフの人にも同じように提供できるといいなと思っています。
 例えば、有給を取りやすくしたり、テレワークを使いやすい仕組みにして、育児や介護を含めてライフプランを構築できるような職場にしていきたいです。
 一緒に働いていて思うのは、女性は時間の使い方がすごく上手です。限られた時間の中で家事や育児を行っているということもあり、進捗やスケジュール管理に非常に優れていると思います。
 そんな彼女たちが、より働きやすい職場を目指していきたいと考えています。
 また積極的にデジタル技術も取り入れていきたいです。

これから開業したり、後を継ぐ方へ向けてメッセージをお願いします。

 「まず、挑戦してみたらいいのではないか」と思います。
 決して突き放して言っているのではなく、意思と機会があれば経験してみた方がいいと思います。
 サラリーマンの長所もありますし、開業したからこそできることもあります。
 私は昨年、母を亡くしたのですが、その時に業務を調整しながら母の看護や介護を思うようにすることができました。スタッフのサポートがあればのことですが、サラリーマンでは絶対できなかったことだと思います。この経験は、やはり開業していたからだなって思います。
 ですので、機会があったら、一度は開業してもいいのではないかなと思います。
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